医薬品ネット販売規制について 2012年5月31日 ケンコーコム株式会社
ケンコーコムは医薬品のネット販売継続を求め訴訟提訴、控訴審にて2012年4月勝訴しました ■訴訟について ケンコーコムは医薬品のネット販売継続を求め訴訟提訴、控訴審にて2012年4月勝訴しました 2009年5月 医薬品のネット販売を継続できる地位の確認等を求め、東京地裁に提訴 2009年6月 改正薬事法完全施行、改正省令・再改正省令施行 ・・・以後、医薬品のインターネット販売は原則として禁止された 2010年3月 東京地裁において敗訴 2010年4月 地裁判決を不服として控訴 2012年4月 控訴審、勝訴判決 2012年5月 厚生労働省が上告
判決によって権利を有することが確認された ■判決概要 請求①:権利(地位)確認 医薬品の店舗販売業の許可を受けた者とみなされる既存一般販売業者として、平成21年厚生労働省令第10号による改正後の薬事法施行規則の規定にかかわらず、第一類医薬品及び第二類医薬品につき店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による販売をすることができる権利(地位)を有することを確認する。 判決によって権利を有することが確認された 請求②:省令の無効確認・取り消し請求 厚生労働大臣が平成21年2月6日に公布した薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成21年厚生労働省令第10号)のうち、薬事法施行規則に15条の4第1項1号、159条の14、159条の15第1項1号、159条の16第1号並びに159条の17第1号及び第2号の各規定を加える改正規定が無効であることを確認する。 (予備的請求) ・前項の省令の改正規定を取り消す。 抗告訴訟の対象となる行政処分にはあたらないとして棄却 抗告訴訟:行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟のこと。 規制違反に対する行政処分について抗告訴訟の提起は可能。しかし、改正規定の制定行為だけでは、「公権力の行使」にあたらず、抗告訴訟はできない。
厚労省省令は、法律の委任の範囲を超えて、 国民の権利を制限する規定である、と認められた ■判決により確認されたこと 本件規制の根拠となる委任の規定を新薬事法の条項中に見出すことはできない。したがって、本件各規定のうち、本件規制を定めた部分は、法律の委任によらない、国民の権利を制限する省令の規定であり、国家行政組織法12条3項に違反する。(「判決要旨」より) ※国家行政組織法12条3項・・・省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。 厚労省省令は、法律の委任の範囲を超えて、 国民の権利を制限する規定である、と認められた よって、主文2の通り、控訴人らが、(中略) 第一類医薬品及び第二類医薬品につき店舗以外の場所にいる者に対する郵便をその他の方法による販売をすることができる権利(地位)を有することを確認された。
委任規定について明確性が求められる(「判決理由」より) ■判決詳細(法律の委任について) 本件規制は憲法(22条1項)において保障されている「営業の自由」に係る事業者の権利を制限するものであるので・・・ 委任規定について明確性が求められる(「判決理由」より) 本件規制の根拠となる委任の規定を新薬事法の条項中に見出すことはできない。(「判決要旨」より)
委任規定の立法過程において、その制限される権利について合憲性の推定が働くような資料に基づく議論がされているべき(「判決理由」より) ■判決詳細(法律の委任について) 本件規制は憲法(22条1項)において保障されている「営業の自由」に係る事業者の権利を制限するものであるので・・・ 委任規定の立法過程において、その制限される権利について合憲性の推定が働くような資料に基づく議論がされているべき(「判決理由」より) ・侵害される利益があることについて検証し、他の規制手段による合理的な制限の有無や方法を検討する必要があり、それがないままに一律に第第一類・第二類医薬品の郵便等販売を禁止し、これにより控訴人らが営業活動しているインターネット販売を規制することは、立法目的を達成するための必要ないし手段の合理性があるとただちに認めることはできない。 ・営業の自由に対する規制を省令に委任するものとしての検討がされていたものと認めることができない。 (「判決理由」より)
■控訴審判決と改正薬事法の理念 改正薬事法の理念 (2005年12月15日 厚生科学審議会 医薬品販売制度改正検討部会報告書 「改正の理念」より) 『国民の健康意識の高まりを始め、一般用医薬品を取り巻く環境の変化を踏まえ、セルフメディケーションを支援する観点から、安全性の確保を前提とし、利便性にも配慮しつつ、国民による医薬品の適切な選択、適正な使用に資するよう、薬局、薬店等において、専門家による相談応需及びリスクの程度に応じた情報提供等が行われる体制を整備する。』 法の趣旨からすれば、一般用医薬品の販売の在り方は同時に、購入者の選択を前提とする幅広い情報提供の方法が考えられるよう規定文言も解釈されるべきであり、前記のとおり、新薬事法36条の6第1項が電磁的方法による情報提供を規定上禁止しているものではないと解されることから、購入者の選択を前提とする適切な情報提供の方法のあり方ないしその選択を制限するような解釈は相当ではない(「判決理由」より)
■医薬品購入前のアンケート実施や大量購入防止策など、当社独自の安全策を既に実施しています ■一般用医薬品の通信販売の再開に向けた安全性確保 安全・安心な医薬品の通信販売再開に向け、取り組んでおります。 ■医薬品購入前のアンケート実施や大量購入防止策など、当社独自の安全策を既に実施しています ■「一般用医薬品の通信販売解禁を推進する議員連盟」の要請書に対し、当社が所属する日本オンラインドラッグ協会から回答しました (前略) 2.我々は、一般用医薬品の販売に当たっては、必要な安全性を確保することが重要であると認識しております。そのような認識のもとに、日本オンラインドラッグ協会が、厚生労働省における検討会「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」(平成21年2月~5月開催)において、業界ガイドライン案を提示しました。それに基づき、各種安全方策(専門家の情報の提供、双方向のコミュニケーション手段の用意、問診票の設置等)を既に各販売会社において実施してきております。 3.我々は、お示しいただいたIT戦略本部専門調査会報告書の内容も踏まえながら、業界ガイドラインの実施徹底等を図ること で、安全確保に向けた業界としての取組みを引き続き強力に推進していく所存です。そのための活動を更に促進する一環とし て、一般用医薬品の通信販売に関連する業界団体と厚生労働省等の関係者を交えて、安全確保に向けた協議会を早期に設 立するべく関係者に求めてまいります。 ■当社が所属する日本オンラインドラッグ協会は、業界ルール案(「一般用医薬品のインターネット販売における安全策について」)を「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」へ提案しています