新しい薬事法・血液法は何を求めているのか

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「3つのGCP省令の相違点の背景等」  治験等において遵守することが必要なGCPは、平成26年7月30日における「医薬品GCP省令*」及び「医療機器GCP省令* * 」の改正、並びに「再生医療等製品GCP省令* * * 」の新規公布にともない3つとなり、平成26年11月25日よりこれらは施行されることとなりました。
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新しい薬事法・血液法は何を求めているのか ~本年7月30日より 新しい薬事法・血液法が施行されました~ 新しい薬事法・血液法は何を求めているのか 特定生物由来製品とは? http://www.mhlw.go.jp/qa/iyaku/yakujihou/index.html 広島大学病院 輸血部 高田 昇

改正=薬事法+(採供法⇒新血液法) 医療関係者のための改正薬事法・血液法説明資料 新血液法の内容 新血液法施行に関連した通知集 http://www.mhlw.go.jp/qa/iyaku/yakujihou/index.html 新血液法の内容 http://www.mhlw.go.jp/topics/2002/09/tp0910-2.html 新血液法施行に関連した通知集 http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/06/tp0630-1.html 献血等血液事業の情報ページ 献血GO!! http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/index.html *採供法=採血及び供血あっせん業取締法 *新血液法=安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律

血液製剤とは… 人血液 血漿分画製剤 分画 血漿 血球 分離 輸血用血液製剤 人血液を分離、あるいは血液中の血漿たん白を分画精製して製造した医薬品 感染症のリスクがある医薬品を、特定生物由来製品に指定 血漿分画製剤 人血液 分画 血漿 血球 分離 輸血用血液製剤

血液製剤によるHIV・HCV感染の歴史 凝固第Ⅷ因子・第IX因子製剤(輸入血漿) 血友病患者(推定5000人)の約4割がHIV感染 民事訴訟⇒ 1996年以後、和解したものは1431人 血友病でない患者でエイズ発生(第4ルート) 新生児脳出血、外傷、肝疾患(使用推定2600人) 調査⇒ 17人が陽性と判明 血友病でない患者でC型肝炎が多発 調査⇒ 2002年 109人が生存中(6割が30才未満) フィブリノーゲン製剤(国内血漿) 肝疾患、手術例、産科救急疾患(対象患者推定28万人) 調査⇒ 推定1万人がHCV感染? 係争中 輸血HBV・HCV感染⇒累計50万~100万人の肝硬変、肝臓癌

血液製剤によるHIV・HCV感染の背景 病原体が見つかっていなかった。 安全な医薬品ではなかった。 医師に危険性が知らされていなかった。 危険が察知されたあと回収されていなかった。 患者に対して使用の事前説明がなかった。 実際の使用記録が残っていない。 製剤使用~障害(被害)発現まで長年月かかる。

血液介在性感染症 ウイルス ①B型肝炎ウイルス(HBV)、②C型肝炎ウイルス(HCV)、③A型肝炎ウイルス(HAV)、④E型肝炎ウイルス(HEV)、⑤ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1/2)、⑥HTLV-Ⅰ/Ⅱ、⑦ヒトパルボウイルスB19、⑧サイトメガロウイルス(CMV)、⑨エプスタイン・バーウイルス(EBV)、⑩その他のウイルス (HGV、TTV、西ナイルウイルス) 細菌等 ①エルシニア・エンテロコリティカ、②梅毒、③抜歯後菌血症 原虫 ①マラリア原虫 今後問題となる可能性のある感染症 ①トリパノソーマ/バベシア、②プリオン

薬害HIV裁判和解後の原告団要求 遺族に関する要求 →実現 医療に関する要求 →実現中・・・・「量から質へ」 遺族に関する要求 →実現 追悼式、薬害根絶の碑建立、資料館建設、相談事業、遺族年金 医療に関する要求 →実現中・・・・「量から質へ」 エイズセンター、ブロック拠点病院制度、治療薬の早期承認、検査体制の充実、医療実態調査、保険制度の改善、研究体制、情報提供、国際協力 手当に関する要求 →実現 健康管理費用、身体障害者手帳・障害年金制度 薬害被害実態調査 →実現 真相究明・薬害根絶に関する要求 →実現(HP、医薬局) 情報公開、協議 偏見差別の解消に関する要求 →実現(新感染症法) 血液行政の是正に関する要求 →実現(新血液法)

新血液法の概要 国民の 保健衛生の向上 血液製剤の ①血液製剤の ・安全性の向上 安全性の向上 ・安定供給の確保 ②献血による 新血液法の概要  法律の目的を拡大 血液事業の運営指針となる 基本理念を設定 血液事業に携わる 関係者の責務を明確化 血液製剤の  ・安全性の向上  ・安定供給の確保  ・適正使用の推進 ①血液製剤の   安全性の向上  ②献血による 国内自給の原則、 安定供給の確保 ③適正使用の推進 ④血液事業運営に 係る公正の確保と 透明性の向上 基本理念にのっとり、 【国】 安全性向上・安定供給確保に関する基本的・総合的施策の策定・実施 【地方公共団体】 献血に関する住民の理解、献血受入を円滑にするための措置 【採血事業者】 献血受入の推進、安全性向上・安定供給確保への協力、献血者等の保護  【製造・輸入業者等】 安全な血液製剤の安定的・適切な供給、安全性向上のための技術開発と情報収集・提供 【医療関係者】 適正な使用、安全性に関する情報収集・提供                国民の 保健衛生の向上

