車いらずの財布に優しい街づくり -コンパクトシティ構想- 2011年11月26日 中部経済学インターゼミ (中京大学) 塩田達也・高木雅男・山畔啓嗣・米田安里 富山大学経済学部経済学科 中村(和)ゼミナール3年
1.はじめに ●研究の動機 地方の財政はひっ迫しており、様々な都市のありかたが見直され始めている。その中で示された都市のありかたの1つが、「コンパクトシティ」という概念だ。 この概念は富山市で推進されていることもあって、私たちは「コンパクトシティ」に関する研究に興味を持ち、研究を始めた。
コンパクトシティとは? コンパクトシティとは・・・ 都市活動(居住・業務他)の密度が高く、効率的な空間利用がなされた、自動車に依存しない交通環境負荷の小さい都市(大木(2010)より引用) コンパクトシティとは・・・ 上記を踏まえ、自分たちの定義 施設が集積し、徒歩で生活できる都市形態。また、施設数が最低限で、住民の施設利用の利便性が高い都市。
コンパクトシティを目指した実際の政策例 ●青森市の場合-中心市街地の活性化- 青森駅前に、市民図書館・男女共同参画プラザ・生鮮市場・ファッション系店舗などから構成される複合型商業施設を建設。 年間で約600万人以上が利用 青森駅前や新町(中心市街地)へ足を運ぶ人も増加。
政策例2 ●富山市の場合-公共交通機関の充実- LRT(ライトレール交通)事業を展開。富山ライトレール株式会社が買収して、路線を再整備。 また、2009年に富山市は中心商店街に環状鉄道を整備。 平日の電車利用者は2倍以上に増加。 駅や県庁、中心商店街を20分で回れる。
コンパクトシティの賛否-賛成例- 利用しやすい公共交通によって、毎日の移動を車なしで可能とする。(車いらず) 高密度の建築により、コスト低減とエネルギー消費を削減できる。(『家計と行政』の財布に優しい)
コンパクトシティの賛否-反対例- 自動車の利便性を抑制し、市街地居住を促進しようとするコンパクトシティ構想は、一般市民のライフスタイルや価値観と相容れない。 (市民には車が必要) 現実の都市・地域はすでに後戻りできないほど拡散しており、都心部と郊外との調和に多くの費用を必要とする。(『行政』の財政負担が大きくなる)
研究の目的 コンパクトシティに対する期待や批判を踏まえて、この研究では以下の点を明らかにする。 車の利用率が減り、歩いて暮らせるまちを実現できるのか? 大都市以外に、車いらずのコンパクトな都市になっている都市はあるのか? 現在の日本の都市を、コンパクトシティの観点から見たときに何が問題か?
関連する研究 森本章倫・古池弘隆(2002) : 交通エネルギー消費の推移と都市構造に関する研究 島岡・谷口・池田(2003): 地方都市におけるコンパクトシティ化のための住宅地整備ガイドライン開発 どちらも人口密度と燃料の消費量に着目。 しかし、施設の利用の効率性(財布に優しいかどうか)が分からない。
私たちの研究の着眼点 利便性=施設の500m以内*にある住宅数 ÷都市全体の住宅数 人口一人当たり施設数=都市全体の施設数 ÷都市の人口 ●住宅と日常的に利用する施設の利便性(配置)に着目 以上のように利便性を定義 ●人口一人当たりの施設数に着目 利便性との関連を考察 利便性=施設の500m以内*にある住宅数 ÷都市全体の住宅数 人口一人当たり施設数=都市全体の施設数 ÷都市の人口 *:高齢者が徒歩で移動できる範囲であると考えたため
コンパクトシティとは言えない都市 住宅が拡散している。 公共交通機関の整備が不十分。 施設の数が多い上、利便性は低い。
●車に依存する都市 ●財布に優しくない都市 施設の数が少ない。 施設の数が多い。 施設の利便性が低い。 施設の利便性が高い。
コンパクトシティに該当する都市 住宅が密集している。 公共交通が充実し、自動車の利用が少ない。 施設の数が少なく、施設の利便性が高い。
2.施設の配置と自動車利用の関係 ●この節で考えたいこと 日常生活で利用する施設が身近にあるほど、自動車の利用頻度は抑制できるのか? ●この節で考えたいこと 日常生活で利用する施設が身近にあるほど、自動車の利用頻度は抑制できるのか? もしも減るならば、コンパクトシティは自動車利用の抑制を通じて環境負荷を低減。 高齢化社会においても、人々が安全に暮らすことが可能。
施設利用の利便性 住宅と日常的に利用する施設の利便性(配置)に着目 利便性=施設の500m以内にある住宅数 ÷都市全体の住宅数 500m ÷都市全体の住宅数 500m 500m
分析の対象とした施設 県庁所在地(東京は除く)にある施設 交通関係→駅 行政関係→緊急避難所・公園 教育関係→幼稚園・小学校・中学校 交通関係→駅 行政関係→緊急避難所・公園 教育関係→幼稚園・小学校・中学校 福祉関係→老人デイサービスセンター・病院 その他→郵便局・銀行 すべて平成20年度のデータを使用
分析に用いたデータ 最寄りの施設までの距離が500mの住宅数、都市の全住宅数:総務省『住宅・土地統計調査』 ガソリン支出額:総務省『家計調査年報』 人口:総務省『統計でみる市町村のすがた』
駅への利便性と自動車維持支出の関係 駅に近い住宅が多いほどガソリン支出は少ないことがわかる。 他の施設についてもこのような関係は観察されるのだろうか?
