名古屋大学KMI 現象解析研究センター 松本浩典 X線天文学と 宇宙の高エネルギープラズマ 名古屋大学KMI 現象解析研究センター 松本浩典 新潟大学集中講義
通常の天文学 (乙女座銀河団)
X線でみると…
目で見る世界とX線の世界 ©SDSS ©RASS 銀河団=銀河の集団 銀河団 = 数千万度の火の玉 世界観が変わった!
集中講義の内容 X線、X線放射過程 超新星残骸プラズマ 銀河団プラズマ 天の川銀河中心プラズマ 新潟大学集中講義
ペースが早過ぎるときは、遠慮なく言ってください。 講義にあたって 講義中の質問、大歓迎です。 スライド中心の講義です。 ペースが早過ぎるときは、遠慮なく言ってください。 新潟大学集中講義
X線について 新潟大学集中講義
電磁波 光子E = 電磁波 hν = 電磁波hλ/c http://www.astro.isas.jaxa.jp/xjapan/xrayintro/light.html 光子E = 電磁波 hν = 電磁波hλ/c 新潟大学集中講義
軟X線: E<1keV、硬X線: E>10keV http://www.astro.isas.jaxa.jp/xjapan/xrayintro/light.html X線光子E = 0.1keV~100keV X線天文学の慣習 軟X線: E<1keV、硬X線: E>10keV 新潟大学集中講義
1Vの電位差で電子を加速したときに、電子が得るエネルギー +1V エネルギーの単位 eV: エレクトロンボルト (電子ボルト) 1Vの電位差で電子を加速したときに、電子が得るエネルギー +1V e 0V 1eV=1.6e-12 erg =1.6e-19 J 新潟大学集中講義
E = hν ~ kT T~104K×[E/1eV] 次元解析 E=1keVのX線の発生 =熱的なら、10^7Kの現象が関与 新潟大学集中講義
X線 𝜆= 12.4Å ( 𝐸 1𝑘𝑒𝑉 ) 比較: ボーア半径 0.5Å X線は原子と直接相互作用 http://www.astro.isas.jaxa.jp/xjapan/xrayintro/light.html 𝜆= 12.4Å ( 𝐸 1𝑘𝑒𝑉 ) 比較: ボーア半径 0.5Å X線は原子と直接相互作用 新潟大学集中講義
X線・ガンマ線と物質の相互作用 炭素原子 1 .光電効果 1barn=10-24 cm2 2. 弾性散乱 3. コンプトン散乱 4. 対生成 X-ray data Booklet http://xdb.lbl.gov/ 新潟大学集中講義
断面積 古典電子半径 mc^2 = e^2/r r = e^2/mc^2 ~ 3e-13 cm^2 トムソン散乱断面積 σ = (8π/3)r^2 = 7e-25 cm^2 ~ 1 barn 新潟大学集中講義
光電効果 γ 光子は消滅。電子飛び出す(光電子)。 新潟大学集中講義
光電効果 K edge 断面積 σ∝E^-3 σ∝Z^5 K edge 光子E>K edge … K殻電子飛び出す 新潟大学集中講義
弾性散乱 γ 光子のE変化なし。電子飛び出ない。 新潟大学集中講義
コンプトン散乱(非弾性散乱) γ 光子E減少。電子飛び出る。 新潟大学集中講義
コンプトン散乱(非弾性散乱) 断面積 σ∝Z 原子内の電子数に比例 新潟大学集中講義
対生成 γ 光子消滅。電子・陽電子が飛び出る。 新潟大学集中講義
対生成 断面積 σ∝Z^2 原子の静電エネルギーに比例 新潟大学集中講義
重い荷電粒子(陽子etc)と物質の相互作用 電離損失 物質を電離しながらエネルギーを失う。 新潟大学集中講義
Review of Particle Physics http://pdg.lbl.gov/index.html Bethe-Bloch電離損失公式 定性的導出 W.R. Leo “Techniques for Nuclear and Particle Physics Experiments” γ: 入射粒子の相対論的因子 Ne: 物質の電子個数密度 𝑣 : 物質の電子の束縛振動数 𝑧𝑒: 入射粒子の電荷 v: 入射粒子の速度 me: 電子質量 もっと厳密な式は、例えば Review of Particle Physics http://pdg.lbl.gov/index.html 新潟大学集中講義
