地球重力場観測 新谷昌人 ( 東大地震研究所 ) Decigo-ws (2008/4/16). 人工衛星による地球重力場観測 人工衛星の軌道から地球重力場を検知 GPS ・地球重力場の研究 ・水の監視 (地下水、氷床) ・地殻変動の監視 (地震、火山噴火) -> 地球環境監視.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
スペース重力波アンテナ (DECIGO) WG 第3回ミーティング (2005 年 5 月 12 日 国立天文台, 東京 ) 1 光共振型 DECIGO の可能性 安東 正樹 東京大学 理学系研究科 物理学教室.
Advertisements

宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
温暖化に対する 寒冷圏の応答 予想以上に氷流出進行? 2月 17 日朝日新聞 3月 25 日朝日新聞 阿部彩子 地球 Frontier 研究センター 東大気候システム研究センター 国立環境研究所.
JASMINE レーザー干渉計型高精度角度・長さ変動モニターの研究開発 計画のための
Nagai laboratory.
時間・空間補間した 基準局網観測値による キネマティックGPS性能の評価
地球環境のリモートセンシング 生物圏 植生分布,バイオマス,プランクトン量,・・・ 固体地球圏
(Precipitation Radar)
DECIGO pathfinder の 試験マス制御系の開発(2)
磁気トルカ較正試験結果 宇宙機ダイナミクス研究室 D2 宮田 喜久子.
GPS観測 2006年度地球観測実習 ~新しい可能性を求めて~     新井隆太 大久保忠博 米田朝美        担当教官 宮崎真一.
筑波大学衛星と教育との関わり 筑波大学 保田敦司 「小型衛星の科学教育利用を考える会」 2015/08/22.
神岡宇宙素粒子研究施設の将来 Future of the Kamioka Observatory
減衰自由振動の測定 実験装置と実験方法.
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
Tsubono Group Seminar (23 July, 2008)
DECIGO pathfinderの 試験マスモジュール制御実験
日本物理学会年次大会・総合パネル討論「現代プラズマ科学の 最前線:学際連携によるプラズマ理工学のさらなる展開」
スペース重力波アンテナ(DECIGO)WG第4回ミーティング (2006年05月11日 国立天文台, 東京)
サザンクロスVLBIプロジェクト(案) -地球姿勢と海水準の高精度モニターを目的としたフィジーにおける 超小型VLBI観測の可能性-
宇宙での重力波観測 (1) 宇宙での重力波観測 宇宙で観測するメリット : 他にはないサイエンスがある
新特定領域 「全波長重力波天文学のフロンティア」 第5回会合 (2005年7月30日 国立天文台, 東京)
超伝導磁気浮上を用いた 低周波重力波検出器の開発
地球惑星物性学1 ( ~) 参考文献: 大谷・掛川著 地球・生命 共立出版
DECIGO pathfinder のための 静電センサーの開発
アトラス日本グループ アトラス日本グループのメンバー アトラス日本グループのアトラス建設に対する貢献 計17機関(2016年現在)
軌道エレベータ 軌道エレベーター 2011‐6‐23 MR9045 小西健一.
スペース重力波アンテナ(DECIGO)WG第4回ミーティング (2006年05月11日 国立天文台, 東京)
低周波重力波探査のための ねじれ振り子型重力波検出器
フィールドセンシング Field Sensing Technologies
