コラッツ予想の変形について 東邦大学 理学部 情報科 白柳研究室 5511104 山中 陽子
コラッツ予想とは 必ず1に到達するだろう。 この予想をコラッツ予想という。 任意の0でない自然数を初期値𝑛とし, 𝑛に対して以下の操作を行うとする。 3𝑛+1 (𝑖𝑓 𝑛 𝑚𝑜𝑑 2≡1) 𝑛 2 (𝑖𝑓 𝑛 𝑚𝑜𝑑 2≡0) この操作を繰り返す 必ず1に到達するだろう。 この予想をコラッツ予想という。 1937年にローター・コラッツが提示。 未だにこの主張が真かどうかは証明されていない。 まず、コラッツ予想について説明します。 任意の0でない自然数をnとし、 Nを2で割り、余りが1になる場合、つまり奇数の場合3n+1をし Nが2で割り切れる場合、つまり偶数のときに2で割るという操作を繰り返すと 1に到達するであろうという予想をコラッツ予想といいます。 この予想は1937にローターコラッツという方が問題と提示したことからコラッツ予想、または、コラッツの問題と呼ばれています。 この主張が真かどうか証明されていないので数学の未解決問題とされています。
3×5+1 = 16 16÷2 = 8 8÷2 = 4 4÷2 = 2 2÷2 = 1 計算例 初期値𝑛を10にして計算すると 10÷2 = 5 3×5+1 = 16 16÷2 = 8 8÷2 = 4 4÷2 = 2 2÷2 = 1 実際にnが10として計算してみます。 ・ 最終的に1になります。これがコラッツ予想です。
研究目的 Ⅰ コラッツ予想の式を変形し、1に到達するかどう かを調べる。 Ⅱ できるだけ大きい値まで調べる。 (数式処理システムMapleを使用する) Ⅲ コラッツ予想以外の法則や特徴があれば見つ ける。 次に研究目的です。 コラッツ予想の式を変形し、1に到達するかどうかを調べる。 Ⅱ 数式処理システムMapleを使用し、できるだけ大きい値まで調べる。 Ⅲ コラッツ予想以外の法則や特徴があれば見つけたいとおもいます。
( 2 + 1 ) n + { 2 –1 } = ( 2 + 1 ) n + { 2 – ( n mod 2 ) } コラッツ予想の式を変形 コラッツ予想の式を変形すると以下のようになる。 3 n + 1 = ( 2 + 1 ) n + { 2 –1 } この式を更に変形すると ( 2 + 1 ) n + { 2 –1 } = ( 2 + 1 ) n + { 2 – ( n mod 2 ) } 一般化すると以下の式になる 𝒎 + 𝟏 𝒏 + 𝒎 – 𝒏 𝒎𝒐𝒅 𝒎 ( 𝒊𝒇 𝒎∤𝒏 ) 𝒏 𝒎 ( 𝒊𝒇 𝒎|𝒏 ) この式を用いて、従来のコラッツ予想同様に1に到達するかどうかを調べる。 今回は、1桁のmの値で調べた。(m=3~9) 次に考えた変形式について説明します。 コラッツ予想の式の3n+1というのは(2+1)n+(2-1)に置き換えられます。 更に、(2+1)n+(2-(n mod 2))に置き換え、式を一般化するとこのようになります。
計算例 36÷3 = 12 12÷3 = 4 ( 3 + 1 ) 4 + { 3 - (4 mod 3) } = 18 18÷3 = 6 m=3、n=36の場合 36÷3 = 12 12÷3 = 4 ( 3 + 1 ) 4 + { 3 - (4 mod 3) } = 18 18÷3 = 6 6÷3 = 2 ( 3 + 1 ) 2 + { 3 - (2 mod 3) } = 9 9÷3 = 3 3÷3 = 1 計算していくと1に到達しました。 よって、m=3の時、36で計算すると1に到達することが分かります。
m=3の場合(n=1~10000の範囲) 1に到達する場合と、最小値が7になる場合の2通りになることが分 かった。 例 n = 90、m = 3 90→30→10→42→14→57→19→78→26→105→35 →141→47→189→63→21→7→30→・・・ ループの中の最小値が7 Mの値が3の場合(n=1~10000の値まで計算した結果)先ほどの計算例で1に到達したと言いましたが、 1に到達する場合と最小値7の無限ループのどちらかになることが分かった。 1になる場合は、先ほどの計算例でやって1になったので割愛させていただきます。 Nが90で計算した場合、このように1に到達せず最小値が7のループになりました。 この青文字はループになっている範囲です。
m=4の場合(n=1~10000) 1に到達する場合と、最小値が23になる場合の2通りになることが分 かった。 例 n = 10 10→52→13→68→17→88→22→112→28→7→36→9 →48→12→3→16→4→1 n = 29 29→148→37→188→47→236→59→296→・・・→117 →588→147→736→184→46→・・・→23→116→29→148 →37→188→47→236→59→296→74→372→93→468 →117→・・・ 次にmの値が4の場合を説明します。
m=5、7、8の場合(n=1~10000) 全て1に到達することが確認できた。 例 n = 30 30→6→40→8→50→10→2→15→3→20→4→25→5→1 n = 12 12→98→14→2→21→3→28→4→35→5→42→6→49 →7→1 n = 32 32→4→40→5→48→6→56→7→64→8→1 次にmの値が5,7,8の場合を説明します。
m=6の場合(n=1~10000) 1に到達する場合と、最小値が23、88になる場合の3通りになるこ とが分かった。 例 n = 17 17→120→20→144→24→4→30→5→36→6→1 n = 89 89→624→104→732→122→858→143→1002→167 →1170→・・・→138→23→162→27→192→・・・→138→・・・ n = 81 81→570→・・・→618→103→・・・→88→618→103→・・・ 次にmの値が6の場合を説明します。
m=9の場合(n=1~10000) 1に到達する場合と、最小値が35になる場合の2通りになることが分 かった。 例 n = 2 2→27→3→36→4→45→5→54→6→63→7→72→8→81 →9→1 n = 451 451→4518→502→5022→558→62→621→69→693 →77→774→86→864→96→963→107→1071→119 →1197→・・・→35→351→39→・・・→35→351→39→・・・ 次にmの値が9の場合を説明します。
考察 ・コラッツ予想の式を変形して計算した結果、 コラッツ予想と同様に1に到達する場合とそうでない 場合を発見できた。 ・m=5,7,8に関しては、全て1に到達するので、 コラッツ予想と関連性があると考えられる。 ・今回はnの値を1~10000まで調べたが、それ以降 の値も同じ結果が得られると考えられる。
今後の課題 ・mod mの値を増やす。(2桁以上) ・nの値の範囲を広げて更に実験を行う。 (10000以上の値を計算する) ・新たな一般化式を考える。 今後の課題としては、 今回、1ケタのmの値で計算したのでmの値を増やすことと 1~10000までのNの値の範囲を更に広げること(先ほどの考察ではそれ以降の値も同じであると言いましたが確認として計算する) そして、新たな一般化式を考えることです。 ご静聴ありがとうございますた。