行政が取り組む摂食嚥下機能支援 東京都福祉保健局医療政策部 白井淳子 第21回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会 シンポジウム1

Slides:



Advertisements
Similar presentations
(社)日本画像医療システム工業会 会長 桂田 昌生
Advertisements

高齢期に向けた住まいの充実と多機能化の推進
居宅介護支援事業所.
市町村による精神障がい者の地域移行を進めるための支援策について(案)
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 3 支援体制整備③ 医療・福祉・教育の連携
「地域自殺対策緊急強化基金(仮称)」の概要
生活支援 中央研修 H26.9.4(木)~5(金) 品川フロントビル会議室 H26.9.6(土)~7(日) JA共済ビルカンファレンスホール
Ⅱ.高齢者に係る地域アセスメントの    手法について
PT、OT、ST等の外部専門家を活用した指導方法等の改善に関する実践研究事業(新規) 平成20年度予算額(案) 42,790千円              
平成25年6月7日(金) 医療保健政策区市町村包括補助事業 台東区 口腔ケア連携推進事業 台東区健康部健康課.
高齢者にやさしいまちづくりのモデル調査・研究
広島県西部地域保健対策協議会 ●設置目的   広島西二次保健医療圏(大竹市・廿日市市)における住民の健康の保持・増進と福祉の向上に寄与するため,保健・医療・福祉に関する事項について調査・協議し,必要な事業を実施する。 ●設立年月日 平成 9 年11月27日 ●構成団体(大竹市・廿日市市域の22機関・団体)
豊四季台地域高齢社会総合研究会について 高齢化率40%を超える豊四季台団地の課題解決を通じて,
趣旨  平成22年4月1日厚生労働省(医政発0401第17号) 各都道府県知事にあて発令された文章を受けて 県内各施設における医療的ケアを実践的に 指導できる看護職員を養成することを目的
介護従事者確保総合推進事業について(H28) 目的       介護を必要とされる方々が地域で安心して暮らし、必要な介護サービスが提供されるために、介護現場における人材 の  の安定的な確保と離職防止に向け、幅広い施策を総合的に推進する。 施策・取組 多様な人材の参入促進.
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 3 支援体制整備④ 資源開拓・創出方法
Ⅲ.サービス開発の方法.
コーディネーターの目的・役割等について 設置目的 役割 配置 資格・要件 38
~認知症にやさしいまち柏~ かしわ認知症オレンジ構想(案)
平成25年度 堺ブロック 合同総会報告.
政府機関におけるセキュリティ・IT人材育成総合強化方針(案) 【概要】
大阪府障がい者虐待防止対策支援事業の主な取組み 資料2
病院ならびに老健と外部医療機関との連携の実態と課題
資料2 介護保険制度改革の方向.
広げよう口腔ケアの輪 第6回 口腔ケア元気塾 in 宮崎市 基調講演 『多職種で取り組むオーラルマネジメント』
すまい いりょう・いきがい かいご  でつながる植木町 2018年 2月21日 植木町地域支援すいか倶楽部 すいか倶楽部.
高齢者の救急搬送に係る意見交換会 資料7 1 意見交換会開催に至る経緯と今年度の取り組み  平成26年度    病院連絡会議にて,高齢者の救急搬送に関して,患者及び家族の延命治   療の希望確認ができているかの課題提起がなされた。  平成27年度   (1)介護サービス事業者協議会主催研修会および施設ごとの講演会の開催.
1年目(28年度)の取り組みから そこで2年目(29年度)は 要介護状態が悪化している方の再発予防は難しい
YMCA訪問看護ステーション・ピース 第2回 小児研修会のご案内
「運営協議会」の設置及び施策の推進のための要請
若年性認知症支援コーディネーター設置等事業
新たに在宅医療に取り組む方のための 研修教材のご案内
伊藤大樹 あおばクリニック 福岡東在宅ケアネットワーク
『噛むこと・食べること の 重要性 』 八代歯科医師会理事  高野歯科クリニック院長   高野 明夫.
大阪府健康づくり推進条例の概要について (1) 条例制定の背景・必要性 (3) 条例案の概要 (2) 条例制定のポイント
看護師等の就職支援について     静岡労働局職業対策課.
相談支援従事者初任者研修のカリキュラムの改正について
平成30年8月 府中地区ケアマネジマント モデル 有地.
平成30年度第Ⅰ期東京都主任介護支援専門員研修 受講者推薦要件の概要
健康企業宣言®Step2 ☑ 宣言して取組みます 応募 用紙 FAX送信先:ヤマトグループ健康保険組合 宛 ☐
平成31年度 喀痰吸引等研修 喀痰吸引等研修機関登録済 日 程 基本研修(講義・演習)及び実地研修 実地研修のみ
平成30年度に新たに設置する精神医療懇話会について
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 2 計画作成③ 重症心身障害児者等の ニーズ把握事例 ~久留米市のコーディネートの現状~
筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク 設立のご案内 第1回筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク研修会のご案内♪
生活支援 中央研修 H26.9.4(木)~5(金) 品川フロントビル会議室 H26.9.6(土)~7(日) JA共済ビルカンファレンスホール
Ⅱ.高齢者に係る地域アセスメントの    手法について
我が国の自殺死亡の推移 率を実数で見ると: 出典:警察庁「自殺の概要」
今後めざすべき基本目標 ―「ケアの流れ」を変える―
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 2 計画作成① 重症心身障害児者等の 意思決定支援
(訪問看護ステーション協会、教育ステーション等にて実施)
日医総研の手法を活用した 将来推計人口に基づく 医療介護需要試算の一例
資料3 誰もが親しめる 市民スポーツの充実 佐賀市教育委員会 スポーツ振興課.
地域支え合い会議 地域 行政 地域福祉推進のイメージ 高知市社会福祉協議会 専門機関 健康福祉部 水道局 市民協働部 防災対策部 環境部
大阪市の依存症対策 現状と課題 H29事業 共通 アルコール依存 薬物依存 ギャンブル等依存 治療が長期間に及ぶ-薬物治療の効果は限定的
全国介護保険担当部(局)長会議資料 ~介護保険制度改正の検討状況等について~
在宅医療施策の取組状況と今後の展開(案)
高齢者の救急搬送に係る意見交換会 資料7-1 1  意見交換会開催に至る経緯  平成26年度    病院連絡会議にて,高齢者の救急搬送に関して,患者及び家族の延命治療 に関する意向確認ができているかという課題提起がなされた。  平成27年度   (1) 介護サービス事業者協議会主催研修会・施設ごとの講演会(救急課)                  
発 達 障 が い 児 者 総 合 支 援 事 業 平成29年度予算 218,128千円
中央・北地域部会のめざすもの
自殺対策基本法(振り返り) 資料4 基本理念(第2条)
「効率的で質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」(車の両輪)
あいサポート条例(愛称)素案の概要 1 制定の目的 2 条例案の内容
目 次 第1章 大阪府保健医療計画について 1.医療計画とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
( 平成29年6月30日時点精神科病院長期入院者数[暫定値] )
政府機関におけるセキュリティ・IT人材育成総合強化方針(案) 【概要】
健康サポート薬局に求められる機能 健康サポート薬局について かかりつけ薬局の基本的機能 健康サポート機能 【背景・課題】
令和元年度第Ⅱ期東京都主任介護支援専門員研修(新規) 受講者推薦要件の概要
~「依存症対策のあり方について(提言)」(平成29年3月)と府の対応~
がん患者さんをどのように サポートするか? 日程 時間 場所 11/25(日) 第1部 10:00~ 第2部 13:00~
学校における教育の情報化の推進と校内研修の企画運営
Presentation transcript:

