ヒートナイフの開発 埼玉大学 大学院理工学研究科 長谷川 靖洋 hasegawa@d-kiki.ees.saitama-u.ac.jp
ヒートナイフとは? ナイフの刃先に、シート状ヒータを埋め込んだもの (平成15年11月13日特願2003-384317, 平成17年6月9日公開) 厚さ0.05~0.1mm、抵抗値10Ω程度 内部にヒータを埋め込んである 厚さ:0.7mm グリップ部:〜10cm 刃先部:〜10cm スポンジのような柔らかいものを切ることを想定 一般の包丁などと異なり、刃先はそれほど鋭くない
ケーキの切り方 チョコレートケーキを切る 特徴 ・非常に柔らかい ・チョコ粉末塗布 ケーキ屋では一般的に用いられる手法 上部から切る 刃先を温めて 切断 そのまま 切断 ・切断面が汚い ・刃先が上部チョコ粉末を巻き込む ・切断面がきれい ・上部チョコ粉末はそのまま
ヒートナイフとしての使い方 使い方は非常にシンプル スイッチを押して、刃先部に埋め込まれたヒーターに通電 数十秒程度で、25℃から65℃程度、温度上昇(その後、自動的に通電停止) ケーキを切る,バターを塗布する(パン,ホットケーキなど) ヒートナイフ(プロトタイプの写真) 使い方は非常にシンプル
ヒートナイフの概要 平成16年度中にプロトタイプを作製 電源は乾電池を採用 回路で制御する事によって熱しすぎを回避 ステンレス製の刃先で、 スイッチ シート状ヒータ 金属製刃先 乾電池 電源は乾電池を採用 回路で制御する事によって熱しすぎを回避 シート状ヒータを組み込んだ 実際の刃先(プロトタイプ) 〜10cm ステンレス製の刃先で、 強度・密封性・清潔度を確保
ヒートナイフのプロトタイプについて ケーキ用ヒートナイフ バターナイフ用ヒートナイフ 基本的に刃先部の長さが違うだけで、構造は同じ オペアンプを使った電気回路 現在、電気回路を作製中 どこまで小さくできるか? カスタムIC化
販売経路と市場規模 ・通信販売事業の利用 ・外食産業(ファミレス)の利用 ・ブライダル事業の利用 ・インターネット事業の利用 1本2,500円の価格設定 一般的な小売りでは、採算がとれない可能性 大 現実的で、中間マージン・広告費などを抑えた販売経路の確立 ・通信販売事業の利用 ・外食産業(ファミレス)の利用 ・ブライダル事業の利用 ・インターネット事業の利用 国内市場規模:数万本 数千万円単位 大学−中小企業共同起業化のモデルケース
ヒートナイフ商品化の方向性 コンビニエンス業界からの大きな需要有り 平成17年度の研究開発によって... 技術的な問題は ほぼクリア 家庭用バターナイフ用 技術的な問題は ほぼクリア 家庭用ケーキナイフ用 電力供給に問題残る ケーキ用ヒートナイフの需要 家庭用では、年に2,3回程度の使用頻度 商品化,企業化のために、違う市場を開拓する必要有り コンビニエンス業界からの大きな需要有り
湯煎したナイフを用いてケーキを切る作業では コンビニのケーキを切る 毎日、膨大なコンビニのケーキは... 定番商品(約50%)は、専用の機械(〜300万円)で切っている 企画物などその他の商品(約50%)は手作業で切っている 湯煎したナイフを用いてケーキを切る作業では 衛生的に問題,生産性も低下
専用業者向けケーキ用ヒートナイフ 需要見込み(国内) 刃先加工が終了しプロトタイプを作れば、製品化可能 最も大きな違い・・・電源供給が外部から可能 リード線がつくが、衛生面・生産性からメリット大 刃先加工が終了しプロトタイプを作れば、製品化可能 需要見込み(国内) コンビニ業界・・・・・5000本 ホテル・ケーキ屋・・・5000本 採算ベースに乗る3000本を越える 実際にコンビニにケーキなどを納入する業者からの要望有り
業務用ヒートナイフの開発 遂に完成(四号機) 〜20cm(業者要望サイズ) スイッチ 持ち手部 通電ランプ 外部電源 2006年のコンビニ用のクリスマスケーキ等を切るために実用化予定
業務用ヒートナイフのデモ予定 さらに改良を加え、製品化を目指す 埼玉大学Science & Engineering フェア 日程:2006年11月10,11日 場所:大宮ソニックシティ展示場 彩の国ビジネスアリーナ2007 日程:2007年2月7,8日 場所:さいたまスーパーアリーナ ●産学連携の成果として さらに改良を加え、製品化を目指す
何故今までこのようなモノが無かったか? 家庭用の商品として、多くの人が刃先を温めたナイフの利用価値に気づいていた ■ケーキナイフ ■バターナイフ ■ホットケーキナイフ等 作製上の問題点 どうやってヒーターを入れるか? ヒーターの密封性はどうするか? 刃先の強度をどのように保つか? 電源をどのように供給するか? 安全性は保てるか? 衛生面をクリアできるか? プロトタイプを作製してみると、刃先の加工など、 選択の幅が極めて少なく、作製はかなり困難を極めた
何故プロトタイプを作製したのか? デフレ時代の負のループ 大学の力を 単価の低いものを作製・販売 新分野への する中小企業の開発費の減少 開拓不可能 デフレ時代の負のループ 国プロ主導の、一台数百万〜数億円の装置ではなく、 単価が低く且つリスクも少ない製品の開発に、 大学の力を 製品アイディア・製造工程などすべてを考慮した プロトタイプを作製しての中小企業への提案 ■リスク分散 ■大学へのロイアリティーの確保 ■中小企業の活性化のモデルケース