修正版BAモデルで生成したネットワークの スケールフリー性判定計算実験

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修正版BAモデルで生成したネットワークの スケールフリー性判定計算実験 日本大学文理学部情報システム解析学科 谷聖一 研究室 田中 勇歩

目次 1章 始めに 2章 スケールフリーネットワークとは? 3章 修正版BAモデル 4章 実験方法 5章 実験結果 6章 今後の課題 修正版BAモデルで作成した頂点数1000のネットワーク 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

1章 始めに 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

1.1 -背景- 世の中には様々なネットワークが存在 他にも、鉄道網、学校のクラス内における友人関係、インターネット網等 出典: 東京都公式ホームページ(2013/02/06 03:12 UTC版 ) 図:東京地下鉄の路線図 他にも、鉄道網、学校のクラス内における友人関係、インターネット網等 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

1.1 -背景- ネットワークとは? 頂点と枝からなり、流れがあるもの 要素:1 要素:6 要素:2 要素:5 要素:4 要素:3 頂点:ネットワークを構成する一つ一つの要素 枝 :頂点と頂点を結ぶ線 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

1.1 -背景- 例(鉄道網) A駅 E駅 B駅 D駅 C駅 路線3 路線1 路線4 路線2 頂点:駅 枝 :路線 枝 :路線 次数:頂点から出ている枝の個数 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

1.1 -背景- ネットワークを用いてモデル化できる問題が多数存在 例.災害時緊急情報伝達問題、交通網に関する問題等 数理的解析が可能 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

1.2 -目的- 2012年 Phys. Rev. E 86, 021103 (2012) Hiroshi Toyoizumi,Seiichi Tani ,Naoto Miyoshi, Yoshio Okamoto Reverse preferential spread in complex networks ーある仮定の元で証明ー 伝搬速度限定モデル 情報を保持する頂点が1つの隣接頂点にのみ情報を伝播 次数が小さい頂点に優先的に伝播 無駄な伝播が少なく効率よく発散 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

1.2 -目的- 2011年度の谷研究室の卒業生 証明された結果が妥当か検証する為、 スケールフリーネットワークを生成し、計算機実験を実施 相反する結果 考えられる原因 生成したネットワークのスケールフリー性 シュミレーションアルゴリズムの妥当性 仮定の妥当性 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

