可搬型X線非破壊試験装置用の 小型電子加速器 (広島大‐トムスク工大共同研究)

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可搬型X線非破壊試験装置用の 小型電子加速器 (広島大‐トムスク工大共同研究) 遠藤一太 (広島大学先端物質科学研究科) Dec. 21, 2004

高透視力X線検査装置 大型建造物等の非破壊検査用、 素粒子・高エネルギー物理学 高透過力、 分野等の実験技術の進歩 持ち運びが容易、操作・評価が簡単 高透視力X線検査装置 素粒子・高エネルギー物理学 分野等の実験技術の進歩 次世代型大型加速器実験 ニュートリノ実験 等 応用 トムスク工大と共同開発

トムスク工科大学(TPU) トムスク工科大学 No.10ビルディング トムスク工科大学 トムスク市 1604年 帝政ロシアのシベリア開発拠点として設立 大学が6~7つある学術都市 人口:60万人程度 気温:-40℃~30℃ トムスク工科大学 No.10ビルディング トムスク工科大学 学生数は約12,000人(パートタイムも合わせると約23,000人) 原子核物理、重化学工業、地質学、電気通信、外国語、社会科学教育など

広島大学とトムスク工科大学の歴史 1998年6月 大学間協定締結。 2000年2月 広大-TPUの小型加速器の開発とその応用に関する共同研究開始。 2001年1月 第一回「小型電子加速器とその応用」研究会開催(広島大学VBLにて)。展示用にベータトロンをTPUから借りた。 2001年5月~7月 大西(当時、院生)がTPUへ留学。 2001年12月 小型X線発生装置の部品を購入。広大に到着。(“オビ”) 2002年8月 試作機の製造を開始。 2004年3月 試作機1号機完成。広大に到着。(すぐ故障、6月にTPUへ) 2004年11月 修理後、広大に到着。

なぜ作るのか? この装置により、 マンション、道路、橋梁等 建造物の非破壊検査が可能になる。 発電所等、重要施設の効率の良い検査が可能になる。 効率的な補修(早期発見・局所的な補修)が可能になる。 →省資源化、環境に良い。自然災害に対する安全性の向上。 平成13年度広島大学VBLインキュベーション事業補助金 平成14・15年度ヤングベンチャーチャレンジ事業補助金ひろしま産業振興機構 第一回キャンパスベンチャーグランプリ in CHUGOKU 準グランプリ 平成15年度~ インキュベーションオフィス(旧インキュベーションセンター)入居

それぞれの非破壊検査方法と、その特徴 (分厚い被写体の場合) ① 打音 ・ 目視 ② 超 音 波 ③ 赤 外 線 X線 ④ X線管 ④ ライナック 当装置 特   徴 移動性 ◎ ◎ ◎ ◎ × ◎ 透過力 × ○ × ○ ◎ ◎ × × × ◎ ◎ ◎ 直接 画像 として 得ら るか?

Non-Destructive Testing in Civil Engineering 2003 トムスク工科大学のベータトロン使用例 Material Measurements Ltd(UK)のMegaScan (TM) (実はトムスク工科大学のベータトロン) “USE OF THE MEGASCANTM IMAGING PROCESS IN THE INSPECTION OF RAIL BRIDGES AND OTHER MAJOR STRUCTURES” Kevin Brown, John St Leger Non-Destructive Testing in Civil Engineering 2003 http://www.ndt.net/article/ndtce03/papers/v021/v021.htm

トムスク工科大学のベータトロン使用例 7.5MeVのベータトロンを使用。 照射時間は、1mの強化コンクリートでは20分、 右は得られた画像をPCで解析した結果。

日本における法律上の制約 法律上、1MeV未満であることが望ましい。 (法律改正検討中?)

コンクリートの吸収係数 のX線エネルギー依存性

ベータトロン“オビ” 中古(1978年製)の4MeVの装置の電気回路を調整、 最大エネルギーを1MeVに制限した。 本体       56kg(395×355×285) 操作機     9kg(420×250×170) 電源       16kg(420×250×170) パルス発生器 25kg(410×250×330) とケーブル4本からなる。 皮相電力:300VA程度。 繰返:240Hz 冷却方式:空冷 1m離れた点での線量:25mR/min 4MeV用の回路・磁石のため、寸法・重量が大きい!! ※広島大学ベンチャービジネスラボラトリーインキュベーション事業補助金による。

4MeVを1MeVに改造したベータトロンのX線スペクトル実測例

1MeV用設計で小型化した 高透視力X線発生装置(第一号機) 寸法:250×395×570mm 総重量:約55kg 操作器 本体(電源、磁石全て含む) ケーブルからなる。 1MeVのベータトロン“オビ”に 比べて強度が6倍になった!! 1MeV小型高透視力X線発生装置 ※財団法人ひろしま産業振興機構ヤングベンチャーチャレンジ事業補助金による。

今後の工夫: Intensity 増大:Higher repetition, capture efficiency,vacuum,target X-ray detector: Higher efficiency, Image data analysis