社員教育 “キヤノンの標準化への取り組み” の紹介

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社員教育 “キヤノンの標準化への取り組み” の紹介 キヤノン,出井 社員教育      “キヤノンの標準化への取り組み”              の紹介 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

キヤノングループの概要 創業 1937年 売上高 3兆2092億円 純利益 1,316億円 従業員数 168,879人 創業 1937年 売上高 3兆2092億円 純利益 1,316億円 従業員数 168,879人 本社所在地 東京都大田区下丸子 2009年12月現在 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

キヤノンの事業分野 産業機器 その他 3% コンシューマ47% オフィス50% 2009年12月現在 第7回国際標準化教育研究会 その他  3%    コンシューマ47% オフィス50% 2009年12月現在 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化教育への取り組み 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化教育の現状 次ページに示すプログラムで,半日コースを設定。 現状の構成は2007年から,年に1~2回不定期 に実施。 事業部および関係会社からのリクエストに応じ, 適宜開催。 対象は基本的に技術者だけでなく,知財や契約 の担当者なども含む全社員。 内容は 一般論/事例/キヤノンの立場で組み立てる 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

「標準と知財」社内研修材料目次 第1部 標準化と特許 第2部 IPポリシーとパテントプール 第3部 標準化と独占禁止法 第1部 標準化と特許 標準化とは(9ページ) 標準化を事業に活用(10ページ) 標準関連特許の取得(8ページ) 第三者特許に対する注意(4ページ) 第2部 IPポリシーとパテントプール 標準化団体のIPポリシー(8ページ) 標準におけるパテントプール(15ページ) 第3部 標準化と独占禁止法 独占禁止法とは(2ページ) 標準化と独占禁止法(3ページ) ホールドアップ問題と独占禁止法(8ページ) パテントプールと独占禁止法(4ページ) 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化の目的 相互接続性/互換性の確保 競争環境の整備 製品情報(安全性等)の提供 技術を広くアピールし,市場を拡大 生産効率の向上 コンピュータ・機器間のインタフェースやデータ形式等を標準化し,相互接続性 を保つ 競争環境の整備 製品の性能等の試験・評価方法の標準化によって,製品間の性能を客観的に比較 製品情報(安全性等)の提供 製品の寸法や性能・成分・強度といった製品を選択するのに必要な情報を提供 技術を広くアピールし,市場を拡大 標準化によって,技術を市場に普及させる 生産効率の向上 量産が可能となり,スケールメリットによる価格低減が図られ,生産効率が向上 品質水準の維持 製品の品質に一定の水準を与えることで,品質の向上を図る 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化のメリット・デメリット <メリット> <デメリット> 新規市場の創設,既存市場の拡大/加速ができる 最初から参加することで,発行後の先行者利益を確保 できる 他社の技術動向や市場動向を把握できる 調達コストの削減につながる 必須特許でライセンス収入が見込める <デメリット> 技術情報を開示する必要がある 必須特許を回避できない 参入障壁が低くなる 価格競争になりやすい 市場導入のタイミングが遅れる 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化の活用 標準化 自社技術だけで、大きな市場を獲得できればよいが・・・ 共通技術分野で数多くの技術が乱立すると, ⇒ ユーザが混乱   ⇒ ユーザが混乱   ⇒ 技術間の特許相互障壁   ⇒ 産業の発展の妨げ 仲間づくりによって新たな市場を創設又は市場を拡大 産業が発展する方向で標準化活動をコントロール 標準化 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

差別化と標準化 ⇒ 「標準化戦略」 何を差別化し,何を標準化すれば,事業上メリットが大きいか? 差別化と標準化の「組み合わせ方」が重要。 標準化する場合,どこで/どのように標準化すればよいか?           ⇒ 「標準化戦略」 自社だけでは市場に普及させることができない技術 他社 と協調して普及させる方がメリットが大きい技術  ⇒ 標準化する ⇒ 市場の拡大 差別化要素として位置付ける技術  ⇒ 標準化しない/させない ⇒ シェアの拡大 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準に含まれる特許は,避けることができない 標準に含まれる特許の増加 ネットワーク,インタフェース,データフォーマット等のデジタル技術の標準には,多数の特許が含まれる。  標準に含まれる特許は,避けることができない 標準は一般的にロイヤルティフリーではない ロイヤルティのReasonableの基準はない 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準の必須特許と周辺特許 必須特許とは 周辺特許とは 標準を実施するのに回避できない(代替技術がない)特許 ⇒ 標準化組織のルールに従ってライセンスする(RAND) 周辺特許とは 標準の必須特許ではないが,標準の周辺(関連)技術に関する特許 ⇒ ライセンスの義務はなく権利行使も可能である 周辺特許 事業の優位性を保持 ⇒ 差別化,シェアの拡大 標準の必須特許 標準に自社特許を組み込む   ⇒安全な技術の確保 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準に係る特許問題 ホールドアップ問題、NPE問題* 標準が策定され、その標準が広く普及し、使用せ ざるを得ない状況になる(ロックイン) ロックイン後、自分の特許が標準に含まれると主 張する者から特許侵害で訴えられる ホールドアップ問題、NPE問題* *NPE (Non-Practicing Entity):特許権を行使して企業 から巨額な金銭を獲得するだけの目的で特許を保有し て、自らは特許に基づく製品の製造、サービスを実施 しない。 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