1923年関東地震の強震動シミュレーション 古村孝志 (東大地震研究所) より“短周期地震動”予測を目指してー現状と課題
DECIGO pathfinderのための 試験マスモジュールの構造設計・解析(2)
DECIGO pathfinder用 レーザーセンサーの感度評価
国土地理院GPS観測網を利用した電離圏電子密度不規則構造の解析
柔軟エアロシェルと柔軟翼航空機を利用した
安東 正樹池本尚史,小林洸,坪野公夫 (東京大学 理学系研究科)
DECIGO pathfinderのための 試験マスモジュールの構造設計・解析
地球惑星物性学1 ( ~) 参考文献: 大谷・掛川著 地球・生命 共立出版 島津康夫著・地球の物理 基礎物理学選書 裳華房
国立天文台スペース重力波アンテナWG 第2回ミーティング(第2回DECIGO検討会) イントロダクション
精密単独測位(PPP)による スタティック・キネマティック 測位精度の評価
MEMSセンサを用いたINS/GPS複合航法システム
DECIGOパスファインダー検討会 (2007年10月05日, 東京大学, 本郷)
アトラス日本グループ アトラス日本グループのメンバー アトラス日本グループのアトラス建設に対する貢献 計17機関169人(2015年現在)
東邦大学理学部物理学科 宇宙・素粒子教室 上村 洸太
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
DPFのマスモジュールにおける残留ガス雑音の研究II
宇宙線研究室 X線グループ 今こそ、宇宙線研究室へ! NeXT
海洋GNSS観測点の実装と, それによる新たな地球観測の実現
産総研・計測標準 寺田聡一 東大地震研 新谷昌人、高森昭光
ICRR共同研究発表会(2003/12/19) 神岡100mレーザー伸縮計の概要と観測記録              新谷 昌人(東京大学地震研究所)
DPF 検討会 DPF:スラスタ研究開発の進め方 JAXA宇宙科学研究本部 船木一幸.
第17回DECIGOワークショップ 2018.11.1 川村静児(名古屋大学)
超小型航空機における 位置および姿勢の同定
ドラッグフリー技術の検討状況 2006.5.11 JAXA 石川 毅彦.
JASMINEワークショップ March 6-7,2003 松原英雄(宇宙研)
北海道大学 理学部 地球科学科 惑星物理学研究室 B4 近藤 奨
GSTOS コマンド計画検証ソフトウェアの開発
地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出
TOBAの現状と今後の計画 坪野研輪講 2012年2月22日 岡田健志.
DECIGO Workshop DECIGO:衛星設計/検討の進め方 JAXA宇宙科学研究本部 船木一幸.
スーパーカミオカンデ、ニュートリノ、 そして宇宙 (一研究者の軌跡)
INDEX衛星によるオーロラ微細構造のin-situ観測
ASTRO-E2搭載CCDカメラ(XIS)校正システムの改良及び性能評価
宇宙重力波干渉計検討会 -小型衛星とDECIGO- (2006年02月24日 国立天文台, 東京)
電離圏イオン流出現象 山田学,渡部重十(北大・理) プラズマ圏・内部磁気圏研究会(2002/03/13)
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
MACFT3 Review Meeting CONTENTS 進捗状況報告.
TES型カロリメータのX線照射実験 宇宙物理実験研究室 新井 秀実.
VLBI観測によって求められたプレートの移動速度
Presentation transcript:

地球重力場観測 新谷昌人 ( 東大地震研究所 ) Decigo-ws (2008/4/16)

人工衛星による地球重力場観測 人工衛星の軌道から地球重力場を検知 GPS ・地球重力場の研究 ・水の監視 (地下水、氷床) ・地殻変動の監視 (地震、火山噴火) -> 地球環境監視

海外の重力ミッション CHAMP ( 独 ), GRACE ( 米・独 ) ・・・ 地球重力場の精度向上、質量変動 ( アマゾン陸水の 季節変動 ) 検出 GRACE

GRACE 衛星で検知された重力 場の季節変動 アマゾン地域の重力変化は 「水」によるものと考えられる。

2004 年 スマトラ島沖地震

GRACE で観測された重力場の変化 ( 2004 年スマトラ島沖地震の前後)

重力ミッション用衛星 ・ drag-free 衛星 + GPS 受信機(位置情 報) あるいは ・通常衛星 + GPS 受信機(位置情報) + 加速度計( drag の検 知)

加速度計による非重力擾乱の補正 非重力擾乱 ・・・ 大気抵抗、太陽・地球輻射圧 (10 -6 ~ m/s 2 ) 衛星 軌道の drag -> 衛星搭載加速度計で 非重力擾乱を検知、 drag を補正 精度~ m/s 2 ( 0.1mm/ 周回に相当)

GPS 掩蔽観測 対流圏・成層圏 ( 温度・湿度など ) 電離層 ( 電子密度分布 ) GPS/TEC 観測 プラズマ圏 ( 電子密度 ) 電離層トモグラフィ 軌道擾乱観測 大気ドラッグより大気 密度を測定 ( km) X X X X X 科学目的 雪氷圏 ( 氷床・氷河 ) 海洋 ( 深層流、大気荷重応答 ) 陸水 ( 水循環、土壌水分 ) マントル ( ポストグレーシャル リバウンド ) 軌道変動から 地球重力場測定 軌道変動から 地球重力場測定 GPS 衛星 GPS 海面反射 海面高度分布 波浪・海上風測定

「日本版衛星重力ミッション」の提案 海外のミッション ・・・ 少数精鋭、高コスト 日本版( GPS +加速度計) ・・・ 小型低軌道 (LEO) 衛星、低 コスト・多数 -> 時間・空間分解能の向上、開発・打ち上げ期間 短縮 イメージとしては・・・「衛星重力アレイ」 ・ GPS 受信機と加速度計のユニット ( 小型軽量、高性能、低価格 ) ・ (50kg 程度 )LEO 衛星を複数台 今後の地球周回衛星にも標準搭載 ・小型 LEO 衛星網を用いた高時空間分 解能での地球観測 水資源探査、天気予報・気候変動予測、 海面変動、宇宙天気予報などに貢献

CHAMP の加速度計 ・・・ 静電容量センサ・アクチュエータ

加速度計の構成 ・参照 ( 浮上 ) マスの位置・姿勢を複数の レーザー干渉計で計測 ・参照マスの重心における並進および回転 ( 計 6 自由度 ) の加速度を同時検出 ・レーザーの波長を基準に加速度計を 自己校正 ・最大検知加速度 m/s 2 ・分解能 m/s 2 ・サイズ 10cm×10cm×20cm 程度 ( 加速度 計本体+光源・制御部 ) ・重量 5kg 程度 ・消費電力 20W 以内

開 発 状 況 浮上マスの制御実験 高温超伝導磁気浮上装置 (1) レーザー干渉計測を利用した加速度計 ・・・ 地上型加速度計の 埋設性能試験 基本動作の検証、雑音レベルの評価 (2) 磁気浮上マスの姿勢制御テスト ・・・ 2 自由度での浮上マスの制御 高温超伝導磁場中で浮上した永久磁石を静電アクチュエーターで 姿勢制 御 レーザー干渉計式加速度計

浮上体の位置を optical に検出して、姿勢制御する 超伝導磁場で浮上した永久磁石 ・・・・着磁や荷重等の条件で X,Y 方向 の 柔らかさが変わる 無重力環境の浮遊 ( 非束縛 ) マス 制御を simulate 磁気浮上試験 ・・・

DPF 開発における共通技術 ・レーザー干渉計をセンサーとしたマスの位置検出・制御 (ハウジング Local Sensor の高精度化)

マイケルソン干渉計の ユニット化 ・・・ 小型化、安 定化 レーザー干渉計式地震計

まとめ 地球重力場観測 ・ GPS 受信機と加速度計 or drag-free 衛星があれば 地球重力場の観測が可能 ・重力と GPS 掩蔽などにより質量分布変動をグローバルに監 視 気象予報、気候変動、水資源の監視、超高層大気物理 地球重力場、地震・地殻変動 ・DPF開発では,ハウジングにおける マスの位置検出・制御が共通技術(協力体制) ・DPFの地球重力場の影響の見積もりやDPFを用いた 地球科学の可能性 -> 地物重力グループとの連携