小学校 中学校 幼稚園 公園
病院 老人デイサービスセンター 緊急避難所 郵便局・銀行
利便性の向上は自動車利用を抑制するか? 全体で見た利便性と自動車利用度の関係は? 利便性指標=各施設の利便性指標の平均値 𝑋𝑖=都市𝑖での施設𝑋の利便性 都市𝑖で施設𝑋の利便性指標= 𝑋 𝑖 − 𝑋 𝑚𝑖𝑛 𝑋 𝑚𝑎𝑥 − 𝑋 𝑚𝑖𝑛 自動車利用度=家計の1人当たり自動車維持費 利便性指標=各施設の利便性指標の平均値
回帰式を推定 推定式 を推定 結果 自動車利用度=定数項+b₁×利便性指標+b₂×人口密度 (対数) (対数) (対数) を推定 結果 自動車利用度=8.852―0.220×利便性指標―0.065×人口密度 (0.000) (0.023) (0.096) R²=0.40 カッコ内はp値 自動車利用度=定数項+b₁×利便性指標+b₂×人口密度 (対数) (対数) (対数)
分析から分かったこと さまざまな施設へ歩いていくことができるような住宅が多いほど、車にたよらずに暮らすことができる。 日常生活において必要性の高い施設(駅や銀行など)では、特にその傾向が強い 反対に緊急避難施設などは、都市間で自動車利用度の差が大きい 緊急避難所は日常的に利用する施設ではないので、近くにあるからといって車を利用しないわけではない
2節の総括 ここまでの分析では、確かにコンパクトシティでは自動車に依存しない生活を実現できそうであるが… 単に施設の数が多いので利便性が高いのかもしれない。特に、自治体が整備する施設の数が多いと、財政支出も増えるかもしれない。(財布に優しくない) コンパクトシティの理念に沿って考えるならば、人口が集積しており、「少ない施設」でかつ「利便性の高い」都市がコンパクトシティだといえる。次の節ではこの問題を考察したい。
3.コンパクトシティの理念で見た日本の都市のすがた ●この節で考えたいこと 46の県庁所在地は、自分たちが考えるコンパクトシティに当てはまるかを検証する。 検証の結果を分析し、それぞれの都市には、どういった傾向がみられるのか。 人口が集積しており、「少ない数の施設」でかつ「利便性の高い」都市はあるのだろうか?
