1 LHC 加速器の概要 V1 近藤敬比古( KEK ) (Version-0) V1(4.20)V2( ) 参考文献 : [Ref-1] LHC Design Report Volume I : The LHC Main Ring [Ref-2]
2 LHC 計画の歴史 (1) LHC 計画は 1994 年 12 月に承認された。 しかし米国・日本などの非加盟国からの資金協力が未定なの で、 2004 年までに E CM = 10TeV, 2008 年までに 14TeV の2段 階で建設することとされた。 日本による第1次建設協力発表(加速器に 50 億 円) ATLAS, CMS 実験の承認。 インドの建設協力(加速器に $12.5M ) ロシアの建設協力( 67MCHF detector 込) カナダの建設協力(加速器に Canadian$30M ) 日本の第2次建設協力(加速器に 38.5 億円) LHC を 2005 年に一段階で 14TeV で建設する決定。
3 LHC 計画の歴史 (2) アメリカ DOE+NSF による建設協力の決定 ( 加速器に $200M 、測定器 に $331M) 日本が第3次建設協力発表(加速器に 50 億 円)。これで日本の加速器協力合計は 億円。 LEP-II で 114GeV ヒッグス粒子の兆候が出る。 LEP 加速器の 11 年間にわたる運転を終了。 LHC 建設コストの増加問題。 External Review Committee ( ERC )を設置す る。 ERC 報告。 LHC 加速器の完成を 2007 年に変更。
4 トンネル周長 27km (参考:東京 JR 山手線の周長 34.5km )
5 27 km ring used for e + e - LEP machine LHC Tunnel Cost : 2,952 MCHF MCHF = 3,281 MCHF (~3,000 億円 ) (machine) (exp. area)
6 LHC Goals s = 14 TeV (7 X Tevatron) search for new massive particles up to m ~ 5 TeV L = cm -2 s -1 (>100 X Tevatron) search for rare processes with small (N event = L )
7 pp interaction での いろいろな生成断面積 L=10 3 4 cm -2 s -1 での rate Total rate: 10 9 Hz b quark: ~10 7 Hz W boson: 2000 Hz >0.7TeV jet: 1 Hz 150GeV higgs: 0.3 Hz S/N ~10 -10
8 LHC machine の基本設計 ・ L=10 34 cm -2 s -1 : しかし pbar-p では L=10 34 は達成不可能。 → pp では2リングが必要だが LEP トンネルは狭すぎる。 → クライオスタットの中に2マグネットを入れる( twin bore magnet) 。 ・ 最高エネルギーを目指すため磁場を出 来るだけ高くする。 ↓ 加圧超流動ヘリウム冷却で 1.9K まで冷や し、 NbTi の超伝導線材を使って B(dipole)= 8.33 T を実現できた。 ↓ LEP トンネル内に出来るだけ多くの dipole マグネットを敷き詰めることによ り E(beam) = 7 TeV を達成できる。 トンネル直径 = 3.8 m
9 How to reach cm -2 s -1 ? f (collision frequency) 40 MHz (=1/25ns) N B (number of protons per bunch) x x y (beam cross sections at IP)16 m x 16 m Number of interactions per collision n = Lx T (pp)/f~10 34 x 100mb /40MHz= 25 pp interactions 簡単な計算方法
10 より正確な luminosity の計算 は ATLAS/CMS の IP での値 Insertion magnet の口径から来ている
11 IP は ATLAS/CMS の IP での値
12 Luminosity の公式に ATLAS/CMS の IP の値を代入して LHC での各種 interaction points High luminosity IP (ATLAS, CMS) : cm -2s-1 Low luminosity IP (LHCb) : cm -2 s -1 Low luminosity IP (TOTEM) : 2x10 29 cm -2 s -1 Heavy Ion Pb-Pb (ALICE) : cm -2 s -1
13 Luminosity の限界 ・ nonlinear beam-beam interaction による tune shift beam optics からの限 界 を入れて (設計書では N bunch <1.15x10 11 となっている)
14 RUN 中の Luminosity の変化
15 Luminosity の積分値 Luminosity は pp interaction 、 beam-beam interaction, beam-gas interaction によって次第に減少する。 L は luminosity lifetime 。 Run あたりの積分 luminosity L RUN は T RUN T INJ L L =15h のとき L tot の最大値は 1年間の積分 luminosity は HERA の経験
16 LHC 加速器の Layout point 1 point 2 point 3 point 4 point 5 point 6 point 7 point 8 8 straight sections (~528m) Point 1: ATLAS, low Point 2: ALICE beam injection Point 3: beam collimators Point 4:RF system Point 5: CMS, low Point 6: beam dump Point 7: beam collimators Point 8: LHCb beam injection dispersion suppressors ARC
17 ARC 部の 1 cell の構造 Lattice design v6.4, 23 cells/octant 194 mm 14.3 m MR dipolesMR quad
18 Low- interaction point の構造 衝突点( ATLAS では vertical 交差、 CMS では horizontal 交差) single bore magnetsdouble bore magnets ~70 m KEK 製の insertion quad ( 205T/m,1.9K, 6.3m) Triplet Q Fermilab 製の insertion quad ( 205T/m,1.9K, 5.5m) 22.97m 188mm ビーム分離のためのダイポール(常温) absorber
