CALET-TASC に用いる PWO の 発光特性に関する研究 早大理工研,横国大工 A , JAXA/SEUC B 二宮翔太,鳥居祥二,村上浩之,小澤俊介,小谷太郎, 伊藤大二郎,舟橋良輔,小甲弘亮,北條裕之, 片寄祐作 A ,清水雄輝 B.

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CALET-TASC に用いる PWO の 発光特性に関する研究 早大理工研,横国大工 A , JAXA/SEUC B 二宮翔太,鳥居祥二,村上浩之,小澤俊介,小谷太郎, 伊藤大二郎,舟橋良輔,小甲弘亮,北條裕之, 片寄祐作 A ,清水雄輝 B

研究目的 全吸収型カロリメータ ( TASC )  シンチレータ  光検出器 712mm CHD TASC TASC ‐ FEC IMC ‐ FEC IMC 516.5mm PWO ( 20×19×326 mm 3 ) 16 本 ×12 層 ( 27 X 0 厚) 1 層目のみ: PMT (トリガー用) 2 層目以降: APD/PD  温度環境 CALET 全体は MLI で覆い,断熱 発熱部は流体による熱制御 ( ATCS ) ISS 軌道上で予測される温度下において PWO + APD を用いて 1MIP ,回路ノイズを S/N の温度依存性 測定し, S/N の温度依存性を求めた 入射粒子のエネルギー決定, 電子 / 陽子識別を行う 装置の温度変化により 発光量 PWO は発光量変化 ノイズ量 APD はノイズ量変化

PWO シンチレータ  広い視野角 (観測量の確保) → 放射長あたりの長さを短く! 密度 [g/cm 3 ] 放射長当りの 長さ [cm/r.l.] 放射長当りの 面積密度 [g/cm 2 ] NaI BGO PWO 代表的な無機シンチレータの諸特性比較 CALET に要求される性能  検出器の軽量化 → 放射長あたりの面積密度を小さく! CALET-TASC 用のシンチレータとしては PWO が最適 326mm 19mm 20mm 温度依存性 エネルギー決定精度 向上のために,詳細 な測定が必要

TASC の信号読み出し 6 桁以上のダイナミックレンジを実現 APD/PD gain APD/PD 面積比 Shaping Amp gain 比 Total gain 比 ① ×10 4 ② ×10 2 ③ 1130 ④ 1111  PMT ( 1 層目) トリガー生成 APD/PD dual package ( S ) PMT ( R11822 ) APD ( 100mm 2 ) S PD ( 5.8mm 2 ) S Br φ8mm Effective ADC [ch] MIP 数  APD/PD ( 2 層目以降) 4 系統 4 系統のゲインの異なる 信号処理回路  各系統のレンジは約 3 桁  1 桁以上重ねて接続し, ① の 1MIP 測定により較正 ① APD ② APD ③ PD ④ PD + High gain Shaping Amp + Low gain Shaping Amp + High gain Shaping Amp + Low gain Shaping Amp

1MIP の温度依存性測定  測定項目 : PWO + APD - PWO : CALET 試作品 ( 20×20×320 mm 3 ) 12 p.e./MeV ℃) - APD : 増幅率 50 倍となる電圧を印加 宇宙線ミューオンを利用して 1MIP を測定した 温度 [ ℃ ] 電圧 [V] APD の電圧(増幅率 50 倍) 恒温槽 APD/PD PWO (+反射材 ESR )  測定温度 : 20 , 25 , 30 , 35 , 40 ℃ PWO + APD 検出器

測定システム PWO(W003) Trigger Sci.(S1) Trigger Sci.(S2) PMT PreAmp APD/PD 恒温槽 QDC PH-ADC Shaping Amp Trigger Logic muon Divider ◆ Trigger Sci. : ELJEN, EJ-204 ( 20×10×320 mm 3 ) ◆ PMT : HAMAMATSU, V ◆ QDC : CAEN, V965A, 12 bit ◆ PreAmp : CALET 用 HIC の試作品 ◆ Shaping Amp : Bi-Polar, t shape =1.4 us ◆ PH-ADC : CLEAR-PULSE, 1112, 16 bit PreAmp ( CALET 用 HIC の試作品) Side view