分析の手法 STEP1.東京都を除く46の県庁所在地ごとに、500m以内に特定の施設が存在する住宅の割合を算出。 STEP2.上記46都市それぞれの特定の施設の総数を、都市各々の総人口で除し、人口一人当たりの施設数を算出。 STEP3.1と2のデータを利用し散布図を作成。 STEP4.1で算出したデータの中央値を出力し、横軸に平行なグラフをえがく。同様に、2で算出したデータの中央値を出力し、横軸に垂直なグラフをえがき、グラフを4分割にする。
分析の枠組み ① ③ ② ④ 「施設の利便性」と「人口一人当たりで見た対象施設の数」を元に、都市を4種類に類型化。 施設数 利便性 少ない施設の数で高い利便性を実現している都市 →「車いらずで財布に優しい」 利便性は高いが施設の数が多い都市 →「車いらずではあるが、『行政』の財布には優しくない」 ② ④ 施設の数は少ないが利便性が低い都市 →「『行政』の財布には優しいが、車は必要」 施設の数は多く、利便性も低い都市 →「車は必要で、財布に優しくない」 施設数
分析に用いたデータ 最寄りの施設までの距離が500mの住宅数、都市の全住宅数:総務省『住宅・土地統計調査』 幼稚園・小学校・中学校・病院・公園・郵便局・銀行:総務省『統計でみる市町村のすがた』 駅:Wikipedia『日本の鉄道駅(市町村別)』 老人デイサービスセンター:『デイサービスセンター情報』 http://showmei.web.fc2.com/
分析結果:医療機関の例 ① ③ ② ④ 病院を例に取り上げてみると、やはり分類①は大都市が多かった。 分類①…仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、新潟市、長野市、名古屋市、大津市、 神戸市、広島市、那覇市 分類④…盛岡市、水戸市、富山市、岐阜市、津市、岡山市、徳島市、高松市、佐賀市、 大分市、鹿児島市 病院を例に取り上げてみると、やはり分類①は大都市が多かった。 同様に他の施設に関しても分析を行うと、どのような傾向がみられるのか?
他の施設についても同様の分析を行った結果・・・ ①に分類される都市は大都市が多かった しかし、地方都市で①に分類される都市も存在した。 逆にほとんどが④に分類される都市もあり、地方都市に多かった。 おおよその傾向は見られるが、もう少し各都市の特徴を把握しやすい手法はないか?
施設ごとの分類を集約して傾向を探る 施設の種類にかかわらず同じような分類傾向がみられる都市 ①に分類される施設の割合が多い(2/4もしくは3/4)都市 ②に分類される施設の割合が多い(2/4もしくは3/4)都市 ③に分類される施設の割合が多い(2/4もしくは3/4)都市 ④に分類される施設の割合が多い(2/4もしくは3/4)都市 これらの都市は、施設ごとに大きな特徴を持っていないので、人口の分布に左右される所が大きいといえる。 施設によって②~④に分類され、これといった傾向が見られない都市 これらの都市は、施設の配置に左右されるところが大きいといえる。よって、施設の配置を是正することにより、車いらずもしくは財布にやさしい都市を目指すことができる可能性がある。
集約された分類の結果 (2/4以上は黒字、3/4以上は赤字で表示) 分類①:札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市、熊本市、那覇市 分類②:秋田市、山形市、金沢市 分類③:福井市、奈良市、高知市、長崎市、鹿児島市 分類④:盛岡市、福島市、富山市、甲府市、津市、鳥取市、松江市、山口市、松山市、福岡市
3節の分析で分かったこと 施設の利便性と施設の数には、県庁所在都市ごとに大きな差があった。 地方都市にも、コンパクトシティの条件を満たすような都市が存在した。(那覇市、熊本市) 対照的に、富山市や津市のように、多くの施設がありながら利便性の低い都市も存在した。 これらの都市には、海と山に囲まれており居住できる場所が限られているため、結果的にコンパクトシティに近い形になっているのかもしれない。 これらの都市には農地や田畑が多く、それらが影響しているのではないか? 近年の市町村合併の影響があるかもしれない。
4.まとめ 日常生活の利便性を高めることによって、車に依存しない社会をつくることは可能である。ただし、少ない施設で高い利便性がもたらされる必要がある。 現在の日本の都市では、多くの施設がありながら利便性の低い都市もある。(例:富山市、山口市) 一方で、公共施設の配置を再考すれば利便性を高められる都市もある。(例:秋田市、金沢市) また、地方都市でありながら、少ない施設で高い利便性が提供されている都市もある。(例:熊本市、那覇市)
政策提言 ●施設の再配置 市民の利用率が低い施設を一本化し、効率化を図る。他にも、施設を徒歩圏へと移転させ、住民が施設を利用しやすいようにする。 中心市街地にある農地や田畑を住宅や施設に変えて、代わりに農地や田畑を郊外へと移転させる。(この政策は最初は費用がかかるが、長期的にみれば利便性の向上やコスト低減につながる) ●公共交通機関の整備 本数の増加や線路の伸延などを行う。 バスや地下鉄にICカードの導入、均一料金制を採用する。