19 日本で18台を製作終了した超伝導 Insertion Quad Fermilab に輸送され共通クライオスタットに組み込み中 東芝京浜工場での coil windingKEK での 1.9K での励磁・磁場測定
20 シンクロトロン光放射 陽子加速器としては LHC が初めてシンクロトロン放射が問題になる加速器である。 一般に半径 で回る質量 m 、エネルギー E の粒子は1周で ここではダイポールマグネットの曲率半径 =2804m を代入した。1リングあたり のシンクロトロン放射の全エネルギーは、 まとめ 450 GeV 7 TeV Total SR power/beam0.066 W3886 W Arc 部での energy loss0.22 W/m Energy loss per turn0.11 eV6.7 keV Photon critical energy0.01 eV43.13 eV Longit. damping time5.5 yr12.9 h Transv. damping time11 yr26 h 7 TeV では 放射光は ビーム冷却に 役立つ! クライオへの負荷
21 Electron Cloud Effects (電子雲効 果) LHC ではバンチ間隔が 25ns と狭いので、ビームパイプ表面から出た電子が beam-induced multipacting 効果のために二次電子を作り出して、多くの電子が ビームパイプの中に溜まってしまう現象。熱負荷やビーム不安定性を引き起こす。 KEK-B や PEP-II でも電子雲で加速器の性能が制限されている。 一次電子 二次電子 ビームバン チ
22 Electron Cloud Effects (電子雲効果) 2 SPS での実験結果 CERN-RRB pdf (Ph. Lebrun) よりコピー 4 days ビームパイプ内の圧力 ビームバンチ内の陽子数 テスト結果: ビーム開始直後には電子雲による圧力が急上昇するが、 数日運転すれば電子雲効果は小さくなり、 p/bunch が可能になる。
23 SPS での LHC 用ビームのエミッタンスの測定結果 ( CERN-RRB pdf, Ph. Lebrun ) 15 秒後 入射直後
24 LHC 加速器の injector 群
25 LHC への TI8 入射ラインは完成 し ビーム輸送テストにも成功し た。
26 LHC ダイポールに使った超伝導ケーブ ル Strand inner, outer filament 数: 8900, 6500 本 filament 径 : 7, 6 mm Cu/NiTi: 1.65, 1.95 Diameter: 1.065, mm Twist pitch: 18, 15mm inner outer strand 数 : 28, 36 Twist pitch : 115, 100 mm 限界電流値: 13770, A (10T) (9T) Rutherford Cable 15.1 mm or mmφ Note: 超伝導ケーブルを作るときは各 Strand をツイストしながら 束ねる。ツイストを入れることによって磁場が変化したときに 2本の Strand の間に生じうる eddy current loop をほぼキャンセル することができ、発熱が抑えられ、安定度が増す。 BB NbTi filaments copper
27 Main Dipole (MB) の超伝導コイル 部 bore 半径 28 mm inner layer outer layer Beam pipe の中心 ラザフォードケーブルは2重の絶縁テープで 巻いてから下図のような位置に巻かれる。 コイルの4分の1の断面図
28 超伝導ケーブルの納入状況 古河電気工業 はこのケーブル の供給元の一つ cables delivered LHC Progress Dashboard を見れば加速器建設の現状がわかる。
29 Winding machine
30 Main Dipole の磁場分布
31 Main Dipole (MB) 断面図 570 cold mass 1.9K thermal shield 50K 194
32
33 超伝導ダイポールの生産: 3社で 10 台 / 週のペース Babcock Noell Nuclear (独), Alstom (仏), Ansaldo (伊) Cold Mass 納入 Cold test 済 所定の磁場に到達する までのクエンチ回数分 布
34 He 4の状態図 He II 超流動状態 He I 液体ヘリウ ム B D F C 液体 He 供給( 4.6K,3 bar) 1 気圧 1.9K,1 bar 1.8K,0.013bar Heat Exchanger Tube の 中を真空引きによって 温度を下げ、 Tube の壁 を 通しての熱交換によっ て 1.9K,1 気圧の状態を実 現 するのがキーポイント。 ・ HeII の熱伝導率特性は 1.9K が最大 である。 ・超伝導ケーブルの比熱は 4.5K の 半分でよりクエンチし易くなる。 QRL ( cryogenic distribution line) 温度 (K) 圧力
35 QRL 超流動ヘリウム冷却システム Heat exchanger tube 超伝導マグネット
36 Cryoline ( QRL )のトラブル 2004 年 6 月に Air Liquid 社が設置 したが、真空リークやスライド 板の 割れが発生して全てやり直し。 Installation of « validation cells » in sector 年 11 月に修理・改善プラン が確定。追加コストは 40.6MCHF 。
37 ビームパイプ内に設置される Beam Screen
38 LHC 加速器の主要パラメーターのまとめ 主リング周長 m 陽子ビームエネルギー ( 入射エネルギー) 7.0 TeV (450 GeV) 最高ルミノシティ -(IP1, IP5)1.0×10 34 cm -2 s - 1 バンチ間隔 25 nsec 、 40 MHz バンチ数 2808 /ring バンチ当りの陽子数 1.15×10 11 ビームエミッタンス (7 TeV)3.75×10 -6 mrad 二口径双極電磁石 1232 台 双極電磁石長、磁場 14.3 m , 8.33 Tesla 曲げ半径 m 回転周波数 kHz RMS ビームサイズ (IP1, IP5) 16.7 m RMS バンチ長さ (IP1, IP5) 7.55 cm ビーム衝突角度 (IP1, IP5)±142.5 rad 交差平面( ATLAS, CMS )垂直 (ATLAS), 水平 (CMS) バンチ衝突当りの陽子衝突数 19 全ルミノシティ - 寿命 14.9 hour シンクロトロン放射損失エネルギー 3.6 kW / ring, 6.71 keV/turn
39
40