明治大学情報科学センター編 インターネットコミュニケーション デジタルライフのおとし穴 ただいまご紹介いただきました明治大学政治経済学部非常勤講師の近藤佐保子でございます。 本日は「情報倫理に関する意識と法制度上の問題点」というテーマで、先ごろ急増しているコンピュータ犯罪、とくにネットワーク犯罪について、法制度はどのように対処しているのか、その限界はどこにあるのか、また今後はどのように対処していくべきかについて、検討してみたいと思います。 なお、今回の発表にあたり、大学生を対象に、コンピュータ犯罪に対して法規制を望むか、意識調査を行いました。後半でその結果についても、若干触れたいと思います。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo. 目次 第1章 パーソナルコミュニケーション 1.「コミュニケーション」とは 2.コミュニケーションツールとしての インターネット ・コミュニケーションの一方向モデル ・コミュニケーションの双方向モデル ・インタラクティビティ(相互作用性) 3.電子メールコミュニケーションの特性 ・対話の場面の空間的・時間的拡大 ・文字によるコミュニケーション 4.情報共有 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo. 第1章 パーソナルコミュニケーション All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo. 「コミュニケーション」とは 「何かを伝える」こと 「一方向モデル」(線形モデル) コード体系: 送り手と受け手の両者に了解されている約束事 (言語における文法) コンテクスト(文脈)の関与 ・伝えるという好意の目的は何か ・なぜ伝えたいのか ・伝える結果、何が起こるのか ・相手に伝わるまでに何が起こっているのか ・うまく伝えるためにどうしたらよいか 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo. 双方向モデル 一方向モデル:メッセージ伝達の仕組み 相手がメッセージを理解する仕組み 伝達の効果の検討に適する コミュニケーションは一方向では完結しない →「双方向モデル」 ・単純な双方向モデル =二つの一方向モデルの組み合わせ ・ロジャースの螺旋収束モデル =双方向に情報を交換し合うことで、お互いに 影響を与えながら、相互理解を目指すもの 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo. インタラクティビティ(相互作用性) メッセージ交換によってお互いに影響を与え合う度合い (インターネットのような道具を介したコミュニケーションにおいては重要視される) ・単に情報の流れが双方向であるというだけではない ・相互理解という目的に向けて効率よく影響を与え合う ・情報のやり取りが短時間で行われる必要 マスメディアとの対比 ・多くの人に同時にメッセージを送ることを可能にした ・流れは一方向で、個人は一方的な受け手になってしまう インターネットのような通信手段によるメディア ・多くの人に同時にメッセージを送ることは同様に可能 ・個人も選択・制御・送り手になることで積極的参画が可能 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
コミュニケーションツールとしてのインターネット 日本のインターネット利用者: ・1998年2月時点で1000万人を超えた ・個人利用者の約6割が使い始めて1年以内 ・インターネットを利用している家庭が14%を越えた インターネットに接続しているホスト数 (2002年で1億6千万台) インターネットの急速な普及 ・「便利」「機能が優れている」理由だけでは普及しない ・相手の必要性=利用者が多くなれば価値が増す 新しい技術の導入=S字曲線を描く 10~25%の時点から急増 →インターネットはまさにこの離陸期にきている 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo. 電子メールコミュニケーション インターネットの利用 ・WWWブラウザの登場→Webページの閲覧 ・電子メール (利用者のもっとも多くが利用しているサービス) 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo. 電子メールコミュニケーションの特性(1) 対話の場面を空間的・時間的に拡大した ・地理的な制約を超えたコミュニケーションが可能 ・時間的な高速から開放される ・従来の人間関係が緊密になりうる ・常に同時に多くの人間関係の中に置かれる ・情報過多に陥りかねない 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo. 電子メールコミュニケーションの特性(2) 文字によるコミュニケーション お互いの姿は文字を通してしか見えない ・会話のような即時のフィードバックを欠く ・双方の社会的地位や身体的特徴などが見えない ・平等で創造的なコミュニケーションが行われる ・反面、対人的配慮を欠き極端な意見がでやすい ・匿名性ゆえ現実と異なる倫理観が生じてしまう 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
対話の場面の空間的・時間的拡大 (1)地理的制約を超える 会話=会って話をする→同じ場所に集まる →一定の地理的範囲に限定される 克服の二種類の技術 1.人やものの輸送技術(鉄道・自動車・航空機) ものの移動を伴い距離に応じて時間がかかる 2.放送・通信技術(テレビ・ラジオ・電話・電子) テレビやラジオ:個人の手段には]使えない 電話:距離が費用の問題に直結してしまう ★電子メール:距離が時間・費用の問題にならない 地球規模でのコミュニケーションを可能にする 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