色々な粒子の電離損失 入射粒子v~0.96cで最少 W.R. Leo “Techniques for Nuclear and Particle Physics Experiments” 入射粒子v~0.96cで最少 新潟大学集中講義
その他 重たい荷電粒子 軽い荷電粒子 チェレンコフ放射 電離損失 制動放射 入射粒子V > c/n (n:物質屈折率) 軽いのでジグザグ運動。 同種粒子の散乱。 制動放射 新潟大学集中講義
宇宙の観測 H.Bradt, “Astronomy Methods” 地球大気による光の減衰 新潟大学集中講義
電波の観測 大気減衰なし。ミリ波だと水分子が吸収。 新潟大学集中講義
赤外線の観測 水、酸素などの分子が吸収。 新潟大学集中講義
可視光の観測 (奇跡的に?)大気吸収がない。 新潟大学集中講義
紫外線の観測 大気(窒素・酸素など)による光電吸収 新潟大学集中講義
X線の観測 大気による光電吸収…大気圏外で観測 新潟大学集中講義
ガンマ線の観測 大気によるコンプトン散乱 新潟大学集中講義
大気圏外での観測 ロケット 高度~100km 数10分しか観測できない。 人工衛星 高度>500km Chandra … 16000~139000km, 1周64時間) 新潟大学集中講義
X線天文学のはじまり 2012年は、X線天文学50周年 新潟大学集中講義
1962年 ASE-MITのロケット実験 自転 ガイガー カウンター Space Science Reviews, 1965, 4, 151
Sco X-1, Cosmic X-ray Background 新潟大学集中講義
X線放射過程 新潟大学集中講義
非熱的放射: 電子がpower-law分布 熱的放射と非熱的放射 熱的放射: 電子がマクスウェル分布 代表例: 黒体放射、光学的に薄いプラズマからの放射 X線スペクトルにexp(-E/kT)の曲がり 非熱的放射: 電子がpower-law分布 代表例: シンクロトロン放射 X線スペクトルもpower-law 新潟大学集中講義
Specific intensity I(ν, Ω) ある面(法線 )を、ある方向 (Ω)へ通過する光線(振動数ν) のエネルギー 単位は、例えば [dE] = erg [I] = erg /cm^2/s/str/Hz 新潟大学集中講義
ある面(法線 𝑛 )を単位面積・単位時間あたりに通過する光線のエネルギー (I(ν,Ω)を全方向で積分) フラックス ある面(法線 𝑛 )を単位面積・単位時間あたりに通過する光線のエネルギー (I(ν,Ω)を全方向で積分) 𝐹(𝜈)= 𝐼(𝜈,Ω) 𝑐𝑜𝑠𝜃𝑑Ω 単位は例えば、 [F(ν)] = erg/s/cm^2/Hz 新潟大学集中講義
天体が振動数νの光で全方向に放射しているエネルギー。 光度(Luminosity) L(ν) 天体が振動数νの光で全方向に放射しているエネルギー。 単位は例えば[L(ν)] = erg/s/Hz 新潟大学集中講義
多くの場合、等方放射を仮定して、フラックスから光度を推定。 光度とフラックス L(ν) フラックスF(ν) 距離D もし天体が等方的に放射していたら、 L(ν) = 4πD^2 F(ν) 多くの場合、等方放射を仮定して、フラックスから光度を推定。 新潟大学集中講義
熱的X線 光学的に厚いプラズマ =黒体放射 光学的に薄いプラズマ 新潟大学集中講義
光子が抜け出てくるまで、何度も物質と衝突。 光学的に厚い天体 光子が抜け出てくるまで、何度も物質と衝突。 黒体放射 新潟大学集中講義
黒体放射のスペクトル H. Bradt Astronomy Methods 新潟大学集中講義
黒体放射フラックススペクトル kT=1keV kT=3keV kT=10keV 新潟大学集中講義
