京都府地球温暖化防止活動推進員研修会 地球温暖化問題の 基礎知識 京都府地球温暖化防止活動推進センター  事務局長 木原浩貴.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
火星の気象と気候 2004 年 11 月 10 日 小高 正嗣北海道大学 地球惑星科学専攻. 講義の概要 太陽系の惑星概観 太陽系の惑星概観 地球型惑星と木星型惑星 地球型惑星と木星型惑星 地球と火星の比較 地球と火星の比較 火星の気象と気候 火星の気象と気候 探査衛星による最新の気象画像 探査衛星による最新の気象画像.
Advertisements

CMIP5 気候モデルにおける三 陸沿岸の SST の再現と将来予測 児玉安正・ Ibnu Fathrio ・佐々木実紀 (弘前大学大学院・理工学研究科)
気候 - 海・陸炭素循環結合モデルを用い た 地球温暖化実験の結果 吉川 知里. 気候 - 海・陸炭素循環 結合モデル.
CMIP5 気候モデルにおける ヤマセの将来変化: 海面水温変化パターンとの関係 気象研究所 気候研究部 遠藤洋和 第 11 回ヤマセ研究会 1.
Institute for Global Environmental Strategies Towards sustainable development - policy oriented, practical and strategic research on global environmental.
温暖化に対する 寒冷圏の応答 予想以上に氷流出進行? 2月 17 日朝日新聞 3月 25 日朝日新聞 阿部彩子 地球 Frontier 研究センター 東大気候システム研究センター 国立環境研究所.
1 森林吸収 * 3.6 % 400 千 t- CO %増 目標 6% 削減 28.5 %増 11, , , 本県の温室効果ガス排出量の推移と削減目標 とやま温暖化ストップ計画の目標 基準年度比6%削減 (注1)基準年度:二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素は.
生ごみからエネルギー ~バイオガス発電の効果を考える~
地球環境問題班 今井 康仁 川内 雅雄 熊田 規芳 西田 智哉.
地域社会論 第5回 Ⅴ.国際環境 11月9日.
1.大気汚染とその原因 2.大気汚染による健康影響
富永 貴良 松村 優佑 宮坂 勇樹 浜田 亮司 佐藤 ちはる 有田 俊介
食料自給率の「なぜ?」             著者 末松広行 稲葉ゼミ  06a2139z 半田哲也.
2週目の気温予測を用いた東北地方の稲作への影響予測
Copy Right: Earth Life Network 2007
地球温暖化と私たちの暮らし 静岡県地球温暖化防止活動推進センター
環境税 熊野雄太.
地球温暖化.
温暖化について ~対策~ HELP!.
科学技術政策特論 環境政策を支える技術開発の 位置付けと展望 5講目 16:30-18:00 オープンホール 第4回講義 土居 健太郎 氏
国立環境研究所 温暖化リスク評価研究室長 江守 正多
IPCC/WG1 第4次評価報告書(AR4): 自然科学的根拠 概要
CO2の部門別増減率(国内) 増加率が高いのは、オフィスと家庭 環境省 1.
地球温暖化 のしくみ 木庭元晴さく.
2012年度 九州大学 経済学部 専門科目 環境経済学 2013年1月21日 九州大学大学院 経済学研究院 藤田敏之.
電力班 小松・早川 藤丸・松浦 電力自由化に伴う 電力価格の変化.
14回. まとめ 情報のまとめかた DBの利用 情報検索の留意点 情報検索と情報収集 68 基礎知識の必要性 68
フランスの年金調整会議 年金調整会議は、2000年に創設された。常設の団体であり、メンバーは国会議員、経営者・労働組合の代表、専門家、国の代表である。その主たる目的は、フランスの年金制度を監視すること、年金に関連する公的政策への勧告をすることであり、専門的知識と全ての参加者による協議に基づいている。
INDEXと本ガイドブックの見方 ガイドブックの見方 INDEXと本ガイドブックの見方 p.01
