Introduction 標準模型は実験結果をよく再現している。 しかし、標準模型の枠組では説明できない現象もある。

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Presentation transcript:

Nobuhiro Maekawa, Yu Muramatsu and Y.S., PTEP 113B02 名古屋大学 重神 芳弘 Nobuhiro Maekawa, Yu Muramatsu and Y.S., PTEP 113B02 Flavor Physics workshop in 浜名湖かんざんじ温泉 12月8日~11日

Introduction 標準模型は実験結果をよく再現している。 しかし、標準模型の枠組では説明できない現象もある。          階層性問題、フェルミオン世代構造、暗黒物質、・・・ 標準模型の拡張模型が必要。 超対称大統一理論に注目 ボソンとフェルミオンの間の対称性 力の統一と物質場の統一を実現

Introduction 超対称性理論・・・ボソン⇔フェルミオンの対称性 解決すべき問題がある。          μ-問題、SUSY FCNC、・・・ ボソンには、パートナーとなるフェルミオン粒子を、 フェルミオンには、パートナーとなるボソン粒子を導入。 ヒッグス質量への輻射補正の2次発散が相殺する。 大統一理論における力の統一がよくなる。 暗黒物質の候補がある。 etc…

Introduction 大統一理論・・・より大きな群に埋め込む 解決すべき問題がある。 力の統一と物質場の統一を実現。          GUT relation、・・・ 力の統一と物質場の統一を実現。

Introduction 超対称大統一模型の中でも魅力的な模型: この模型の一番重要な仮定: M. Ishiduki, S. -G. Kim, N. Maekawa and K. Sakurai, Phys. Rev. D 80, 115011 対称性で許される相互作用は、全てO(1)係数で導入 この仮定の下で、超対称大統一模型で生じる様々な問題を解決できる。      、doublet-triplet splitting problem 、SUSY FCNC、 ・・・

Introduction この模型の特徴: この構造により、この模型特有の予言が可能。 スカラーフェルミオンの質量構造 SUSY FCNC問題の解決に役立つ。 “D項”の寄与 Bs中間子のCP非対称 本研究では、                   から何が言えるか研究した。

Introduction “D項”の寄与 スカラーフェルミオンの質量構造 模型特有の質量の”Universality”を崩してしまう。 スカラーフェルミオン質量に寄与する。 模型特有の質量の”Universality”を崩してしまう。 SUSY FCNCプロセスから“D項”に制限がかかる。 スカラーフェルミオンの質量構造

Introduction “D項”の寄与 非自明な予言: 模型特有の質量の”Universality”を崩してしまう。 スカラーフェルミオン質量に寄与する。 模型特有の質量の”Universality”を崩してしまう。 SUSY FCNCプロセスから“D項”に制限がかかる。 ヒッグス質量=126GeV FCNCからの制限が緩くなり、 “D項”を大きくできる。 どれくらい 大きくできる? 重いスカラーフェルミオン2乗質量が(10TeV)2の時、“D項”の大きさは(1TeV)2近くまで許される。

Introduction Bs中間子のCP非対称 スカラーフェルミオンの質量構造 軽いスカラーフェルミオンが媒介すると、振幅が増大する。

Introduction Bs中間子のCP非対称 FCNCの制限を満たすパラメータで、標準模型の予言値より大きくなる。 スカラーフェルミオンの質量構造 軽いスカラーフェルミオンが媒介すると、振幅が増大する。 この模型の予言の1つ。

Contents ・ Introduction ・ ・ “D項”への制限 ・ Bs中間子のCP非保存 ・ Summary

模型のレビュー 物質場: スカラーフェルミオン質量に影響 右巻きダウン型クォーク・左巻きレプトン2重項が含まれる場に特殊な構造 2世代目     物質場: 2世代目 3世代目 Superheavy 右巻きダウン型クォーク・左巻きレプトン2重項が含まれる場に特殊な構造 スカラーフェルミオン質量に影響

スカラーフェルミオンの質量構造 左巻きスクォーク2重項 右巻きスレプトン アップ型右巻きスクォーク 左巻きスレプトン2重項 ダウン型右巻きスクォーク

スカラーフェルミオンの質量構造 FCNCの制限を満たすことができる! 実際には、 “D項”という寄与がある。 左巻きスクォーク2重項 右巻きスレプトン アップ型右巻きスクォーク 左巻きスレプトン2重項 ダウン型右巻きスクォーク FCNCの制限を満たすことができる! 実際には、 “D項”という寄与がある。

ヒッグスがVEVを持つことにより、スカラーフェルミオンの質量に寄与する。 超対称性理論における“D項”: ヒッグスがVEVを持つことにより、スカラーフェルミオンの質量に寄与する。 ゲージ結合定数 ヒッグス、スカラーフェルミオンなどに関する和 この寄与は、ヒッグスやスカラーフェルミオンのU(1)電荷による。

スカラーフェルミオン質量を“D項”の寄与も考慮して計算: ここから、以下の非自明な予言ができる。 2世代目と1世代目のスカラーフェルミオン2乗質量差 3世代目と1世代目のスカラーフェルミオン2乗質量差 この模型特有の関係式!