行政が取り組む摂食嚥下機能支援 東京都福祉保健局医療政策部 白井淳子 第21回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会 シンポジウム1 地域包括ケアと摂食嚥下障害 -高齢社会におけるリハビリテーションと摂食嚥下- 行政が取り組む摂食嚥下機能支援 東京都福祉保健局医療政策部      白井淳子

内   容 1 行政・保健所における          取組調査にあたって 2 東京都の概況 3 東京都摂食嚥下機能支援事業 4 都内区市町村の取組 5 行政施策としての摂食嚥下機能支援  

行政が関わっている事例は ほとんどない!? 1 行政・保健所における取組調査にあたって   ◆ 専門職による食支援研究会の活動から ◆ 医師の気づきにより、病院から地域への発信 ◆ NST研究会、脳卒中地域連携協会の取組から ◆ 口腔サポートセンターを活動の始点とした歯科 医師会、歯科衛生士会の取組から ◆ 訪問看護ステーションが耳鼻咽喉科と連携した 取組から          など 全国の取組状況 行政が関わっている事例は ほとんどない!? 今年度、下記調査を予定しています! 全国歯科技術職連絡会(行歯会)会員へのWebアンケート 都道府県と保健所に対しての郵送アンケート 参考:摂食嚥下障害を有する高齢者の地域支援体制の取り組み収集、分析に関する 調査研究事業報告書 平成26年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)