コンパクトシティへの参考例 いくつかの徒歩圏(団子)を配置。 徒歩圏を公共交通(串)で結ぶ。 「串とお団子」の都市構造 コンパクトシティの実現を目指す。 出典:富山市都市マスタープラン
今後の課題 財政と施設の集積の関係の結果が出なかったので、様々な角度から再検証する。 県庁所在地以外の都市も研究し、どのような都市がコンパクト性向が高いかを調査する。 施設の数が少なく、利便性の高い地方都市では、何か画期的な政策が行われているのかを調べる。 それぞれの都市の地理的要因がコンパクトシティを目指す上で有利または不利に働くかを分析する。
参考文献・参考資料 ✖ 総務省『平成20年度住宅・土地統計調査』http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2008/index.htm (2010年3月参照). ✖ 総務省『平成20年度統計でみる市町村のすがた』 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001013124& ✖ 総務省『平成20年度家計調査年報』 http://www.stat.go.jp/data/kakei/2008np/index.htm 大木健一(2010)「コンパクトシティをどう考えるか」『アーバンスタディ』50巻、82-101頁。 http://www.minto.or.jp/center/pdf/u50_10.pdf 山本恭逸(2006) (編著) 『コンパクトシティ 青森市の挑戦』ぎょうせい 森本章倫・古池弘隆(2002)「交通エネルギー消費の推移と都市構造に関する研究」『土木計画学研究講演集』 No.25 http://www.jsce.or.jp/library/open/proc/maglist2/00039/200206_no25/pdf/26.pdf 島岡明生・谷口守・池田太一郎(2003)「地方都市におけるコンパクトシティ化のための住宅地整備ガイドライン開発―メニュー方式を用いた都市再生代替案評価の支援―」『都市計画論文集』No.33、73-78頁。 http://www.env.go.jp/council/27ondanka-mati/y270-03/ref02.pdf 老人デイサービスセンター:『デイサービスセンター情報』 http://showmei.web.fc2.com/ Wikipedia『日本の鉄道駅(市町村別)』 http://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%89%84%E9%81%93%E9%A7%85_(%E5%B8%82%E7%94%BA%E6%9D%91%E5%88%A5)
補足:各施設の利便性に関する統計 施設の利便性 平均 最大値 最小値 標準偏差 中央値 駅 0.1677 0.5599 0.0192 0.1029 0.1485 緊急避難所 0.6101 0.9306 0.1748 0.1682 0.6130 老人デイケアセンター 0.3366 0.7030 0.0868 0.1347 0.3369 郵便局・銀行 0.5629 0.8401 0.2667 0.1000 0.5600 病院 0.6603 0.9462 0.4339 0.1212 0.6395 公園 0.5811 0.9768 0.0781 0.2312 0.5653 幼稚園 0.3244 0.7917 0.1460 0.1249 0.3065 小学校 0.1618 0.5256 0.0615 0.0841 0.1444 中学校 0.0696 0.2332 0.0178 0.0388 0.0624
補足:施設の数に関する統計 一万人当たり施設数 平均 最大値 最小値 標準偏差 中央値 駅 0.840 2.000 0.158 0.454 0.733 緊急避難所 4.887 12.292 0.684 2.289 4.598 老人デイケアセンター 2.601 4.073 1.180 0.726 2.594 郵便局・銀行 3.270 5.796 1.243 0.940 3.269 病院 0.752 1.765 0.306 0.312 0.707 公園 9.146 23.094 2.373 4.805 7.936 幼稚園 1.150 2.103 0.685 0.340 1.066 小学校 1.451 2.769 0.877 0.343 1.380 中学校 0.751 1.231 0.489 0.162
