秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然として知られていないもの(不2Ⅳ)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
個人情報保護講座 目 次 第1章 はじめに 第2章 個人情報と保有個人情報 第3章 個人情報保護条例に規定されている県の義務 第4章 個人情報の漏えい 第5章 個人情報取扱事務の登録 第6章 保有の制限 第7章 個人情報の取得制限 第8章 利用及び提供の制限 第9章 安全性及び正確性の確保 第 10.
Advertisements

情報漏洩トラブル根絶に向けて 平成20年度 光風台小学校 情報主任 松﨑作成.  要点は6つ ウィニー 個人情報とは?パスワード 情報管理 ウィルスモラル・ルール.
1 個人情報保護について 弁護士法人龍馬 弁護士 舟木 諒,板橋俊幸. 情報化社会 □ 個人情報保護法の概要 2003 年(平成 15 年) 5 月 23 日成立, 2005 年(平成 17 年) 4 月 1 日全面施行。 ◆成立の背景 プライバシー侵害 国際上の問題 住民基本台帳問題 個人情報漏洩問題.
オープンソースと知的財産権 2005年10月 弁護士 椙山敬士. 目次 1.知的財産の概略・・・著作権と特許 権 2.プログラムに関する知財政策の歴史 3.オープンソースの法律関係 著作権法と契約法(民法) 4.オープンソースと特許法の関係.
第8回 商事関係法. 前回の内容 商号とは 類似商号規制の撤廃 類似商号の事例研究 名板貸って 名板貸の事例研究.
法務部・知的財産部のための 民事訴訟法セミナー
第6章 インターネットと法律(後編) [近代科学社刊]
求償・免責について 第三者加害行為事案に伴う事務
インターネットでの権利侵害と プ ロ バ イ ダ の 責 任
著作権について.
インターネットを取り巻く法律 情報社会と情報倫理 第13回.
法律行為(契約) 民法上の法律行為の代理 商法行為の代理
医療事故 2002.6.7.
セキュリティ・アーキテクチャに基づく IT 設計
知らないで、 いつのまにか罪を犯していた…
1.
第6回 商事関係法.
第4回 商事関係法.
知的財産制度 2002.10.18.
基礎商法2 第2回.
「事 務 管 理」 の 構 成 債権 第一章 総則 第二章 契約 第三章 事務管理 第四章 不当利得 第五章 不法行為.
■「理工系学生向けの知的財産権制度講座」集中講義用カリキュラム(90分×6コマ)
2002年12月16日 ドメイン名に関する最新動向(IW2002) 丸山直昌
法と経済学研究 2016年度 麻生良文.
 テーマ別解説 情報モラルの5つの領域 岐阜聖徳学園大学 教育学部 准教授 石原 一彦.
サイバー犯罪と捜査 ~なぜ犯人は捕まったのか~
サイバー犯罪と捜査 ~なぜ犯人は捕まったのか~
債権 債 権 法 の 構 造 (不法行為法:条文別) 第709条 不法行為の要件と効果 第710条 非財産的損害の賠償
情366 「情報社会と情報倫理 」 (7)Patent
第6回 商法Ⅰ.
経済活動と法 ~不法行為~ <製造物責任>.
