野辺山 45 m 望遠鏡用 100 GHz 帯 2SB 受信機システムの開発

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野辺山 45 m 望遠鏡用 100 GHz 帯 2SB 受信機システムの開発 第10回 受信機ワークショップ, Mar.05-06, 2010 野辺山 45 m 望遠鏡用 100 GHz 帯 2SB 受信機システムの開発 中島 拓(国立天文台・野辺山) 宮澤 千栄子、岩下 浩幸、久野 成夫、川辺 良平(国立天文台・野辺山) 片瀬 徹也、西村 淳、木村 公洋、小川 英夫(大阪府大・理) 酒井 剛、河野 孝太郎(東京大学・理) 浅山 信一郎(国立天文台・ALMA) 田村 友範、野口 卓(国立天文台・ATC)

発表内容 1. 45 m 鏡用新観測システムの概要 2. 100 GHz 帯 2SB 受信機システムの開発 3. 今後の展望 2-1. シングルビーム受信機 2-2. 2 ビーム受信機 2-3. マルチビーム受信機 3. 今後の展望

はじめに 野辺山 45 m 望遠鏡 ミリ波観測用としては世界最大級 ALMA に向けて重要な観測的研究 ALMA 時代にも重要な単一鏡 100 GHz 帯 ⇒ IRAM 30 m 鏡 (”EMIR” ; 2SB receiver, Trx~50K, IF=4-12 GHz) 低周波  ⇒ GBT 100 m 鏡 (K,Ka band ; Tsys~40 K) 早急に 45m 鏡の観測システムの開発・改修が必要

45 m 鏡用新観測システムの概要 H20 H30 H40 S40 AC45 S80 S100 BEARS T100 TZ 5-7 GHz HEMT 系 旧 SIS 系 2SB SIS系 S80 S100 H20 H30 H40 S40 BEARS T100 TZ 新マルチ スイッチボックス 5-7 GHz 4-8 GHz 旧IF系 新IF系 PANDA 4 GHz,3 bit AOS (WIDE) AOS (HIGH) AC45 SAM45 2 GHz x 16 0.5 GHz x 8

45 m 鏡用新観測システムの概要 受信機、IF 系、A/Dコンバータ、分光計、 制御ソフト、解析プログラムの開発 高感度・広帯域受信機 2SB 受信機(IF=4-8 GHz) 広帯域・高分解能分光計 2 GHz (4096 チャネル) x 16 台= 32 GHz ※  特別推進研究「超広帯域ミリ波サブミリ波観測による大規模構造の 進化の研究」(代表:河野)などのサポートによる

45 m 鏡用新観測システムの概要 望遠鏡および光学系の改修 日よけパネル 700 枚交換 主鏡パネル一部交換 ビーム伝送系ミラー交換(検討中)

100 GHz 帯 2SB 受信機の開発 ・ 45 m 望遠鏡の最高周波数として重要な受信機 ・ さらなる高感度化、広帯域化を目指す 現 状 1.S80/S100 : 片偏波シングルビーム(SSB モード) 2.BEARS     : 片偏波マルチビーム(DSB モード) 計 画    1.T100    : 両偏波シングルビーム(2SB モード)  → 2008 年より共同利用に公開   2.TZ  : 両偏波 2 ビーム(2SB モード) → 2009 年より所内観測で試験中   3.新マルチ   : 両偏波マルチビーム(2SB モード) 

受信機開発(1):T100 シングルビーム両偏波・2SB 受信機 仕 様 従来の S80/S100 の後継機 2007 年 12 月搭載・試験運用 2009 年 2 月より本格運用 仕 様 RF ; 80-115 GHz I F ; 4-8 GHz x 4 系統    Trx ; ~ 50 K (SSB)    IRR; > 10 dB (Nakajima et al. 2008)

従来の受信機(S100)の性能 S100の受信機雑音温度 Trx ~ 200 K

新受信機(T100)の性能 fLO=80-115 GHz に対し、Trx~50 K (従来の1/4の低雑音化に成功) (Nakajima et al. 2008)

サイドバンド分離比(IRR)測定装置 観測したいスペクトルと同じ周波数の信号を送信 USB,LSB 出力をスペアナで測定し、IRRを算出 H. Mix. SG ホーン 同軸スイッチ USB スペアナ 楕円鏡 LSB 2SBミクサ (Nakajima et al. 2010) DEWAR

