GPSを用いた地理空間情報の収集(その1) 2017/3/1 GPSを用いた地理空間情報の収集(その1) 【地方公共団体向け】 開発担当者 :首都大学東京 都市環境科学研究科 教授 若林芳樹 Copyright © 2009 Tokyo Metropolitan University, Prof. Yoshiki Wakabayashi
授業の概要と目標 概要 地理空間情報活用推進基本法の施行に伴い、GISで利用可能な地理空間情報が飛躍的に増加することが見込まれる。 この授業では、利用可能な既成の地理空間情報の概要を紹介した上で、オリジナルな地理空間情報をGPSで収集し、GISで利用するための手順を学習する。 授業の目標 作業課題に適した精度や内容をもつ既成の地理空間情報を選んで入手し利用する方法を理解する GPSを用いたフィールドワークにより地理空間情報を収集し、GISで利用可能な形式に変換する方法を学ぶ。 フィールドワークで収集したデータを自治体の業務に活用する仕方を考える。
スケジュール 概要説明(30分) フィールドワーク(60分) テーマ「会場周辺の防災マップ情報を収集する」 目的、スケジュールの確認 GPSについての説明 フィールドワーク(60分) テーマ「会場周辺の防災マップ情報を収集する」 予めテーマを分けて班ごとにグループワークを行う 会場周辺(構内)を歩いてまわり、災害時に役立つ資源,災害時の危険な場所を点検する 点検した場所をGPSで測位、写真撮影し、情報を記録する 記録した地図とGPSデータの回収 GPSログデータの作成、地図上での写真の表示
地理空間情報の作成方法 既成の地理空間情報の利用 オリジナルな地理空間情報の作成 公的機関のデータ:基盤地図情報、地球地図(国土地理院)、統計GIS (総務省)、国土数値情報(国交省)・・・ 民間のデータ:ゼンリン、昭文社、ESRI-J・・・ オリジナルな地理空間情報の作成 地図上の緯度経度情報の取得:ex.ウォッちず、Google Maps 紙地図のデジタル化:スキャンしたラスタ画像の取り込み 住所情報のジオコーディング:ex.CSVアドレスマッチング(東大CSIS) GPSによる現地での測位 ※ 下線部は、本日の講習会で使用する方法
フィールドワークの準備 配布するもの GPS受信機(i-got U):1人1台(または班に1台) 会場周辺の白地図(記録用):全員 デジタルカメラ(またはカメラ付き携帯電話):班ごとに1台 会場周辺の白地図 地図画像の出典:「電子国土」http://portal.cyberjapan.jp/
GPSを用いたフィールドでの地理空間情報の収集 フィールドでの位置の把握方法 地図を読んで現在地を地図上の位置に対応させる 長所:特別な機器は不要、安価に実施できる 短所:個人の地図読図力に依存、ヒューマンエラーの影響 GPSによる測位 長所:緯度経度情報が直接取得可能(GISとの親和性) 短所:受信状態によって誤差が生じる、建物内や地下では不可 自治体業務での応用の事例 災害時の被災状況調査 不法投棄場所の分布調査 道路や水路の占用物調査 動植物の分布調査・・・etc。
【課題】フィールドで地理空間情報を収集する テーマ:会場周辺の防災マップ情報を収集する 災害時に役に立つ資源:自動販売機(飲料水),コンビニ,病院など 災害時の危険な箇所:狭い道,袋小路,ブロック塀など 班ごとに配布するもの GPS受信機:1台 デジタルカメラ(またはカメラ付き携帯電話):1台 その他:白地図、メモ用紙、クリップボード 班ごとに役割分担を決めてテーマに即したデータを収集する GPS係:トラッキングの開始と終了の時だけスイッチを押し、移動中は測位状態を確認する 写真係:点検した場所の写真撮影 地図係:白地図上での位置確認、撮影場所の位置の記録 記録係:撮影した場所の属性情報の記録 ※ 地図上に番号を付けて,記録した属性と照合できるようにする
点検項目 A)災害時に役に立つ資源 コンビニ,病院,公園,学校などは既成の地図にも掲載されている 自動販売機:既成の地図では位置がわからない → 現地調査:飲料水の自販機のみ(災害対応型かどうかも記録する) B)災害時の危険な箇所 狭い道,袋小路:地図でもある程度わかる 倒壊の恐れがあるブロック塀,落下の危険性がある看板など(固定していない自販機も危険) → 現地調査(危険の種類別に記録する)