1.2 -目的- 考えられる原因の一つ、 生成したネットワークのスケールフリー性に注目 新たにスケールフリーネットワークを生成 スケールフリー性をどの程度満たしているのかを判定する為、計算実験を実施 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2章.スケールフリーネットワークとは? 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.スケールフリーネットワークとは? スケールフリーネットワーク ネットワーク理論の分野において、 枝が一部の頂点に極度に集中しているネットワーク 頂点:ネットワークを構成する一つ一つの要素 枝 :頂点と頂点を結ぶ線 ハブ:枝が集中している頂点 次数:頂点から出ている枝の個数 ハブ 頂点 枝 次数:10 スケールフリー ネットワーク 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.スケールフリーネットワークとは? ハブとは? 鉄道車両、自動車、 オートバイ、自転車等の 車輪を構成する部品の一つ ハブの名前の由来は 自転車のハブ (中央の黒い部品) 拡大 スケールフリー ネットワーク ハブ ハブの名前の由来は 『車輪の中心』 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.1 -スケールフリー性- このような性質を持っているネットワーク ⇒スケールフリーネットワーク スケールフリー性① 少数の頂点が多くの枝を持ち、多数の頂点がわずかな枝しか持たない性質 ネットワーク上の次数分布はベキ分布 次数分布を両対数で描画すると直線の グラフになる 例.鉄道網 一部の駅は非常に多く路線を持っている 多く駅は少ない路線しか持たない X軸・y軸の両対数で描画 このような性質を持っているネットワーク ⇒スケールフリーネットワーク 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.1 -スケールフリー性- スケールフリー性② ハブが多数存在する為、ネットワークの任意の2頂点間の距離が短い スケールフリーネットワーク 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.2 -スケールフリーネットワークの特徴- 具体例:自然界の食物連鎖のネットワーク 生物種のランダムな絶滅に対して、頑強 スケールフリーネットワークの強み 偶発的な障害に対して、非常に頑強 全頂点のいくつかがダウンしても、代替経路により頂点間の接続を維持 ⇒系全体の平均最短距離はほとんど変化しない 同じ頂点数、同じ枝数を持つ、 構造が異なる他のネットワークでは このような特性は見られない 出典: フリー百科事典 『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/12/10 09:10 UTC版 ) スケールフリーネットワークの弱み 特定の重要なハブをピンポイントで狙った攻撃に対して、脆弱 具体例:自然界の食物連鎖のネットワーク 生物種のランダムな絶滅に対して、頑強 特定の重要種の絶滅に対して、大きな影響を受ける(脆弱) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.3 -代表的モデル:BAモデル- スケールフリーネットワークを生成するモデルはいくつか提唱 代表的なものに、BarabasiーAlbertモデル(以降、BAモデル) BAモデル (成長型モデル) 1999年にBarabasiとAlbertらが提案した、不規則で乱雑なネットワーク構造をしているスケールフリーネットワークモデル ※BAモデルの由来:BarabasiとAlbertの頭文字 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.3 -代表的モデル:BAモデル- BAモデルの2つの鍵 ネットワークの成長 優位的選択 頂点は、次々とネットワークに加わる(成長) 加わった頂点は、その時点で次数の高い頂点に結びつきやすい (優位的選択) 結果… 次数が高くなった頂点は、その後も新しい枝を獲得しやすい ⇒ハブになりやすい 次数獲得競争に一度破れると、ハブになるのは困難 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.4 -BAモデルのアルゴリズム- BAモデルのアルゴリズム n>1個の頂点からなるグラフを置く 新しい頂点を1個追加し(成長)、すでに存在しているn個の頂点に対して枝を張る。この時、新しい枝が張られる確率は、各頂点のその時点での次数kと総次数に比例する(優先的選択) すなわち の確率である 指定の頂点数になるまで、Step2を繰り返す この数式の分子からもわかるように、元からある頂点は、次数に比例して新しい枝を受けとりやすい(優先的選択) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.4 -BAモデルのアルゴリズム- 例(n=3からスタートした場合)

2.4 -BAモデルのアルゴリズム- 例(n=3からスタートした場合)

2.4 -BAモデルのアルゴリズム- 例(n=3からスタートした場合)

2.4 -BAモデルのアルゴリズム- 例(n=3からスタートした場合)

2.4 -BAモデルのアルゴリズム- 例(n=3からスタートした場合) このように増えていく

3章.修正版BAモデル 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

3.修正版BAモデル 本研究では、修正版BarabasiーAlbertモデル(以降、修正版BAモデル)を採用した 修正版BAモデルのアルゴリズム 枝を保有しない既存の頂点を1個置く 新しい頂点を1個追加し(成長)、すでに存在している既存の頂点に対して1つ枝を張る。この時、新しい枝が張られる確率は、各頂点のその時点での次数と総次数に比例する(優位的選択) 指定の頂点数になるまで、Step2を繰り返す 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室) 26/78

3.修正版BAモデル 例(修正版BAモデル) ステップ0 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

3.修正版BAモデル 例(修正版BAモデル) ステップ1 成長 1 新しく増えた枝 既存の枝 1 新しく増えた枝 既存の枝 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

3.修正版BAモデル 例(修正版BAモデル) ステップ2 成長 1 2 新しく増えた枝 既存の枝 1 2 新しく増えた枝 既存の枝 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

3.修正版BAモデル 例(修正版BAモデル) ステップ3 優位的選択 1 2 3 新しく増えた枝 既存の枝 1 2 3 新しく増えた枝 既存の枝 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

3.修正版BAモデル 例(修正版BAモデル) ステップ4 優位的選択 1 2 3 4 新しく増えた枝 既存の枝 1 2 3 4 新しく増えた枝 既存の枝 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

3.修正版BAモデル 例(修正版BAモデル) :ハブ 1 2 3 4 1 2 3 4 :ハブ 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

