平成15年度課題研究P6 希ガスシンチレータ班 発表者:穴田貴康 西村広展 湯浅翠 2004年3月11日
目次 動機 セットアップ 測定 解析 結論
μ-PICを用いたTPCのトリガーが欲しい 1.動機 μ-PICを用いたTPCのトリガーが欲しい μ-PICで荷電粒子の二次元track 反応時刻がわかればdrift time より三次元trackがわかる。 ⇒self trigger(光)の必要性 ① n+3He→p+3H Q=764keV MeV γ 100~数100keV ダークマター検出器 10~数10keV →検出の簡単な①の研究 μ-TPC
放射線計測ハンドブック(G.F.Knoll著)より引用 希ガスシンチレーション 高速 (2~3 ns) 紫外線から可視光領域のシンチレーション光 数MeVα線 で0(103)個の光子生成 ⇒中性子検出器のtriggerへ ⇒実際に十分な量が検出可能か? 放射線計測ハンドブック(G.F.Knoll著)より引用
2.使用機器 21cm 反射材 / 黒画用紙 9cm PMT マントル マントル PMT二本(詳細は後ほど) 真空耐圧容器 0~2 atm 黒い画用紙、反射材 ガス(Kr、Xe) 3回Flush 1atm →お金がかかったのはPMTだけ 21cm 反射材 / 黒画用紙 9cm PMT マントル
2-1.α線源 トリウム系列 ・マントル:ランタンの発光体。トリウムが添加されているものが多い。トリウムは放射線壊変に伴って4~9MeVのα線を出す。 (単位はMeV) 6cm 捨てても大丈夫 TOKYU HANDSで3個\700
2-2.PMT 浜松フォトニクス社製 H3695ー19 光電面直径8mm GAIN 1.1×106 (-1250V)(カタログ値) 波長帯域の広いものを選んだ 透過型光電面分光感度特性 量子効率 20% 光電面放射感度 (mA/W) 9.5cm 波長(nm) 320
2-3. 測定環境 HV -1400V -1500V オシロ スコープ
信号が見えました 二本のPMT(HV-1400V,-1500V)から同時の信号 PMTからのシグナル 高速 5ns 10~200mV ⇒何かが光っている。 30mV 20mV
2-4.データ取得システム 増幅回路(Charge Amp) 信号分岐(F.I.Oモジュール) Discriminator 2-4.データ取得システム 増幅回路(Charge Amp) 信号分岐(F.I.Oモジュール) Discriminator Coincidence(暗電流対策) Gate generator QDC (V792)
Charge 130倍 2-4-1.増幅回路 LM7171 高速オペアンプ Charge Sensitive型 6 ns (スルーレート4100 V/μs) Charge Sensitive型 20 mV Charge 130倍 50 mV 300 ns
2-4-2.QDC V792 ADCchannel値とChargeの関係 Calibrationをする。 →パルスの作成 400mV →パルスの作成 F.G.からの矩形波を微分 矩形波のPulse Heightで ADCに入る電荷量を調整 100ns 400mV 3V 時定数 10pF×50Ω =0.5ns 実際は ~100ns
28-pin 23-pin 352.7channel 230.5channel
Q=0.45x+88.6 Q=0.29x+44.7 160ch以下 Q=0.37x+28.7 23-pin 28-pin マニュアル値:400pC⇔4096ch→1pC⇔10.24ch Signalが高速なので減衰している
2-5.PMTの絶対GAIN パルス暗電流の最大=one-photo-electron相当 ⇒one-photo-electronに対応するADC channelを調べる。 印加電圧はPMT Aは-1500V、PMT Bは-1400V。
PMT+アンプ 絶対GAIN (40±5)ch→(44±2)pC 1.6×10-7pC×PMTGAIN×AMPGAIN=(44±2)pC PMT A PMT B (40±5)ch→(44±2)pC 1.6×10-7pC×PMTGAIN×AMPGAIN=(44±2)pC AMPGAIN=130±10 ⇒ PMTGAIN=1.9×106~2.4×106 光もれではありません
3.スペクトル測定 Kr+マントル+黒画用紙 PMT A PMT B
Kr + マントル +反射材 1.3倍 約1.3倍の集光率