2 東京都の概況 人口 13,297,586人 (平成27年1月 住民基本台帳) 2 東京都の概況 人口 13,297,586人 (平成27年1月 住民基本台帳) 区 部       9,102,598人 市 部       4,109,189人 町村部         85,799人 面積 2,190.90km2

高齢者人口の推移 後期高齢者人口の大幅な増加 出典:東京都「東京都高齢者保健福祉計画」

東京の高齢化 ■高齢化の進行(率) 平成22年 ⇒ 20.4% 平成37年 ⇒ 25.2% 平成47年 ⇒ 29.8%            平成22年 ⇒ 20.4%            平成37年 ⇒ 25.2%            平成47年 ⇒ 29.8% 平成37年には都民の 約4人に1人が高齢者 高齢者人口増加数・増加率(平成22年⇒平成37年) 65歳 増加数 68.0万人 (1位) 増加率 25.7% (13位) 75歳 増加数 76.2万人 (1位)  増加率 62.6% (8位) (データ:総務省「国勢調査」(平成22年)【平成22年】 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(平成25年3月)[平成37年]) ■後期高齢者の増加(人数)             平成22年 ⇒ 約122万人             平成32年 ⇒ 約171万人             平成37年 ⇒ 約198万人             平成47年 ⇒ 約203万人 平成32年には 後期高齢者>前期高齢者(約171万人)(約153万人) (データ:国立社会保障・人口問題研究所  「日本の地域別将来推計人口」(平成25年3月)[平成27年から平成47年まで]) 3

東京の平成37年の 地域包括ケアシステムの姿(イメージ図) 出典:東京都「東京都高齢者保健福祉計画」

枠内は主な27年度事業。都では平成20年度から摂食嚥下機能支援を歯科保健医療対策で実施しているが、摂食嚥下は様々な施策に関連

3 東京都の摂食嚥下機能支援事業 (1)摂食・嚥下評価専門研修・実地研修プログラムの開発 3 東京都の摂食嚥下機能支援事業 (1)摂食・嚥下評価専門研修・実地研修プログラムの開発  ◆摂食・嚥下機能障害に関する知識の修得及び内視鏡検査を含む専門的評価法の基礎について学ぶ。  ⇒ 都立心身障害者口腔保健センターで実施 ◆摂食・嚥下機能評価を行い、指導及び訓練の指示ができる医師・歯科医師を育成する。また、行政とともに、地域で摂食・嚥下機能支援事業を立ち上げ推進するリーダーとなる医師・歯科医師を育成する。 ◆摂食・嚥下リハビリテーションを担うコメディカルスタッフが、互いの職種の特徴・役割を理解し、総合的なチームケアを行うための基礎知識の共有化を図る。  ⇒  都内3医療機関に委託実施

(2) 地域における仕組みづくり 【目的】 ◆地域における摂食・嚥下機能支援推進システムを構 築する。 (2) 地域における仕組みづくり 【目的】 ◆地域における摂食・嚥下機能支援推進システムを構   築する。  ⇒ 多摩立川保健所(北多摩西部保健医療圏)において実施し、ガイドライン作成 (3) 東京都摂食・嚥下機能支援推進マニュアル作成 ◆ 北多摩西部保健医療圏のガイドラインをもとに 摂食・嚥下機能支援の医療連携システムを都全体に普及させるためのマニュアルを作成する。 10

全都的な展開(平成23年度から) 区市町村が地域の実情に合わせた取組を行うための基盤整備を支援 → 補助金             → 補助金 これまで開発した人材育成プログラムを活用した体系的な人材育成を行う。

関係機関の役割 事業」の活用推進 コメディカルスタッフ(看護師、歯科衛生士、セラピスト、栄養士など)の育成 を図り連絡会を開催 ◆ 医療保健政策区市町村包括補助事業「摂食・嚥下機能支援推進 事業」の活用推進 ◆「摂食・嚥下機能支援推進事業」の牽引役となる医師・歯科医師・ コメディカルスタッフ(看護師、歯科衛生士、セラピスト、栄養士など)の育成 ◆ 都保健所は、市町村、地区医師会・地区歯科医師会間等の意見調整 を図り連絡会を開催 ◆「摂食・嚥下機能支援推進事業」を主体的に展開 東京都 区市町村

