熊野灘海流予測システム開発 進捗状況報告 (株)三菱総合研究所
熊野灘海流予測システム 内容 – 熊野灘で作業中である、地球深部探査船「ち きゅう」のために海流予測を行う 黒潮の変動を数キロメートルのオーダーで予測 –JCOPE をネスティング » 日本近海 1/36 度モデル(同化あり) » 熊野灘 1/108 度モデル(同化なし) – 現在、 1/36 度モデルを使って 2003 年から 2004 年までの再解析を実行中
システムの概要 JCOPE2 Reanalysis & Forecast 側面境界条件 QuikSCAT NCEP/NCAR Reanalysis 海表外力 ARGO/ship data (T/S) 現場観測水温・塩 分 SSH data 衛星海面高度 SST data 衛星海面水温 Data Assimilation (3DVAR,IAU) データ同化 (1/36 度モデルの み ) 海洋モデル: 1/36 度中領域モデルと 1/108 度小領域モデルによるネスティング モデル 1/36 度 1/108 度
1/36 度モデル JCOPE モデル( POM ベース)を利用 – プリミティブ方程式 ブシネスク近似、静水圧近似 – 水平 1/36 度、鉛直 45 層、 s 座標系 – モード分割法 自由表面波と内部波を別々に解く 地形は JTOPO30(1/120 度間隔 ) から作成 海面高度、水温、塩分濃度、東西方向流 速、南北方向流速を出力( 2 日平均値)
1/12 度モデル 1/36 度中領域モデル ( E,28- 36N ) 1/36 度大領域モデル ( E,28- 44N ) JCOPE2 ( E,12- 62N ) 1/36 度モデルの領域
1 /36 度モデルの特徴と使い方 1/36 度中領域モデル ( E,28- 36N ) 1/36 度大領域モデル ( E,28- 44N ) 計算負荷が少ない →1 週間毎の予測計算に利用 計算負荷が大きい →1 ヵ月毎の予測計算に利用 長期的な予測に有効 例:九州南東からの小蛇行の 伝播の影響
これまでの作業(概要) 地形データの作成 – 圧力勾配項の誤差に注意 FRS の効果を中領域モデルで検証 –1/108 度モデルで導入 水温・塩分移流項の高精度化 –FCT (Flow Collected Transport) の導入 データ同化の設定 –JCOPE 用にチューニングされた最新バージョ ンを使用 倍調和型の水平粘性・拡散係数を導入 – 数値誤差の低減
FRS の効果を検証 1/36 度モデルの計算結果 JCOPE2 計算結果 格子のインデックス( i=1 が境 界) ・境界では外側モデルの計算 結果を与える ・内側では α :1- α の割合で 外側モデルと内側モデルの計 算結果を混ぜ合わせる FRS→Flow Relaxation Scheme の略
計算結果 ( 海面高度場 ) FRS ( T ・ S 、境界から 4 格 子分) JCOPE2 再解析値 通常の境界条件
計算結果 ( 海面高度場,100 日目 ) FRS ( T ・ S 、境界から 4 格子 分) 通常の境界条件 JCOPE2 再解析値 海洋速報 FRS を導入することで、黒潮流路の再現性が向上す る
1/36 度中領域モデル ※ 1 JCOPE2 再解析値の比較 (海面流速絶対 値) ※ 1 : 水平粘性・拡散はスマゴリンスキーモデルで算 出 黒潮流速の強化が確認できる
1/36 度中領域モデル ※ 1 JCOPE2 再解析値の比較 (海面流速絶対 値) JCOPE2 136E 線上での海面流速最大値 (m/s) JUL AUG SEP ※ 1 : 水平粘性・拡散はスマゴリンスキーモデルで算 出 1/36 度中領域モデル 潮岬先端から東方に向かって生じる強流帯が 強化された
海面水深 5m 水深 50m 水深 10m ノイ ズ
136.75E,33.20N での流速絶対値 1/36 度中領域モデル ※ 1 JCOPE2 時系列 ※ 1 : 水平粘性・拡散はスマゴリンスキーモデルで算 出 高解像度化したことにより流れの変化を細かく表現できて いる
倍調和型水平粘性・拡散の効果 ・ 海面における流速絶対値 スマゴリンスキーモデ ル 倍調和型
倍調和型水平粘性・拡散の効果 ・ 海面における流速絶対値 スマゴリンスキーモデ ル 倍調和型 水平粘性・拡散を倍調和型で計算することによりノイズが消 えた 今後は倍調和型を採用
今後の予定 中領域モデルの高度化、予測可能性等の精度検 証 大領域モデルの予測可能性等の精度検証 1/108 度小領域モデルの構築、精度検証 中領域モデルと小領域モデルの結合 1/36 度 1/108 度