宇宙線ミューオンが1cm走ると約5keV落とす 3-1.マントルのα線以外の成分 MIP μ マントルの放射線か? 容器内壁の放射線? 85Krの自発放射は? 外部からの放射線は? αβγ βγ αβγ Kr 宇宙線ミューオンが1cm走ると約5keV落とす
3-2.マントルのα線のみを とりだすには? ゴミ袋4枚(100μm)で マントルのα線のみが 遮蔽される 1MeVのβ線のポリエチレン中における飛程 →4400μm μ αβγ βγ ゴミ袋4枚(100μm)で マントルのα線のみが 遮蔽される αβγ Kr
3-3.α線のスペクトル Kr + マントル + 黒画用紙 のスペクトルから + ゴミ袋 を引く
3-4. QDCのchannel →photo-electron数 N p.e. e: 素電荷 G: GPMT × GAMP N・G・e・Att. [pC] QDCのchannel QDCchannel値と Chargeの関係 逆算するとch→p.e.の変換が可能
3-4. QDCのchannel →photo-electron数
3-5. KrとXe 10.5 Hz 14.8 Hz Xeの方がよく光っている。
4.シミュレーション ②Bragg curve (by SRIM) Kr Xe ①測定環境のモデル化 測定環境のモデル化 立体角 マントル内部構造 容器の壁面での反射はない
③PMT光電面を見込む立体角 z軸対称性 r-z依存性 Z=-1cm
容器の中を走らせる。 一定の初期エネルギー ランダムな直線軌跡 発光光子数はエネルギー損失に比例 PMT入射光子数 ランダムな直線軌跡 発光光子数はエネルギー損失に比例 PMT入射光子数 =発光光子数×立体角/4π
④マントルから出てくる α線エネルギー マントルの素材は6-6ナイロン 飛程 最大80μm 初期エネルギーはトリウム系列中のアルファ 飛程 最大80μm 初期エネルギーはトリウム系列中のアルファ 84%のα線は吸収される
以上の条件のもとのシミュレートの結果 107cts
1MeVあたり1100±400個の光子生成6000±5400個のα線が毎秒放出 実験データとの比較 Krの場合(量子効率0.2±0.04) N×(0.26±0.05) ×(0.2±0.04) =(22±4.4 ) 1MeVあたり400±150個の光子が生成 0. 26±0.05 3800±1900events cts/2000s (107×600÷3800) ÷2000=800 800±660個のα線が毎秒放出 22±4.4 p.e 600±400events Xeの場合 1MeVあたり1100±400個の光子生成6000±5400個のα線が毎秒放出 p.e
p.e
5 結果 5-1. 中性子検出器のトリガー n+3He→p+3H 764keV α線と同等のシンチレーション効率をもつと仮定すると 5 結果 5-1. 中性子検出器のトリガー n+3He→p+3H 764keV α線と同等のシンチレーション効率をもつと仮定すると ⇒Kr 400±150[photons/MeV]×0.764 [MeV] =300±100[photons] ⇒Xe 850±300[photons] のシンチレーション光子が放出される PMTに入射するphoton数を10以上確保するには ⇒Kr 5% Xe 2% の立体角で十分
5-2 マントルのトリウム含有量 質量比 (35±19)% マントル中から出てきたアルファ線の量 解析結果より⇒ 5-2 マントルのトリウム含有量 マントル中から出てきたアルファ線の量 解析結果より⇒ Kr 800±660Hz Xe 6000±5400Hz(表面 厚さ80μm内のみの寄与) 600Hz~1400Hz トリウム原子数N=崩壊速度A [/s] ×半減期T[s]/ln2 T=4.4×1017 [s] A=(1000±400)/ (6×16%)[/s]←シミュレート結果より見積もり N=(6.6±2.6)×1020 マントル全体((300±50)μm)で (2.4±1.3)×1021 個のトリウム原子核 トリウムの原子量 232 → 質量換算 920±500mg マントル一枚の重量 1.3g → 今実験では二枚使用2.6 g 質量比 (35±19)%
まとめ 希ガスのシンチレーション光が見えました。 μ-TPC中性子検出器のトリガーとして希ガスシンチレーションが利用可能です。 マントルに含まれるトリウム量も見積もりました。15~50%