人類進化 担当 近藤修(人類科学大講座) 1月8日「人類進化 1 ― ヒトの特殊性と普遍性」 1月22日 古生物(大路先生)

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人類進化 担当 近藤修(人類科学大講座) 1月8日「人類進化 1 ― ヒトの特殊性と普遍性」 1月22日 古生物(大路先生) 1月27日「人類進化 2 ― ホモ・サピエンスと隣人たち」 パワーポイントをホームページよりダウンロード可能予定 形態人類学研究室 http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/keitai/

人類進化の概略(ヒト化石分類名) Genus Homo (ホモ属)

Homo 属の時代 ネアンデルタール人 Homo sapiensの時代 700~ 直立二足歩行 (万年) 犬歯の縮小 700~ 直立二足歩行 (万年) 犬歯の縮小 400~ 歯のエナメル質厚さ増大 (硬い食べ物に適応) 250~ 石器製作 脳の大型化がはじまる 200?~ 体毛の喪失? 180~ 1st Out of Africa 80?~ 火の使用? 7.5~ シンボリックな表現 6.0~  2nd Out of Africa 3.5~ 芸術 1.0~ 農耕の開始 Homo 属の時代 ネアンデルタール人 Homo sapiensの時代

consumed energy in brain = 20~25% in humans 8~10% in primates 1. Brain size (大きさ) ・脳容量 endocranial volume absolute/relative size -- 脳の構造・機能には直接関係しない ・脊椎動物の中でヒトの相対脳容量はかなり大きい ・ヒト進化につれて脳は大型化する → 複雑な知的な行動(言語) → コスト    エネルギー消費・出産 consumed energy in brain = 20~25% in humans 8~10% in primates 3~5% in mammals data from Holloway et al. (2004)

言語の誕生?? 抽象的思考と同時期 --> 約7.5万年 ブロンボス洞窟出土 オーカーに刻まれた 幾何学模様 ブロンボス洞窟出土 Blombos Cave, South Africa ~77,000 years ブロンボス洞窟出土 穿孔された海産性の貝(shell beads) 芸術の芽生え ショーべ洞窟に描かれた洞窟壁画 Grotte Chauvet, France ~32,000 years

(2002) Nature

霊長類の生殖戦略 哺乳動物の体重と繁殖率.体重は成体(kg),繁殖率はメスの子供が生まれる 年間頭数.(Harvey et al. 1987; Purvis & Harvey 1995)

霊長類の脳サイズ 動物の脳の重量と体重.(Jerison 1973, 1976) 霊長類の生殖戦略 = 少なく生んでうまく育てる(コストをかける。。。親の世話) 動物の脳の重量と体重.(Jerison 1973, 1976)

霊長類の生殖戦略 = 少なく生んでうまく育てる ・比較的大きな脳を育むためには コスト(親の世話)が必要 ・長い成長期間 = 少なく生んでうまく育てる ・比較的大きな脳を育むためには  コスト(親の世話)が必要 ・長い成長期間 霊長類の生殖戦略 = 少なく生んでうまく育てる(コストをかける。。。親の世話)

ヒトの生活史の特徴

生活史の主要イベント比較(年齢) チンパンジー 4.0 4.0 11.5 45 ヒト(ホモ・サピエンス) 2.5 6.0 19.3 70 離乳 第1大臼歯 出産年齢 最大寿命 の萌出 (女性) (平均) (第3大臼歯萌出)    チンパンジー 4.0 4.0 11.5 45 ヒト(ホモ・サピエンス) 2.5 6.0 19.3 70 (出展:Science 2008 vol.322, p.1041) ヒトの生活史の特徴 ・寿命が長い(maximum potential life span) ・出産年齢が遅い 延長した、ゆっくりした生活史 (expanded, slowed down life history) ・離乳が早い(妊娠間隔が狭い) ヒトは近代社会以前の狩猟採集民を仮定しています。 ・高い人口生産率 ・未熟な成長期が長い  (親の世話(投資)が必要)

ヒト(Homo sapiens)とチンパンジー(Pan)の脳の成長 成長期の全期間に渡って脳が大きくなっているのではなく、生後早い時期に急激に大きくなる (Leigh, 2004) ヒト(Homo sapiens)とチンパンジー(Pan)の脳の成長