対話の場面の空間的・時間的拡大 (2)コミュニティの広がり 電子メール:手紙を電子化したもの 一対一のやり取りに限定されない(cf.手紙) ・相手を複数並べれば多数の人々に送信可能 ・メーリングリストを利用 →一つのアドレスに送ることで参加者全員に送信 従来のコミュニティ成立の条件 (1)構成員相互に交流があること (2)目標や関心が共通していること (3)一定の地理的な範囲にいること ★電子メールはこうした条件を除去ないし緩和する 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
対話の場面の空間的・時間的拡大 (3)自分の都合・相手の都合(非同期性) 送信と受信が同時でなくてよい 所要時間は物理的距離ではなく相手の利用頻度 コミュニケーションの理想形態とは? 送信と同時に受信される(同期性) 相手に同時にコミュニケーションを強要する 同期性がコミュニケーションを妨げる危険性 (例:時差、相手の生活に割り込むのを配慮) ★コミュニケーション拡大には非同期性が不可欠 お互いに書きたいときに書き読みたいときに読む 時間的制約にとらわれず、柔軟性を確保 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
対話の場面の空間的・時間的拡大 (4)情報格差 電子メールのマナー:半日か一日程度で返事 インターネットの仕組み上、不到達の可能性 相手に心配をかけないよう受け取った報告 メッセージを放置=電子メールのやり取りから除外 他の手段で上の情報を伝達してもらえるか? 電子メールが簡便さから手段として支配的になる =情報の割合の大部分を占めるようになる ★当該手段を利用する者としない者とでの 「情報格差」が広がってしまう 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
対話の場面の空間的・時間的拡大 (5)人間関係の変化 空間的・時間的な制約が取り払われる ・好むと好まざるとに関わらず ・時と場所を選ばす ・さまざまな人間関係からのメールが届く ★実生活の人間関係がネットワークでは 時間的・空間的制約を越えて持続、強化される ★自分をとりまくあらゆる人間関係に常に同時に関わらざるを得なくなる ★ネットワークで生じた人間関係が付加される ★積極的であろうとすれば多忙になってしまう 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
対話の場面の空間的・時間的拡大 (6)情報過多 新しい人間関係の発生+人間関係の持続 →情報量が膨大になり処理に忙殺される 消極的になってはインターネット利用の意味が半減 受け取る情報のフィルタリングの重要性 ・重要性による差異化 ・差出人・表題・メッセージの大きさによる振り分け ・自動的に返信する機能 機能の使いこなすことで優先度の高いものからの 効率的な処理が必要 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
文字によるコミュニケーション (1)言語とコンテクスト 言語を文字として書き記す 表現が忠実に相手に伝わり時間が経過しても残る 文字の並びが正確に伝わったからといって 言いたいことが正確に伝わるとは限らない ★コンテクスト(前後関係や場の状況)による ★非言語コミュニケーションに依拠 「目は口ほどにものを言い」 電子メールではコンテクストがわからない 非言語コミュニケーションができない 配慮の必要性/エモティコンの適切な利用 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
文字によるコミュニケーション (2)即時のフィードバックの欠如 相手が目の前にいない 目前にいれば自分の発言に対する反応がわかる 誤解を解くこともできる 見えない相手の反応を勝手に想像しながら書く 誤解が誤解を生み思わぬ方向へ発展の危険性 ・「フレームflame」:「炎」「火をつける」 不適切な表現から感情的に相手を傷つける ★「誤解」や「フレーム」が起きたら、原因となった 表現や理由を考える必要がある 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
文字によるコミュニケーション (3)相手が見えない ネットで知り合った見知らぬ人同士の場合 アドレスは所属する組織について若干の手がかり 容貌・職業・年齢・性別・社会的地位などは不明 思わぬ人だった、思わぬ被害あったなどの事例 ★社会的な制約から解放された情報伝達が可能 自由で思い切った創造的発言が可能 ★相手への配慮を欠き極端な発言が出やすい 差別・中傷などと受け取られかねない表現 ★どのようにして書かれたかもわからない 背後に様々な状況の人がいることの認識が必要 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
文字によるコミュニケーション (4)相手との共通基盤 「あなたの両親は何人ですか」? 共通基盤を期待することのできない場合 当然の常識と思い込んでいることを疑う必要 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
文字によるコミュニケーション (5)ネットワーク上の自己 自分も相手から見えない ・自分がそのような人間であるかを戦略的に示す ・日常の世界とは全く別人格を演出する 現実世界では一貫性 多様な人間関係の中で、IDごとに異なった人格として登場することか可能 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.
All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo. 文字によるコミュニケーション (6)匿名性 現実の自己が危険にさらされずにすむ ・発言や行動に対する責任感が欠落 ・現実の世界での倫理観とのズレが生じる危険 ・自己答責性の意識が欠如する 自分がやったと気づかれないから現実には危険が及ばないだろうと誤信する 次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。 最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。 著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2001, S.Kondo.