【補足説明】日本の自動販売機 世界一の設置台数、販売品目:約520万台(うち半数が飲料水)→ 人口22人に1台 世界一の設置台数、販売品目:約520万台(うち半数が飲料水)→ 人口22人に1台 設置場所:既存の地図では不明(タバコ、アルコール飲料は国税庁の免許が必要) 海外の自動販売機:交通機関や屋内に設置、品目限定 問題点:電力消費、景観への配慮、道路へのはみ出し 多機能化:災害時の無料提供・災害情報伝達、無線LANアクセスポイント・・・ 災害対応型自動販売機の例 http://www.cocacola.co.jp/machine/special.html
【補足説明1】GPSの仕組みと概要 地球上空約2万kmを12時間で周回する24個のGPS衛星からの電波の到達時間から、衛星と地上の受信機までの距離がわかる 4機の衛星から受信機までの距離によって地上の位置がわかる。 出典:『GPSフロンティア』
【補足説明2】GPSの誤差(出典:『図解これでわかったGPS』) 受信機雑音→ 約0.5m GPS衛星の原子時計の誤差 送信された時刻の誤差→ 約2m GPS衛星の軌道の誤差→ 約2m 大気による誤差 電離層遅延→ 0.3m~10m(太陽活動で変動) 対流圏遅延:水蒸気による吸収→ 2~3m 受信機の測定誤差 マルチパス 地形、建物、木などの反射波→ 1~十数m SA(精度劣化操作;人為的誤差):2000年から解除された ※ GPS単独測位では8~20m程度の誤差が含まれる(おもに大気中の水蒸気とマルチパス) → 地上基地局からの信号で補正可能(ex.DGPS)
小型GPS(i-gotU)の使用法 i-gotU GT-100 (Mobile Action Technology Inc.) (http://global.mobileaction.com/product/product_i-gotU_GT-100.jsp) オン、オフ:ボタンを長押しする 「青色LED」で電源オン 「赤色LED」で電源オフ データ取得:赤と青のLEDが点滅(約1分後) メモリー(16,000点)フル:3秒間に2回点滅 (今井修先生提供資料)
小型GPSの設定:トラッキング間隔 「ハードウェア設定」アイコンをクリック ハードウェア設定ダイアログで「設定」を選択し、「次へ」をクリック 次の画面で「手動制御」を選択し、「次へ」をクリック ウィザード設定ダイアログでトラッキング間隔を「10秒」に設定 設定変更が終わったら「完了」をクリックする→ GPSに設定情報が転送される
班ごとに課題に沿って野外でデータを収集する フィールドワークと事後処理 班ごとに課題に沿って野外でデータを収集する 観察した場所の記録:GPSで測位した緯度経度、地図上での記録した場所、現場の写真、場所の属性情報 (フィールドワーク終了後) 部屋に戻ってPCで作業 GPSデータをPCに転送 写真ファイルのPCへの転送 専用ソフト@tripによる写真とGPSデータの結合→ 撮影位置の緯度経度を付けたExifファイル作成 @tripで記録した場所の地図と写真を表示
小型GPSで取得したデータと写真をパソコンに転送 小型GPS(i-gotU)専用ソフト@tripを起動 GPSのドックをパソコンのUSB端子につなぎ、ドックに小型GPS(i-gotU)をセットする 「GPSデバイスが検出されました。今すぐGPSログデータをダウンロードしますか?」と表示されたら「はい」をクリック。 ダウンロードが済むとトラック選択画面に切り替わるので、「次へ」を何回かクリック。 ダウンロードしたトリップを選択すると、GPSの軌跡がGoogle Mapsに表示される 写真のファイルをPCに転送 ダウンロードしたトラック
時刻をキーにして場所と写真を結びつける @tripを起動する GPSから軌跡データを取り込む 「トリップから編集する」を選び、trip composerを立ち上げる ボタンを押し、写真を入れたフォルダーを指定して、trip composerに取り込む GPS軌跡データ 写真撮影記録
Exifの情報を確認する ExifReader(フリーソフト)を起動 ExifのGPS情報 Exif情報を埋め込んだ写真ファイルを開く
GPSで取得した緯度経度と関連づけた写真の表示 背景はGoogleMaps
トリップのログデータを保存する トリップ名にカーソルを合わせて右クリック メニューから「CSVにエクスポートする」を選択 2017/3/1 トリップのログデータを保存する トリップ名にカーソルを合わせて右クリック メニューから「CSVにエクスポートする」を選択 保存するファイル名を指定する。 (ついでにGPX形式でも保存しておくとよい) 緯度・経度 ログデータの中身 Copyright © 2009 Tokyo Metropolitan University, Prof. Yoshiki Wakabayashi