第 79 回神奈川県周産期救急連絡会 テーマ「産科救急症例の受入を巡る諸問 題」 司会:田中 守 聖マリアンナ医科大学教授 平成 24 年 6 月 14 日 横浜市技能文化会館 8 階 802 大研修室.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
ブルーカードシステムの導入の背景 日田市では医師会を中心に在宅医療連携事業に取り組んで いるが、訪問診療医師の不足やバックアップ病院の未整備 などのため、その目的は達成されていない。 今回在宅患者の情報をクラウド化し、急変時スムーズに救 急病院へ搬送できるような IT 連携ツールとして 「ブルーカードシステム」を導入することを計画した。
Advertisements

妊娠・出産・救急 恩田早苗 市立稚内病院助産師. 産科の基礎 分娩に関する用語 正期産妊娠 37 週以後 42 週未満の分娩 早産妊娠 22 週以後 37 週未満の分娩 過期産妊娠 42 週以後の分娩 –22w 以後は胎児は体外でも生存可能である。早期にドク ターカー要請、 NICU 管理が行われれば救命できる。
日本産科婦人科学会 産婦人科医療提供体制検討委員会 の活動概要
平成25年度拡大医療改革委員会 平成26年1月26日(日) ステーションコンファレンス東京5階
労使協定により65歳まで継続して雇用する社員を選別する基準を定めている場合は…
中核病院小児科・地域小児科センター登録事業について
① 災害時の医療   救護体制について.
周産期医療の崩壊をくい止める会 ー佐藤 章先生 追悼ー 医療改革の現在
生活介護・施設入所支援に係る報酬算定要件の見直し
企業における母性健康管理体制の現状と課題についてお話いたします。
浅間総合病院小児科の紹介 浅間病院小児科は、一般(病院)小児科として機能しています。
災害時治験カード このカードは、大規模な地震等による災害時に、治験参加患者さまにご協力頂きたい事項および医療関係者への情報をお知らせするものです。 治験参加患者さまへ 今回あなたは 分類     に該当します A:お薬の継続投与が必要です。おかかりの病院で事前に受けました指示       に従ってください.
次の周産期医療システムを考える 海野 信也 「周産期医療の広場」:
居宅介護支援事業所.
周産期専門医に必要な医療連携 北里大学病院周産母子センター長 海野信也
桑 名 市    市議会定例会[6月] 提出議案の概要について.
高次脳機能障害者の 受入機関一覧 高次脳機能障害総合相談・支援拠点機関    宮崎県身体障害者相談センター.
平成22年度(平成23年度研修開始) 医師臨床研修マッチング 都道府県別マッチ研修医数の分析
2013年8月30日19:00~22:00 群馬県障害者学習センター 参加者18名
日本産科婦人科学会 医療改革委員会の活動概要
事案検証と再発防止に対する 奈良県産婦人科医会の取り組み 元奈良県産婦人科医会会長 平野 貞治 第39回日本産婦人科医会学術集会
学校薬剤師仕事(中教審/学校保健安全法)
広島県西部地域保健対策協議会 ●設置目的   広島西二次保健医療圏(大竹市・廿日市市)における住民の健康の保持・増進と福祉の向上に寄与するため,保健・医療・福祉に関する事項について調査・協議し,必要な事業を実施する。 ●設立年月日 平成 9 年11月27日 ●構成団体(大竹市・廿日市市域の22機関・団体)
新宿区における 妊婦健康診査未受診妊婦への対応策
子ども・子育て関連法における妊婦健診の位置付け
平成26年度拡大医療改革委員会 兼 産婦人科医療改革 公開フォーラム
産婦人科医療改革のグランドデザイン 海野信也 「周産期医療の広場」
千葉県周産期医療ネットワーク・コーディネータ導入の実績 「たらいまわしゼロを目指して」
自転車で転倒し    脾臓損傷した症例 ○○消防署 ○○救急隊  ○○○○.
手術療法などの根治的治療を行えば救命率が最大
    「超低出生体重児の後障害なき救命に関する研究」
健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドライン(概要)
北里大学医学部産婦人科 神奈川県寄附講座「地域周産期・救急医療連携教育」 海野信也