入力電荷に対する出力 ADC 値の較正 PreAmp にテストパルスを入力し, PH-ADC を較正した  入力するテストパルスを等差的に小さくしていき, 入力電荷と出力 ADC 値の相関をとった  テストパルスによる ADC 値分布を Gauss 分布で fitting し,ピーク値を算出 テストパルスによる ADC 値分布 と fitting 例 (入力電荷: 70 [fC] )  相関係数 : 390±0.16 [ch/fC]  ペデスタル : 67±6.9 [ch] — 入力電荷が 0 [fC] のときの ADC 値 ( fitting 直線を外挿)

PWO 発光量の温度依存性 1MIP  宇宙線ミューオンによる波高分布を 「 Landau 分布に Gauss 分布を畳み込んだ 関数」により fitting  Landau 成分のピーク値( MPV )を 1MIP とした  各温度での 1MIP を求め,直線で fitting 20 ℃での 1MIP 決定例 温度係数: -1.3%/ ℃ ℃) 各温度での 1MIP 測定結果から, PWO 発光量の 温度依存性を求めた ( APD ゲインは 50 倍で固定) 20 ℃ 25 ℃ 30℃30℃ 35 ℃ 40℃40℃ 2.4 [fC]

回路ノイズの温度依存性 各温度での 1MIP 測定直後に, APD に電圧を 印加した状態で回路の RMS ノイズを測定した True RMS Meter Shaping Amp Bias PreAmp APD 温度係数: +2.3%/ ℃ ℃) 恒温槽 True RMS Meter ( NF Co., M2170 ) ② APD 容量由来のノイズ ノイズの主成分 ① Shaping Amp 出力付近で 発生する高周波ノイズ ③ APD 暗電流由来のノイズ 温度上昇によって顕著に 増加するのは暗電流である ため,温度依存性に寄与 するのは主に ③ である

信号対雑音比 ( S/N ) ミューオン測定による 1MIP と 回路ノイズから, S/N を算出した → 各温度での S/N を直線で fitting PWO 発光量: 12 p.e./MeV CALET に用いる PWO の発光量は 9 p.e./MeV 以上 温度係数: -2.8 %/ ℃ ℃) PWO 発光量: 11.3 p.e./MeV 発光量が最低値と平均値 の場合の S/N を見積もった Light Yield [p.e./MeV] Number of PWO Logs 実測見積もり (平均 11.3 p.e./MeV ) PWO 発光量: 9 p.e./MeV ミューオンのエネルギー損失 :約 22MeV ( 2cm 厚の PWO 中) (平均値) (最低値)

ISS 軌道上における TASC の熱解析 解析条件 ① PWO のノミナル温度 : 29 ~ 31 [ ℃ ] ② PWO の最高温度 : 32 [ ℃ ] ③ 軌道 1 周回での温度変動 : 0.2 [ ℃ ] 以下 ④ β 角による温度依存性 : 0.9 [ ℃ ] ( β = +20 [deg] で最も高温) 解析結果 ISS 軌道姿勢 : YPR = 0, 0, 0 [deg] β 角 : -75 ~ +75 [deg] ATCS 温度(高温側) : 21 [ ℃ ] ※ TASC のノミナル運用時(高温側)の熱解析により, ISS 軌道上での PWO の温度を予測した ※ ただし, ATCS のノミナル温度は 20 [ ℃ ] なので, 解析結果 ① , ② は平均的に数℃下がる 経過日数 [day] 360 β 角 [deg]

ISS 軌道上で予測される範囲の温度環境下において,宇宙 線ミューオンによる PWO の発光量と回路の RMS ノイズの 温度依存性を測定し, S/N を算出した – PWO 発光量 : -1.3 %/ ℃ – 回路の RMS ノイズ : +2.3 %/ ℃ – S/N : -2.8 %/ ℃ CALET 実機で用いる PWO の発光量の平均値は 11.3 p.e./MeV , 最低値は 9 p.e./MeV であるため,それぞれの場合につい て S/N を見積もった ⇒ 実機での PWO のノミナル温度( 30 ℃)において も 3σ 以上の S/N が確保されていることが確認され た まとめ

END