新血液法における医療関係者の責務とは 血液法第8条(医療関係者の責務) 血液法第9条(基本方針)    医師その他の医療関係者は、基本理念にのつとり、血液製剤の適正な使用に努めるとともに、血液製剤の安全性に関する情報の収集及び提供に努めなければならない。 血液法第9条(基本方針)    厚生労働大臣は、血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。 2  基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。(抄)    六 血液製剤の安全性の向上に関する事項    七 血液製剤の適正な使用に関する事項

薬事法と血液法の関係 薬事法 血液法 血液製剤 生物由来製品としての安全性向上 国内自給原則、安定供給確保 市販後対策の充実強化 適正使用の推進

主に動物に由来する原料又は材料を用いた製品 主に人の血液や組織に由来する原料又は材料を用いた 製品 生物由来製品・特定生物由来製品の概念図 薬事法の改正で、 「生物由来製品」 「特定生物由来製品」を定義 主に動物に由来する原料又は材料を用いた製品     医薬品  医療機器 生物由来製品 特定生物 由来製品 主に人の血液や組織に由来する原料又は材料を用いた  製品     医薬部外品  化粧品

特定生物由来製品には… 例えば 等があります。 ・輸血用血液製剤 血液凝固因子 人血清アルブミン 人免疫グロブリン などの血液製剤  などの血液製剤 ・人胎盤抽出物 等があります。

特定生物由来製品について 医療機関・薬局が行うこと ① 特定生物由来製品について           医療機関・薬局が行うこと ① 薬事法第68条の7 (使用における説明と理解) ☆特定生物由来製品を使用する際には、製品のリスクとベネフィットについて患者(又はその家族)に説明を行い、理解を得るようにして下さい。 ☆広大病院では書面による同意書をいただくことになりました。 輸血療法委員会

特定生物由来製品について 医療機関・薬局が行うこと ② 特定生物由来製品について           医療機関・薬局が行うこと ② 薬事法第68条の9 (記録の作成、保管) 特定生物由来製品を使用した場合の情報を記録し、医療機関で使用日から少なくとも20年間保管します。 具体的には、管理簿等を作成することとなります。製薬企業等から提供される製品のシール等が活用できます。 記録する情報:   製品名、  製造番号(製造記号)、  患者の方の氏名、住所、  投与日

医療機関からの副作用等報告制度 企業 厚生労働省 医療機関薬局 医療機関 薬局 死亡、障害、治療のための入院又はその延長が起こったとき 必要に応じ、確認の依頼 企業 必要に応じ、調査の指示 厚生労働省 医療機関薬局 医療機関 薬局 死亡、障害、治療のための入院又はその延長が起こったとき 使用対象者の子に先天異常が認められたとき 感染症が起こったとき 添付文書に記載されていない事象が起こったとき

血液製剤の適正使用について 医療機関 厚生労働省 輸血療法委員会 血液事業部会 適正使用調査会 輸血部門 適正使用指針及び実施指針の一層の普及に御協力をお願いします。 血液製剤の適正使用を進めるための院内体制の整備をお願いします。 厚生労働省は、血液製剤の使用状況を定期的に評価するなど、適正使用のためのよりよい方法を検討し、その普及に努めます。 医療機関 厚生労働省 指針等の改訂と普及 輸血療法委員会 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 適正使用調査会 適正使用のための ・ 使用状況の評価 ・ よりよい方法の検討 適正な輸血療法の検討 責任医師の配置 輸血部門 適正な血液製剤の管理 使用状況等 血液製剤使用部門

より安心のできる医療の提供に向けて このように、新しい薬事法及び血液法では、医薬品や医療機器を使用する医療関係者に新たな取組を課すこととなりました。 これらの取組が実施され、より安心のできる医療が提供されるよう、厚生労働省としても積極的に情報提供及び指導を行ってまいりますので、御協力をお願いします。 患者等への説明 適正な使用 MHLW07 献 血 採血国:日本 表示事項の把握 記録の作成・保存 副作用等報告

追加:遡及調査(Look Back) 追加:遡及調査(Look Back) 朝日新聞2003年7月15日の記事をどう読むか? 全ての感染症マーカーは合格と判定され、RC-MAPとして広大病院内科の患者、Bさんに使用された。 Aさんは、2003年6月25日に再度献血をした。この時、HBc抗体が上昇しており血液は廃棄された。 広島県赤十字血液センターはAさんの献血歴を調べ、2002年12月25日の献血を見いだした。 京都府福知山のNATセンターに凍結保存されていた血清で、HBV DNAの個別NAT検査を実施したが陰性であった。 広島県赤十字血液センターから広大病院の輸血部に連絡され、輸血部はBさんの使用記録を確認した。 輸血部から連絡を受けた内科の主治医は輸血を受けたBさんに、事情を説明した。・・・・・・・・。

今後検討が必要な未解決問題 患者さんに対して何ができるか? 治療前に感染症マーカー検査を実施する HBV、HCV、HIV・・・・どこまで? 治療後の感染症マーカー検査を実施する 保険上はこれまでHIVのみだった 治療前後の血清を凍結保存する 誰が、どこで、いつまで、経費は、ICは? 頻回輸血の患者さんにHBVワクチンを接種するか? 適応と範囲 感染事例が発生した場合の遡及調査 ガイドライン 副作用発生患者への救済制度 医薬品副作用被害救済制度に準じたもの