◆ 医師・歯科医師の連携及び協力について協議 ◆ 摂食・嚥下機能支援推進事業の牽引役となる医師、歯科医師の研 修会への推薦 ◆ 医師・歯科医師の連携及び協力について協議 ◆ 摂食・嚥下機能支援推進事業の牽引役となる医師、歯科医師の研    修会への推薦 ◆ 区市町村や関係団体と協力し、摂食・嚥下機能支援推進事業を推進 ◆「摂食・嚥下機能支援推進事業」を推進するリーダー及びコメディ   カルスタッフの育成を目的に摂食・嚥下機能支援に関する専門的   体系的な研修を行う。 ◆ 地域展開に必要な人材育成のノウハウを提供 ◆ 特別区における事業を推進するため連絡会を開催 地区医師会・歯科医師会 都立心身障害者口腔保健センター

(先駆的事業:摂食・嚥下機能支援推進事業) 医療保健政策区市町村包括補助事業 (先駆的事業:摂食・嚥下機能支援推進事業) ◆ 地域において摂食・嚥下機能支援事業を推進するため、区市町村が地域の関係者をメンバーとする協議会を設置し、地域特性に合わせて事業展開を図る。 ◆≪補助対象≫  協議会の設置、関係者・住民向け講演会等の普及啓発、医療資源・ニーズ調査 事例検討会、人材育成(機器・機材等の整備を含む)、摂食・嚥下機能支援センター設置 ◆ 補助率10/10(3年間) 4年目からは1/2

評価医養成研修(医師・歯科医師対象) 研修期間2年間 1年目 ステップ1 評価医養成研修Ⅰ 1年目  ステップ1 評価医養成研修Ⅰ    内容:摂食・嚥下機能障害に関する基礎的知識の付与(講義) ステップ2 評価医養成研修Ⅱ    内容:評価専門研修プログラム(講義、相互実習) 2年目  ステップ3 評価医養成研修Ⅲ    内容:評価医実地研修プログラム(実地研修、事例検討)

リハビリチーム養成研修 (コメディカル向け) 研修期間2年間 1年目  ステップ1 リハビリチーム養成研修Ⅰ  内容:摂食・嚥下機能障害に関する基礎的知識の付与(講義)  ステップ2 リハビリチーム養成研修Ⅱ  内容:リハビリチーム養成研修プログラム(講義、相互実習)  2年目  ステップ3 リハビリチーム養成研修Ⅲ  内容:リハビリチーム養成研修プログラム(実地研修、事例検討)

評価医養成研修受講修了者数 平成26年度生 現在受講中 医師13名 歯科医師17名

リハビリチーム受講修了者数 平成26年度生 現在受講中 20名

人材養成の目標 平成23年度から平成27年度の5年間 (平成27年度生は平成28年度に修了確定) 【評価医】 30名/年 × 5年 ⇒ 150名 【リハビリテーションチーム】 90名/年 × 5年 ⇒ 450名 【評価医】 修了者 60名 受講中 30名 27年度生 39名 【リハチーム】修了者 113名 受講中 20名 27年度生 40名 目  標 達成状況

4 都内区市町村の取組 会議の設置 (協議会・連絡会・検討会・ワーキング) 調査(資源調査・ニーズ調査) 関係者向け研修会 住民対象講演会 4 都内区市町村の取組 会議の設置     (協議会・連絡会・検討会・ワーキング) 調査(資源調査・ニーズ調査) 関係者向け研修会 住民対象講演会 事例検討会 ツールの開発(評価ツールの作成、パンフレットの作成など) 口腔機能向上サービスに従事する施設職員の意識啓発及び技術向上 相談窓口の設置 行政の得意分野は・・・・  ◆ネットワークの構築  ◆システムの構築  ◆普及啓発  ◆連絡調整機能  ◆必要な財源の確保

摂食嚥下機能支援は関係者の共通テーマとして 地域包括ケアシステム構築のツールとして有効 5 行政施策としての摂食嚥下機能支援 ◆ 介護予防事業として ◆ 歯科保健医療対策として ◆ 脳卒中医療連携事業の一環として ◆ 食支援として ◆ 医科・歯科連携の推進のために ◆ 多職種連携の推進のために など 摂食嚥下機能支援は関係者の共通テーマとして 具体的に取り組むことができるため、 地域包括ケアシステム構築のツールとして有効

ご清聴ありがとうございました 摂食嚥下に係る支援を必要とする方に 広く適切な支援が届くよう、関係者、関係機関、関係 これから実施いたします 行政・保健所調査に ご協力をお願いします。 ご清聴ありがとうございました    摂食嚥下に係る支援を必要とする方に 広く適切な支援が届くよう、関係者、関係機関、関係 団体による得意分野を生かした連携が進むことが望まれます。