独立行政法人 産業技術総合研究所 集積マイクロシステム研究センター 高木 秀樹

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Presentation transcript:

独立行政法人 産業技術総合研究所 集積マイクロシステム研究センター 高木 秀樹 ウェハ常温接合技術 独立行政法人 産業技術総合研究所 集積マイクロシステム研究センター 高木 秀樹 2010/08/05 MEMS集中講義@産総研つくば 共用講堂

ウェハ常温接合技術の開発と展開 各種接合技術 常温接合法の原理 常温接合の接合特性 デバイスへの応用と実用化 今後の展望 半導体デバイスへの応用 SAWフィルタへの応用と実用化 MEMS用接合装置 今後の展望

ウェハスケール一括接合による MEMSパッケージング 要検討:パッケージから接合にうまく話をつなげる ウェハスケールでの接合により多数のデバイスを一括処理 ダイシング前にMEMSの構造を保護 信頼性の高い直接接合 パッケージングの小型化

各種ウェハ接合法

各種ウェハ接合法

陽極接合法 Na+ Na+ Na+ Na+ 加熱温度 〜450℃  印加電圧 〜1kV 静電引力により無加圧で接合が可能

化学薬品による(洗浄)処理による (水素結合を利用した)ウェハ直接接合法

ウェハ直接接合のその場観察 表面間力による無加圧での接合形成 赤外線カメラ ピンセットで 軽く押さえる シリコンウェハ (赤外線は通す) ガラス板 赤外光源

ウェハ間の大気中での無加圧での接合形成 (赤外線カメラによるその場観察)  自発的接合形成→無加圧接合 ただし  非常に平坦な表面が必要  従来のウェハ接合法では高温(〜1000℃)の熱処理が必要

水素結合によるウェハ貼り合わせのモデル 2H2O+Si → SiO2+4H(or 2H2) Hydrophilic bonding Covalent Bonding Weak Bonding R.Stengl et al., Jpn J.Appl. Phys., 28, p1735,1989 2H2O+Si → SiO2+4H(or 2H2)

化学薬品処理によるSiウェハの接合強度 [ºC]

水素結合による貼り合わせが可能な材料 半導体 酸化物 窒化物,炭化物, フッ化物, 他 金属 Si, Ge, GaAs, InP, GaP, InGaAsP, 酸化物 SiO2, LiNbO3, SrTiO3, ZrO2:Y2O3, BaTiO3, YBCO 窒化物,炭化物, フッ化物, 他 B4C, Diamond, Si3N4, BaF2, CeF3, ZnSe, 金属 Bi, Cu, Ta, J. Haisma et, al.,Appl. Opt., 33(1994), 1154 他

プラズマ処理による表面活性化 N2 100~200℃程度の熱処理で接合が可能 表面への水酸基導入と水素結合で接合:SiO2など

O2プラズマ処理によるSiウェハの接合 [ºC]

Arビームエッチングを用いた常温接合 真空中で表面の反応層や吸着物を除去 ・エネルギー的に不安定な状態を作る ・接合界面の介在物を除去する 接合界面での結合形成を促進 ・熱処理の低温化 ・常温接合

Si常温接合体の破断面

各種表面処理によるSiウェハの接合強度 [ºC]

表面活性化接合の接合装置と接合条件 真空度 5×10-6 Pa 表面活性化処理 End Hall型イオン源 イオンエネルギー 約60eV エッチング時間      約3min エッチング深さ      3〜5nm

パターン付き試料

パターンつきSiウェハ接合体 13×13 mmに切断後 ウェハ接合体

真空中接合のその場観察 ウェハ接合体

表面活性化常温接合の貼り合わせ実績 シリコン系材料 化合物半導体 酸化物(若干の熱処理が必要な場合有り) その他 Si, ×SiO2, (Si3N4, ガラス,  ) 化合物半導体 GaAs, InP, GaP, InGaAsP, (SiC, GaN) 酸化物(若干の熱処理が必要な場合有り) Al2O3, Ta2O5, LiNbO3, LiTaO3, TiO2, ZrO2, HfO2 (ITO, ) その他 Au, Ag, Al, (SUS)

異種材料接合と熱膨張係数 異種材料の接合 熱膨張の違いによる応力 表面活性化法が有効 常温or低温熱処理での接合 ここまでは同種接合  異種材料接合と熱膨張係数 異種材料の接合 熱膨張の違いによる応力 表面活性化法が有効 常温or低温熱処理での接合 ここまでは同種接合 異種材料接合

従来のウェハ直接接合によるSiとLiNbO3の接合 (熱処理後) 150℃の熱処理でクラック発生

LiNbO3,LiTaO3,Gd3Ga5O12とSiの接合 ºC ºC ºC ºC ºC ºC ºC º- c-WB: 従来のウェハ直接接合 SAB: 表面活性化常温接合

