MEG II実験液体キセノン検出器のための 大型MPPCの性能試験1

Slides:



Advertisements
Similar presentations
ゲームプログラミング講習 第2章 関数の使い方
Advertisements

サービス管理責任者等研修テキスト 分野別講義    「アセスメントと        支援提供の基本姿勢」 <児童発達支援管理責任者> 平成27年10月1日.
ヒトの思考プロセスの解明を目的とするワーキングメモリの研究
第27講 オームの法則 電気抵抗の役割について知る オームの法則を使えるようにする 抵抗の温度変化を理解する 教科書P.223~226
コラッツ予想の変形について 東邦大学 理学部 情報科 白柳研究室 山中 陽子.
コンパイラ 第3回 字句解析 ― 決定性有限オートマトンの導出 ―
第5章 家計に関する統計 ー 経済統計 ー.
公共財 公共経済論 II no.3 麻生良文.
VTX alignment D2 浅野秀光 2011年12月15日  放射線研ミーティング.
冷却フランシウム原子を用いた 電子の永久電気双極子能率探索のための ルビジウム磁力計の研究
生命情報学 (8) スケールフリーネットワーク
前半戦 「史上最強」風 札上げクイズ.

認知症を理解し 環境の重要性について考える
フッ化ナトリウムによる洗口 2010・9・13 宮崎市郡東諸県郡薬剤師会 学校薬剤師  日高 華代子.
食品の安全性に関わる社会システム:総括 健康弱者 ハイリスク集団 HACCP (食肉処理場・食品工場) 農場でのQAP 一般的衛生管理
規制改革とは? ○規制改革の目的は、経済の活性化と雇用の創出によって、   活力ある経済社会の実現を図ることにあります。
地域保健対策検討会 に関する私見(保健所のあり方)
公共政策大学院 鈴木一人 第8回 専門化する政治 公共政策大学院 鈴木一人
医薬品ネット販売規制について 2012年5月31日 ケンコーコム株式会社.
平成26年8月27日(水) 大阪府 健康医療部 薬務課 医療機器グループ
平成26年度 呼吸器学会からの提案結果 (オレンジ色の部分が承認された提案) 新規提案 既収載の変更 免疫組織化学染色、免疫細胞化学染色
エナジードリンクの危険性 2015年6月23日 経営学部市場戦略学科MR3195稲沢珠依.
自動吸引は 在宅を変えるか 大分協和病院 院長         山本 真.
毎月レポート ビジネスの情報 (2016年7月号).
医療の歴史と将来 医療と医薬品産業 個人的経験 3. 「これからの医療を考える」 (1)医薬品の研究開発 -タクロリムスの歴史-
社会福祉調査論 第4講 2.社会調査の概要 11月2日.
2015年12月28日-2016年3月28日 掲載分.
2010度 民事訴訟法講義 補論 関西大学法学部教授 栗田 隆.
腫瘍学概論 埼玉医科大学国際医療センター 包括的がんセンター 緩和医療科/緩和ケアチーム 奈良林 至
“企業リスクへの考え方に変化を求められています。 トータルなリスクマネジメント・サービスをプロデュースします。“
情報漏えい 経済情報学科 E  西村 諭 E  釣 洋平.
金融班(ミクロ).
第11回 2009年12月16日 今日の資料=A4・4枚+解答用紙 期末試験:2月3日(水)N2教室
【ABL用語集】(あいうえお順) No 用語 解説 12 公正市場価格 13 債権 14 指名債権 15 事業収益資産 16 集合動産 17
基礎理論(3) 情報の非対称性と逆選択 公共政策論II No.3 麻生良文.
浜中 健児 昭和42年3月27日生まれ 東京都在住 株式会社ピー・アール・エフ 代表取締役 (学歴) 高 校:千葉県立東葛飾高校 卒業
COPYRIGHT(C) 2011 KYUSHU UNIVERSITY. ALL RIGHTS RESERVED
Blosxom による CMS 構築と SEO テクニック
記入例 JAWS DAYS 2015 – JOB BOARD 会社名 採用職種 営業職/技術職/その他( ) 仕事内容 待遇 募集数
ネットビジネスの 企業と特性 MR1127 まさ.
Future Technology活用による業務改革
ネットビジネス論(杉浦) 第8回 ネットビジネスと情報技術.
g741001 長谷川 嵩 g740796 迫村 光秋 g741000 西田 健太郎 g741147 小井出 真聡
