並河 俊弥 (東 大) CMB の弱い重力レンズ効果精密測定に向け た方法論の構築と宇宙論への応用 筑波.

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並河 俊弥 (東 大) CMB の弱い重力レンズ効果精密測定に向け た方法論の構築と宇宙論への応用 筑波

taken from COBE WMAP CMB の精密測定 宇宙のエネルギー組成は flat ΛCDM モデルでよく記述できる Cosmic Microwave Background (CMB) ダークエネル ギー ニュートリノ質 量 ・・・・・・ 原始重力波 今後はより進んだ課題 ダークマ ター 原始非ガウス性 宇宙紐

宇宙論的観測 Ia 型超新星 バリオン音響振動 銀河団統計 弱い重力レンズ さらに CMB lensing の場合は、他の弱い重力レンズと比べ、光源 (CMB) の統計的性質がよく分かっている  Weak lensing 密度揺らぎ、宇宙膨張の双方に sensitive  宇宙論的観測 CMB 21cm 輝度温度揺らぎ 銀河バイアスによる不定性がな い ・・・・・・

最終散乱面 時間 観測面 (Review: Hanson+’10, Lewis&Challinor’06) CMB の弱い重力レンズ = 曲がり角 重力場 重力レンズにより、 CMB の揺らぎのパ ターンが歪められる現象 レンジング・ポテンシャル(レン ズ場) レンズを受けた揺ら ぎ CMB の弱い重力レン ズ

CMB における重力レンズの測り 方  統計的性質の違いを利用(レンズ場の再構 築) =各方向のレンズ場の測定 銀河の弱い重力レンズなど、種々の観測量との相関量の測定  その他  パワースペクトルを利 用 原始非ガウス性の推定に用いられている統計 量( Minkowski Functionals )など

CMB の弱い重力レンズの測定方法の改 良

レンズ効果 Estimator (e.g., Hu&Okamoto’02; Hanson+’09) Mean-field bias: 重力レンズ以外の効果 (mask, inhomogeneous noise, beam asymmetry, …) で生じ る レンズを受けた温度揺らぎには、レンズ効果による mode coupling が含ま れる (Review: Hanson+’10) CMB lensing reconstruction

Mean-field bias Mean-field bias の例 (マス ク) レンズ場の estimator 以外に mask field の estimator を用意し、「うま く」 組み合わせて mean-field bias が消えるようなレンズ場の推定量を提 案 (TN,Hanson&Takahashi+’12) Mean-field bias を抑制する方 法

scalar  曲がり角 勾配 カール rotation in 2D  カール成分の応用 宇宙紐・重力波・磁場の検 証 系統誤差の確認 勾配・カール成 分 vector, tensor linear density fluctuations cosmic strings gravitational waves magnetic fields from NASA from ESO

カール成分を含めた Estimator の定式化 観測された揺らぎの積を用いて estimator を定 義 1. 勾配・カールの推定量には、それぞれカール・勾配の寄与を含まな い 2. 上記の推定量には primary な CMB 揺らぎの寄与が含まれるため、そ の寄与が最小になるようにする その結果、勾配・カールのパリティが違うことで、上記2つの条件を 満たす重み関数が存在し、さらに観測量で表せることが分かった 重み関数は、以下の条件から決める Mode coupling

CMB ・銀河の弱い重力レンズを用いた宇宙論への 示唆

WMAP + South Pole Telescope (SPT) WMAP + Atacama Cosmology Telescope (ACT) (~4σ) Angular power spectrum of lensing potential (~6.3σ) 近年の CMB の弱い重力レンズ効果の検出 (Das+’11) (van Engelen+’12) galaxies/quasars との相関も検出されてい る (van Engelen+’12) Smith+’07, Hirata+’08, Bleem+’12, Sherwin+’12 SPT 宇宙論への応用の現状:勾配成分

カール成分の応用例(宇宙 紐) ACT の公開データ (from LAMBDA) を用いて重力レンズをのカール成分を測定 宇宙論への応用の現状:カール成 分

TN, Saito & Taruya ’10 将来の展望: 勾配成分 + lensing + 銀河の WL + 両方 CMB (lensing なし ) CMB Lensing + Cosmic Shear PLANCK, CMBPol, LiteBird PolarBear, SPTPol, ACTPol, Polar, … ACTPol PLANCK 今後の CMB 観測

将来の展望: カール成 分 宇宙紐: ACTPol+PLANCK を想定した場合でも検証できるかもしれ ない 原始重力波: r=0.1 でも検出は難し い TN, Yamauchi & Taruya ’12 カール成分の応用

まとめ 偏光への拡張など 今後 勾配・カール成分の測定を利用した宇宙 論 MC シミュレーションを用いずに観測量から mean-field bias を抑 える方法を提案 系統誤差の観点から、銀河の弱い重力レンズ等と組み合わせ た解析を行うことは重要。 カール成分までを含めた再構築法の導出 Mean field bias の推定法

補足

(e.g., Hanson+’11) レンズ場の推定量 → レンズ場のパワースペク トル 重力レンズのパワースペクトルの推 定 decomposed into disconnected/connected part disconnected part (Gaussian bias) connected part

Cosmic Shear source galaxy Conformal distance observer distortion of the galaxy images Characterizing distortion (Review : e.g., Bertelman&Schneider’99)

将来の展望: Cosmological Implications Yamauchi, TN & Taruya ’12 B-mode shear

 マスク領域での apodization  サーベイ領域の apodization

 レンズ・マッ プ ・ convergence ・ lensed Cl