公共政策大学院 鈴木一人 kazutos@eis.hokudai.ac.jp 第6回 選挙と政党 公共政策大学院 鈴木一人 kazutos@eis.hokudai.ac.jp
政党制 何をもって政党を作るか 政党制の類型 名望家政党から大衆政党へ ポピュリスト政党の台頭 イデオロギー:自由主義、社会主義、保守主義… 利益代表:労働者党、宗教政党、環境政党… 政党制の類型 一党独裁、一党優位政党制、二大政党制、多党制 名望家政党から大衆政党へ キャッチオール政党:幅広い国民の利害を代表する ポピュリスト政党の台頭 国民の不満や不安を掻き立て、過激な言説で人気を得る ナショナリズムに訴え、国民全体の利益を代表しようとする
選挙制度は政治のあり方を左右する 選挙制度の種類 完璧な選挙制度はない 選挙制度に導き出される政党制 小選挙区制:一つの選挙区から1人の議員を選出 大選挙区制:一つの選挙区から複数の議員を選出 日本では2-3人を選出することから「中選挙区制」と呼んだ 比例代表制:政党に対して投票し、得票数に応じて議員を各政党から選出する 完璧な選挙制度はない 小選挙区制:多くの「死票」が生まれる 中・大選挙区制:同一政党から複数の候補が競い合う 比例代表制:小党が乱立し、政権与党を作るのが困難 選挙制度に導き出される政党制
小選挙区制と政党政治 選挙区から1人の議員→二大政党制になりやすい 二大政党制→政権交代の可能性が高くなる 極端なスウィングが起きる可能性 しかし、完全な二大政党制ではなく地域政党や第三党もありえる 二大政党制→政権交代の可能性が高くなる 与党への信認がなくなれば野党が政権を取る可能性が高い 極端なスウィングが起きる可能性 大規模与党の出現に伴う与党の監視の脆弱性 対立型の政治になりやすい
小選挙区制のバリエーション 小選挙区比例代表並立制(衆議院) 小選挙区比例代表併用制(ドイツ等) 小選挙区二回投票制(フランス等) 小選挙区と比例代表を別に投票。小選挙区で落選しても比例復活可 小選挙区比例代表併用制(ドイツ等) 原則比例代表だが党内での順位を選挙区の勝敗で決める。二票の場合が多いが一票で決めることも可能 小選挙区二回投票制(フランス等) 一回投票で過半数を取れない場合、二回目投票で上位二者が競う。多党制を維持しつつ政権交代が可能
比例代表制と政党政治 政党に対する投票→民意を反映しやすい 政党の機能は異なる利害や関心の集約 比例代表制による多党制 民意は多様であり、そのまま統治をすることは困難 政党の機能は異なる利害や関心の集約 多様な意見をまとめ上げ、利害を調整する 権力を獲得するための多数を形成する→民意の実現 比例代表制による多党制 連立政権になる傾向→複雑な利害調整 不安定な政権運営→政権離脱を含む駆引き
中・大選挙区制と政党政治 一つの選挙区から複数の議員 派閥政治を生み出す構造 限られた有権者からの支持固め 政権を取るためには一つの政党から複数候補者を擁立 同一政党候補同士の競争が起きる 派閥政治を生み出す構造 同一政党候補との競争→いかにして違いを出すか 異なる派閥による利益誘導や政策調整 限られた有権者からの支持固め 定数3の選挙区に4人の候補だとすると A:40%、B:30%、C:20%、D:10%→少ない得票で当選
派閥政治 中選挙区だけでなく、小選挙区でも生まれうる 一つの政党内に複数の派閥が存在 選挙区内の派閥化 小選挙区二回投票制や比例代表併用制でも存在する 一つの政党内に複数の派閥が存在 政党としてのまとまり⇔派閥としての独自性 派閥は権力闘争集団→政党内人事をめぐる抗争 一つの党としてまとめるための党議拘束 選挙区内の派閥化 後援会→候補個人を支援するネットワーク 利害調整→地元の利益をいかに反映するかが権力
(参考)講義の進め方 講義は試験以外、紙を配布しない(ペーパーレス) パワーポイントのスライドはウェブで公開する 質問はメールで受け付ける http://lex.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/intro2016/index.html 講義前日までにはアップロード/事前に入手し予習する パワーポイントのデータを使いやすいように改変することは可。しかし、データを無断で再利用するのは禁止 授業はパソコン・タブレット持込み可。 質問はメールで受け付ける 講義当日中の質問に対してはウェブ上で回答する コメントや希望・要望などでもよい
(参考)シラバスからの変更点 成績について シラバス:「毎回の授業の際に課すレポート(講義のまとめと質問)が50%、期末試験(論述と穴埋め)が50%」 変更後:「中間レポートが50%、期末試験(論述と穴埋め)が50%」 教室入退室時にカードリーダーに学生証をかざすこと レポートテーマ:「民主主義・政党・官僚制の三つのキーワードを使って、現代日本の政治について自由に論じなさい」 提出日:5月31日23:59 提出方法:メールで提出(kazutos@eis.hokudai.ac.jp) 2000字以上(Wordで作成) 「論文作成ガイドブック」参照 http://lex.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/guide/guide.pdf http://www.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/guide/guide2.doc 参考文献、注は必ずつけること