自治医科大学附属 さいたま医療センター 救急部 2014年8月 八坂 剛一.
Ⅰ 産婦人科救急搬送体制確保事業 ➣概要 かかりつけ医のない妊産婦など産婦人科にかかる救急搬送を受入れるため、府内を3地区に分け当番病
「地域分娩環境確保の方策について」 私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。
高齢者の救急搬送に係る意見交換会 資料7 1 意見交換会開催に至る経緯と今年度の取り組み  平成26年度    病院連絡会議にて,高齢者の救急搬送に関して,患者及び家族の延命治   療の希望確認ができているかの課題提起がなされた。  平成27年度   (1)介護サービス事業者協議会主催研修会および施設ごとの講演会の開催.
START式トリアージ 紋別地区消防組合消防署興部支署大 井 雅 博.
基調報告 「産婦人科勤務医の就労環境の実態 ー日本産婦人科医会調査から」
2010年2月21日 日本医師会 平成21年度母子保健講習会 「妊娠から育児までの継続的支援」 周産期医療システムについて 海野信也
北海道東部地域における 産科医療危機への取り組み 釧路赤十字病院  米原 利栄.
指標の構成について 指標の概要 具体例 ・目標に向けた全体的な評価指標(アウトカ ム指標)となるもので、「健康行動の指標」
原子力災害に係る避難先施設の登録について
市街化調整区域に倉庫を建てたい-物効法認定・開発許可までの道のり-
平成30年度第1回 基山町都市計画審議会 (H30.7.5) 資料
公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築(難病に係る新たな医療費助成の制度)
2015年症例報告 地域がん診療連携拠点病院 水戸医療センター
既存の計画への追記による避難確保計画の作成
夜間・休日 精神科合併症支援システム 利用状況(※)
トレーニングの際はスライド, ノートの両方を確認してください
「地域分娩環境確保の方策」 その1 海野信也 「周産期医療の広場」
名古屋市の救急搬送システム  と119番通報時のお願い ~救命率の向上のために~ 平成21年6月26日 消防局救急対策室.
勤務医の労働環境改善と ドクターフィーについて
平成30年度に新たに設置する精神医療懇話会について
2015年症例報告 地域がん診療連携拠点病院 水戸医療センター
資料②-1 資料3 在宅医療を支える   後方支援体制について 地方独立行政法人 りんくう総合医療センター 地域医療連携室長  中西 賢.
心臓機能障害(ペースメーカ等植え込み者)の 診断書・意見書を作成される医師の皆さまへ
我が国における帝王切開率の年次推移の検討
平成30年3月9日 大阪府健康医療部保健医療室地域保健課
水防法等の改正に伴う 避難確保計画の作成について
今後めざすべき基本目標 ―「ケアの流れ」を変える―
既存の計画への追記による避難確保計画の作成
産科婦人科研修コース 産婦人科 コース コースに入る要件 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 連携大学 連携病院 周産期
~要配慮者利用施設における円滑かつ迅速な避難のために~
生活介護・施設入所支援に係る報酬算定要件の見直し
医療活動訓練 ~小児周産期医療~ 資料3 ・発災:平成30年2月16日午後11時 ・震源地:大阪府北部 M7.5 最大震度7
公開シンポジウム 東日本大震災に負けない ー全国産婦人科医の連携ー 日本産婦人科医会の対応 日本産婦人科医会常務理事 日本医科大学 中井章人.
「地域分娩環境確保の方策について」 その1 海野信也 私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。
地域における医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度(医療機器に係る特別償却の拡充・見直し)
秋田の現状 離れられない、学べない 平成23年度「拡大医療改革委員会」兼 「産婦人科医療改革 公開フォーラム」
Presentation transcript:

第 79 回神奈川県周産期救急連絡会 テーマ「産科救急症例の受入を巡る諸問 題」 司会:田中 守 聖マリアンナ医科大学教授 平成 24 年 6 月 14 日 横浜市技能文化会館 8 階 802 大研修室

「神奈川県傷病者の搬送及び受 入れの実施基準」における「妊 産婦に係る実施基準」について 海野信也 北里大学医学部産科 Twitter: NobuyaUnno 平成 24 年 6 月 14 日 第 79 回神奈川県周産期救急連絡会 テーマ「産科救急症例の受入を巡る諸問題」

消防法 第 35 条の5 都道府県は、消防機関による救急業務としての傷病者の搬送及び 医療機関による当該傷病者の受入れの迅速かつ適切な実施を図るた め、傷病者の搬送及び傷病者の受入れの実施に関する基準を定めな ければならない。 2 実施基準においては、都道府県の区域又は医療を提供する体制 の状況を考慮して都道府県の区域を分けて定める区域ごとに、次に 掲げる事項を定めるものとする。 – 1 .【分類基準】傷病者の心身等の状況に応じた適切な医療の提供が行 われることを確保するために医療機関を分類する基準 – 2 .【医療機関リスト】前号に掲げる基準に基づき分類された医療機関 の区分及び当該区分に該当する医療機関の名称 – 3 .【観察基準】消防機関が傷病者の状況を確認するための基準 – 4 .【選定基準】消防機関が傷病者の搬送を行おうとする医療機関を選 定するための基準 – 5 .【伝達基準】消防機関が傷病者の搬送を行おうとする医療機関に対 し傷病者の状況を伝達するための基準 – 6 .【受入医療機関確保基準】前2号に掲げるもののほか、傷病者の受 入れに関する消防機関と医療機関との間の合意を形成するための基準 その他傷病者の受入れを行う医療機関の確保に資する事項 – 7 .【その他基準】前各号に掲げるもののほか、傷病者の搬送及び傷病 者の受入れの実施に関し都道府県が必要と認める事項

検討状況 神奈川県救急搬送受入協議会 – 平成 22 年 7 月 29 日 – 平成 23 年 1 月 17 日 – 平成 23 年 3 月 23 日 – 平成 23 年 7 月 13 日 – 平成 24 年 2 月 8 日 神奈川県救急搬送受入協議会作業部会 – 平成 22 年 12 月 22 日 – 平成 24 年 1 月 17 日 傷病者の搬送及び受入れの実施基準(妊産婦)検討ワーキング – 平成 23 年 2 月 14 日 – 平成 23 年 10 月 13 日 – 平成 23 年 11 月 15 日 – 平成 23 年 12 月 20 日 神奈川県周産期医療協議会・神奈川県救急医療問題調査会周産期救急部会 – 平成 23 年 4 月 8 日 – 平成 23 年 8 月 5 日 – 平成 23 年 11 月 2 日 – 平成 23 年 11 月 25 日 – 平成 23 年 12 月 26 日~平成 24 年 1 月 10 日(通信)

「神奈川県傷病者の搬送及び受入れの実施基準」 平成 23 年 4 月 1 日施行 神奈川県 HP: 号基準 – 受入医療機関確保基準の適用範囲: 「 4 回以上受入照会しても受入れに至らない場合」又は 「現場到着後 30 分以上経過した場合」 – 受入医療機関確保基準: 地区 MC 又は二次輪番をいくつか括ったエリアをベース とした地域が、実情に応じた基準を定める 相模原ルール:速やかに傷病者の搬送先が決定しない 場合には、北里大学病院救命救急センターで傷病者を 一時的に受け入れ、必要な処置をした後に当日の二次 応需当番病院へ搬送する(平成 23 年 12 月 1 日施行)

