第六章 コモディティ化をいかにして回避するか

Slides:



Advertisements
Similar presentations
青い海を創造する企業は、赤い海で競争する企業とは対照的に、自社の競争 力についてベンチマーキングなどしない。 青い海は、従来の戦略の根本であるバリュー・プロポジション(提供価値)とコストのトレー ド・オフを否定している。 顧客にもたらされる価値は、商品やサービスの効用と価格から生まれ る。 企業にもたらされる価値は、コスト構造と適正価格から生まれる。
Advertisements

5フォース(5fo rce) BIZテンプレートNo. 002. 経営資源の投入の優先順位付や新規参入の判断に役立つフレームワーク 5フォース フレームワーク NEXT フレームワークの解説と、分析の方法 同業他社との競合 売り手の交渉力 (供給業者) 買い手の交渉力 (顧客) 新規参入の脅威 代替品の脅威.
マーケティングとマーケティ ングリサーチ. マーケティングとは何か? アメリカ・マーケティング協会の定義 「個人と組織の目的を満たすような交換 を生み出すために、アイデアや財やサー ビスの考案から、価格設定、プロモー ション、そして流通に至るまでを計画し 実行するプロセスである」
第4章 ABC/ABMと原価情報 原価計算・原価低減の新技法 1.ABCとは何か 2.ABCの有効性 3.ABMとは何か 4.ABMの有効性.
市場機会の発見・評価・選択.
第2章競争戦略 梶田 真邦 桑原 雪乃 斉藤 晋世.
大阪大学工学研究科 ビジネスエンジニアリング専攻 座古研究室 修士2年 百々路裕二郎
製品とブランドに関するトピックス.
マーケティング戦略の決定.
ジェイ B.バーニー リソース・ベースト・ビュー(RBV) 国士舘大学 経営学研究科 13-MC007 周曼.
M.E.ポーターの競争戦略論 M.E.ポーターの競争戦略論は、「競争優位」に関する理論的フレームワークを提示した基本的理論である。SCPパラダイムという考えをもとに持続的な競争優位を確立するための戦略である。 SCPとは、市場構造(structure)、企業行動(conduct)、業績(performance)の略語であり、市場構造と企業行動が業績を決めるという考えである。
マーケティング・プログラム: 価格設定戦略
事業システム分析の基本テンプレート 氏名 この分析の詳細については、加護野忠男・井上達彦『事業システム戦略』有斐閣僚、
SAMPLE SAMPLE 1.誰に(ターゲット戦略) b.流通戦略(Place) ①誰に(ターゲット戦略) ・・・・・・・・・・・・・・・
マーケティングの管理(1) 最近のマーケティング理論 (事例:デジタルカメラの開発)
価格戦略と消費者心理.
流通と営業.
(OSSAJセミナー) WEB2.0時代のビジネスモデル 2006年2月23日 株式会社デジタルガレージ 取締役 遠藤玄声.
競争の戦略 大阪大学MOT勉強会 Sep. 27, 2007.
インターネットの本質を見極めよ インターネットの出現:大きな注目を集めるのも、驚くには及ばない、 世間の熱狂に煽てられて
ブランド価値の評価.
「輪」を広げよう! ~シマノから見る日本中小企業の活路~
第三章要約 りんご.
第9章 新規参入と既存企業の優位性 帝国.
テスト段階.
IBMの歴史 発明 System 360 (1964) Hard Disk (1956) DRAM
第2回 バリューチェーン1 【 Value Chain(価値連鎖) 】
グループ研究1班 第一章 経営戦略とは何か 雨森 彩 大嶋 健夫 小沢 博之.
SCMのためのITマネジメント 先端的グローバル・ビジネスと ITマネジメント
消費者行動とサービスの変遷  2016/09/15  MR4215 USU.
天草宝島起業塾 【ビジネスプランのタイトル】 【チーム名】 メンバー.
マーケティング計画.
製品ライフサイクルと マーケティング戦略.
大阪大学工学研究科 ビジネスエンジニアリング専攻 座古研究室 修士2年 百々路裕二郎
経営学Ⅰ 競争優位.
Broadband CRM ~顧客接点としてのブロードバンド~
大阪大学工学研究科 ビジネスエンジニアリング専攻 座古研究室 修士2年 百々路裕二郎
米トレーサビリティシステムのご紹介 日通情報システム 平成23年11月.
パソコンの歴史 ~1970年 1970年代 1980年代 1990年~ ▲1946 ENIAC(世界最初の計算機、1,900加算/秒, 18,000素子) ▲1947 UNIVACⅠ(最初の商用計算機) ▲1964 IBM System/360(5.1MHz, 1MB, 2億円) ▲1974 インテル8080(8.
マーケティング戦略の決定.
マーケティング概念.
経営戦略論参考資料(2) 2007年8月3日.
日中自動車産業と環境問題 第一章 中国自動車企業の発展 01w713 コウシュンエン 第二章 日本自動車メーカーの中国戦略
導入段階.
ブランドの評価と測定.
情報技術とビジネス・プロセス革新②(第8章) 2.プロセス革新と企業戦略
マーケティング・マネジメント.
顧客関係性マネジメント.
管理的側面 管理者に必要な経営知識 経営学の基本 ②環境と戦略と競争優位.
顧客ライフサイクル.
第6回 天草宝島起業塾 発表資料 【ビジネスプランのタイトル】  ここに入力してください 【発表者名・会社名】  ここに入力してください.
最新 IT トレンド ARM.
会社名 ビジネス プラン プレゼンテーション.
競争の戦略 マイケル・E・ポーター 藤井 海太.
クロスSWOT分析 社外 社内 (顧客、市場、競合、 マクロ環境) (自社) O:機会 T:脅威 S:強味 課題:S×O 課題:S×T
マーケティング・ミックス.
ARM.
市場機会の発見と市場の規定.
製品またはサービスの販売 サブタイトル.
労働市場 国際班.
[製品名] マーケティング プラン [氏名].
[製品名] マーケティング プラン [氏名].
イノベーションと 異文化マネジメント 法学部国際ビジネス法学科          08ed037m 佐藤 雅史.
新製品開発戦略.
マーケティング.
市場細分化 ターゲットの設定 ポジショニング
サービスマーケティング論 サービス開発とアイテム化 サービスの改良 第8回.
マーケティング・チャンネル戦略.
データ・ベース・マーケティングの概念.
Presentation transcript:

