親の収入水準と子の学力水準 名古屋学院大学 上山ゼミ 16E0003 安達 悠人 16E0295 松本 侑樹
目次 意義・背景 使用データ解説 親調査 子調査 クロス集計 回帰分析 結論 改善策
1.意義・背景
本研究の目的 親の収入と子どもの学力に因果関係が存在するのか。 親の収入水準によって子どもの学力水準に対して影響を与えているのではないのかと疑問を持った。
意義・背景 教育基本法によって、だれでも教育を受けることができる。 2013年度中部経済学インターゼミ 柳原ゼミ 柳原ゼミ 「教育機会格差の是正のために」
年収300万円以下の人口の推移 年収ラボ http://nensyu-labo.com/heikin_kakusa.htm
本研究の仮説 ここで我々はある仮説を立てた もし親の収入水準により子どもの教育機会が失われ、学力に影響を与えているのならば、学業へ意欲のある学生が将来高校・大学へ進学する際に必要以上に努力・結果が強いられることになるのではないか。
問題点 生まれながらの親の経済力による学力の影響は子が成長したときに問題となるのではないのか。 親の収入が学力に影響を与えているのであれば、子の間にスタートラインの格差ができてしまう。
2.使用データ解説
使用データ 出典 親と子の生活意識に関する調査,2011 調査機関 内閣府子ども若者・子育て施策総合推進室 調査期間 2011年10月27日~11月6日 標本抽出 層化2段無作為抽出法 出典 東京大学社会科学所付属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブ
使用データ アンケート対象 全国の中学生3年生(14歳~15歳) 上記の父・母(義父・義母含む) サンプル数 親 3197人 子 3192人 合計 6389人 有効値 2013 欠損値 1184
①親調査説明
親調査説明目次 親の年齢 親の収入 収入の内訳 生活で不足している経費 子どもの教育にかかる経費で負担に感じるもの 子どもの習い事 習い事をしていない理由 必要だと考える子育て支援
a.親の年齢棒グラフ 親調査:問2 あなたの年齢はおいくつですか。 度数 最小値 最大値 平均値 標準偏差 年齢 2013 25 68 44.71 4.680
b.親の収入棒グラフ 親調査:問20 あなたの世帯の収入をすべて合計すると、去年1年間において、税込みではおよそいくらくらいになりますか。
c.収入の内訳 問21 「問20」の収入の内訳には次のどれが含まれますか。 (%)
d.生活で不足している経費 親調査:問23あなたのご家庭では、毎日の生活上で次のようなことがあてはまりますか。 (%)
e.子どもの教育にかかる経費で負担に感じるもの 親調査:問15 お子さんの教育にかかる経費について、負担が大きいと感じているものはありますか。 学校外の経費は塾や家庭教師などにかかる経費である (%)
f.子どもの習い事 親調査:問13 お子さんは、現在、塾に行ったり習い事をしたりしていますか。(費用がかからないサークル活動等を含まない) (%)
g.習い事をしていない理由 親調査:問14 「問13」で“塾や習い事をしていない”と答えた方にお聞きします。お子さんが塾や習い事をしていない理由はなんですか。 (%)
h.必要だと考える子育て支援 親調査:問38 あなたのお子さんを育てるのにあたって、どのような子育て支援が必要だ(必要だった)と思いますか。 (%)
親調査まとめ 収入のほとんどが仕事からなる 回答者の約8割が子ども手当を収入に含んでいる 子どもの教育資金が不足していると答えた人は回答者全体の約4割 特に学校外での教育資金が不足している 回答者の6割超が教育に関する金銭的給付を希望している
子ども手当とは 15歳以下の子どもがいる家庭に毎月手当を支給するものである ○0~3歳未満一律15,000円 ○3歳~小学校修了まで 第1子・第2子:10,000円(第3子以降:15,000円) ○中学生一律10,000円 ○所得制限以上一律5,000円(当分の間の特例給付) ※所得限度額 960万円未満