妊産婦に係る基準( 1 ) 1 号基準:分類基準 妊産婦を妊娠初期(妊娠 22 週未満)・周産期(妊娠 22 週以降生後 1 週間未 満)・未受診妊婦の 3 群に分類 2 号基準:医療機関リスト:各群について医療機関リストを作成 妊娠初期(妊娠 22 週未満): 35 病院 周産期(妊娠 22 週以降生後 1 週間未満): 36 病院 未受診妊婦: 24 病院 – 3 号基準:観察基準:項目を追加 観察:局所所見(破水・排臨・発露等)・性器出血・腹痛 計測:陣痛間隔 その他:妊娠週数(分娩予定日)・受診医療機関(かかりつけ)・最終受 診日・初経産の確認・既往妊娠分娩歴・帝王切開等子宮手術の有無・胎動 の有無・母子健康手著の有無 – 4 号基準:選定基準:以下の順に選定 かかりつけ医 第 2 号基準リスト掲載医療機関(もっとも搬送時間が短い医療機関から): バイタルサインの異常、意識障害、大量出血を認める事例については、救 命救急センターのある病院を優先 周産期救急医療システムブロック内の中核病院、基幹病院のうち「周産 期」「未受診妊婦」を受入可能としている病院 – 5 号基準:伝達基準:共通基準と同一

妊産婦に係る基準( 2 ) – 6 号基準:受入医療機関確保基準 適用範囲:以下の条件に該当する傷病者で、現場到着後、 搬送先医療機関の選定にあたり、「 4 回以上受入照会して も受入に至らない場合」又は「現場到着後 30 分以上経過し た場合」 – 未受診妊婦 – 「周産期」傷病者のうち、かかりつけ医はあるが旅行中等によ りかかりつけ医が遠距離にいるため搬送が現実的ではない、又 はかかりつけ医と連絡がとれない等の理由により、かかりつけ 医による受入が不能と判断された、下記に該当する妊婦 » 救急隊が、重症度・緊急度が高く、早期の専門家による評 価が必要であると判断した周産期傷病者 » 分娩が切迫している周産期傷病者 「症状が重症」とは:意識障害、バイタルサインの異 常、強い疼痛の訴え、大量の出血等を示す場合とする 地区割:神奈川県周産期救急医療システムブロックを基本 とする

妊産婦に係る基準( 3 ) – 6 号基準:受入医療機関確保基準 受入医療機関確保基準医療機関 – 横浜地区:関係機関との合意が得られた段階で作成 – 川崎地区: » 宮前区・多摩区・麻生区:聖マリアンナ医科大学病院 » 中原区・高津区:日本医科大学武蔵小杉病院 » 川崎区・幸区:川崎市立川崎病院 – 三浦半島地区:横須賀共済病院 – 湘南地区:東海大学医学部付属病院 – 西湘地区:小田原市立病院 – 県央・北相地区:北里大学病院

妊産婦に係る基準( 4 ) – 重要な留意事項 妊娠 22 週未満の妊婦については、 6 号基準を作成していないこと – 必要時の転送等について 4 号基準または 6 号基準に基づいて救急搬送事例を行った医療機 関では、以下のようなケースが生じる可能性がある。 このような事例においては、医師により傷病者の状態評価を 行った後、医療機関が県周産期救急医療システムを活用して転 送等の調査を行った上で、他医療機関への転送等について救急 隊に要請することがある。 – 初期診断及び必要と考えられる応急処置は施したが、満床等により当 該病院での継続的治療が困難な場合 – 傷病者の状態によって、当該病院の診療能力では対応が困難であり、 高次医療機関での対応を要する場合 – 急速な経過で分娩となったが、当該医療機関の小児科では出生した新 生児の対応が不可能であり、他医療機関への新生児搬送が必要となる 場合 – 高次医療機関に搬送されたが、傷病者の状態評価を行った結果、比較 的軽症であり、当該医療機関における治療を要しないと判断された場 合

今後の対応 横浜地区における検討 運用上の課題があれば、 – 神奈川県産科婦人科医会周産期医療対策部会、 – 神奈川県産科婦人科医会理事会 で検討し、神奈川県周産期医療協議会の場で改善 をはかる。 なにか、問題がありましたら、遠慮なく、ご 連絡ください。