第六章 コモディティ化をいかにして回避するか イノベーションへの解 14103136 川村 憲司

コモディティ化を引き起こす原因は何か? 競争市場の全企業にとって、避けられない最終状態なのか。 どの発展段階にある企業にも、コモディティ化の開始を阻止する措置はとれるのか。 コモディティ化された後に独自のアーキテクチャを持つ差別化された収益力のある製品へと逆流することはあるのか。

コモディティ化 『コモディティ化』とは、一般消費財のように安く手に入れられ日常化すること。   高価だった製品が新しい、製造・販売・流通形態の確立によって求めやすい価格で販売されるような傾向も『コモディティ化』   パーソナルコンピュータ、IP対応携帯電話などで顕著 例) 3.5インチ・ディスク・ドライブ

どれだけ複雑で優れた製品でもコモディティ化 ⇓ それ以外の製品をつくる企業に希望はあるのか → コモディティ化と脱コモディティ化の相互補完的 → コモディティ化と脱コモディティ化の相互補完的               な作用

コモディティ化と脱コモディティ化のプロセス 収益性の高い差別化された独自製品をコモディティに変えてしまう ⇓ オーバーシューティングとモジュール化のプロセス 統合型企業が魅力ある利益を得られる理由  製品の相互依存型アーキテクチャにより、差別化が容易

→ よって、独自製品、優れたコスト競争力、高い参入障壁がもてる 例) ・メインフレーム・コンピュータ産業      (IBM) ・米国自動車市場     (ゼネラル・モーターズ)

だが、多くの企業がここへとたどり着かないか、到達しても長くとどまらない   ⇓ 企業が独自アーキテクチャ製品を競合企業よりも高いコスト競争力で製造できるのは、十分でない(製品の機  能性と信頼性がその市場に属する顧客ニーズを十分に満たしていない)場合のみ ・・・状況が変われば、やがてモジュール方式になりコモディ     ティ化   