生活史の主要イベント比較(年齢) チンパンジー 4.0 4.0 11.5 45 ヒト(ホモ・サピエンス) 2.5 6.0 19.3 70 離乳 第1大臼歯 出産年齢 最大寿命 の萌出 (女性) (平均) (第3大臼歯萌出)    チンパンジー 4.0 4.0 11.5 45 ヒト(ホモ・サピエンス) 2.5 6.0 19.3 70 (出展:Science 2008 vol.322, p.1041) ヒトの生活史の特徴 ・寿命が長い(maximum potential life span) ・出産年齢が遅い 延長した、ゆっくりした生活史 (expanded, slowed down life history) ・離乳が早い(妊娠間隔が狭い) ヒトは近代社会以前の狩猟採集民を仮定しています。 ・高い人口生産率 ・未熟な成長期が長い  (親の世話(投資)が必要) ・脳の成長が速い

ヒト(Homo sapiens)とチンパンジー(Pan)の脳の成長 出産時(新生児)の脳の大きさ 新生児 成人 %出産時 チンパンジー 150.9g 381.7g 39.5% ヒト 26.8--29.5% (data from DeSilva and Lesnik 2006) 新生児段階で、すでにヒトの脳は大きいが、成人サイズの割合としては小さい。生後より多くの脳の成長がある。 (Leigh, 2004) ヒト(Homo sapiens)とチンパンジー(Pan)の脳の成長

出産時の骨盤内腔と新生児頭蓋の大きさ ヒトは回転型(rotational)の出産を強いられる Pan AL 288-1 Homo Inlet Midplane Outlet 出産時の骨盤内腔と新生児頭蓋の大きさ ヒトは回転型(rotational)の出産を強いられる

生活史の主要イベント比較(年齢) チンパンジー 4.0 4.0 11.5 45 アウストラロピテクス 4.0? 4.0? 11.5 45 離乳 第1大臼歯 出産年齢 最大寿命 の萌出 (女性) (平均) (第3大臼歯萌出)    チンパンジー 4.0 4.0 11.5 45 アウストラロピテクス 4.0? 4.0? 11.5 45 現代人(ホモ・サピエンス) 2.5 6.0 19.3 70 (出展:Science 2008 vol.322, p.1041) アウストラロピテクスの生活史は チンパンジー的である Australopitecus Afarensis child from Dikika, Ethiopia

トゥルカナ boy ホモ・エレクトゥス 骨盤 from Gona, Homo erectus Ethiopia 身長163cm, (現代人13歳相当) 歯の発達具合 (現代人8-10歳相当) ホモ・エレクトゥス 骨盤 from Gona, Ethiopia 幅広かつ大きな内腔 (capacious) ・ヒト的な長く,ゆっくりした 成長ではなく,より早い チンパンジー的な成長 比較的大きな脳をもつ 新生児(up to 315 cc) ・脳の成長は速い(ヒト的) ・母親から独立 ホモ属になると脳も大型化をはじめ、体型もヒトに近いものになってきますが、成長パターンはヒトとは異なるようです WT15000 1.6mya (Simpson et al., 2008)

生活史の主要イベント比較(年齢) チンパンジー 4.0 4.0 11.5 45 アウストラロピテクス 4.0? 4.0? 11.5 45 離乳 第1大臼歯 出産年齢 最大寿命 の萌出 (女性) (平均) (第3大臼歯萌出)    チンパンジー 4.0 4.0 11.5 45 アウストラロピテクス 4.0? 4.0? 11.5 45 ホモ・エレクトゥス  ? 4.5 14.5(est.) 60?(est.) 現代人(ホモ・サピエンス) 2.5 6.0 19.3 70 (出展:Science 2008 vol.322, p.1041) ホモ・エレクトゥスの生活史は中間的か? (どちらとも異なる生活史)

ヒトは地球上でもっとも広い生息域をもつ動物である 化石証拠(考古証拠) 人類の拡散 -- 要因の考察 ヒトは地球上でもっとも広い生息域をもつ動物である  化石証拠(考古証拠)  =ハードエビデンス からわかること、わからないこと ニッチの拡大 ← 環境変動? 人口圧(人口増大)←reproduction system 家族(mating)、ライフサイクル、ことば、社会 人類の拡散を考察する。 直立二足歩行 脳の拡大 シンボル・芸術 定住・農耕社会

ライフサイクル 一夫一妻制+α  → 家族の起源 直立二足歩行 脳の拡大 社会(狩猟採集) ことば シンボル・芸術 定住化・農耕社会の誕生

ライフサイクル 一夫一妻制+α  → 家族の起源 直立二足歩行 脳の拡大 First out of Africa 社会(狩猟採集) ことば シンボル・芸術 Second out of Africa 定住化・農耕社会の誕生