3.修正版BAモデル 例(修正版BAモデル) ステップ0 ステップ1 ステップ2 ステップ3 新しく増えた枝 既存の枝 :ハブ 0 0 1

3.修正版BAモデル 修正版BAモデルの特徴 BAモデルの2つの鍵 ネットワークの成長 優位的選択 生成するグラフは木構造 つまり…

3.修正版BAモデル 図.頂点数1000の修正版BAモデル

4章.実験方法 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.実験方法 実験準備 ネットワークモデル:修正版BAモデル 使用言語:C++ 頂点数1000、1万、10万のネットワークを、各300個生成 実験の指針 生成した各ネットワークに対して以下の3つを実施 直感的にも判断できるよう、ネットワークを可視化 ネットワークの直径、半径、平均値を計算し、グラフを描画 次数分布図を描画し、データの配置を調査 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.1 -実験準備- ネットワークの生成プログラム INPUT:作成ファイル名、最大頂点数 ファイルの1行目 :最大頂点数、枝数を記録 ファイルの1行目  :最大頂点数、枝数を記録 ファイルの2行目以降:最大頂点数まで、各頂点がどの頂点に枝を張ったかを記録 ファイルを各300個生成 10 9  0 1  1 2  1 3  3 4  1 5  1 6  6 7  1 8  1 9 最大頂点数:10の場合 6 5 9 7 8 1 4 2 3 テキスト グラフ 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.1 -実験準備- プログラム内での次数の格納の仕方 最大頂点数まで、各頂点がどの頂点に枝を張ったのか読み取り、プログラム内に格納 可視化 最大頂点数:10の場合 テキスト 頂点 頂点へのポインタ 10 9  0 1  1 2  1 3  3 4  1 5  1 6  6 7  1 8  1 9 可視化 プログラム内 に格納 他のプログラムで使用 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.2 ー①ネットワークの可視化方法- 可視化の前処理 頂点 頂点へのポインタ 頂点 頂点へのポインタ 自分より低い 頂点を削除 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.2 ー①ネットワークの可視化方法- 可視化の前処理 可視化! 現在の頂点を置く 頂点から頂点へのポインタ全てに枝を張る 次の頂点へ移動 6 5 9 7 8 1 4 2 3 Graphviz Gvizで可視化 可視化! 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.3 ー②ネットワークの直径、半径、平均値の計算- 用語説明 eccentricity:現在の頂点から各頂点への深さの最大値 直径(diameter): eccentricityの最大値 半径(radius): eccentricityの最小値 平均値:eccentricityの平均値 データ グラフのデータ ネットワークの300個分のデータ グラフ化 直径、半径、平均値を計算 300個の直径 の分布図 300個の半径 の分布図 300個の平均値の分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.3 ー②ネットワークの直径、半径、平均値の計算- 用語説明 eccentricity:現在の頂点から各頂点への深さの最大値 直径(diameter): eccentricityの最大値 半径(radius): eccentricityの最小値 平均値:eccentricityの平均値 データ グラフのデータ ネットワークの300個分のデータ グラフ化 直径、半径、平均値を計算 300個の直径 の分布図 300個の半径 の分布図 300個の平均値の分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.3 ー②ネットワークの直径、半径、平均値の計算- 頂点のeccentricity 3 4 2 6 9 1 1 8 5 10 7 :現在の頂点 :調査済みの頂点 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.3 ー②ネットワークの直径、半径、平均値の計算- 頂点のeccentricity 3 4 2 2 6 9 1 1 8 5 10 7 :現在の頂点 :調査済みの頂点 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.3 ー②ネットワークの直径、半径、平均値の計算- 頂点のeccentricity 3 4 1 2 2 6 9 1 1 8 5 10 7 :現在の頂点 :調査済みの頂点 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.3 ー②ネットワークの直径、半径、平均値の計算- 頂点のeccentricity 3 4 1 2 2 2 6 9 1 1 8 5 10 7 :現在の頂点 :調査済みの頂点 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.3 ー②ネットワークの直径、半径、平均値の計算- 頂点のeccentricity 3 4 1 2 2 2 6 9 1 1 2 1 8 5 10 1 7 2 3 2 :現在の頂点 :調査済みの頂点 例.頂点0のeccentricityは3 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.3 ー②ネットワークの直径、半径、平均値の計算- 直径、半径、eccentricityの平均値 3 4 4 5 2 5 6 9 1 3 4 5 4 8 5 10 3 7 4 5 5 例.