自然独占 公共経済論 II no.5 麻生良文.
Autonomic Resource Provisioning for Cloud-Based Software
Webショップにおける webデザイン 12/6 08A1022 甲斐 広大.
物理的な位置情報を活用した仮想クラウドの構築
ハイブリッドクラウドを実現させるポイントと SCSKのOSSへの取組み
寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 第12回 情報デザイン(4) 情報の構造化と表現 寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部
【1−1.開発計画 – 設計・開発計画】 システム開発計画にはシステム開発を効率的、効果的に実行する根拠(人員と経験、開発手順、開発・導入するシステム・アプリケーション・サービス等)を記述すること。 システム開発の開始から終了までの全体スケジュールを記載すること。 アプリケーション機能配置、ソフトウェア、インフラ構成、ネットワーク構成について概要を示すこと。
6 日本のコーポレート・ガバナンス 2008年度「企業論」 川端 望.
急成長する中国ソフトウェア産業 中国ソフトウェアと情報サービス産業の規模 総売上高は5年間で約5.3倍の成長
米国ユタ州LDS病院胸部心臓外科フェローの経験
公益社団法人日本青年会議所 関東地区埼玉ブロック協議会 JCの情熱(おもい)育成委員会 2011年度第1回全体委員会
次世代大学教育研究会のこれまでの活動 2005年度次世代大学教育研究大会 明治大学駿河台校舎リバティタワー9階1096教室
子どもの本の情報 大阪府内の協力書店の情報 こちらをクリック 大阪府内の公立図書館・図書室の情報
第2回産業調査 小島浩道.
〈起点〉を示す格助詞「を」と「から」の選択について
広東省民弁本科高校日語専業骨幹教師研修会 ①日本語の格助詞の使い分け ②動詞の自他受身の選択について   -日本語教育と中日カルチャーショックの観点から- 名古屋大学 杉村 泰.
■5Ahバッテリー使用報告 事例紹介/東【その1】 ■iphon4S(晴れの昼間/AM8-PM3) ◆約1時間で68%⇒100%
『ワタシが!!』『地域の仲間で!!』 市民が始める自然エネルギー!!
ポイントカードの未来形を形にした「MUJI Passport」
SAP NetWeaver を支える Microsoft テクノロジーの全貌 (Appendix)
ガイダンス(内業) 測量学実習 第1回.
Python超入門 久保 幹雄 東京海洋大学.
熱力学の基礎 丸山 茂夫 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻
京都民医連中央病院 CHDF学習推進委員会
資料2-④ ④下水道.
Accessによる SQLの操作 ~実際にテーブルを操作してみよう!~.
Presentation transcript:

MEG II実験液体キセノン検出器のための 大型MPPCの性能試験1

MEG実験: μ+  e+γ search e+ γ μ+ SMを超える物理の探索 γ BSMの予言: BR(μeγ) =10-12 ~10-14 現在の上限値: 5.7×10-13 (90% CL) (MEG実験, 2009~2011年のデータ) μ+ 信号とBG 信号: μeγ     Back to back, Ee=Eγ=52.8MeV γ e+ 𝜇 𝑒 eγの位置、エネルギー、時間で区別 μ+ e+ BG: - Radiative Muon Decay (RMD) μeννγ - Accidental BG    e (μeνν) +γ (e+対消滅 or RMD) 新物理の寄与 (ex. SUSY) MEGMEG II にアップグレードし、5×10-14の感度を目指す。

MEG II ~ Upgrade of MEG ~ γ μ+ e+ γ: 液体Xe検出器 本発表 e+: Drift chamber + Timing counter ビーム強度>2倍 γ 検出器の性能向上 位置、エネルギー、 時間の分解能2倍 検出効率2倍 μ+ BGの更なる削減 e+ RMD BG検出器 2016年より物理ラン開始予定!