X線を出す物体の温度 I(ν, T)が最大になる ν hν_max = 2.82 kT 1keVのX線…ν=2.4e17Hz ν_max = 2.4e17 Hzのとき、T = 2.0e6 K 数百万度以上でないとX線は出ない。 新潟大学集中講義
黒体放射の例 中性子星表面からのX線 kT~0.1keV 降着円盤 多温度の黒体放射の重ね合わせ 新潟大学集中講義
光学的に薄い場合 発生した光子が、そのまま出てくる 熱的制動放射 新潟大学集中講義
連続成分: 熱的制動放射 高温のため、プラズマ状態 電子は、マクスウェルボルツマン分布 電子が、イオンの電場で曲げられて、X線放出
熱的制動放射 Emissivity = 単位体積あたりの放射率 (erg s-1 cm-3) スペクトル 詳細は、例えばRybicki & Lightman “Radiative Processes in Astrophysics” Emissivity = 単位体積あたりの放射率 𝜀 𝑓𝑓 = 𝑑𝑊 𝑑𝑡𝑑𝑉 =1.4× 10 −27 𝑇 1 2 𝑛 𝑒 𝑛 𝑖 𝑍 2 𝑔 𝐵 (erg s-1 cm-3) スペクトル 𝜀𝜈 𝑓𝑓 = 𝑑𝑊 𝑑𝑡𝑑𝑉𝑑𝜈 =6.8× 10 −38 𝑇 − 1 2 𝑛 𝑒 𝑛 𝑖 𝑍 2 𝑔 𝑓𝑓 𝑒 −ℎ𝜈/𝑘𝑇 (erg s-1 cm-3 Hz-1)
𝜀 𝑓𝑓 = 𝑑𝑊 𝑑𝑡𝑑𝑉 =1.4× 10 −27 𝑇 1 2 𝑛 𝑒 𝑛 𝑖 𝑍 2 𝑔 𝐵 定性的理解 Emissivity 𝜀 𝑓𝑓 = 𝑑𝑊 𝑑𝑡𝑑𝑉 =1.4× 10 −27 𝑇 1 2 𝑛 𝑒 𝑛 𝑖 𝑍 2 𝑔 𝐵 (erg s-1 cm-3) イオンと電子が衝突 εff∝n_e n_i (多くの場合n_e~n_i) 衝突回数は電子速度に比例 εff∝T^0.5 新潟大学集中講義
スペクトルの例 曲がり方温度。 光度 n e n i V 𝑛 𝑒 𝑛 𝑖 𝑉: emission integral 𝑛 𝑒 𝑛 𝑖 𝑉: emission integral (emission measure) kT=1keV kT=3keV kT=10keV 新潟大学集中講義
輝線: 特性X線 γ 空席が発生 衝突で励起 光電効果 特性X線 新潟大学集中講義
輝線: 特性X線 特性X線のエネルギー どの殻からどの殻へ落ちるか。 原子内のその他の電子の状態 γ 新潟大学集中講義
特性X線の呼称 微細構造も含めて Kα線 L殻 K殻 Kβ線 M殻K殻 Lα線 M殻 L殻 Lβ線 N殻L殻 など ©X-RAY DATA BOOKLET 新潟大学集中講義
電子が出る時もある 空席が発生 衝突で励起 光電効果 オージェ電子 新潟大学集中講義
特性X線を出す確率 (蛍光収率) ©X-RAY DATA BOOKLET 新潟大学集中講義
特に重要な特性X線 例:天の川銀河中心X線 6.4keV線 中性Fe Kα線 6.7keV線 He状イオンFe Kα線 6.9keV線 H状イオンFe Kα線 Koyama et al. 2007, PASJ, 59, 245 新潟大学集中講義
どんなイオンになっているか Seward, F. & Charles. P. “Exploring the X-ray Universe” 新潟大学集中講義 Seward, F. & Charles. P. “Exploring the X-ray Universe”
この場合は、ヘリウム状イオンのKα線より、少しだけエネルギーの低いX線が出る。 二電子性再結合 ν この場合は、ヘリウム状イオンのKα線より、少しだけエネルギーの低いX線が出る。 サテライト線 新潟大学集中講義
連続成分: free-bound放射 γ 自由電子が捕まった場合 新潟大学集中講義
Free-bound放射 スペクトル E 電子の 運動E 電子の運動E の範囲 の範囲 光子数 -Eb E Eb 光子数 -Eb E Eb F-B放射からも温度がわかる。 新潟大学集中講義
