今日の予定 ・ ラザフォードの実験 ・ 水素原子のスペクトル ・ ボーアの量子仮説 §1.3 前期量子論 ・ 物質波(ド・ブローイ波) §1.4 物質波 Text pp / 年度 第4週
ラザフォード以前の原子模型 電子は原子の構成要素の一つであろう トムソンの すいかモデ ル 電子 (負電 荷) 電子(負電 荷) 中心に正電荷 Text なし 2 / 年度 第4週 Joseph John Thomson 全体に拡がった正電荷 長岡半太郎の 土星モデル
ラザフォードの実験 (1) α 線源 蛍光板 金箔 α 線:正の電荷を持った ヘリウムイオンの流 れ (陽子2個、中性子2個 から なるヘリウム の原子核) 散乱のされ方を研 究 1911 年 Text p.11 ( Ernest Rutherford ) 3 / 年度 第4週
ラザフォードの実験 (2) 金の原子 ほとんどは素通 り 稀に、非常に大きく曲げられ る。 原子中心部の非常に 小さい領域に正電荷 を持ったものが集中 原子核 原子の 1万分の1以 下 Text p.11 4 / 年度 第4週
原子核があるということは・・・ e Z 個の電子 Ze クーロン引 力 電子が中心力のもとで円運 動 荷電粒子が加速度運動 古典力学で考えると 電磁波を放射し、エネルギーを 失う 電子が原子核と合体??? Text p.11 5 / 年度 第4週
現実は・・・ 現実(量子 論) 普通の状態では 光を出さな い 外からエネルギーを得る と 線スペクトルの電磁波 (光) を放射 古典力学 連続スペクトルの 電磁波 ( 光) を放射 原子の大きさは核より も はるかに大きい 電子が原子核と合 体 Text p.11 6 / 年度 第4週
実験(水素原子の線スペクトル) 量 子 論 Quantum Theory Text なし 乾板 石英 プリズム スリッ ト 放電管 高電圧 数 kV 水素ガスを封入 数 mmHg ( 数百分の1気 圧) 7 / 年度 第4週
水素原子の線スペクトルの例 λ [Å] 赤青藍紫 水素原子のバルマー系列スペクト ル とびとびの波長の光しか出てこ ない Text p 年 8 / 年度 第4週
波長の規則性を表す式 Text pp n = 1, 2, 3, ・・・ n´ = n + 1, n + 2, ・・・ Text p.11 (1) 式 ; リュードベリ 定数 1889 年 リュードベリ( Johannes Rydberg )が定 式化 バルマー系列: n = 2, n´ = 3, 4, 5, 6, ・・・ 9 / 年度 第4週 演習:前頁の各波長が (1) 式から計算されることを確認 せよ。 また、そのときの n’ はいくつか。
他にもある 水素原子の線スペクトルの系列 n = 1 ライマン( Lyman )系列紫外部 1906 年 n = 2 バルマー( Balmer )系列可視部 1885 年 n = 3 パッシェン( Pascen )系列赤外部 1908 年 n = 4 ブラケット( Brackett )系列遠赤外 部 1922 年 n = 5 プント( Phund )系列遠赤外部 1924 年 Text p / 年度 第4週
ボーアの量子仮説 (1) ( Niels Bohr ) Text pp 年 電子の軌道は、古典的に求められるものの中 で、 量子条件というものを満たすものだけが 安定な定常状態の軌道として実現する。 円軌道の場合 (運動量の大きさ) × (軌道1周の長さ) = nh (3) (n = 1, 2, 3, …) p = mv 半径: r 2πr2πr 電子の質量・速 度 2π mvr = nh (3’) 量子条 件: 11 / 年度 第4週 原子の構造に量子論を 持ち込んだ。
ボーアの量子仮説 (2) 量 子 論 Quantum Theory ー直感的な理解ー Text なし 電子を波として考える と 波の波長の整数倍が円軌道の 1周に等しくなければならな い。 2π mvr = nh (本資料 p.20 を先取り、詳しくは 固体物理 A 第 2,3 週資料 pp 参 照) 整数倍からずれると、 山と谷が打ち消し合 う。 n = 4 12 / 年度 第4週
Text p.13 ボーアの量子仮説 (3) (5) (n = 1, 2, 3, …) 求心力: + - e e 遠心力: 水素原子 (6) (4) 13 / 年度 第4週
電子のエネルギー: (4) 運動エネルギー ポテンシャルエネル ギー (5) 14 / 年度 第4週 ボーアの量子仮説 (4) Text p.13
水素内の電子の 許されるエネル ギー (7) (8) ; とびとびの値 15 / 年度 第4週 ボーアの量子仮説 (5) Text p.13
ボーアの量子仮説 (6) 量子条件を満たす軌道を運動する電子は 安定で一定のエネルギー( ε n )を持ち続 け、その間は光を放出したり吸収したり しない。 (8) 定常状態 エネルギー 凖位 高 低 基底状態 励起状態 量子数 LL / 年度 第4週 Text p.14
ボーアの量子仮説 (7) (8) 遷移 基底状態 励起状態 n’ n 励起状態にある電子の運動は、安定と言っ ても永久に続くものではなく、一定の確率 をもって エネルギーの低い状態に突然移り変わる。 hνhν (9) LL.8-9 p.11 の (1) 式 代入 17 / 年度 第4週 Text p.14
水素原子の線スペクトル系列の解釈 Text p.12 プリント Text p.12 プリント n = ライマン系列 パッシェン系列 バルマー系列 プント系列 6 ブラケット系列 18 / 年度 第4週
補足 19 / 年度 第4週 n = (8) A nεnεn -1A -1A/4 -1A/ A/16 -1A/25 -1A/36 (5) 実際の軌道は 等間隔ではない
物質波 (1) 太字はベクトル 光量子説のおさら い 波と考えられていた 光 粒子的な性質をも持 つ 光子1個の持 つ エネルギー 運動量 (1) 角振動数: 波数: (2) 粒子的な量と 波動的な量を プランク定数が 仲立ち 波動と粒子の 二重性を表す 量子力学の本質 20/ 年度 第4週 Text p.15
物質波 (2) 逆もまた真なり か? Text p.15 粒子と考えられていた電 子 波動的な性質をも持 つ 真に違いない; ド・ブローイが提 唱 物質波(ド・ブローイ波) (2) (1) (1), (2) 式は物質波についても、 そのまま成り立つ。 21 / 年度 第4週 Louis de Broglie
物質波 (3) ー波動性の実証ー 本当に電子が波動性を持つならば、 結晶による電子線の回折現象が起こるは ず Text p.16 教科書 p.16 の式をフォロー し、 計算を実行せよ。 Å ; 原子間隔と同程 度 回折が起こる 22 / 年度 第4週 ダビソン、ガーマー、 トムソン、菊池正士 らが 実験的に確認 100 V で加速した電子線の波長 λ は 演習