サイドバンド分離比(IRR)測定装置 測定時 ↓ H.Mix. SG ホーン ↑ 観測時 (Nakajima et al. 2010)

サイドバンド分離比(IRR)測定装置 (Nakajima et al. 2010)

サイドバンド分離比(IRR)測定装置 (Nakajima et al. 2010)

受信機開発(2):TZ 2 ビーム両偏波・2SB 受信機 仕 様 目 的 ・ 点源天体の観測 ・ どちらかのビームが必ず on 点を観測する 現在開発中の新受信機 2009 年秋~搭載試験中 2010 年秋~本格運用予定 仕 様 RF ; 80-115 GHz I F ; 4-8 GHz x 8 系統 目 的   ・ 点源天体の観測   ・ どちらかのビームが必ず on 点を観測する

TZ 受信機の on-on 観測 on off 従来機 on off 2 on off 1 TZ受信機

Hatsukade et al., submitted to ApJ TZ 受信機によるサイエンス 特別推進研究「超広帯域ミリ波サブミリ波観測による大規模構造の進化の研究」(代表;河野 孝太郎) 「ASTE で見出されたサブミリ銀河の CO 探査」 サブミリ銀河探査 距離・年代の推定        ↓ z=2~4 で CO(2-1),(3-2), (4-3),(5-4) が 70-120 GHz に来る ⇒ red shift の決定 Hatsukade et al., submitted to ApJ

TZ 受信機ブロック図 OMT OMT 2SB mixer 2SB mixer 2ビーム・両偏波・両サイドバンド OMT x 2 2SB ミクサ x 4 IF ハイブリッド x 4 アイソレータ x 8 HEMT アンプ x8 IF = 4-8 GHz x 8 系統    (32 GHz を出力) OMT OMT 2SB mixer 2SB mixer

ファーストライト1(May 23, 2009) center beam offset beam 観測ライン : 12CO (J=1-0) 観測天体 : 晩期型炭素星 IRC+10216(CW Leo) Ta* [K] center beam offset beam

ファーストライト2(Dec 15, 2009) 観測天体 : R-Cas(SiO メーザー) 観測装置 : TZ受信機+新IF 系+PANDA+SAM45

ビームパターンの測定結果 ビームパターンの計算値 ビーム間隔 : 46 ± 3 秒 ビーム能率 : 約 50 % ビームサイズ: 18.9 秒 土星の連続波で測定されたビームパターン

定在波除去装置(PLM)の開発 Preliminary results 片瀬 徹也ほかポスター 「1.85 m 及び 45 m 電波望遠鏡に搭載する 定在波除去 装置の開発について」参照

受信機開発(3):新マルチ 旧4マルチ改造中! マルチビーム両偏波・2SB 受信機 仕 様 目 的 ・ OTF との組み合わせで BEARS の後継機 現在開発中の新受信機 2010 年秋~搭載試験予定 仕 様 Beam ; 初期:2x2 = 4 ビーム 次期:4x4 = 16 ビーム RF ; 80-115 GHz I F ; 4-8 GHz 両偏波・片サイドバンド 32 GHz 観測 旧4マルチ改造中! 目 的   ・ OTF との組み合わせで 高感度・高速マッピング

2x2 ビーム受信機の設計 光学系の設計(主に大阪府立大学)

2x2 ビーム受信機の設計 2SB ミクサの設計 体積比で従来の 40 % のコンパクト化 Asayama et al. (2004)

4x4ビーム受信機の設計 ホーン(4x4) 2SBミクサ(32個) 偏波分離器(OMT) アンプ(64個)

今後の予定 <TZ (2 ビーム) 受信機> 2009 冬~春 45 m 鏡搭載試験(所内観測) 2010 春~秋 実験室性能評価 2010 春~秋 実験室性能評価  ・Trx, IRR 性能の向上  ・受信機出力安定度の向上 2010 秋 科学運用(共同利用観測)開始 <新マルチ受信機> 2009 冬~春 受信機性能評価(1 ビーム) 2010 秋 45 m 鏡搭載試験(4 ビーム) 2011 or 12 45 m 鏡搭載試験(16 ビーム)