2012 年 6 月 9 日 新潟県立看護大 学 認知症ケアの倫理 <Ⅳ時限 16 : 00 ~ 17 : 30 > 日常ケアに潜む 倫理的ジレンマに “ 気づき ” ⇒ “ 解決 ” する ― 倫理コンサルテーション ― 箕岡真子 東京大学大学院医学系研究科 医療倫理学分野 客員研究員 箕岡医院 内科医師
認知症ケアの倫理とは?
認知症ケアの倫理 “ 倫理的気づき ” の重要性 介護に忙しくて、慣 れ すぎて、じっくり考 えた ことがなかった 介護に 倫理的問題があるな んて知らなかった 私たちは 毎日、一生懸命 介護している 介護の専門検査と経 験で、 きちんと対処してい る
たとえば・・・こんな場面ありませ んか? QA A さんは、できないことが多いから、 私たちが、代わりに決めてあげて、 ご本人のために一生懸命いろいろ やってあげなくては・・・
たとえば・・・こんな場面ありませ んか? QA B さんは、飲んだり食べたりできなく なりました。一日でも長く生きた方 がよいから、胃ろうを入れたほうが よいでしょう・・・
QA たとえば・・・こんな場面ありませ んか? C さんの笑顔はとっても素敵です。 学会の教育講演で、 C さんの微 笑んでいる姿を皆さんに見てもら いましょう。
たとえば・・・こんな場面ありませ んか? QA D さんを施設に入れる ことは、本人や家族に とってよいことなので、 嘘をついて施設に連れ てきました。 施設に入るの はイヤだ!家 に帰りたい!
たとえば・・・こんな場面ありませ んか? QA F さんは、徘徊して、転 倒・骨折を繰り返してい ます。骨折を防ぐには、 一時的に拘束することも やむを得ない。 縛らないでくれ! わしは犬ではな い!!
たとえば・・・こんな場面ありませんか? 認知症の告知 私は 告知して 欲しいわ お母さんには知 らせたくないわ
たとえば・・・こんな場面ありませんか? 延命治療 私は 延命治療を受 けたくないわ お母さんには 延命治療を受 けてもらうだろ う。
たとえば・・・こんな場面ありませんか? A さんは、できないことが多いから、私た ちが、代わりに決めてあげて、ご本人の ために一生懸命いろいろやってあげなく ては・・・ A さんに親切にしてあげるこ と A さんの自己決定権を 尊重すること
たとえば・・・こんな場面ありませんか? 一日でも長く生きることは いいことだ 平穏な最期はいいことだ B さんは、飲んだり食べたりできなくなりま した。一日でも長く生きた方がよいから、 胃ろうを入れたほうがよいでしょう・・・
たとえば・・・こんな場面ありませんか? C さんの笑顔をみんなに紹介すること は よいことだ C さんのプライバシー権 (個人情報)を守ることはよいこ とだ C さんの笑顔はとっても素敵です。 学会の教育講演で、 C さんの微笑 んでいる姿を皆さんに見てもらいま しょう。
倫理的気づきと倫理的ジレンマ それぞれのケースとも、かならずしも、 明らかに間違っている意見とは言えない しかし、その意見と対立する意見も、間 違っているとは言えない どちらが、優位なのか?どちらが下位に あるのか?明らかでない。 どっちが正しいの??? 倫理的価値の対立⇒倫理的ジレンマ
こんな場面は、倫理的ジレンマに直面してい ること が多いよ⇒一度、立ち止まって考えてみよう! QA 意見にズレ がある! しっくりこな いな! 態度や接し 方に一貫性 がない! どうも おかしい な?
・ 日常ケアに潜む倫理的問題(ジレ ンマ)に敏感になる ・ 倫理的感受性を高めて倫理的気づ きをする ・ それには、直観でだけではなく、 ある程度の倫理的(医学的・法的) 知識は必要 倫理的気づきと倫理的ジレンマ
ケア美 倫理的ジレンマを 解決するために、 倫理コンサルテー ションという手法 を 使ってみよ う!!!
倫理コンサルテーションとは 日常ケアや終末期ケアなど、医療・介護現 場において生じたさまざまな倫理的問題に ついて、関係者間で意見の不一致や衝突が あったりして、悩んだりコンフリクトが解 決できない場合に、中立的第三者である倫 理専門家による助言を受けることをいいま す。
倫理的ジレンマを解決する ― 倫理コンサルテーション ― 本日の趣旨 ① 何が倫理的ジレンマかという “ 倫理的気づ き ” をする ② 一つの正解を出すのではなく、みなさま自 身が、今後、実践の現場で考えるために必要 な倫理的ツール(根拠)を提供することであ る ③ そのためには、ある程度の倫理的基礎知識 の習得が必要 ⇒今日は頑張って学ぼ う !! 同様な事例でも、それぞれのケースごと解決 策は異なる たった一つの正解があるわけではない