第 79 回神奈川県周産期救急連絡会 テーマ「産科救急症例の受入を巡る諸問 題」 司会:田中 守 聖マリアンナ医科大学教授 平成 24 年 6 月 14 日 横浜市技能文化会館 8 階 802 大研修室
「神奈川県傷病者の搬送及び受 入れの実施基準」における「妊 産婦に係る実施基準」について 海野信也 北里大学医学部産科 Twitter: NobuyaUnno 平成 24 年 6 月 14 日 第 79 回神奈川県周産期救急連絡会 テーマ「産科救急症例の受入を巡る諸問題」
消防法 第 35 条の5 都道府県は、消防機関による救急業務としての傷病者の搬送及び 医療機関による当該傷病者の受入れの迅速かつ適切な実施を図るた め、傷病者の搬送及び傷病者の受入れの実施に関する基準を定めな ければならない。 2 実施基準においては、都道府県の区域又は医療を提供する体制 の状況を考慮して都道府県の区域を分けて定める区域ごとに、次に 掲げる事項を定めるものとする。 – 1 .【分類基準】傷病者の心身等の状況に応じた適切な医療の提供が行 われることを確保するために医療機関を分類する基準 – 2 .【医療機関リスト】前号に掲げる基準に基づき分類された医療機関 の区分及び当該区分に該当する医療機関の名称 – 3 .【観察基準】消防機関が傷病者の状況を確認するための基準 – 4 .【選定基準】消防機関が傷病者の搬送を行おうとする医療機関を選 定するための基準 – 5 .【伝達基準】消防機関が傷病者の搬送を行おうとする医療機関に対 し傷病者の状況を伝達するための基準 – 6 .【受入医療機関確保基準】前2号に掲げるもののほか、傷病者の受 入れに関する消防機関と医療機関との間の合意を形成するための基準 その他傷病者の受入れを行う医療機関の確保に資する事項 – 7 .【その他基準】前各号に掲げるもののほか、傷病者の搬送及び傷病 者の受入れの実施に関し都道府県が必要と認める事項
検討状況 神奈川県救急搬送受入協議会 – 平成 22 年 7 月 29 日 – 平成 23 年 1 月 17 日 – 平成 23 年 3 月 23 日 – 平成 23 年 7 月 13 日 – 平成 24 年 2 月 8 日 神奈川県救急搬送受入協議会作業部会 – 平成 22 年 12 月 22 日 – 平成 24 年 1 月 17 日 傷病者の搬送及び受入れの実施基準(妊産婦)検討ワーキング – 平成 23 年 2 月 14 日 – 平成 23 年 10 月 13 日 – 平成 23 年 11 月 15 日 – 平成 23 年 12 月 20 日 神奈川県周産期医療協議会・神奈川県救急医療問題調査会周産期救急部会 – 平成 23 年 4 月 8 日 – 平成 23 年 8 月 5 日 – 平成 23 年 11 月 2 日 – 平成 23 年 11 月 25 日 – 平成 23 年 12 月 26 日~平成 24 年 1 月 10 日(通信)
「神奈川県傷病者の搬送及び受入れの実施基準」 平成 23 年 4 月 1 日施行 神奈川県 HP: 号基準 – 受入医療機関確保基準の適用範囲: 「 4 回以上受入照会しても受入れに至らない場合」又は 「現場到着後 30 分以上経過した場合」 – 受入医療機関確保基準: 地区 MC 又は二次輪番をいくつか括ったエリアをベース とした地域が、実情に応じた基準を定める 相模原ルール:速やかに傷病者の搬送先が決定しない 場合には、北里大学病院救命救急センターで傷病者を 一時的に受け入れ、必要な処置をした後に当日の二次 応需当番病院へ搬送する(平成 23 年 12 月 1 日施行)