液体Xe検出器のアップグレード 変更①: 内壁のPMTをMPPCに交換 光子検出効率の 一様性を改善 光子検出効率の 一様性を改善 2inch PMT 216個 12x12mm2 MPPC ~4000個 変更②: PMTのレイアウトを変更 γ Energy leak減少  均一なレスポンス 1m 世界最大の液体Xe検出器(900𝑙) 846個のPMT wider

γ エネルギー分布 (depth<2cm) 期待される分解能の向上 PMT MPPC+PMT イメージング能力が格段に向上! γ エネルギー分布 (depth<2cm) γ 位置分解能 MEG II log scale MEG II MEG I MEG I 位置分解能: 52.6mm (depth<2cm) 52.2mm (depth>2cm) エネルギー分解能: 2.41.1% (depth<2cm) 1.71.0% (depth>2cm) 更に、MPPCは物質量が小さいので、γ検出効率も増加。 6369%

液体Xe用 MPPCの開発 要求される性能 Xeの真空紫外光(VUV)に有感 大型(12×12 mm2) Hamamatsu S10943-3186(X) 要求される性能 - 50μm pitch pixel Xeの真空紫外光(VUV)に有感 大型(12×12 mm2) 速い応答(fall time<50ns) - 4つの独立したchip - metal quench resister (抵抗の温度変化が小さい) これまでの開発 2.5mm 保護膜を除去、VUV光を通すクォーツ窓で保護。反射防止膜を変更。  VUV光に対し>15%のPDEを達成 大型化capacitanceの増大時定数が増加してしまう  4分割したチップを基板上で直列接続    Fall time<50nsを達成 液体Xe検出器に必要な性能を持つMPPCが完成!

次のステップ Prototype検出器による試験 約600個のMPPCが納入された。    実装前に室温(20℃)・低温(液体Xe中)で動作試験する。 実機の開発(今後)    約4000個のMPPCを大量試験 室温試験 Prototype検出器 (~100𝑙 Xe) - 全数動作試験と基礎特性の確認 本講演 - 3mm角crosstalk抑制サンプルの 性能確認 低温試験 液体Xe中での動作試験(少数サンプル) VUV光でPDE, 波形(fall time)の測定 小川 MPPC×576個 (1面) PMT×180個 (5面) 手法の確立

室温における大量試験 試験の目的: 新しいMPPCの全数動作試験 実機用MPPC大量測定の手法確立 ~6mm 本番の検出器では更にcrosstalk抑制の仕様が 追加される予定(開発中)。 TypeA TypeB TypeC Chip間のギャップとchipの大きさが 若干異なる3種類を用意。 600個×4chips = 計2400 chips の各々について ① Gain, ② breakdown voltage (Vbd), ③ noise rate, ④ crosstalk + afterpulse 確率 (CTAP) を測定。基礎特性に問題が無いことを確認した。

大量試験セットアップ 読み出し基盤(PCB) 恒温槽 LED 16MPPC (=64 chips) T = 20℃ LED trigger リレースイッチ LED 16MPPC (=64 chips) 3段のリレースイッチによって 読み出しchipを切り替え可能。 8 読み出しch.×23 リレー設定 = 64chip T = 20℃ LED trigger Vhama - 1.2V ~ Vhama+ 0.6Vの 10点の電圧で測定 Vhama: 浜松推奨電圧       (Vover~2.5V@20℃) 約2週間で全2400chipを測定。

測定データの例と、問題点 全chipについて、測定不能なchipが無いことを確認した。 解析ではgainなどの特性をpulse height分布やcharge分布から算出。 1p.e. 波形の例 Pulse height分布の例 1p.e. ~5mV @V=Vhama 2p.e. ・・・ gain ≡ 1p.e.と2p.e.の  波高の差と定義 ~200ns 問題点 本測定で用いたPCBは、リレースイッチのon/offに依存して gainが変化してしまうことが測定後に発覚した。(V=Vhamaのとき0~10%程度) 本発表の測定結果には、その影響は補正されていない。