CMIP5マルチ気候モデルにおける ヤマセに関連する大規模大気循環の 再現性と将来変化(その2)
図表で見る環境・社会 ナレッジ ボックス 第2部 環境編 2013年4月 .
Ver 地球温暖化と気候変動.
熱中症の救急搬送者数 今日は,熱中症について勉強したいと思います。.
アジアモンスーン地域における気候変動とその農業への影響評価 PI:松本 淳 CI:荻野慎也・森 修一・遠藤伸彦・久保田尚之・徐 健青
【事業名】 【事業代表者】㈱○○ ○○ 【実施予定年度】平成30~○年度 平成30年 月 日 (1)事業概要
中学校理科・社会・総合的な学習の時間  環境問題について .
地球温暖化と森林 西浦 長谷川 馬場 曵地 藤田.
私たちの暮らしとエネルギー ー現在、過去、未来ー
多人数対応型地球温暖化 デモストレーション実験機
縄文海進.
炭素循環モデルグループの進捗状況 吉川知里 共生2連絡会議   C. Yoshikawa.
考えよう!地球温暖化エネルギー ~伝え、広げ、そして行動しよう~
3 【大人向け】地球温暖化問題の基礎知識 COOL CHOICE スライド集 地球温暖化防止 学習プログラム 【本スライドについて】
縄文海進.
地球温暖化防止に必要なものは何か E 石井 啓貴.
蓄電池 必要な 電気・熱 (温水を含む)を供給 再生可能 エネルギー 水電解装置 水素貯蔵タンク 燃料電池 給水タンク 水素を活用した
平成30年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
排出量取引について ~日本から見る排出量取引の意義~ 早稲田大学 地球環境班 外山公一 柿澤和哉 佐々木圭 川谷絵美 川上かおり
4.5.異常気象は温暖化のせい? 気象学者の常套句 「個別の極端な気象イベントが、地球温暖化によるものかどうかを判断することは困難である」
建築物の環境配慮のあり方について 資料2-2 1.国際的な動き 4.大阪府域の状況 2.国の動き 5.検討内容とスケジュール
地球温暖化と京都議定書 E020303 豊川 拓生.
気候シナリオモデルを用いた将来のヤマセ発生可能性について
森林破壊と地球温暖化.
菅野洋光 (農研機構東北農業研究センター) 渡部雅浩 (東京大学大気海洋研究所)
環境・エネルギー工学 アウトライン 序 章 環境・エネルギー問題と工学の役割 第1章 バイオ技術を使った環境技術
CMIP5気候モデルにおける ヤマセの将来変化
新聞発表 2003年4月16日 大和田・鈴木・菅原・山中.
図表で見る環境・社会 ナレッジ ボックス 第2部 環境編 2015年4月 .
資料2-1 地球温暖化対策実行計画の改定について 1 地球温暖化対策実行計画の改定の必要性について 3
生態地球圏システム劇変のメカニズム 将来予測と劇変の回避
背景・目的 事業内容 事業スキーム 事業概要 期待される効果 公共交通機関の低炭素化と利用促進に向けた設備整備事業 (国土交通省連携事業)
MIROC5による将来のヤマセの再現性について(2)
地方創生に向けた自治体SDGs推進事業 平成30年度予算案5億円(平成30年度からの新規事業) 実施期間:平成30年度~(新規)
仙台管区気象台 気象防災部 地球環境・海洋課 渕上 隆雄
地球温暖化問題と森林        4班 遠嶽、橋本、林、日浅、東田.
海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター 河宮未知生 吉川知里 加藤知道
2-1 世界・日本の動向 地球がおかしくなっている?① 大阪市 さて、この生きものを知っていますか?
PowerPoint Viewer の使用方法は簡単です      ① この画面は、プレゼンテーション 今これから何をやりたいかの最初のスライドです。 ② 画面が小さかったら、画面の中で右クリックし、[全画面表示] をクリックします。 ② 画面をクリックするたびに、プレゼンテーションが1段ずつ進行します。
CMIP3マルチ気候モデルにおける 夏季東アジアのトレンド
エネルギーと地球温暖化と わたしたちの生活の関係
Presentation transcript:

京都府地球温暖化防止活動推進員研修会 地球温暖化問題の 基礎知識 京都府地球温暖化防止活動推進センター  事務局長 木原浩貴

地球温暖化のメカニズム

予備知識 ~放射強制力~ 地球と宇宙空間のエネルギー収支を変化させる要素の影響力を示す指標。性質の異なる要素を同じ土俵で比較できる。 予備知識 ~放射強制力~ 地球と宇宙空間のエネルギー収支を変化させる要素の影響力を示す指標。性質の異なる要素を同じ土俵で比較できる。 (スライド:京都地方気象台提供)

IPCCの組織 第1作業部会 自然科学的根拠 技術支援部 温室効果ガス 目録に関する 特別委員会 第3作業部会 気候変動の緩和 第2作業部会 影響・適応 脆弱性 代表執筆者、査読編集者 IPCC総会(各国政府代表) IPCCビューロー(31名) IPCC執行委員会(13名) 世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が共同で、1988年に設立。現在の参加国は195か国。 各国政府代表からなるIPCC総会が全ての決定権を持つ。年に1~数回開催 代表執筆者、査読編集者は専門家(ボランティア)。報告書毎に、各国政府等の推薦をもとに、ビューローが選出 (スライド:京都地方気象台提供)

過去に公表されたIPCC報告書 第1次評価報告書(1990) 「人為起源の温室効果ガスは気候変化を生じさせるおそれがある」  「人為起源の温室効果ガスは気候変化を生じさせるおそれがある」 第2次評価報告書(1995)  「識別可能な人為的影響が全球の気候に現れている」 第3次評価報告書(2001)  「過去50年間に観測された温暖化の大部分は、温室効果ガス濃度の増加によるものであった可能性が高い」 第4次評価報告書(2007)  「気候システムの温暖化には疑う余地がない」  「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度の増加によってもたらされた可能性が非常に高い」 1990年に第1次評価報告書が公表されでいますが、最新は2007年の第4次評価報告書となります。現在第5次評価報告書の執筆が進んでおり、2013年に第1作業部会の評価報告書、2014年に第2、第3作業部会報告書と統合レポートの公表が計画されている。 第4次評価報告書では、各省庁分担して、SPM、TSの和訳を作成しました。 各省は、国内に向けてIPCCの評価結果を公表し、特に政策決定者に対しては、その評価結果が適切に政策に反映されるよう、内容の解説を行うなどの責任を担っている。 AR4の本文では、「1750年以降の人間活動が、温暖化効果を持つとの結論の確信度は極めて高い。」との表記もある。 (スライド:京都地方気象台提供)

IPCC第5次報告書:人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の主な要因であった可能性が極めて高い。 (確度95%以上)。 観測とシミュレートされた気候変動の比較 気候モデル 人為的な温室効果ガスや エーロゾルの濃度変化を、、、 観測 与える 人為的な大気組成の変化を気候モデルに与えないと、現在の気候を再現できないことを示します。 左図は、「SPM.6」。 与えない (スライド:京都地方気象台提供)

予備知識 ~可能性の表現~ 気候学の世界では、100%確かな事実はほとんどない 予備知識 ~可能性の表現~ 気候学の世界では、100%確かな事実はほとんどない 不確実性を伴う評価について、IPCC報告書では、可能性や確信度の用語を、一貫した基準に基づいて用いる 用語(英語) (和訳) 発生する可能性(確率) Virtually certain ほぼ確実 99~100% Extremely likely 可能性が極めて高い 95~100% Very likely 可能性が非常に高い 90~100% Likely 可能性が高い 66~100% More likely than not どちらかと言えば 50~100% About as likely as not どちらも同程度 33~66% Unlikely 可能性が低い 0~33% Very unlikely 可能性が非常に低い 0~10% Extremely unlikely 可能性がきわめて低い 0~5% Exceptionally unlikely ありえない 0~1% (スライド:京都地方気象台提供)

21世紀末の世界平均地上気温は、1986~2005年の平均から、RCP2.6シナリオで0.3~1.7℃、RCP8.5シナリオで2.6~4.8℃上昇する可能性が高い。 世界平均地上気温の変化(℃) (2081~2100年) 将来シナリオ 平均 可能性の高い範囲 RCP2.6 1.0 0.3~1.7 RCP4.5 1.8 1.1~2.6 RCP6.0 2.2 1.4~3.1 RCP8.5 3.7 2.6~4.8 1986~2005年平均からの変化 左上表は、RCPシナリオごとの変化予測です(Table SPM.2より抜粋)。 右上図は、その時系列図です(Figure SPM.7(a))。 下図は、変化予測の分布図です(Figure SPM.8(a))。 図中の小さな数字は、使用したモデルの数てす。 (スライド:京都地方気象台提供)