X線天文業界でメジャーなプラズマモデルは、 MEKAL、APEC、Raymond-Smithなど。 連続成分 制動放射、FB遷移 輝線成分 サテライト線なども全て考慮 X線天文業界でメジャーなプラズマモデルは、 MEKAL、APEC、Raymond-Smithなど。 新潟大学集中講義
プラズマX線放射モデルのパラメター 温度 アバンダンス Emission Integral 衝突電離平衡プラズマの時は、 kT_e = kT_p = kT_イオン化 衝突電離非平衡 … 超新星残骸など 各種の温度が異なる。 nt: 密度×電離時間もパラメター アバンダンス 各原子の存在比(n_z/n_p)。太陽組成や宇宙組成が基準。 Emission Integral n_e n_p V 明るさを決める(normalization) 新潟大学集中講義
X線天文で良く使う、Anders & Grevesse 太陽組成比の例 X線天文で良く使う、Anders & Grevesse Anders E. & Grevesse N. (1989, Geochimica et Cosmochimica Acta 53, 197) 個数密度比(n_Z/n_p)。水素Hを1として、 He: 9.77e-2 C: 3.63e-4 N: 1.12e-4 O: 8.51e-4 Ne: 1.23e-4 Mg: 3.80e-5 Si: 3.55e-5 S:1.62e-5 Ar: 3.63e-5 Fe: 4.68e-5 (代表的なものだけ) 新潟大学集中講義
等価幅 I ライン強度 IL erg/s 連続線強度 IC(EL) erg/s/eV EL E(eV) 等価幅 EW = IL/I(EL) eV 等価幅 新潟大学集中講義
𝐸𝑊= 𝐼 𝐿 𝐼 𝐶 𝐸 𝐿 ∝ 𝑛 𝑒 𝑛 𝑖𝑜𝑛 𝑛 𝑒 𝑛 𝑝 = 𝑛 𝑖𝑜𝑛 𝑛 𝑝 ∝ 𝑛 𝑍 𝑛 𝑝 等価幅とアバンダンス 連続成分強度 IC(EL)∝nenp ライン強度 IL∝ nenion 𝐸𝑊= 𝐼 𝐿 𝐼 𝐶 𝐸 𝐿 ∝ 𝑛 𝑒 𝑛 𝑖𝑜𝑛 𝑛 𝑒 𝑛 𝑝 = 𝑛 𝑖𝑜𝑛 𝑛 𝑝 ∝ 𝑛 𝑍 𝑛 𝑝 等価幅はアバンダンスを反映 新潟大学集中講義
APECモデルによる計算例 アバンダンス 1 solar kT=1keV kT=3keV kT=10keV 新潟大学集中講義
6~7keVの鉄の特性X線あたり kT=1keV kT=3keV 6.7keV輝線は、多くの kT=10keV 微細構造線 サテライト線 の混合 新潟大学集中講義
1keVあたりを拡大 kT=1keV ライン放射の寄与が大。 主に鉄。 kT=1keV kT=3keV kT=10keV 新潟大学集中講義
Cooling rate = P×n_e n_i V 高温プラズマのcooling curve Seward, F. & Charles. P. “Exploring the X-ray Universe” Cooling rate = P×n_e n_i V 新潟大学集中講義
光学的に薄い高温プラズマ放射の例 超新星残骸 楕円銀河 銀河団 星のコロナ などなど、枚挙にいとまがない。 新潟大学集中講義
非熱的X線 代表例:シンクロトロン放射 新潟大学集中講義
非熱的な放射の場合、電子のエネルギー分布はpower-law型をしている場合が多い。 Log N∝-p LogE N N∝E^-p Log N E Log E power-lawを生みだす機構 …例えばフェルミ加速 新潟大学集中講義
シンクロトロン放射 相対論的電子が、磁場に巻きついて放射 http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.201/micro.html 新潟大学集中講義
サイクロトロン振動数 𝑝𝜔=𝑒 𝑣 𝑐 𝐵 電子 p 𝜔= 𝑒𝑣𝐵 𝑝𝑐 ωΔt 電子が遅い 𝑝=𝑚𝑣 𝜔 𝐵 = 𝑒𝐵 𝑚𝑐 𝑝=𝑚𝑣 𝜔 𝐵 = 𝑒𝐵 𝑚𝑐 電子が相対論的 𝑝=𝛾𝑚𝑣 𝜔 𝐵 = 𝑒𝐵 𝛾𝑚𝑐 B ☉ 新潟大学集中講義