補足:都市の施設ごとの分類結果 幼稚園 分類①(15)…札幌市、さいたま市、千葉市、横浜市、新潟市、金沢市、静岡市、名古屋市、 京都市、大阪市、神戸市、広島市、高知市、福岡市、熊本市 分類④(15)…福島市、水戸市、前橋市、富山市、甲府市、岐阜市、津市、大津市、 奈良市、松江市、岡山市、山口市、徳島市、高松市、佐賀市 公園 分類①(11)…仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、新潟市、長野市、名古屋市、 大津市、神戸市、広島市、那覇市 分類④(11)…盛岡市、水戸市、富山市、岐阜市、津市、岡山市、徳島市、高松市、 佐賀市、大分市、鹿児島市 郵便局・銀行 分類①(10)…札幌市、仙台市、さいたま市、名古屋市、京都市、大阪市、兵庫市、 和歌山市、広島市、福岡市 分類④(11)…青森市、福島市、富山市、津市、鳥取市、松江市、山口市、徳島市、 高松市、佐賀市、長崎市 駅 分類①(10)…札幌市、仙台市、福島市、さいたま市、千葉市、横浜市、大阪市、 奈良市、福岡市、那覇市 分類④(7)…福井市、甲府市、岐阜市、津市、松江市、山口市、熊本市
小学校 分類①(14)…札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、岐阜市、静岡市、 名古屋市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市、鹿児島市、那覇市 分類④(15)…盛岡市、秋田市、山形市、福島市、宇都宮市、前橋市、富山市、 甲府市、長野市、津市、鳥取市、松江市、岡山市、山口市、佐賀市 中学校 分類①(13)…札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、名古屋市、大阪市、 神戸市、和歌山市、松山市、福岡市、熊本市、那覇市 分類④(13)…青森市、秋田市、福島市、水戸市、甲府市、長野市、津市、鳥取市、 松江市、山口市、徳島市、佐賀市、宮崎市 緊急避難所 分類①(9)…さいたま市、千葉市、横浜市、岐阜市、京都市、神戸市、松山市、 熊本市、那覇市 分類④(9)…盛岡市、福島市、新潟市、富山市、静岡市、鳥取市、山口市、高松市、 大分市 老人デイサービスセンター 分類①(13)…仙台市、さいたま市、横浜市、福井市、名古屋市、大津市、京都市、 大阪市、神戸市、広島市、福岡市、熊本市、那覇市 分類④(13)… 盛岡市、水戸市、富山市、甲府市、岐阜市、津市、鳥取市、松江市、 山口市、高松市、松山市、佐賀市、鹿児島市
付録 第3節の分類の代わりにクラスタ分析を用いて分類を試みた。 クラスタ分析:似通った個体あるいは変数のグループ化を行うための分析手法 各施設の利便性指標と人口当たり施設指標を変数として、階層クラスタ分析により分類 クラスタ化方法はWard法
クラスタ分析による樹形図
各クラスタの分類 1 2 3 4 札幌市 青森市 金沢市 福井市 仙台市 盛岡市 長野市 甲府市 さいたま市 秋田市 和歌山市 津市 千葉市 1 2 3 4 札幌市 青森市 金沢市 福井市 仙台市 盛岡市 長野市 甲府市 さいたま市 秋田市 和歌山市 津市 千葉市 山形市 広島市 松江市 横浜市 福島市 高知市 山口市 名古屋市 水戸市 熊本市 佐賀市 京都市 宇都宮市 長崎市 大阪市 前橋市 神戸市 新潟市 福岡市 富山市 那覇市 岐阜市 静岡市 大津市 奈良市 鳥取市 岡山市 徳島市 高松市 松山市 大分市 宮崎市 鹿児島市 所属クラスタ
各クラスタの平均と第3節の分類の平均 クラスタ分析 1 2 3 4 施設数指標 0.205 0.361 0.391 0.512 利便性指標 1 2 3 4 施設数指標 0.205 0.361 0.391 0.512 利便性指標 0.535 0.364 0.458 0.342 本文の分類 分類① 分類② 分類③ 分類④ 0.221 0.368 0.491 0.477 0.522 0.419 0.429 0.324
第3節の分類とクラスタ分析の分類の比較 3節の分類の結果と比較すると、クラスタ分析の1には大都市と那覇市が含まれていた。3節の分類①も大都市と那覇市が含まれている。また、クラスタ1の平均の値と3節の分類①の平均の値は近かった。このことから、クラスタ1と3節の分類①は対応すると考えられる。 クラスタ分析の2には秋田市と山形市が含まれていた。また、クラスタ2の平均の値と3節の分類②の平均の値は近かった。このことから、クラスタ2と3節の分類②は対応すると考えられる。 クラスタ分析の3には広島市や熊本市のように3節の分類①に属している都市もある一方で、金沢市のように分類②に属している都市や高知市のように分類③に属している都市があった。また、クラスタ3の平均の値と対応している3節の分類の平均の値もよくわからなかった。 クラスタ分析の4には甲府市、松江市、山口市など3節の分類④に属している都市が多かった。クラスタ4の平均の値は、分類③の平均の値と近かったが、分類③の平均の値にも近かった。このことから、3節の分類は④に対応すると考えられる。 以上からクラスタ分析の分類と3節の分類は①、②、④が対応すると考えられるため、本文での3節の分類と基本的に同じことがいえると考えられる。