2015 年度課題研究 P6 林 秀輝 大西 里実
到来したガンマ線が大気と相互作用したときに生成される 空気シャワーからのチェレンコフ光を観測することで、ガ ンマ線の到来方向をみる 現在は光検出器として光電子増倍管が使われている → 次世代の TeV ガンマ線望遠鏡として MPPC が検討されてい る MPPC を用いてチェレンコフ光を観測したい より抜粋
ガイガーモード APD をマルチピクセル化したフォト ンカウンティングデバイス 実験に用いたのは S C (ピクセル数 、端子間容量 320pF ) ・優れたフォトンカウンティング能力 ・低電圧で動作( ~70V ) ・増倍率 ・検出効率 25% ・高速応答 ・優れた時間分解能( 400ps ) 3mm 浜松ホトニクス社 HP より引 用
多数のピクセルからなるので1つのピクセルに 2 つ以上のフォト ンが 入射することはほぼないとみなせる ( 今回では、入射光 ≪40000 フォトンの範囲で ) 各ピクセルからの出力パルスは入射フォトン数によって変化し ない ピクセルそれぞれがフォトン検出時に同じ形のパルスを出力 フォトンを検出したピクセルからの出力の重ね合わせが 検出したフォトン数に対応する
夜光(バックグラウンド)の検出が数 100MHz 程度 平均約 10ns に一回、光を検出 パイルアップを防ぐため、光を検出する際のパルス幅を 10ns 以下にしたい 10ns 以下
MPPC からの出力を 10ns 程度のパルスとして観測 するための回路を作成する ・回路シミュレータ (SPICE) で回路を見積もり、実際に作成 する ・ LED を光らせて、 1p.e. 程度の光を 出し、それを MPPC で読みだすことで 図のようなスペクトルを得る
パルス幅の小さい回路の作成のため、まず、回路シミュ レータ LTspice を用いて波形を見積もる MPPC を表現した部分 MPPC に関してはスパイス モデルが公開されていない ため、 この他に数パターン作成し て比較検討しつつ進めた 一昨年の実験で使用された回路 をシミュレーションで再現
pulser FAN IN/OUT DRS4 評価ボード FAN IN/OUT アンプ MPPC 減光板 LED 暗箱 パルスジェネレー ター MPPC 用 高電圧電源 オペアンプ用電源
シミュレーションでうまくいっても実際につないだ回路ではシミュ レーション 通りの波形 が出力されない 実際は回路内のインピーダンスの不整合による反射や、オペアンプ のスパイスモデルの精度、等々により うまくいかないと考えられる シミュレーションした中でよさそうな回路から、実際の回路をつな ぎ変えたり試行錯誤を繰り返して 1p.e. を見れるように工夫した 実際の出力 シミュレー ション
ポールゼロキャンセ ル回路 電荷積分型前置増幅器 インピーダンス整合のためにつけ た抵抗
いくつかのオペアンプを回路につないで動かしてみたところ、 それぞれに全く異なった波形が得られた 性能により違いが生まれるのだと考えられる 比較検討した結果、アナログデバイセズ社の AD8055 を採用し た 高速、低ノイズのオペアンプ ・バンド幅 300MHz 以上 ・スルーレート 1400V/μs ・入力電圧ノイズ 6nV/√Hz ・入力電流ノイズ 1pA/√Hz ・入力オフセット電圧 max 5mV
約 30ns 程度のパルス幅 ピークの両側で時間積分することで、 MPPC の出 力電荷に比例する量を算出した( イベント 分) 減光板を透過する 光を 50%,30%,10% と 減らしてみた 30ns 時間( ×0.2[ns] ) 電圧 ( V )
30% 10%50% pedestal 1p.e. 2p.e. 3p.e. 縦軸はイベント数、横軸は積分した値 ( V ・ ns ) 光なし ダークカウント
S/N 比とは、 Signal/Noise であり、 S/N = μ/σ で計算される → この測定時の S/N = 3.96 ※ チェレンコフ望遠鏡で使うためには S/N=5 以上であ ることが 望ましいとされている μ σ [V ・ ns]
計算から得られた降伏電圧は約 65.28V データシートより、 1 ピクセルあたりの静電容量 は ( =C ) 増倍率 から、 ( e は電気素量) 70V での増倍率は 65.28[V] [V ・ ns ]
結論としては、 1p.e. スペクトルはとれたが、パル ス幅を 10ns 以下に落とすことはできなかった ( 30ns まで) S/N を保ちながら(スペクトルが見られるようにし ながら)パルス幅を小さくすることはなかなか困難 であった パルス幅を 10ns 以下にするには・・・ ・性能の良いオペアンプを使う(高速・低ノイズ) ・微分回路を多段にする - ノイズを落とす