𝜔 c ∼ 𝛾 3 𝜔 𝐵 = 𝛾 2 𝑒𝐵 𝑚𝑐 = 𝐸 𝑚 𝑐 2 2 𝑒𝐵 𝑚𝑐 定性的 シンクロトロン周波数 𝜔 c ∼ 𝛾 3 𝜔 𝐵 = 𝛾 2 𝑒𝐵 𝑚𝑐 = 𝐸 𝑚 𝑐 2 2 𝑒𝐵 𝑚𝑐 定性的 詳しくは 𝜔 c = 3 2 𝛾 2 𝑒𝐵 𝑚𝑐 ∼1.0× 10 17 𝐻𝑧 𝐸 1𝑇𝑒𝑉 2 𝐵 1𝑚𝐺 新潟大学集中講義
粒子の速度が遅いとき(サイクロトロン放射) Rybicki & Lightman “Radiative Processes in Astrophysics” 観測者が見る電場 t 周波数分布 ω/ωB ωB=qB/γmc 新潟大学集中講義
粒子が中間速度 観測者が見る電場 周波数分布 ω/ωB ωB=qB/γmc 新潟大学集中講義
粒子が相対論的(シンクロトロン放射) 観測者が見る電場 0.29ωcぐらいでピーク 周波数分布 ωc/ωB ω/ωB 新潟大学集中講義
電気双極子放射 放射率P (erg/s): 𝑀 𝐿 2 𝑇 −3 電荷e (esu): 𝑀 1 2 𝐿 3 2 𝑇 −1 加速度 a (cm/s2): 𝐿 𝑇 −2 光速 c (cm/s): 𝐿 𝑇 −1 次元解析: 𝑃∝ 𝑒 2 𝑐 3 𝑎 2 ちゃんとやると、𝑃= 2 𝑒 2 3 𝑐 3 𝑎 2 新潟大学集中講義
1個の電子のシンクロトロン放射 放出される光子の平均的なE(erg) 𝐸~ℎ 𝜔 𝑐 ∝ 𝐵 2 𝐸 放射率P(erg/s) 𝑃= 2 𝑒 2 3 𝑐 3 𝑒𝛾𝛽𝐵 𝑚 2 ∝ 𝐵 2 𝐸 2 (粒子の静止系で電場=𝛾𝛽𝐵) 磁場との角度が色々な粒子がいるので、 𝑃 = 4 𝑒 2 9 𝑐 3 𝑒𝛾𝛽𝐵 𝑚 2 =2.54× 10 3 𝑒𝑉 𝑠 E 1TeV 2 B 1mG 2 新潟大学集中講義
Power-law分布(∝E^-p)をしている電子がシンクロトロン放射をすると、 シンクロトロン放射のスペクトル Power-law分布(∝E^-p)をしている電子がシンクロトロン放射をすると、 F(E) ∝ E^-Γ Γ = (p+1)/2 [F] = photons/s/cm^2/eV 放射スペクトルもpower-law。 べき Γ : photon indexと呼ぶ。 新潟大学集中講義
業界(波長)により定義が違うことがある。 電子がE^-pの分布のとき、 S(ν)∝ν^-α : α=(p-1)/2 Power-law放射の定義の違い 業界(波長)により定義が違うことがある。 電子がE^-pの分布のとき、 S(ν)∝ν^-α : α=(p-1)/2 [S] = erg/s/cm^2/Hz 電波業界で主に使用 F(E)∝E^-Γ : Γ= (p+1)/2 = α+1 [F] = photon/s/cm^2/eV X線業界で主に使用 新潟大学集中講義
シンクロトロンX線放射の例 パルサー風星雲 活動銀河核のジェット 超新星残骸 などなど 新潟大学集中講義
X線放射過程は他にもたくさん などなど。 荷電交換反応 非熱的電子による低エネルギー光子の逆コンプトン散乱 非熱的電子による制動放射 電子がPower-law分布でない非熱的放射 などなど。 新潟大学集中講義
X線検出技術 新潟大学集中講義
X線の検出: 比例計数管 ν 窓(Beなど) アンプ 芯線 希ガス(Arなど) R +少量の混ぜ物(CH4など) 1000~2000V 新潟大学集中講義
動作原理 ν Zが大きくて気体 希ガス 光電効果 電離損失 (一次電子雲) 比例係数管の電場で加速。 なだれ増幅 衝突電離で増幅 (二次電子雲) なだれ増幅 新潟大学集中講義
入射光子のエネルギー測定 出力電圧(V) ∝二次電子数 N ∝ 入射光子 E(=hν) エネルギー分解能ΔE/E ∝ ΔV/V ∝ ΔN/N 新潟大学集中講義
ΔN’ ∝ sqrt(N’) = sqrt(E/W) ΔN’/N’ ∝ sqrt(W/E) エネルギー分解能 一次電子数 N’ ∝ E/W (W~20eV) ΔN’ ∝ sqrt(N’) = sqrt(E/W) ΔN’/N’ ∝ sqrt(W/E) 二次電子N ΔN/N = sqrt (W/E + なだれ増幅ゆらぎ….) 実際の比例計数管は、ΔE/E ~0.1 (@5keV) 新潟大学集中講義
