顕微発光分光法による n 型ドープ量子細線の研 究 秋山研究室 D3 井原 章之 ’ 07 11/20 物性研究所 1次元電子ガスを内包し、 状態密度の発散や 強いクーロン相互作用の 発現が期待される。 しかし試料成長や測定が難しいた め、 バンド端エネルギー領域の 吸収スペクトルに現れる特徴を 明らかにした実験は無い。 ドープ量子細線 目的 : 縮退 - 非縮退1次元電子系の 光学的性質を明らかにする。
ゲート付きドープ T 型量子細線 <細線のサイズ> 14 x 6nm x 4mm ( 単 一 ) <ドーピング [2] > ① Si 変調ドープ ②ゲート電極 → 電子濃度可変 結晶成長はルーセントベル研の Loren N. Pfeiffer 博士に依頼 ①②③ ④ [1] M. Yoshita, H. Akiyama, L. N. Pfeiffer, and K. W. West, Jpn. J. Appl. Phys. 40, L252 (2001). [2] H. Akiyama, L. N. Pfeiffer, A. Pinczuk, K. W. West, and M. Yoshita, Solid State Commun. 122, 169 (2002). [1]
顕微発光分光(発光励起スペクトル測定)光学系 Point 1 励起と検出の方向を互いに直交に配置 Point 2 サンプルを光軸に対して傾けて配置し、 さらにアイリスで散乱光をカット Point 3 励起と検出の偏光を互いに直交に配置 Point 4 レーザー励起強度の安定化 (cw 励起 ) 工夫点 PLE (P hoto L uminescence E xcitation )
単一量子細線の共鳴領域の PLE スペクトル測定法 発光が観測されるエネルギー領域 T = 5K Vg = 0.0V P ex = 40 W
0.7V( 高電子濃度 ) の実験結果 5K PL peak at Band edge と PLE onset at Fermi edge を観測 Exc. P ex = 40 W ホール濃度は小さい
PL と PLE の比 から キャリア温度 を見積もる 見積もられたキャリア温度 : 10.6±0.2K ( k B T ~ 1meV ) PL peak at Band edge と PLE onset at Fermi edge を観測 Kennard.Stepanov 関 係式 D. A. Sawicki et al., PRA 54, 4837 (1996).
見積もられたキャリア温度 : 10.6±0.2K ( k B T ~ 1meV ) PL peak at Band edge と PLE onset at Fermi edge を観測 自由粒子モデル で 1次元電子濃度 を見積もる 見積もられた電子濃度 : 6x10 5 cm -1 ( E f ~ 5meV ) 顕著なクーロン増強効果は観測されなかった E f /k B T ~5
PL peak at Band edge と PLE onset at Fermi edge を観測ハートリーフォック計算と比較する 見積もられた電子濃度 (HF) : 6.4x10 5 cm -1 顕著なクーロン増強効果は観測されなかった Rectangle wire Static plasma screening Semiconductor Bloch eq. 大阪大学 見積もられたキャリア温度 : 10.6±0.2K ( k B T ~ 1meV )
0.7V( 高電子濃度 ) における 温度依存性 の実験結果 環境温度 高温 低温 1次元状態密度の特異性を反映した バンド端吸収ピークの 観測 T=5K (E f /k B T ~ 5 ) PLE onset at Fermi edge (FE) T=50K (E f /k B T ~ 1) sharp PLE peak at Band edge (BE) 計算と良い一致を示している 1次元系特有の現象である
ゲート電圧依存性(電子濃度依存性) の実験結果 (5 K) ゲート電圧 高濃度 低濃度 見積もられたキャリア濃度 : 6x10 5 cm -1 ( E f ~ 5meV ) 電子濃度 ゼロ のノンドープの極限 ( E f ~ 0meV )
ゲート電圧依存性 at 5K ( V) Red shifting PLE onset at Fermi edge Fermi edge のレッドシフト 電子濃度の減少
ゲート電圧依存性 at 5K ( V) 特徴的なダブルピーク構造 特徴的なダブルピーク構造 を観測 Band edge (BE) と Fermi edge (FE)
ゲート電圧依存性 at 5K (0.3 – 0 V) バンド間再結合の描像 (Vg > 0.3V) から 励起子再結合の描像 (Vg < 0.2V) へのクロスオー バー 2次元電子系の実験結果と類似している [ ’ 99 V. Huard, PRL, '00 R. Kaur, PSS(b), '02 T. Ogawa, Nonlinear Opt. ]
ゲート電圧依存性 at 5K (0.3 – 0 V) 0V の PLE はノンドープ量子細線の PLE と一致 [ Itoh et al., APL 83, 2043 (2003). ] 0 V は電子濃度ゼロ(ノンドープの極限) に対応 X ピークの不均一幅はおそらく Stem well の ML 揺らぎに起因 バンド間再結合の描像 (Vg > 0.3V) から 励起子再結合の描像 (Vg < 0.2V) へのクロスオー バー 2次元電子系の実験結果と類似している [ ’ 99 V. Huard, PRL, '00 R. Kaur, PSS(b), '02 T. Ogawa, Nonlinear Opt. ]
自由粒子モデル計算との比較 n e =3x10 5 cm -1 ~ 2.5x10 5 cm -1 非縮退1次元電子ガス (E f /k B T < 2) 1次元状態密度に起因するダブルピーク構 造 n e < 1.5x10 5 cm -1 Limit of non dope (zero density) 1次元状態密度の特異性を反映した構造が V の 特徴的なダブルピーク構造にも 現われて いる 電子濃度 高 低 V g = V n e =6x10 5 cm -1 ~ 3x10 5 cm -1 縮退1次元電子ガス (E f /k B T > 2) V g = V V g < 0.2 V T. Ihara et al., Phys. Rev. Lett. 99, (2007).
まとめ ゲート付き T 型量子細線に 濃度可変の1次元電子ガス を形成できた 単一の量子細線 に対する 1次元基底準位の PLE 測定 に成功した 鋭いバンド端吸収に反映されるような 1次元状態密度の特異性 が観測された 調節できる電子濃度の範囲は 0 から 6x10 5 cm -1 程度 今後の課題 Stem well の ML 揺らぎを無くす ( → 0.2meV) さらに低温で測定する (T < 5K) 導波路を設けて、絶対値測定を行なう