育種とは 人間生活の都合にあわせた生物の遺伝的改良、 すなわち品種改良である。 植物育種学研究室では 植物を対象に、人間の福祉に直結する栽培植物を取り扱う。
狩猟採取生活から農耕生活へ 品種改良の起源 作物の栽培化 狩猟採取 農耕 紀元前1万年頃から始まる
交配による子孫に現れる形質の頻度が予測可能になった。 メンデルの法則が育種の原点 交配による子孫に現れる形質の頻度が予測可能になった。 優性の法則:交雑後代の子では優性形質だけが出現 分離の法則:孫では優性形質が4分の3、劣性形質が4分の1出現
交雑による異質な遺伝子の導入が理論上可能になった。 メンデルの再発見:1900年 交雑による異質な遺伝子の導入が理論上可能になった。 育種のはじまり 当研究室は1915年に日本で最初の育種学講座
品種は異なる遺伝子の組み合わせに応じて多彩に 1つの遺伝子でもタイプの違いがある。 1つの遺伝子で2つのタイプの違いがあると、10個の遺伝子では、何種類の遺伝子の組み合わせが可能でしょう? 遺伝子 A a B b C c D d E e F f G g H h I i J j 親 子 孫
(様々な遺伝子の組み合わせで多様な大根ができている) 守口だいこん 貝割れ 桜島だいこん 白だいこん 青首だいこん ラディッシュ 葉だいこん 聖護院だいこん 様々な種類の大根 (様々な遺伝子の組み合わせで多様な大根ができている)
気温の変化
地球が温暖化しても冷害は頻発している 北海道水稲冷害年 暑夏 年々変動小 安定した夏期気温 年々変動大 暑夏年・冷夏年の多発 2010 北海道水稲冷害年 暑夏 年々変動小 安定した夏期気温 年々変動大 暑夏年・冷夏年の多発 (6-8月の平均気温)
寒さに強いお米を作ろう!! イネの北進
低温ストレスに強いお米を作るためには? 早稲(わせ)の米を作る。 寒くなる前に収穫できるように早く育つイネを開発した。 本州のイネより1ヶ月以上早く収穫できる。 寒さに強い花粉を作る。 冷害は夏場の低温で葯が十分に発達できず、花粉がつくれない現象。 仮説:低温に鈍感なイネはないか?。 研究:鈍感力を指標にしてストレスを感じないイネを探す。
穂ばらみ期の低温による花粉不稔 穂ばらみ期 適温 低温 稔性のある花粉 不稔の花粉
花粉不稔率の調査結果 T検定で統計処理すると、低温処理による不稔率で日本晴との間に有意差(p<0.05)のある系統は“Silewah”、“ほしまる”、“ほしのゆめ”であった。(日本晴より耐冷性が強い)
。 イネ低温鈍感力の評価 低温鈍感力 A系統 0.1 B系統 0.5 C系統 0.3 葯RNA抽出 Z系統 0.2 花粉形成期 低温 適温 低温感応性評価 転移因子マイクロアレイ ストレス応答転移因子マクロアレイ などによる検証 低温ストレスに反応する 転移因子の選抜 低温鈍感力 転移因子RNA 遺伝子RNA A系統 0.1 B系統 0.5 C系統 0.3 Z系統 0.2
敏感 不稔 ゲノム全体の発現変動 遺伝的因果? 大 低温 花粉稔性 穂ばらみ期 小 遺伝的因果? 稔 鈍感
ザンビア
ザンビアの稲 (雨期の低温で冷害が発生している)
不稔の稲穂
アフリカイネとアジアイネの雑種の作成は困難 雑種個体の花粉が不稔になるので、自殖できない 葯培養による雑種個体の作成
イネの葯(但し培養に使う葯は1核期花粉の発育初期) 葯由来のカルス カルスから発生した植物体
イネのツングロ病被害 Tungro disease (RTSV and RTBV) 2012/2/28 第二回推進会議
イネウイルス病の蔓延 (2001 – 2010) RSV RDV RBSDV RTBV SRBSDV RTSV RRSV ウイルス媒介昆虫 RGSV ウイルス媒介昆虫 RTBV RTSV トビイロウンカ ヒメトビウンカ セジロウンカ RRSV RGSV RTBV RTSV ツマグロヨコバイ タイワンツマグロ ヨコバイ 2012/2/28 第二回推進会議
地球温暖化による我が国でのウイルス病大発生の危険 中国 ベトナム ① ウイルス媒介昆虫の大量飛来 ② ウイルス媒介率の上昇 (ウイルス病の大発生) ③ 熱帯産ウイルスの侵入 ④ 熱帯産ウイルスの定着・蔓延 ⑤ ウイルスの強毒化 ⑥ イネ品種の耐虫性・ウイルス抵抗性の崩壊 東南アジア 2012/2/28 第二回推進会議
低レベルのジェット気流によるウンカ、ヨコバイの飛来 温暖化によるウイルスを持った害虫の北上 低レベルのジェット気流によるウンカ、ヨコバイの飛来 ウンカ、ヨコバイ個体群の移動 イネ低温鈍感力の評価 適温 低温 葯RNA抽出 。 イネ花粉形成期 低温感応性評価 転移因子マイクロアレイ ストレス応答転移因子マクロアレイ などによる検証 低温ストレスに反応する 転移因子の選抜 低温鈍感力 転移因子RNA 遺伝子RNA A系統 0.1 B系統 0.5 C系統 0.3 Z系統 0.2
ツングロウイルス イネツングロ病 RTBV RTSV もしこのウイルスが日本に上陸したら?
ツングロウイルスと再構築されたイネゲノムに見つかったウイルス反復配列の構造比較 イネゲノム内の ウイルス MP CP PR MP CP PR RT/RH 44% 49% 51% 47% ORF1 IGR ORF2 ORF3 ORF4 ORFx ORFy ORFz IGR: Intergenic region
ERTBV copies in japonica and indica genomes (22 segments in common) from Liu
South-, Southeast-Asia O. sativa, rufipogon Australia meridionalis Africa longistaminata Africa glaberrima, barthii Latin America glumaepatula Mild symptom Presence of resistant strains Severe symptom Mild symptom Presence of resistant strains Severe symptom Severe symptom Symptom against RTBV ERTBV断片のOryza属での分布とRTBVに対する反応
ツングロウイルスを感染させたイネの幼植物体 O. glaberrima O. sativa ゲノムにウイルスを持たない ゲノムにウイルスを持つ