位置を測定 ν x V1 V2 大きな抵抗を持つ芯線 L x/L ~ V2/(V1+V2) 新潟大学集中講義
ΔN/N = sqrt (W/E + なだれ増幅ゆらぎ….) エネルギー分解能をあげる 二次電子数N ΔN/N = sqrt (W/E + なだれ増幅ゆらぎ….) Wが小さい なだれ増幅しない 半導体検出器 新潟大学集中講義
例:pn型半導体 空乏層中の 光電効果、電離損失で一次電子雲発生 n ν 一次電子数N = E/W W=3.6 eV p 増幅しなくても良い。 新潟大学集中講義
半導体検出器と比例計数管の比較 半導体検出器(Si) 比例計数管 Mn KαとKβ 分離できない。 Mn Kα 5.89keV Mn Kβ ©大野喜明修士論文@大阪大学 新潟大学集中講義
X線CCD 1pixelが一つの半導体検出器 エネルギー分解能が良い。 位置分解能も良い。 新潟大学集中講義
時間分解能 読み出し回路を各ピクセル毎に作れない。 バケツリレー 時間分解能に劣る (例:すざく衛星8秒) 新潟大学集中講義
もちろん、検出器は他にもたくさんあります。 長所短所 エネルギー 分解能 空間 時間 例 比例計数管 × △ ○ Einstein, ROSAT, ぎんが, etc. X線CCD あすか、すざく、Chandra, XMM-Newton ,etc もちろん、検出器は他にもたくさんあります。 新潟大学集中講義
X線反射鏡 金属板のバームクーヘン。薄く当てて反射。
X-ray 𝜔> 𝜔 𝑝 遮蔽が効かず、金属に侵入。 金属と光 プラズマ振動数 金属内の自由電子の反応スピード 次元解析 プラズマ振動数 𝜔 𝑝 = 𝑇 −1 電荷 𝑒 = 𝑀 1 2 𝐿 3 2 𝑇 −1 電子数密度 𝑛 = 𝐿 −3 電子質量 𝑚 =𝑀 𝜔 𝑝 = 𝑛 𝑒 2 𝑚 X-ray 𝜔> 𝜔 𝑝 遮蔽が効かず、金属に侵入。 b 新潟大学集中講義
𝜔 𝑝 の大きい金属=貴金属(Au、Pt etc)を使用 金属の屈折率 X線領域では、𝑛= 1− 𝜔 𝑝 𝜔 2 <1 すれすれ入射で全反射 𝜔 𝑝 の大きい金属=貴金属(Au、Pt etc)を使用 新潟大学集中講義
活躍中の主要X線天文衛星 すざく衛星(日本) 2005年7月~ 総重量1.7t 消費電力660W 全長6.5m 新潟大学集中講義
すざく衛星搭載機器 X線望遠鏡 (XRT) X線CCD (XIS) + 硬X線検出器(HXD) 新潟大学集中講義
X線望遠鏡(XRT)+X線CCD(XIS) 表面照射型(FI) 3台 (現在2台;1台故障) E>2keVの有効面積大 裏面照射型(BI) 1台 E<2keVの有効面積大 角度分解能~2分角 エネルギー分解能~130eV@6keV 有効面積~160cm^2 (FI), 110cm^2 (BI) at 8keV バックグラウンドノイズが低い。 高エネルギーdiffuse放射の検出が得意。 新潟大学集中講義
低いバックグラウンドノイズ。高エネルギー放射の検出が得意。 硬X線検出器(HXD) 半導体検出器(PIN) + シンチレーター(GSO) PIN 10—70keV GSO 40—600keV 時間分解能 61μs 画像は取れない (光学系なし) 低いバックグラウンドノイズ。高エネルギー放射の検出が得意。 新潟大学集中講義
アメリカ: Chandra衛星 全長14m, 4.6トン (すざく 全長6.5m, 1.7トン) スペースシャトル コロンビアで1999年打ち上げ
Chandra衛星の特徴 ROSAT衛星 かに星雲: Chandra衛星 X線望遠鏡+X線CCD 綺麗なX線画像
ヨーロッパ: XMM-Newton衛星 全長10m , 3900トン アリアンVロケットで、1999年打ち上げ
XMM-Newton衛星の特徴 X線望遠鏡+X線CCD 空の何も無い所を長時間見た結果 全てブラックホール 暗い天体までよく見える。