妊産婦に係る基準( 1 ) 1 号基準:分類基準 妊産婦を妊娠初期(妊娠 22 週未満)・周産期(妊娠 22 週以降生後 1 週間未 満)・未受診妊婦の 3 群に分類 2 号基準:医療機関リスト:各群について医療機関リストを作成 妊娠初期(妊娠 22 週未満): 35 病院 周産期(妊娠 22 週以降生後 1 週間未満): 36 病院 未受診妊婦: 24 病院 – 3 号基準:観察基準:項目を追加 観察:局所所見(破水・排臨・発露等)・性器出血・腹痛 計測:陣痛間隔 その他:妊娠週数(分娩予定日)・受診医療機関(かかりつけ)・最終受 診日・初経産の確認・既往妊娠分娩歴・帝王切開等子宮手術の有無・胎動 の有無・母子健康手著の有無 – 4 号基準:選定基準:以下の順に選定 かかりつけ医 第 2 号基準リスト掲載医療機関(もっとも搬送時間が短い医療機関から): バイタルサインの異常、意識障害、大量出血を認める事例については、救 命救急センターのある病院を優先 周産期救急医療システムブロック内の中核病院、基幹病院のうち「周産 期」「未受診妊婦」を受入可能としている病院 – 5 号基準:伝達基準:共通基準と同一
妊産婦に係る基準( 2 ) – 6 号基準:受入医療機関確保基準 適用範囲:以下の条件に該当する傷病者で、現場到着後、 搬送先医療機関の選定にあたり、「 4 回以上受入照会して も受入に至らない場合」又は「現場到着後 30 分以上経過し た場合」 – 未受診妊婦 – 「周産期」傷病者のうち、かかりつけ医はあるが旅行中等によ りかかりつけ医が遠距離にいるため搬送が現実的ではない、又 はかかりつけ医と連絡がとれない等の理由により、かかりつけ 医による受入が不能と判断された、下記に該当する妊婦 » 救急隊が、重症度・緊急度が高く、早期の専門家による評 価が必要であると判断した周産期傷病者 » 分娩が切迫している周産期傷病者 「症状が重症」とは:意識障害、バイタルサインの異 常、強い疼痛の訴え、大量の出血等を示す場合とする 地区割:神奈川県周産期救急医療システムブロックを基本 とする
妊産婦に係る基準( 3 ) – 6 号基準:受入医療機関確保基準 受入医療機関確保基準医療機関 – 横浜地区:関係機関との合意が得られた段階で作成 – 川崎地区: » 宮前区・多摩区・麻生区:聖マリアンナ医科大学病院 » 中原区・高津区:日本医科大学武蔵小杉病院 » 川崎区・幸区:川崎市立川崎病院 – 三浦半島地区:横須賀共済病院 – 湘南地区:東海大学医学部付属病院 – 西湘地区:小田原市立病院 – 県央・北相地区:北里大学病院
妊産婦に係る基準( 4 ) – 重要な留意事項 妊娠 22 週未満の妊婦については、 6 号基準を作成していないこと – 必要時の転送等について 4 号基準または 6 号基準に基づいて救急搬送事例を行った医療機 関では、以下のようなケースが生じる可能性がある。 このような事例においては、医師により傷病者の状態評価を 行った後、医療機関が県周産期救急医療システムを活用して転 送等の調査を行った上で、他医療機関への転送等について救急 隊に要請することがある。 – 初期診断及び必要と考えられる応急処置は施したが、満床等により当 該病院での継続的治療が困難な場合 – 傷病者の状態によって、当該病院の診療能力では対応が困難であり、 高次医療機関での対応を要する場合 – 急速な経過で分娩となったが、当該医療機関の小児科では出生した新 生児の対応が不可能であり、他医療機関への新生児搬送が必要となる 場合 – 高次医療機関に搬送されたが、傷病者の状態評価を行った結果、比較 的軽症であり、当該医療機関における治療を要しないと判断された場 合
今後の対応 横浜地区における検討 運用上の課題があれば、 – 神奈川県産科婦人科医会周産期医療対策部会、 – 神奈川県産科婦人科医会理事会 で検討し、神奈川県周産期医療協議会の場で改善 をはかる。 なにか、問題がありましたら、遠慮なく、ご 連絡ください。