パルス中性子イメージングにおける ブラッグエッジ解析法の検証・高度化

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パルス中性子イメージングにおける ブラッグエッジ解析法の検証・高度化 5 Jan. 2012 パルス中性子イメージングにおける    ブラッグエッジ解析法の検証・高度化 佐藤 博隆  篠原 武尚  鬼柳 亮嗣 日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター 加美山 隆  鬼柳 善明 北海道大学 大学院工学研究院 岩瀬 謙二  石垣 徹 茨城大学 フロンティア応用原子科学研究センター Thank you chairman. Good morning, everyone. My name is Hirotaka Sato from J-PARC in Japan. I’d like to talk about “Recent development of Rietveld-type analysis technique for Bragg-edge transmission imaging”. (+0:2 min)

J-PARCパルス中性子イメージング装置 Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 1

物質・生命科学実験施設「MLF」 (パルス中性子・パルスミュオン) 大強度陽子加速器施設「J-PARC」 茨城県東海村 日本原子力研究開発機構原子力科学研究所 太平洋 物質・生命科学実験施設「MLF」   (パルス中性子・パルスミュオン) 3GeVシンクロトロン ハドロン実験施設 リニアック Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) ニュートリノ実験施設 50GeVシンクロトロン JRR-3M 2011/3/11震度6強の地震により大きなダメージ 2

MLF BL10 中性子源特性試験装置「NOBORU」 IPイメージ @ BL10 中性子スペクトル @ BL10 Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 震災前と変わりない中性子束を確認(12/23) 3

J-PARCイメージング装置の建設計画 MLF中性子実験装置群 BL22:イメージング装置 BL22 物質情報3次元可視化装置「ERNIS」 BL02:背面反射型分光器「DNA」 BL03:生物単結晶回折計「iBIX」 BL04:核データ測定装置「ANNRI」 BL05:基礎物理実験装置「NOP」 BL06:スピンエコー分光器「VIN-ROSE」 BL07: BL08:超高分解能回折計「SHRPD」 BL09:特殊環境回折計「SPICA」 BL10:テストポート「NOBORU」 BL11:高圧回折計「PLANET」 BL12:高分解能チョッパー分光器「HRC」 BL13: BL14:ディスクチョッパー分光器「アマテラス」 BL15:小角散乱装置「大観」 BL16:水平反射率計「SOFIA」 BL17:偏極反射率計「写楽」 BL18:単結晶回折計「千手」 BL19:工学材料回折計「匠」 BL20:汎用粉末回折計「iMATERIA」 BL21:全散乱装置「NOVA」 BL22:イメージング装置 BL23:偏極チョッパー分光器 BL22 物質情報3次元可視化装置「ERNIS」  中性子束:~4×107 n/cm2/s~  L/D:150~1500~15000  ビームサイズ:最大30cm×30cm  波長分解能:0.2%~0.3%  有効エネルギー・波長帯域:10Å~1keV 「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」によりJAEAが整備(平成24年度~) BL10 IP image “Watch the watch” L/D = 1875 ブラッグエッジ法  結晶組織構造の可視化 共鳴吸収法  核種・温度の可視化 偏極中性子法  磁場ベクトルの可視化 位相コントラスト法  境界のコントラスト強調 BL10 3 mm Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 中性子スペクトル解析による物質情報・物理情報の可視化 BL22 4

ブラッグエッジ透過率スペクトル解析コード「RITS」の開発により実現 ↓ ブラッグエッジイメージングの現状 課題①:結晶組織可視化法の信頼性は未確認 課題②:結晶構造・結晶相可視化機能は未整備 ブラッグエッジイメージングの現状 H. Sato, et al., Mater. Trans. 52 (2011) 1294. K. Iwase, H. Sato, et al., J. Appl. Crystallogr., submitted. 結晶組織変化による透過率  パターン(ブラッグエッジ)の変化 結晶子サイズ ひずみ Texture & Large crystallites a-Fe 引張試験 Strain Stress concentration Non-texture & Small crystallites 溶接部:微細化/RDに伸長 集合組織 選択配向方位 Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) Normal Direction (ND) // Beam 溶接された圧延鋼板 Rolling Direction (RD) // Beam Weld line 圧延部:異方的/溶接部:等方的 ND//<111>配向/RD//<110>配向 5

