おこしやすの観光戦略 E０４００１８　生嶋大輔

日本の経済は低迷を続けているが、世界の観光客 数は着実に上昇している。そして今後その数はさら に増加すると予想される。それゆえ、国際観光の振 興は近年各国において非常に重要な政策課題と なっている。

観光業による経済の影響が非常に大きい京都では、これは大きなチャンスである。このチャンスを成功させるためには京都は何をすべきか？何が問題となるのであろうか？これらを中心に考察していきたい。

（１）京都観光の現状 京都市は2001年、「京都市観光振興推進計画～おこしやすプラン２１」を策定し、観光客数５０００万人の達成を目標として掲げた。 最近の統計をみると計画は順調に機能しているようである 現在の京都観光の現状は次の表からわかる。

年次別・利用交通機関別・個人団体別・日帰り宿泊別観光客数 （単位；千人） 年次別・利用交通機関別・個人団体別・日帰り宿泊別観光客数 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（単位；千人） 総数　 ＪＲ 私鉄 バス　 乗用車　 　個人 団体 日帰り 宿泊 1980 38081 8660 12736 4563 12182 32987 5094 28770 9311 1985 38326 7871 11222 3557 15676 33982 4344 29391 8935 1990 40846 10294 10968 3756 15828 36365 4481 30423 10423 1995 35343 10214 9650 3080 12399 32046 3297 27111 8232 2000 4051 13470 11740 3650 12200 36860 31090 9420

観光客数は年間４５００万人 　　　　　最近２０年間の京都の観光客の推移は横ばいであったが、近年は順調に増加している 団体観光客は減少傾向、少人数グループの観光は増加 　　　　　20年間で２００万人減少今後も減少していくと思われる 2005年の旅行者の内、宿泊客の割合は２５％ 　　　　　観光消費額を増やすためには宿泊客を増やし滞在期間を延ばすことが重　要。そのためにはオフシーズンである夏・冬の旅行者を増やすことが重要

（２）京都が抱える交通・景観問題 交通渋滞問題 京都の都心部の道路は年中渋滞している観光シーズンを迎えた嵐山では渋滞のせいで自宅から車を出せない家もあるほどである。 2004年に京都を訪れた観光客は４５54万人。この内、乗用車で京都を訪れたのは1378万人。実に総数の3割もの人が乗用車で来ていることになる。これでは道路はパンク状態になるはずである。ここまでひどい状態になったのはなぜであろうか。

利用交通機関別観光客数 （京都市観光調査年報2004年度版 単位；万） 利用交通機関別観光客数 　　　　　　　　　　　　　　　　　　（京都市観光調査年報2004年度版　単位；万）

それはこれらの理由が関係している ・東京・大阪などの大都市に比べて市内を走る鉄 道の数が少ない ・交通渋滞のせいで時刻どおりにバスが来ない 　それはこれらの理由が関係している 　　・東京・大阪などの大都市に比べて市内を走る鉄　　　　　道の数が少ない 　　・交通渋滞のせいで時刻どおりにバスが来ない 　　・自家用車は他の交通手段に比べ、移動にかかる時間が最も短くてすむため

改善案の紹介 パークアンドライド 都市高速道路建設 １００円バスの導入 LRTの導入案

景観問題 京都には古くからの町並みや歴史的な建築物が数多くあるこのような景観の風情は京都を観光するにあたって必要不可欠なものである。これらのような貴重な景観が、高層ビルや派手な色の建物によって風情をなくしてしまう。これが景観問題である。

昔から景観問題については議論されているがこれは永遠に無くなることのない問題である。私たちの生活環境を考えると高層ビルやマンションを無くすことは不可能である。だからといって諦めてもいいというわけではないが、今後は貴重な建造物の周囲には高層ビルを建てないようにするなどして、景観と生活のバランスをうまくとっていく必要がある。

京都は多くの観光資源に恵まれている。観光資源とは自然の景観などの自然資源と、歴史的遺産や歴史的な年中行事などの人文資源の二つに分けられる。 （３）京都の観光資源と観光戦略の重要性 京都は多くの観光資源に恵まれている。観光資源とは自然の景観などの自然資源と、歴史的遺産や歴史的な年中行事などの人文資源の二つに分けられる。 京都は人文資源にあたる寺社や歴史的建造物が豊富である。が、今までどおり寺社や建造物にだけに頼った受身的な考えではこれ以上の観光客増加は期待できない。今後は観光客の五感に訴えるような積極的な観光戦略を考えることや、人文資源について新たに見直す必要がある

京都観光の戦略をたてるにあたり考慮すべき視点 人文資源等の保護・再生・創造 バリアフリー化へのシステム作り 五感に請求する昼夜間の空間創造 ホスピタリティーの醸成

2005年１２月、「おこしやすプラン２１」の成功に伴い、5000万人計画の後半5年のために「新おこしやすプラン２１」が策定された、これは前に述べた考慮すべき点を十分に含んだ計画案であると思われる。案の概要の一部は次の通りである

「京都観光振興推進計画～おこしやすプラン２１～」 文化的魅力による海外からの観光客の誘致 京都体験プログラムの充実 都心観光の環境整備

今後もこれらの計画案を確実に実行していけば目標の5000万人を達成できると考えられる。京都がもつ「本物」の魅力を全面に出して他都市に対抗すれば相乗効果を期待でき、京都はより多くの観光客を迎えることができるで

参考文献 おこしやすの観光戦略 山上徹 法律文化社/2001 観光の京都論 山上徹 学文社/2002 おこしやすの観光戦略　　　山上徹　法律文化社/2001 観光の京都論　　　　　　　　 山上徹　学文社/2002 京都観光学　　　　　　　　　 山上徹　法律文化社/2000 京都観光調査年報