第10回 ほかのフィールドセンサ 環境センサ IDセンサ
センシングとは 出典)山崎弘郎著 センサ工学の基礎,昭晃堂,平成14年.
環境と計測 目的 計測の対象 計測(センシング)の原理 物理環境の構成・状態・変化を知る 環境現象が発生・変化・変異するメカニズムを知る 環境の変化を誘導・制御・回避する 計測の対象 力->圧力センサ 長さ->速度・距離センサ 流速->流量センサ 熱->センサ 物質構成->成分センサ 計測(センシング)の原理 接触センサ・非接触センサ ポイントセンサ・イメージセンサ 能動センサ・受動センサ
センサの基本構造 磁気センサの場合 受信した信号を中継送信する センサの一般構造 出典,田所嘉昭,計測・センサ工学)
センサの基本回路 ガス温度センサの場合 物質内で高温から低温に伝わる現象を熱伝導と呼び,熱伝導が良いか悪いかを示す値を熱伝導度という。
能動センサと受動センサの違い 受動センサ 能動センサ 質問: センサって,なにを計測しているのか.物質?,エネルギー?,情報?
アナログセンサとデジタルセンサ アナログセンサ デジタルセンサ AD変換
温度センサ 温度センシングの意義は? 質問:温度とはなに? 温度の単位 温度測定の方式 摂氏(℃),華氏F(F=32+℃),ケルビンK(K=273.15+℃) 温度測定の方式 接触測定法:センサと対象物が接触し,熱平衡状態になるようにしてセンサの温度を読む方式 熱電形温度計 抵抗形温度計 熱膨張温度計 非接触測定法:対象物が放出する熱放射を測定して熱放射源の温度を求める方式 単色形放射温度計 全放射温度計 温度センシングの意義は?
サーミスタ(接触型温度センサ) サーミスタの特徴は 非常に小型にできる。 信号出力が大きくでき、実用上2/10000程度の微小温度の検出が可 能である。 素子の電気抵抗が大きくリード線抵抗などの誤差の影響は小さい。 補償導線や基準温度などを必要としない。 抵抗素子であるので、電子回路と組み合わせやすく応用範囲が広い。 品質のバラツキがある(現在では極めて小さい)。 機械的衝撃に弱い。 軍事規格サーミスタ ビード型サーミスタ ビード型ガラス封入プローブ NTCチップ型サーミスタ 表面実装NTCサーミスタ Isothermサーミスタ
放射輝度を観測する非接触センサの場合(表面温度) 黒体放射と温度との関係に関してはプランクの法則 単位面積、単位時間、単位波長帯の放射量 つまり、黒体放射量は、波長と温度に依存する。波長がわかっていれば、放射量から物体の温度を計算することができる。
黒体放射の温度変位 ウイーン変位則 地球表面の温度は300K。最大放射量波長帯は9.7μm。これは放射計で放射温度を測定するための最適波長帯だ。ちなみに太陽表面の温度は5780Kで、最大放射波長は0.5μmである。
放射量に放射率を考慮する 黒体の全波長帯に対する放射の合計 地表面の一般物体の全波長帯に対する放射の合計 放射率 地表物質 放射率 地表物質 放射率 水 1.0 植生 0.98 アスファルト等 0.95 黒体反射も一般物体の反射も温度と波長の関数であり、その関数は線形でないため、εも厳密には温度と波長の関数である。しかし、常温では変化の幅が小さいと見られる。
地上で放射温度計で放射温度を測る 直接℃として表示されているが、放射率を定数としている。
成分センサ 対象成分に対する選択性を利用することが基本 成分センサ 対象成分に対する選択性を利用することが基本 ガス成分センサ 熱伝道形ガスセンサ ガスクロマトグラフ 赤外線ガス分析計 表面付着を利用したガスセンサ 液体成分センサ: pHセンサ イオンセンサ 導電率形液体濃度センサ
気体の比熱伝導率の違い 空気の熱伝導率を1.00としたときの気体の比熱伝導率
ガスクロマトグラフによる他成分気体センサの原理 試料ガスの前処理によって成分を空間的あるいは時間的に分離すると,3成分以上のガスの分析ができることになる. キャリアガスと分離管(カラム)により試料成分を時間的に分離して,順次熱伝道形ガスセンサに送り込み,多成分分析を行うのがガスクロマトグラフである.
赤外線ガス分析計 リモートセンシング衛星に搭載していることが多い。
計画中の温暖化ガス観測衛星(GOSAT)の例 地球から宇宙へ放射される赤外線を宇宙で観測し、その赤外線放射を詳しく分析することにより、大気中の温室効果ガスの濃度を算出する。
個体識別センサ:RF-ID Radio Frequency Identification System 非接触でデータの読み出し&書き換え(Read&Write)が可能。 「もの」と「情報」との一元化 生産品種、機種、ロット管理 生産工程の履歴管理 検査工程での検査情報管理 電波・電磁波で交信するため、汚れ、ほこり等の影響を受けない。 水、洗浄液、溶剤、塗料、アルコール、クーラント 等 切削片、スパッタ、遮蔽物(金属以外) このページ以下は,OMURON社のHP資料を利用しています.
RFIDの利用イメージ
RFIDの特徴 タグの形状に様々な形状がある。 小型化しやすく、小さな取り付けスペースにも対応できる。 タグは、耐環境性に優れ、水、油、薬品等の汚れや、外乱光による影響を受けない。 タグは、半永久的に使用可能。アンテナ側からの非接触電力伝送により、電池レス化。 メンテナンスフリーなうえ、繰り返し使用によりランニングコストも安価。(再利用型) 読み書きが自由。 紙・木・プラスティックなどの非金属であれば、透明でなくても透過して通信することが可能。 記憶データ容量が大きい。
RFIDの種類
RFIDの機能比較
RFIDの形状
RDIDの使い方 (1:N) 複数のRFIDタグと一度にアクセスする RFIDタグがアンテナの領域に入ってきた順番にアクセスする。 (1:1) RFIDタグがアンテナの領域に入ってきた順番にアクセスする。 (1:N) 複数のRFIDタグと一度にアクセスする (1:1/N) 複数のRFIDタグの内、限定したタグとのみアクセスする
まとめ 宇宙からのセンシングとRFIDのような近距離センシング、かなり違うように見えるが、同じ原理のものが多い。 環境が違えば、まったく異なる使い方、システム形態を求める。それにどう対するか、技術の組み合わせ、あるいは新規開発が必要になる。 身近に、これらの技術が役に立ちそう、あるいは必要なケースをあげよ。