Contents ・ Introduction ・ ・ “D項”への制限 ・ Bs中間子のCP非保存 ・ Summary

“D項”への制限 FCNCプロセスによるパラメータへの制限: 2つのパラメータ(“D項”の線形結合)で記述できる。 模型にあるパラメータへの制限に焼き直し M. Ciuchini et al., JHEP 10, 008 (1998), hep-ph/9808328 Memo:「ヒッグス質量が重い => FCNCの制限が緩くなる」はイントロに書く(141205) 2つのパラメータ(“D項”の線形結合)で記述できる。

“D項”への制限 結果 m0=10TeVの時、“D項”は(1TeV)2近い大きさまで許される。 将来実験で、この模型特有のスカラーフェルミオン質量の”Universality”からのずれが測定されれば、この模型の兆候となる! この模型の非自明な予言:

Contents ・ Introduction ・ ・ “D項”への制限 ・ Bs中間子のCP非保存 ・ Summary

Bs中間子のCP非対称 今回の研究ではセミレプトニック崩壊に注目した。

Bs中間子のCP非対称 今回の研究ではセミレプトニック崩壊に注目した。 この模型ではどのようなことが言えるか? R. Aaij et al. [LHCb Collaboration], (2013) A. Lenz, [arXiv:1205.1444 [hep-ph]]

Bs中間子のセミレプトニック崩壊 結果 標準模型の予言値の2.5~4倍程度まで増大。 黒の実線: 16 黒の実線: 12 標準模型の予言値の2.5~4倍程度まで増大。 8 4 この模型では、FCNCの制限を満たすパラメータでも、標準模型の予言値より大きくなる! 2.5

Contents ・ Introduction ・ ・ “D項”への制限 ・ Bs中間子のCP非保存 ・ Summary

Summary “D項”の寄与 Bs中間子のセミレプトニック崩壊 将来研究:CEDM、O(1)パラメータの決定、・・・      ・特徴的なスカラーフェルミオン質量構造 “D項”の寄与      ・FCNCからの制限・・・大きな“D項”      ・非自明な予言: Bs中間子のセミレプトニック崩壊      ・標準模型の予言値より大きくなる。 将来研究:CEDM、O(1)パラメータの決定、・・・ これらが将来実験で測定されれば、この模型の兆候となる!

Back up

D-term contributions

Red : tree level, Blue : loop level A. Lenz and U. Nierste, arXiv:1102.4274 [hep-ph]

Superpotential 基本階層性 仮定: , 現実的な階層性が、1つの基本階層性から得られる

基本階層性の導出 を破る場: 仮定: , には  が掛かる 基本階層性が導出される

Lagrangian: Higgs VEVs: 電荷の割り当て方で現実的な階層性が導出される

特徴1:Froggatt-Nielsen機構の実現 ◉ 演算子の係数に    電荷に依存した抑制因子がつく gauge singlet 場の    電荷をうまく決めることで、階層的な構造が得られる

特徴2:SUSY-zero 機構 対称性で許される項は、全てオーダー1係数で導入 Superpotentialでは、このような項は禁止される ◉ SUSYではSuperpotentialの解析性により、  が使えない Superpotentialでは、このような項は禁止される ◉             の重要な仮定: 対称性で許される項は、全てオーダー1係数で導入 SUSY-zero 機構により、無限個の相互作用をコントロールすることができる

VEV determinationとSUSY zero mechanism =1 相互作用 係数 VEVと相互作用の大きさは、場の     電荷で決まる Superpotential

湯川行列 と     に対する質量行列: Higgs VEVs: Overall <Φ>

 場の混合 3×6行列の対角化:

対角化行列・・・湯川行列を対角化 MSSM Higgs: の実係数 位相 このモデルのパラメータは少ない

対角化行列・・・湯川行列を対角化

対角化行列・・・湯川行列を対角化

対角化行列・・・湯川行列を対角化 と対角化

Box diagram

Box diagram

Matrix element VIA B-parameters M. Ciuchini et al., JHEP 10, 008 (1998), hep-ph/9808328

Box diagram: ?

相違点:Matrix element

実験値との比較では重要となる 相違点:Matrix element ・・・軽いスクォークが多く飛ぶほど、寄与が大きくなる :0個 :1個 :2個 のとき、 ・・・軽いスクォークが多く飛ぶほど、寄与が大きくなる 実験値との比較では重要となる

大統一理論(GUT) 物質の統一

超対称性理論(SUSY) 超対称性変換:ボソン⇔フェルミオン 超対称性代数

超対称性理論(SUSY) 超対称性粒子・・・Higgs質量の2次発散をキャンセル ボーナス・・・   ゲージ結合定数の統一

SUSY GUTにある問題点① Doublet-Triplet splitting problem 解決策 Fine tuning!! Triplet Higgs Doublet Higgs (SM Higgs) Fine tuning!! Proton decayのため 解決策 1) Missing partner mechanism 2) Missing VEV (Dimopoulos-Wilczek mechanism) 3) その他

SUSY GUTにある問題点① Doublet-Triplet splitting problem Fine tuning!! 1) Missing partner mechanism・・・    での解決策 ◉ Superpotential Triplet Higgsにのみ質量を与える 一方、    などは手で落としている 不自然!

SUSY GUTにある問題点① Doublet-Triplet splitting problem Fine tuning!! 2) Missing VEV (DW mechanism)・・・     での解決策 ◉ Superpotential Triplet Higgsにのみ質量を与える 一方、    などは手で落としている 不自然!

SUSY GUTにある問題点② 湯川結合定数のGUT relation 解決策 ◉ Superpotential for @GUT scale いずれも非現実的な関係式 解決策 1) 高い表現のHiggsを導入 2) Vector表現を物質として導入 3) その他

SUSY GUTにある問題点② 湯川結合定数のGUT relation : : 1) 高い表現のHiggsを導入

SUSY GUTにある問題点② 湯川結合定数のGUT relation : : 2) Vector表現を物質として導入 クォークとレプトンでmassless modeが異なる :      と同様 非現実的なGUT relationを避けられる