直径5、半径3、 eccentricityの平均値4.7 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.4 ー③次数分布図の描画方法- 次数分布図は、 次数分布の累積分布の両対数でグラフ描画⇒作成 次数分布の累積分布の両対数をで描画 X軸:次数k Y軸:累積分布 X軸・Y軸共に両対数で描画 ※次数k⇒1~最大頂点数 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.4 ー③次数分布図の描画方法- 次数分布の累積分布の両対数で描画 頂点 頂点へのポインタ 描写 次数k 累積分布(0はカウントしない)   1   7   2   2   3   0   4   0   5   0   6   0   7   1   8   0   9 0 描写 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5章.実験結果 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -①直感的にも判断できるよう、ネットワークを可視化- 頂点数1000の修正版BAモデル(No.1) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -①直感的にも判断できるよう、ネットワークを可視化- 頂点数1000の修正版BAモデル(No.10) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -①直感的にも判断できるよう、ネットワークを可視化- 頂点数1000の修正版BAモデル(No.50) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -①直感的にも判断できるよう、ネットワークを可視化- 頂点数1000の修正版BAモデル(No.100) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -①直感的にも判断できるよう、ネットワークを可視化- 頂点数1000の修正版BAモデル(No.200) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -①直感的にも判断できるよう、ネットワークを可視化- 頂点数1000の修正版BAモデル(No.300) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -②ネットワークの直径、半径、平均値を計算し、グラフを描画- 頂点数1000のネットワークの 直径・半径・平均値の計算結果 300個分 平均値 X軸:直径 or 半径 or 平均値 Y軸:直径 or 半径 or 平均値 の個数 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -②ネットワークの直径、半径、平均値を計算し、グラフを描画- 頂点数10000のネットワークの直径・半径・平均値の計算結果 300個分 平均値 X軸:直径 or 半径 or 平均値 Y軸:直径 or 半径 or 平均値 の個数 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -②ネットワークの直径、半径、平均値を計算し、グラフを描画- 頂点数100000のネットワークの直径・半径・平均値の計算結果 300個分 平均値 X軸:直径 or 半径 or 平均値 Y軸:直径 or 半径 or 平均値 の個数 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -③次数分布図を描画し、データの配置を調査- 次数分布の 累計分布の両対数(No.1) 次数分布の 累計分布の両対数(No.10) 頂点数1000の修正版BAモデルの次数分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -③次数分布図を描画し、データの配置を調査- 次数分布の 累計分布の両対数(No.50) 次数分布の 累計分布の両対数(No.100) 頂点数1000の修正版BAモデルの次数分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -③次数分布図を描画し、データの配置を調査- 次数分布の 累計分布の両対数(No.200) 次数分布の 累計分布の両対数(No.300) 頂点数1000の修正版BAモデルの次数分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -③次数分布図を描画し、データの配置を調査- 次数分布の 累計分布の両対数(No.1) 次数分布の 累計分布の両対数(No.10) 頂点数10000の修正版BAモデルの次数分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -③次数分布図を描画し、データの配置を調査- 次数分布の 累計分布の両対数(No.50) 次数分布の 累計分布の両対数(No.100) 頂点数10000の修正版BAモデルの次数分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -③次数分布図を描画し、データの配置を調査- 次数分布の 累計分布の両対数(No.200) 次数分布の 累計分布の両対数(No.300) 頂点数10000の修正版BAモデルの次数分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -③次数分布図を描画し、データの配置を調査- 次数分布の 累計分布の両対数(No.1) 次数分布の 累計分布の両対数(No.10) 頂点数100000の修正版BAモデルの次数分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -③次数分布図を描画し、データの配置を調査- 次数分布の 累計分布の両対数(No.50) 次数分布の 累計分布の両対数(No.100) 頂点数100000の修正版BAモデルの次数分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 -③次数分布図を描画し、データの配置を調査- 次数分布の 累計分布の両対数(No.200) 次数分布の 累計分布の両対数(No.300) 頂点数100000の修正版BAモデルの次数分布図 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