特許戦略 2002.10.18.
ベンチャーのためのアメリカ法人設立 (国境を越えたビジネス展開)
企業法I(商法編)講義レジュメNo.07 商業使用人 会社の使用人
滋賀県産業保健推進センター 2009/03/05 弁護士 土井裕明
交通事故 1.交通事故の発生状況 2.自動車損害賠償責任保障法 3.中間責任主義 4.運行供用者 5.運行支配と運行利益
模擬裁判2008 ~ウルトラマンは正義か?~ 事件の概要.
情報法 第6講 情報不法行為(2) プロバイダ責任.
第7回 商法Ⅱ 2006/11/20.
第3回 商法Ⅰ.
情報倫理意識調査結果 2003年度 (調査対象:133人) 情報リテラシ2003 野村松信・須藤秀紹.
請求権競合論 1.請求権競合論とは 2.問題点1,2 3.学説の対立 4.請求権競合説 5.法条競合説 6.規範統合説
著作権入門セミナー 第2回 著作権を利用する契約と著作権制度
安全配慮義務違反 安全配慮義務違反(債務不履行責任)に対しての高額化する民亊損害賠償
第22回 商事関係法 2006/01/ /11/8.
第8回 商法Ⅱ        2006/11/ /11/8.
2018/11/8 民 法 の 構 造 (編別) 事務管理・不当利得・不法行為.
第6章 インターネットと法律(後編) [近代科学社刊]
ご提案資料 xxxxx株式会社 作成日:2016.xx.xx.
Claim Report 公衆責任保険の事例紹介 重要事項 結果 支払保険金額
不正競争防止法の一部を改正する法律について
東京経営短期大学 経営総合学科 准教授 玉田 和恵
政府が目指している 秘密保全法の どこが問題か
健康・安全〔事故〕 自転車に乗り 「ながらスマホ」は犯罪? ■指導のねらい  自他の安全面に配慮した行動ができる。
第7回 商事関係法.
第7回 商法Ⅰ 2006/05/31.
個人情報保護法案整備の背景 情報処理の普及 (インターネットの普及) プライバシーの権利 個人情報の保護の必要 脅威 事故
1C1 協創と地球環境保護の時代に向けた知的財産権制度
「ポジティブ・オフ」運動賛同登録申請書 賛同登録申請書 送付先 「ポジティブ・オフ」運動事務局長 殿 1 3 2 4 5 6
「内部告発」 という名の ボランティア 金沢大学附属病院 産婦人科講師 打出喜義.
著作権入門セミナー 第1回 著作権制度の基礎 用賀法律事務所 弁護士  村瀬 拓男.
2001.12.4 エルティ総合法律事務所所長弁護士 システム監査技術者 藤 谷 護 人
第13回 法律行為の主体②-b(無権代理、表見代理)
「不 当 利 得」 の 構 造 債権 第一章 総則 第二章 契約 第三章 事務管理 第四章 不当利得 第五章 不法行為.
事例6 ID・パスワードの管理.
2008年度 倒産法講義 民事再生法 9 関西大学法学部教授 栗田 隆.
第10回 商法Ⅱ 2006/12/11.
アメリカのプロパテント政策 2002.10.11.
必要事項をご記入のうえ FAX:011-231-1078 宛にお送りください。
ご提案資料 xxxxx株式会社 作成日:2016.xx.xx.
Presentation transcript:

秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然として知られていないもの(不2Ⅳ) 3.6 営業秘密 秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然として知られていないもの(不2Ⅳ)

3.6.1 ノウハウ…営業秘密の代表的存在 米国を中心にして頻繁に使われており、契約文書にも使用されるが、ノウハウという言葉には、国際的にも確定した定義はない。 ノウハウの概念に、秘密性は絶対的・本質的・不可欠のものではない。 外国ではノウハウという言葉より、営業秘密(Trade Secret)の方が一般的である。 BILPIの模範法の定義「技術的ノウハウとは、製造工程ならびに工業技術の使用及び応用に関する知識を意味する」

3.6.2 技術上の営業秘密 独占権ではなく、事実上の財産。 特許を取るより他人に技術を知られることの不利を避ける。 特許の取れる技術ではないが、情報を秘密にしておく方が競争上有利である。 特許取引の際、その製造方法や操作方法に対する技術的秘密情報の移転を加えることがある。 技術的秘密情報だけを買ったり、ライセンスを受けたりすることもある。

3.6.3 技術上の営業秘密の保護 ノウハウが漏れて、他企業に技術を真似られても実施を止めるよう文句はいえない(昭和41年9月東京高裁) GATTウルグアイ・ラウンドの交渉で、不正競争防止法に営業秘密の保護が補完された。 技術的営業秘密を盗む行為は民法上の不法行為が成立(工場への無断進入(住居侵入罪)、図面や複写紙の盗み(窃盗罪、業務上横領罪)、職務への違反(背任罪))するとされているとが、無形の技術情報を盗むこと自体は、現行法上、罪にはならない。

3.6.4 不正競争防止法による営業秘密の保護 情報にアクセスする者に秘密であることを示し、アクセスできる者を制限している管理された秘密で、かつ技術的ノウハウなどの生産方法の情報、秘密の顧客名簿、仕入先名簿、販売マニュアルなどの販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報で、一般に情報が入手できない公然と知られていない情報(2Ⅳ)。

3.6.5 営業秘密に関する不正競争類型 (1) 不正取得行為 (2) 不正開示行為 (3) 秘密の転得行為 (4) 事後的悪意者 (5) 従業員、下請けなどが、元来は正当に得た秘密の信義則違反 (6) 不正開示者からの転得 (7) 不正開示行為に係る事後的悪意

不正競争類型の意味(1) (1) 不正取得行為 窃盗、詐欺、脅迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為 (2) 不正開示行為 不正取得行為により取得した営業秘密の使用・開示行為(開示を受ける者に秘密を漏らさないことを条件として、それが守れていても開示になる)

不正競争類型の意味(2) (3) 秘密の転得行為 不正取得行為の介在を知りながら(もしくは、重大な過失により知らないで)営業秘密を取得・使用・開示する行為 (4) 事後的悪意者 取得した後、その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知りながら(もしくは……)営業秘密を使用・開示する行為

不正競争類型の意味(3) (5)従業員、下請けなどが、元来は正当に得 た秘密の信義則違反 営業秘密を保有する事業者から、営業秘密を示された場合、不正競争その他の不正の利用目的、または、保存者に損害を加える目的で営業秘密を使用・開示する行為。

不正競争類型の意味(4) (6) 不正開示者からの転得 営業秘密の不正開示行為であること、もしくは不正開示の介在を知って(もしくは……)営業秘密を取得・使用・開示する行為 (7) 不正開示行為に係る事後的悪意 取得後に秘密不正開示行為の存在、もしくは秘密の不正開示の介在を知って(もしくは……)取得した秘密を使用・開示する行為

3.6.6 営業秘密侵害の救済 営業秘密侵害によって営業上の利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者 営業秘密侵害の停止、あるいは秘密設計図の実施の停止など、危険予防等を請求することができる。 差止請求の際、秘密を入力したテープなど侵害行為組成物、秘密ノウハウを用いて製造した製品など侵害行為による生成物の破棄、秘密ノウハウを実施するための製造ラインなど侵害行為に供した設備の除却など侵害の停止・予防に必要な行為を請求することができる。

営業秘密侵害があった場合 利益侵害者には損害賠償責任が生ずる。 裁判所は請求により、損害賠償を行う・行わないに関わらず、謝罪広告など被害者の信用回復に必要な処置を命ずることができる。

営業秘密侵害の時効 営業秘密の侵害の停止または予防請求権は、侵害法益の保有者が侵害事実及び行為者を知ったときから3年で時効消滅。 行為開始から除斥期間10年を経過したときも同時に消滅する。 侵害行為が、権利消滅後も継続している場合、その営業秘密について除斥期間を超えて損害賠償請求はできない。

善意・無重過失の第三者保護 ノウハウ譲渡・ライセンス取引などによって営業秘密を取得したものが、取得時に営業秘密について不正開示行為・不正取得行為の存在、不正開示行為の介在などがあることを知らなかった場合、かつその知らないことについて重大な過失がない場合に限る。 その取引によって取得した約定の使用期間・目的の範囲内で、その営業秘密を使用し、または開示する行為については不正競争防止法は適用されない。