Breakdown voltage (Vbd) Vbdは gain vs. Vbias のグラフを内挿することで算出した。 Vhama と Vbd Gain vs. Vbias の例 Vhama 波の構造は、ウエハーの切り出し方に由来。 Vbd: Gain=0まで外挿    したときのVの値 Vbd 一部のchipではノイズが大きく 測定のエラーが大きい。 Vbdの値はT=20℃のとき約64V。 全2400個中19個のchipではdark noiseが多く1p.e.ピークの分別が できなかった。しかし、液体Xeの低温(165K)ではdark noise rateが 5桁小さくなるので問題無いと考えられる。

Noise rate @ Vover=3.0V (全chip) Noise rateの測定にはLED offの波形データを用いた。 2.5mV以上の信号を、dark noiseとしてカウントした。 Noise rate @ Vover=3.0V (全chip) ※浜松におけるアセンブリの手違いにより、 noiseの多いchipが混入している。 (実機では無くなる) 100kHz/1mm2 Noise rateは室温で1~3MHz程度。一部4~10MHzのchipがいるが、液体Xe中では5桁減るので問題は無いと考えられる。

Crosstalk + Afterpulse確率 (CTAP) 測定される1p.e.信号数 = 期待1p.e.数(Poisson統計)からCTAP分減ったもの。 CTAP = 1 – (観測された1p.e.の数) / (Poissonで予想される1p.e.の数) Charge分布の例 CTAP vs. Vover (全データ点) CTAP 1p.e. 0p.e. 2p.e. 3p.e. Vover=3.0VでCTAP~50%。Voverが大きいとCTAPが非常に大きくなり、 MPPC信号の測定が難しくなる。

Crosstalk抑制サンプルの性能確認 3×3mm2のcrosstalk抑制サンプル2つを入手し、crosstalkの測定を行った。 (pixel size: 50μm) by H. Nagashima Crosstalk抑制機構 Crosstalk確率 vs. Vover photon crosstalk 通常サンプル(3mm角, 50μm pixel) Crosstalk suppressed A Crosstalk suppressed B pixel間の溝でcrosstalk抑制 Crosstalk確率は通常サンプルと比べて大幅に減少している。 高いover voltageでの運用が可能。 液体Xe検出器には12mmのMPPCにcrosstalk抑制の仕様が追加される予定。

まとめ 大型でVUV光に有感なMPPCが開発し、prototype液体Xe検出器用の約600個のMPPCの動作試験を行った。 室温での全数試験の結果、使用不能なchipは無かった。 実機用4000個のMPPCを大量試験する手法を確立した。 一部のchipはdark noise rateが非常に高かったが、液体Xe中ではrateが5桁落ちるので問題は無いと考えられる。 Crosstalk+Afterpulse確率はVover=3.0Vで約50%であった。 これはMEG IIで問題となる大きさではないが、crosstalk抑制サンプルでは更に約15%に削減されている。 4000個の試験の手法を確立した 同一MPPCでのチップ間のVbd 全部のパラメータの分布

Backup slides

1p.e. pulse height @ Vover=3.0V 全データ histogram 1p.e. charge @ Vover=3.0V 1p.e. pulse height @ Vover=3.0V Breakdown voltage Noise rate @ Vover=3.0V CTAP @ Vover=3.0V

1p.e. pulse height @ Vover=3.0V 全データ (vs. chip ID) 1p.e. charge @ Vover=3.0V 1p.e. pulse height @ Vover=3.0V Noise rate @ Vover=3.0V CTAP @ Vover=3.0V

MPPCごとのchip間Vbdばらつき ChipごとのVbd – そのMPPCの平均Vbd ※Relayの問題がなければ   ばらつきはもっと小さいはず。