5.実験結果 ネットワークの直径・半径が十分に短い 次数分布図が直線を描いており、ネットワーク上の次数分布はベキ分布に従っている 実験結果から分ること 可視化したネットワークを直感的に見ても、一部の頂点に枝が集中している ネットワークの直径・半径が十分に短い 次数分布図が直線を描いており、ネットワーク上の次数分布はベキ分布に従っている 生成したネットワークは、十分なスケールフリー性を満たしている 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

6.今後の課題 ネットワークの頂点数、調査する個数の増加 他のネットワークモデルでも直径、半径、 eccentricityの平均値を計算し、結果の比較 次数がベキ則に従っているかを判定する方法に、次数分布図が描写を使用した ⇒この方法では厳密な判定はできない そこで統計モデルで のτを推定して,検定 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.1 -スケールフリーネットワークの歴史- 従来のインターネットなどのネットワークのイメージ 頂点間の枝が指向性も規則性もなく、ランダムに張られているイメージ ⇒ランダムネットワーク そうではない何か新しい構造をとっていると気がつき、調査 例:ウィキペディア周辺のWWWの構造 出典: フリー百科事典 『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/12/10 07:10 UTC版 ) 結果、一部の頂点に枝が極度に集中しているネットワークを発見 ⇒スケールフリーネットワークの発見 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

2.3 -スケールフリーネットワークの特徴- スケールフリーネットワークの特徴 新しい頂点が参入しても、ネットワークの形状が変化しない ⇒フラクタル性をもっている フラクタルとは? ブノア・マンデルブロが導入した幾何学の概念 ある図形の断片を取ってきたとき、 それより小さな断片の形状と、図形全体の形状が相似になっているもの ※自己相似的=フラクタルではない 使用例 現実の地形や物の次元を表現、再現 ゲームなどでの地形を自動生成 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.2 ー①ネットワークの可視化方法- ネットワークの可視化にはGraphvizを使用 Graphviz アメリカ合衆国の電話会社であるAT&Tの研究所が 開発した、オープンソースのツールパッケージ DOT言語のスクリプトで示されたネットワークを描画 ユーザインターフェースはCUI ⇒高品質な有向グラフの描画が可能 出典『Graphviz | Graphviz - Graph Visualization Software』 (2013/01/26 12:41 UTC版 ) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.2 ー①ネットワークの可視化方法- Graphvizでは、DOTファイルを書くことになる DOT言語には弱点があり、制御構造を持ってない プログラムにおける処理の流れを変更するために用意された 式構造 ⇒C言語でいう、while文、if 文、for文、do-while文、switch 文等 そこで… Rubyを、Graphvizインタフェースとして使用 ※プログラムの作成には、GvizというRubyのプラグインを使用 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.5 ーグラフの描画方法:gnuplot- グラフの描画にはgnuplotを使用した gnuplot 2次元および3次元のグラフを描画するためのフリーウェア ユーザインターフェース CUI(利用者がコマンドを打ち込んでゆく形態) 特徴 2次元グラフ描画機能が極めて強力 (各種の関数やデータのグラフが自由自在に作成可能) 3次元グラフも描画可能(2次元ほど強力ではない) 多様な画像の形式をサポート(PostScript、EPS、PNGなど) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)

4.5 ーグラフの描画方法:gnuplot- gnuplotの基本的な使い方 gnuplotを起動し、下記のコマンドを入力 $gnuplot Version 4.6 patchlevel 0 last modified 2012-03-04 Build System: CYGWIN_NT-6.1-WOW64 i686 Copyright (C) 1986-1993, 1998, 2004, 2007-2012 Thomas Williams, Colin Kelley and many others gnuplot home: http://www.gnuplot.info faq, bugs, etc: type "help FAQ" immediate help: type "help" (plot window: hit 'h') Terminal type set to 'x11' gnuplot> plot sin(x) gnuplot> replot cos(x) gnuplot> replot 終了コマンド gnuplot> exit x11で表示される (入ってない場合はエラー) 修正版BAモデルで生成したネットワークのスケールフリー性判定計算実験   卒業演習発表会   田中勇歩(谷聖一研究室)