破壊とコモディティ化の現象の原因のひとつ   → オーバーシューティング(十分以上に良い状況)  既存企業のほとんどが、最終的には破壊によってシェアを奪われるか、コモディティ化を通じて利益を奪い取られる ⇓ ・・・しかし、実はすぐそばに繁栄の機会が潜んでいることが ある

コモディティ化から脱コモディティ化へ 将来の魅力ある利益はバリューチェーンの別の段階や階層で生み出されることが多い ・・・コモディティ化のプロセスが、脱コモディティ化という補完的なプロセスを引き起こすから ⇓ → 以前はモジュール型で差別化が不可能だったプロセスや部品やサブシステムなどに生じる

「性能決定」部品やサブシステムの例 (パソコンの場合) ・・・マイクロプロセッサ、オペレーティング・システム、   アプリケーションなど

「性能決定」部品とサブシステムの中で最高のものを選び、いち早く製品に組み込む 利益を確保する唯一の方法 →低コストのビジネスモデルを速く上位市場に持ち込み、高コストの独自製品メーカーと競争し続ける  ⇓ 「性能決定」部品とサブシステムの中で最高のものを選び、いち早く製品に組み込む ・・・その結果、性能決定サブシステムは相互依存的で独自のアーキテクチャを生み出す  ⇓ よって、脱コモディティ化へ

脱コモディティ化という補完的プロセス コモディティ化による低コスト戦略を有効にさせる ⇓  性能決定サブシステムが同業者間の競争によって相互依存的で独自な開発を余儀なくされる これによって、差別化された独自製品を魅力ある利益率で販売できる  収益性の高い独自製品を創ることによって、次のコモディティ化と脱コモディティ化の周期の始まり

PC産業の製品バリューチェーンにおける金の流れ 顧客 $ ① $ $ $ ② ③ ④ ⑤ $ $ $ $ $ $ $ $ ⑥ ⑦ $ $ $ $ $ $

① デスクトップ・パソコン・メーカー ② オペレーティング・システム(マイクロソフト) ③ マイクロプロセッサ(インテル) ④ DRAMメーカー ⑤ ディスク・ドライブ・メーカー ⑥ 機器製造(アプライド・マテリアルズ) ⑦ ヘッドとディスクの設計、製造

「十分良い」状況、「十分でない」状況のブランド価値 コモディティ化を避けるために経営者はブランド力に頼ることが多い → しかし、ブランドにもコモディティ化や脱コモディ           ティ化が生じる ⇓ ブランドに最も価値があるのは、価値連鎖の「まだ十分でない」段階

例) 初期のメインフレーム・コンピュータ・システム  IBMが30~40%の割増価格、同じようにヒューレット・パッカードも  しかしコンピュータが「十分良い」機能性や信頼性を備える → これらの市場でモジュール化 内部のマイクロプロセッサとオペレーティング・システムが「十分でない」状態に ⇓  1990年代に、インテルやマイクロソフト・ウィンドウズがブランド力を奪い取る

ブランドにおけるコモディティ化と脱コモディティ化のプロセス 製品が機能性と信頼性を備える(十分によい) ⇓ 製品のモジュール化 市場の細分化 ブランド力の移動によってまだ十分でない場所へ(最近では製品からチャネルに変化)

価値のあるブランド力を構築する場が最終消費製品からサブシステムへ 例) 自動車産業 自動車メーカーから特定のサプライヤーへ 「ティア・ワン」(主力部品供給業者) モデル・・・モジュール型アーキテクチャ サブシステム・・・相互依存型アーキテクチャ

まとめ(1) モジュール化、標準化によって差異がなくなることによって、魅力的な利益は、顧客が十分以上に満足している活動から離れてしまう 魅力的な利益を獲得する能力は、バリューチェーンのなかを動いて、直接顧客が入手可能な「製品」の性能に満足していない付加価値活動へと移動する   (コモディティ化と脱コモディティ化のプロセス)

まとめ(2) こういったプロセスを明らかにし、独自製品を通じて利益ある成長を遂げる新しい機会がどこに出現するかを、経営者は正確に予測する   (金の向かう場所) コモディティ化と脱コモディティ化のプロセスは、どちらとも中核ではなく、周辺部から始まる

参考文献:  http://yrz.advancing-x.com/wiki/424D57.html          http://www.blwisdom.com http://e-words.jp