2011年中学生子ども手当受給状況 総数 3,282,942世帯 支給対象となる中学生数別 1人 2,955,713世帯 総数 3,282,942世帯 支給対象となる中学生数別 1人 2,955,713世帯 2人 319,747世帯 3人 7,482世帯
②子調査説明
子調査目次 子供の男女比 子の学力 子どもの理想学歴
a.子どもの男女比 子調査:問1 あなたの性別をお答えください
b.子の学力棒グラフ 子調査:問9あなたの成績は、学年の中でどのくらいですか。
c.子どもの理想学歴 子調査:問14あなたは、理想的には将来どの学校まで行きたいと思いますか。
子調査まとめ 現代の中学3年生は大学を卒業したいと希望している人が6割いる
関係性があるのか 親の収入 子どもの学力 子どもの理想学歴
3.クロス集計
収入と子どもの学力 以上の結果から親の収入と子どもの学力には関係性があると、推測される。
収入と子どもの理想学歴 親の収入が高いほど子どもの理想学歴が高くなる傾向にあると 予想できる
4.回帰分析による考察
本当に親の収入が影響を与えているのか。 従属変数:子の学力 自由度:2001 修正済み決定係数(補正R2):0.15 係数 t値 切片 0.64** 2.13 世帯収入 0.06*** 5.61 学習塾ダミー(無=0,有=1) 0.23*** 4.13 子ども手当ダミー(無=0,有=1) 0.08 1.20 親の希望学歴 0.20*** 10.12 親の最終学歴 0.11*** 4.57 子の性別ダミー(男=0,女=1) 0.14*** 2.71 親の年齢 0.01 1.67 兄弟姉妹数:兄(人数) -0.18*** -3.85 兄弟姉妹数:姉(人数) -0.19*** -3.49 兄弟姉妹数:弟(人数) -0.04 -0.79 兄弟姉妹数:妹(人数) 0.02 0.41 修正済み決定係数(補正R2):0.15
収入以外から考察 例えば・・・ 塾、暮らし向き 教育費用の算出が多いほど、子どもの学力は上がる傾向がある。
子の理想学歴は収入に影響を受けるのか 従属変数:子の理想学歴 自由度:2001 係数 t値 修正済み決定係数(補正R2):0.29 切片 0.36 1.31 世帯収入 0.08*** 7.85 学習塾ダミー(無=0,有=1) 0.20*** 3.89 子ども手当ダミー(無=0,有=1) 0.05 0.91 親の希望学歴 0.32*** 17.35 親の最終学歴 0.13*** 5.92 子の性別ダミー(男=0,女=1) 0.04 0.89 親の年齢 0.03*** 4.91 兄弟姉妹数:兄(人数) -0.26*** -5.94 兄弟姉妹数:姉(人数) -0.15*** -3.03 兄弟姉妹数:弟(人数) 0.06 1.38 兄弟姉妹数:妹(人数) -0.03 -0.72 修正済み決定係数(補正R2):0.29
回帰分析まとめ 子どもの学力に収入は影響している 子どもの理想学歴に収入は影響している 子ども手当の効果が十分に発揮されていない 学習塾通塾の有無で学力に差が出る 親の希望が子どもに影響を与えている 兄姉がいる場合、学力・理想学歴に影響を与えている
5.結論
結論 親の収入と子どもの学力には関係性がある 親が教育費用を算出すればするほど子どもの学力水準が上昇する傾向にある 子ども手当は効果が薄かった では、どのようにすればよいのか
6.改善策 バウチャー制度 先行研究「教育機会格差の是正のために」 (柳原ゼミ) 現金ではなく申請でキャッシュバック制 (塾などの費用) 先行研究「教育機会格差の是正のために」 (柳原ゼミ) 現金ではなく申請でキャッシュバック制 (塾などの費用) 子ども手当という手もあるが、現金支給には有意性が無かったと回帰で証明済 もし、別の案があればおしえて
参照 東京大学社会科研究所付属社会調査データアーカイブセンターSSJデータアーカイブ 調査番号0836「親と子の生活意識に関する調査,2011」 年収ラボ 収入格差 http://nensyu-labo.com/heikin_kakusa.htm 厚生労働省 児童手当についてhttp://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/jidouteate/index.html