Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICE及びSPICEモデルとは SPICE活用のメリット 2016年2月20日 マルツエレック株式会社 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEって何ですか? SPICEと聞くと・・・ 回路に付けると良さそうな新しい部品か何かですか? ノイズ対策部品的な何かですか? それは香辛料的な何かではないですよね? SPICEガールではないですよね? Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEとは SPICEとは Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis の略です。日本語では「ICのためのシミュレーション・プログラム」です。元々はIC開発のためのシミュレータでしたが、現在では回路設計において広く利用されています。 詳細は、 https://ja.wikipedia.org/wiki/SPICE_(%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2) Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEとは 市場にはいくつかのシミュレータ(SPICE)が出回っていますが、有名どころは三つくらいです LTspice(リニアテクノロジー社) 同社の半導体拡販のために無償で提供しているツール。無償とはいえ制約が非常に少なく汎用的であり、現在急速に盛り上がりつつある。 PSpice A/D(ケイデンス社) 同社の回路設計ツールOrCADシリーズの一部。パッケージ価格で130万円くらい。 Micro-Cap(Spectrum Software社) シミュレーション専用ツールで90万円くらい。制約事項がいくつかついた簡易版がCQ出版から2万円くらいで販売されている(小規模回路しかシミュレーションできない)。 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEとは(ちなみに) SPICE自体はカリフォルニア大学バークレー校で開発された無償のソフトウェア(研究開発結果)です。 現在市場に出回っているSPICEは、そのプログラムをベースとして、演算の高速化やグラフ描画機能、回路図描画機能など、便利な機能(GUI)をつけたものです。 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEでできること 実際の回路を作らなくても,設計した回路のあらゆる部分の電圧、電流波形を観測することができます。 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEでできること 安価です! 高価な測定器も不要で波形観測できます 例えば、標準的な波形観測をするものとして オシロスコープ:30万円 電源装置:10万円 ファンクションジェネレータ:10万円 電流プローブ:30万円 インピーダンスアナライザー:200-850万円 カーブ・トレーサー:250万円 容量測定機器:100万円 etc でもSPICE(LTspice)を使えば(ツール代は)タダ! Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEでできること 安全です! SPICEはシミュレーションなので、部品を壊す恐れも、感電する恐れも、火災の恐れもありません.もちろんPCが壊れることもありません。 たとえば強電(数千V)回路を実際に組んで試験して、もし失敗したら火災になるか感電するか、いずれにしても危険が伴います。 もちろん、弱電にも使えます! Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEでできること 設計を効率化できます! SPICEを使わない回路設計手順では 回路を設計する→試作する→測定する→修正する→試作する→測定する→運が良ければここで終わり でも失敗すれば延々と試作と測定を繰り返す羽目に・・・ SPICEを使えば 回路を設計する→シミュレーションする→回路を修正する→シミュレーションする→設計ミスがない状態で試作に移れる 試作の回数を削減することで、トータルコストと設計時間の削減が可能です!また、設計品質が向上します。 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEは万能か? ではSPICEを使いさえすれば完全な設計が可能なのか? 答えはNo!SPICEはあくまでもシミュレーションであり,理論に基づいた計算をしているにすぎません。 つまり、普通にシミュレーションしたのでは、理論どおりの結果しか得られません。実物の挙動とは異なった結果が得られます。 回路図通りに入力しても教科書的な波形しか得られません。寄生素子を考慮することで、再現性が大幅に向上します。 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEは万能か? 一方で,こんな事を言う人もいます 「シミュレーションと実値が異なるのは、シミュレーション・モデルの作り方が悪いだけ!モデルが正しければシミュレーション結果と実値は一致する」 では,正しいモデルとは・・・? Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEモデルとは 実際に存在する電子部品そのものの挙動を真似る、プログラムの「部品」です. 中身はこんなのです(等価回路モデル)。↓ * Copyright ゥ Linear Technology Corp. 1998, 1999, 2000. All rights reserved. * .subckt 4N27 1 2 3 4 5 R1 N003 2 2 D1 1 N003 LD G1 3 5 N003 2 .582m C1 1 2 18p Q1 3 5 4 [4] NP .model LD D(Is=1e-20 Cjo=18p) .model NP NPN(Bf=610 Vaf=140 Ikf=15m Rc=1 Cjc=19p Cje=7p Cjs=7p C2=1e-15) .ends 4N27 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEモデルとは SPICEモデルはこのように作られます OPアンプなどのICは、データシートに記載の仕様から各種の値を導き出してモデルを作ります。 ダイオードやトランジスタは、実際に通電して電圧と電流の加わり方を測定しながらモデル化します。 そのほかのモデルも、基本的には実際のものを動かした結果からモデルを作ります。 つまりSPICEモデルは実物の動きを疑似します。 SPICEモデル作成には高度なデバイスモデリング技術が必要になります。 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEモデルとは 一般に、SPICEに備わっているモデルは理想モデルか,モデルそのものが備わっていない場合がほとんどです。 理想モデルとは「理論上こう動く」というモデルであってその通りに動く「実際の部品」は存在しません。 ポイントはデバイスの等価回路にあります。 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEモデルとは 一番簡単な回路で試してみる 2本のダイオード(理想ダイオードと実際の1N4148)に0~1Vの電圧をかけて,電流の流れ方を観測してみる. Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEモデルとは 理論的にはシリコンダイオードは0.7Vをポイントとして急速に電流が流れる・・・はず では実際の部品はどうなのか? Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEモデルとは ダイオードの理想モデルと実際のモデルの差 ダイオード1本でこれだけ違うのだから,複雑な部品になればなるほど挙動は個々に異なる 緑の線が理想モデル、赤い線が1N4148の実際の挙動 Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEモデルの重要性 理想モデルで組んだシミュレーション・モデルは正しい結果を出さない 正しい結果を得るには実際の部品と全く同じ動きをするSPICEモデルを使うことが重要 実デバイスのSPIECモデルを使ってシミュレーションモデルを作れば、かなりの精度で実物の挙動を把握できる 安く、安全に、効率的に、設計品質向上に! Copyright (C) Marutsuelec 2016
Copyright (C) Marutsuelec 2016 SPICEモデルの重要性 複雑化,微細化する現代の電子回路は,シミュレーションで挙動を追うことが不可欠です 部品が微細化したので,試作しても実測できるポイントはわずかです 高精度の測定器はめちゃくちゃ高価です 試作と実測を繰り返す時代は終わりました 正しいシミュレーションを行うには,正しいSPICEモデルを使うことが重要です Copyright (C) Marutsuelec 2016