知財戦略と標準化 コア技術 オープン技術 競合技術 ノウハウ or 特許出願 特許出願 & 標準化 特許出願 (I/F,フォーマット) (デバイス/コンポーネント) ノウハウ or 特許出願   *ブラックボックス化も含めて検討 オープン技術 (I/F,フォーマット) 特許出願 & 標準化 *市場創出のため、無償ライセンスも検討 競合技術 (装置) 特許出願 *自由競争環境下におく 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化の事例 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化の事例 (1)“DCF” ■DCFでデジカメのファイルシステムを統一                              *DCF: Design rule for Camera File system 1998年、国内の業界団体JEIDA(JEITAの前身)によって標準化され、JEIDA規格として発行。デジタルカメラやプリンタなどの機器間で、記録 メディアを介して画像の相互利用を実現するための規格。ファイル名の付け方やフォルダの構成を規定している。 ※規格の最新版はDCF2.0(2010年版)。現在、DCF規格の技術審議はCIPAが担当      ⇒ 世界中のほとんどのデジカメが採用 <標準化への参加企業>  キヤノン、ソニー、富士フイルム、オリンパス、ニコン、カシオ、  パナソニック、 リコー等 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化の事例 (2)“PictBridge”  <複数のダイレクトプリント規格が存在>     キヤノン ⇒ カメラダイレクト     エプソン ⇒ USB Direct-Print  <メーカーを超えて相互接続性を確保>   2002年 キヤノン、エプソン、HP、ソニーで標準化の検討を         スタート。後に、富士フイルム、オリンパスが参加。   2003年1月        CIPA(カメラ映像機器工業会)からPictBridgeを        リリース。       2003年5月 PictBridgeのロゴ認証開始 市場の拡大に向けて  「どのメーカーのデジカメ、プリンタでもつながる」 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化の事例 (3)“BMLinkS” ■BMLinkSでマルチベンダー環境へのニーズに対応 <BMLinkSのコンセプト> JBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)のBMLinkSプロジェクト委員会でBMLinkS仕様を策定。事務機器業界の主要企業がユーザーのマルチベンダー環境へのニーズに対応。 <BMLinkSのコンセプト>          「つながる、見つかる、手に入る」   ・どんなメーカーの複合機・プリンタともつながる   ・ネットワーク上の複合機・プリンタをサービスごとに簡単に検索できる   ・共通したサービス(プリントサービス、スキャンサービス等)を提供する <参加企業>   キヤノン、コニカミノルタビジネステクノロジーズ、シャープ、東芝テック、   富士ゼロックス、リコー、理想科学工業等  *参考    BMLinkS認証機器 ⇒ 439機種 (2010年4月現在) 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

出典:JBMIA BMLinkSプロジェクト委員会 ホームページ 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化の事例 (4)“JTC 1/SC 28” ■複合機、プリンタの性能・品質の優位性を保持 ISO/IEC JTC1/SC28 : Office Equipment * 事務機器(主に複合機、プリンタ)の国際標準化を担当 <策定した標準の例(検討中も含む)>  ・プリント生産性の測定方法 ⇒ ISO/IEC 24734  ・コピー生産性の測定方法 ⇒ ISO/IEC 24735                   *生産性:1分間で何枚印刷/コピーできるか  ・トナーカートリッジの印刷可能枚数の測定方法                       ⇒ ISO/IEC 19798  ・カートリッジの特性 ⇒ CD29142  ・ハードコピー画質の測定方法 ⇒ ISO/IEC 13660   ・事務機器のアクセシビリティ要件 ⇒ ISO/IEC 10779 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

中国への牽制等も含め、キヤノンの市場での優位性を保持 する。 <参加企業>   キヤノン、リコー、富士ゼロックス、シャープ、コニカミノルタ、カシオ、   セイコーエプソン、沖データ、京セラミタ、ブラザー、HP、ゼロックス   レックスマーク等 日本が議長、国際幹事を担当。日本がリーダシップをとり、 性能・品質に関する測定方法の国際標準化を主導している。JBMIA (ビジネス機械・情報システム産業協会)が国内の事務局。 中国への牽制等も含め、キヤノンの市場での優位性を保持 する。 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

標準化の事例 (5)“Cloud” ■ネットワークプリンティング ECMA-388 OpenXPS * PDF 以外の文書記述標準からのダイレクトプリント ■クラウドプリンティングへの取り組みの開始  ・ビジネスモデルの模索  ・標準化動向の情報収集,適切な標準の選択  ・関連した PoD (PODi), PDF/VT (ISO/TC 130) 等との連携  ・プリンターサイドのローカルアプリケーション 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14

カメラ、事務機器の事例から ■ 市場での日本企業の影響力が大きい カメラ、事務機器ともに日本企業の市場シェアーが高い。  ■ 市場での日本企業の影響力が大きい    カメラ、事務機器ともに日本企業の市場シェアーが高い。  ■ 国内の業界団体の標準化体制が整っている    日本の主要企業が常に集まり、話しができる体制がある。    標準を作成した後の運用・管理が効率よく行える。 まず日本企業を中心に国内の業界団体を絡めて標準化 日本企業の影響力により、標準を国際市場に展開 第7回国際標準化教育研究会 2011/1/14