SiとLiNbO3ウェハ接合体の破断面 表面活性化法は異種材料の接合法として有効である Siと酸化物は常温で接合が可能である.  LiNbO3,LiTaO3,Gd3Ga5O12,サファイア

常温接合によるIII-V-OI構造作製 ・平坦かつ急峻な III-V MIS界面と接合界面 ・InGaAs層にはArビームによるダメージ無し(Al2O3が保護層となる) ・Si基板にはArビームによりアモルファス形成

メタル S/D III-V-OI Back Gate MISFET リフトオフによるAu-Ge メタル S/D形成。 低温でのメタル S/D形成。 InGaAsエッチング。 素子分離。 バックゲート形成。 メタル S/D III-V-OI MISFET on Si。 InGaAs Si(001) Al2O3 Au-Ge Al back gate

Back Gate-MISFETの ID-VD, ID-VG特性 良好なIon/Ioff比 ~ 105、S.S.~170 mV/dec。 良好なトランジスタ特性。

Back Gate-MISFETの電子移動度 ・広い実効電界範囲にわたり、Siを凌ぐ高移動度を達成。 ・埋め込み層の膜厚に依存しないことより、Arイオン照射によるダメージは移動度特性に殆ど影響していない。

SAWデバイスの周波数-温度特性 許容入力の改善 LiTaO3ウェハSAW TCF: 40 ppm/˚C LiTaO3/Sapphier 接合ウェハ TCF: 20 ppm/˚C 熱伝導率 LiTaO3: 5 W/mK Sapphier: 42 W/mK 許容入力の増大 富士通との共同研究

Frequency and temperature characteristics Resonator response Temperature characteristics Lower loss LiTaO3/sapphire LiTaO3 In this slide, the graph on the left plots the frequency characteristics of 1 port resonators using conventional LiTaO3, shown by the gray line, and a bonded LiTaO3/sapphire substrate, shown by the red line. The LiTaO3 thickness in the bonded substrate was 37 microns, for a ratio of about 18 between the thickness and the SAW wavelength. As you can see, the bonded LiTaO3/sapphire substrate greatly suppressed the spurious responses and had a lower loss than the conventional LiTaO3 substrate. The lower loss results from the lower relative dielectric constant of sapphire, about 10, compared to 40 for LiTaO3. The graph on the right plots the temperature characteristics of the resonant and anti resonant frequencies of the 1 port resonator. The horizontal axis represents the measurement temperature, while the vertical axis represents the ratio of the frequency at each temperature to that at 25 deg C. For the bonded LiTaO3/sapphire substrate, the TCF was –27 ppm/deg C for the anti resonant frequency and –15 ppm/deg C for the resonant frequency. These values are about two thirds those for conventional LiTaO3 devices. Good temperature compensation with little spurious responses was realized by using sapphire as the support substrate. LiTaO3/sapphire has lower loss and better thermal stability. Miura, et. al, 2nd International Workshop on Low Temperature Wafer Bonding for 3D Integration

Temperature characteristics and power durability improved. Antenna SAW filter die Tx Applied power 0.8 W at 60 °C Tx Rx Rx Ceramic package LT LT/sapphire 100 90 Tx Rx 90 Temperature [°C] Temperature [°C] 80 80 70 70 Next, I’ll describe the effects of heat dissipation. This shows the temperature distribution in the SAW filter die when 0.8 W of high electric power were applied from the Tx port. These are thermal images observed using an infrared sensor. For a LiTaO3 substrate, the heat generated in the Tx filter was confined within the Tx region and the maximum temperature was 100deg.C However, for the bonded LT/sapphire substrate, the heat generated in the Tx filter dispersed throughout the die, and the maximum temperature was less than 90 deg.C. This is because of the larger thermal conductivity of sapphire. Thus, LT/sapphire can suppress heating and, as a result, temperature characteristics and power durability are improved. 60 60 LT/sapphire suppresses heating Temperature characteristics and power durability improved.

常温接合装置の開発と市販化 研究試作用接合装置 量産用接合装置 ・1セット(1接合)単位の処理 ・研究試作用ながら高いスループット ・搬送系、アライナ等全ての機能を オールインワンでサポート ・わかりやすい操作(半自動) ・使いやすいユーザインタフェース ・25セット(25接合)を連続して処理(Cassette to Cassette) ・高いスループット ・強力なレシピ管理機能による多品種少量生産対応 (異種部品、異プロセス条件をセットごとに設定可能) ・高い自動化レベル:自動搬送、自動アライメント ・使いやすいユーザインタフェースと生産管理機能 資料提供:三菱重工

ウェハ常温接合の応用分野 ウェハ常温接合 Layer Transfer 異種ウェハ接合 (熱応力) マイクロデバイス の高精度接合 SAWフィルタ 圧電材料 Photonic III-V半導体 Layer Transfer 異種ウェハ接合 (熱応力) ウェハ常温接合 3次元LSI マイクロデバイス の高精度接合 その他 MEMSパッケージング 3次元実装

ご静聴ありがとうございました