① 中性子回折法による 集合組織・結晶子サイズ可視化法の検証 H. Sato, T. Kamiyama, K. Iwase, T ① 中性子回折法による 集合組織・結晶子サイズ可視化法の検証 H. Sato, T. Kamiyama, K. Iwase, T. Ishigaki and Y. Kiyanagi, Nucl. Instrum. Methods A 651 (2011) 216. Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 6

研究の方法 中性子回折実験:J-PARC MLF BL20 茨城県材料構造解析装置「iMATERIA」 回折データ解析ソフトウェア:Z-Rietveld 同一試料について、パルス中性子イメージング@北大中性子源 & RITS の結果と比較 Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 7

装置の仕様&プロファイルの類似性により結論が出せず 比較結果① - 選択配向ベクトル 溶接された圧延鋼板 Normal Direction (ND) // Beam Rolling Direction (RD) // Beam Weld line 4箇所について比較 透過法&RITSの結果  ND // <111> (既往研究通り)  RD // <110> (既往研究通り) 回折法&Z-Rietveldの結果  ND ⊥ <530> (予期されない方位)  RD // <530> (予期されない方位) Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 回折法で異なる選択配向が識別:  回折計の仕様(Time-Focusing法) 透過法&RITSの解析において   RD // <530>を仮定すると       類似したプロファイル 装置の仕様&プロファイルの類似性により結論が出せず 8

透過法&RITSでRD//<530>を仮定し、回折法&Z-Rietveldの結果と比較 比較結果② - 集合組織・結晶子サイズ 4箇所について比較 透過法&RITSでRD//<530>を仮定し、回折法&Z-Rietveldの結果と比較 Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 母材 / ND 母材 / RD 溶接 / ND 溶接 / RD March-Dollase係数(透過法) 1.846 0.538 1.514 0.655 March-Dollase係数(回折法) 1.896 0.564 1.588 0.661 March-Dollase係数の比 97 % 95 % 99 % 結晶子サイズ(透過法) 4.25μm 5.31μm 3.25μm 3.83μm 結晶子サイズ(回折法) 2.81μm 3.37μm 2.07μm 2.46μm 結晶子サイズの比 152 % 157 % 158 % 155 % 集合組織発達度:一致 結晶子サイズの傾向:一致 9

② 結晶構造・結晶相の可視化に関するRITSの高度化 Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 10

① 全結晶構造パターンの考慮 230種類の全結晶構造パターンを計算できるようRITSを改良 No. 62 (Pnma) No. 75 (P4) No. 127 (P4/mbm) No. 225 (Fm-3m) HCP:No. 194, FCC:No. 225, BCC:No. 229 Pictures: http://www.yamada-lab.imr.tohoku.ac.jp/HERMES/Analysis/SPGroup.html (東北大金研山田研) 水素貯蔵合金Ti45Cr25Mo30の波長依存微視的全断面積(~質量減弱係数)の計算 No Bragg diffraction. Inelastic scattering emphasized. Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 様々な結晶性材料が研究対象に 11

複数の結晶相の識別・定量的可視化が可能に ② 結晶相の定量的イメージング Fe-SUS溶接材 Fe-SUS混合領域の解析 BCC{200} オーステナイト系  ステンレス鋼 FCC構造 フェライト(鉄) BCC構造 FCC{200} BCC{110} FCC{220} FCC{111} Weld line ? フェライト オーステナイト Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) The weld line can be visualized clearly. 複数の結晶相の識別・定量的可視化が可能に 12

まとめ J-PARC中性子源は12月に復活。今月より陽子ビームパワー100kWで供用運転開始予定。 中性子回折法により、パルス中性子を利用した集合組織・結晶子サイズイメージング法が、妥当なものであることを確認。 230種類の全結晶構造パターンが解析可能に。 複数結晶相の定量的識別・可視化が可能に。 Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 13

Appendix - 結晶粒と結晶子 Aim of the data analysis code is the quantification of various crystalline structural information in Bragg-edge transmission imaging. (+0:1 min = 1:2 min) 14