J-PARCでのニュートリノ実験 “T2K” (東海to神岡) 長基線ニュートリノ振動実験 2004年5月18日 J-PARCでのニュートリノ実験 “T2K” (東海to神岡) 長基線ニュートリノ振動実験 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 小林 隆
T2K (東海to神岡)長基線ニュートリノ振動実験 スーパーカミオカンデ T2K実験(2009~) 40m K2K (1999~2005?) J-PARCで生成したニュートリノを295km先の検出器 “スーパーカミオカンデ”で検出し、ニュートリノの性質を調べる。 K2K実験のおよそ100倍のビーム強度
ニュートリノとは? 物質を構成する基本粒子「素粒子」の仲間 なぜか3種類ある(??) ほとんど何ともぶつからず通り抜ける。 電子ニュートリノ ミューニュートリノ タウニュートリノ ほとんど何ともぶつからず通り抜ける。 1930年、パウリが予言、発見は26年後 電気的に中性、質量は非常に小さい(?) 壊れることなく永久に光速で飛びつづける(?)
素粒子の仲間 同じような性質を持ち重さが違う3つの階層がある。 なぜかは分からない。 素粒子物理の大きな課題の一つ。
ニュートリノはなぜかとても軽い。 他の素粒子に比べ何桁も軽い。 本当にどれだけの重さが有るのか分かってない。 上限だけが分かっている。 対数 3g 1兆x1兆 他の素粒子に比べ何桁も軽い。 本当にどれだけの重さが有るのか分かってない。 上限だけが分かっている。 なぜ軽いのか分かってない。(素粒子物理学の大きな課題) 1010 108 ニュートリノ以外の素粒子 106 104 2g 1兆x1兆x1000億 102
ニュートリノは、この間にやっと1回反応する程度 ニュートリノは物質となかなか反応しない ・・・・・・・・・・・・・ 地球を50億個並べる(7光年の長さ) ニュートリノ ニュートリノは、この間にやっと1回反応する程度 太陽からのニュートリノの場合 地球 しかし、たくさんニュートリノがあれば、小さな物体でもどれかは希に反応する。
身近なニュートリノの例 太陽から来るニュートリノ 毎秒1平方cmあたり約660億個。 宇宙から来る放射線(主に陽子)が大気で反応を起こし生成されるニュートリノ(大気ニュートリノ) 毎秒1平方cmあたり約1個。 宇宙初期から宇宙を満たすニュートリノ 2mx2mx2mの大きさに約30億個 50000トンのスーパーカミオカンデで1日に検出できる反応の数 約23個。
J-PARCの世界最大強度ビームを用いて、 ニュートリノ振動現象を詳細に調べることにより、 ニュートリノの重さ、世代間の関係を明らかにし、 T2K実験の目的 J-PARCの世界最大強度ビームを用いて、 ニュートリノ振動現象を詳細に調べることにより、 ニュートリノの重さ、世代間の関係を明らかにし、 極微の世界をつかさどる究極の法則を探求すること。
nt nm ニュートリノ振動とは? ニュートリノが飛行中に別の世代のニュートリノへ変化する現象。 ニュートリノが重さを持つときに限り起こる。 変化の仕方は、飛行距離、ニュートリノの重さ、エネルギーによって決まる。 nt nm ミューニュートリノ タウニュートリノ
T2K実験での測定 電子ニュートリノを探す。(未発見。最重要課題) ミューニュートリノの減少を測る。性質の解明。 ミューニュートリノ を作る。 J-PARC (東海) 電子ニュートリノを探す。(未発見。最重要課題) ミューニュートリノの減少を測る。性質の解明。
人工ニュートリノビームの作り方 陽子を光速の99.98%に加速し標的に当て、大量のπ中間子を生成。(3.6秒に1回300兆個の陽子) π中間子を磁石で神岡方向に収束。 π中間子が崩壊パイプを飛行中に崩壊しミューニュートリノが生成される。 ニュートリノ以外の粒子をビームダンプ(ニュートリノフィルター)で全てとめる。 生成直後のニュートリノの性質を「前置検出器」で測定。
J-PARC敷地内のニュートリノ生成装置 50GeVシンクロトロン 3GeV RCS ニュートリノ 発生装置 リニアック ニュートリノビーム 神岡へ
J-PARCニュートリノ生成ビームライン 陽子転送ビームライン (超伝導磁石) ニュートリノ 前置検出器 π中間子 陽子 ニュートリノ 神岡へ ビームダンプ (ニュートリノ以外の 全ての粒子を止める) 標的と 収束装置 (電磁ホーン) 崩壊パイプ (厚さ6mの遮蔽で 覆われている) 全て地下構造
ニュートリノ検出器:スーパーカミオカンデ 反応標的:水50000トン(超純水) 水槽の内面に11146本の 光電子増倍管(photomultiplier tube:PMT) 外水槽のPMTで外来粒子を検出 スーパーカミオカンデ 40m 岐阜県 神岡町池の山 1000m 40m 東京大学宇宙線研究所
スーパーカミオカンデでのニュートリノの検出 J-PARC 東海からのニュートリノが1日におよそ2兆5千万個スーパーカミオカンデを通過する。 検出できる反応の数は1日に100個程度。(それでもK2Kより2桁多い。) ニュートリノが水を蹴飛ばした時にでるわずかな光 (チェレンコフ光)を1万1千本の光センサーで検出する。
敷地外検出器(2km) より高い精度の測定を可能にする。 予算が認められてないため当初は建設できない。 今後、予算獲得のための努力を続ける。
まとめ。予定。 T2K実験 5年間(2004年度~2008年度)かけて原研敷地内のニュートリノ生成装置を建設。 2009年実験開始の予定。 原研東海村のJ-PARCを用いて、これまでの約100倍強いニュートリノビームを生成。 295km先のスーパーカミオカンデで検出 ニュートリノ振動現象の精密測定を通して、物質の究極の世界を探る。 5年間(2004年度~2008年度)かけて原研敷地内のニュートリノ生成装置を建設。 2009年実験開始の予定。