将来の気温上昇予測

地球温暖化の影響 ●氷が解けたり、海面が上がり、低い土地が海にしずんでしまう。 ●きゅうに気温があがるので、おおくの動物(どうぶつ)や植物(しょくぶつ)が生きられなくなってしまう。 ●私たちの健康(けんこう)も被害(ひがい)を受ける。 ●食べ物が足りない地域(ちいき)が多くなる。 ●乾燥したり大雨になったり。

気温上昇は累積排出量に比例する

すでに「限界」は目前に 気温上昇を1861~1880年の平均から2℃未満に抑えるには・・・ 2℃未満に抑える確率 累積二酸化炭素排出量 二酸化炭素排出のみの強制力を考慮 二酸化炭素以外の 強制力も考慮※ 33%超 0~約1570GtC 約900GtC 50%超 0~約1210GtC 約820GtC 66%超 0~約1000GtC 約790GtC (※)二酸化炭素以外の強制力をRCP2.6シナリオと同等として考慮 (IPCC AR5 WGⅠ SPM p.27, 20-21行目) 出典:IPCC AR5 WGⅠ SPM p.27,20-24行目 2011年までに515GtCの二酸化炭素がすでに排出された 現在の排出量は約10GtC  つまり、残りは30年分

RCPシナリオに対する化石燃料からのCO2排出量 どれくらいの排出削減が必要か RCPシナリオに対する化石燃料からのCO2排出量 IPCC第5次評価報告書報道発表資料より (文部科学省・経済産業省・気象庁・環境省) 世界の目標(カンクン合意=産業革命から2℃未満 ≒RCP2.6シナリオ)達成のためには  2050年には半分以下・2100年までに0

温室効果ガス排出削減目標 ■世界と先進国(2009 ラクイラサミット) ■日本 ■京都府 「世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに少なくとも50%削減するとの目標を再確認するとともに、この一部として、先進国全体として、50年までに80%又はそれ以上削減」 ■日本 「2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指す」 (2012閣議決定 環境基本計画) ■京都府 長期目標:平成62年度までに温室効果ガスの排出の量が平成2年度に      比べて80パーセント以上削減された持続可能な京都を創造 中期目標:平成42年度までに平成2年度の総排出量から40パーセント削減 当面目標:平成32年度までに平成2年度の総排出量から25パーセント削減 (京都府地球温暖化対策条例)

世界のCO2排出量の推移

国別排出量

日本の部門別排出量

部門別排出量の推移

家庭の用途別二酸化炭素排出量 ○冷房 ○暖房 ○照明・家電製品 ○厨房 ○給湯 ○ゴミ ○自家用車 ア ○水道 (1)ア:ゴミ イ:自家用車 (1)ア:ゴミ イ:自家用車 (2)ア:自家用車    イ:照明家電製品 (3)ア:ゴミ イ:冷房 イ

京都の気温は、少し前の鹿児島並みに (気象庁データより作成)

府域の温室効果ガス排出量の推移 (京都府環境白書平成26年度版より)

府域の部門別排出量 (京都府環境白書平成26年度版より)

おすすめの情報源(Web) ■IPCC第5次評価報告書についてはこちら (IPCC 第5次 気象庁 で検索) http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/index.html ■グラフや表を入手したい方はこちら  http://www.jccca.org/ipcc/ar5/wg1.html  ( JCCCA IPCC 第5次 特設 で検索)

おすすめの情報源(書籍) ■『ココが知りたい地球温暖化』 (国立環境研究所地球環境研究センター) ■『ココが知りたい地球温暖化2』  (国立環境研究所地球環境研究センター) ■『ココが知りたい地球温暖化2』  ※同じ内容をWebでも閲覧可能 ■『異常気象と人類の選択』   (江守正多) ■『京都府環境白書平成26年度版』   (京都府)