ライトコントロール法による繁殖牝馬の 排卵促進について

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ライトコントロール法による繁殖牝馬の 排卵促進について 近年の競走馬生産界では、馬の市場価格が有利に働くように、早生まれの子馬を生産する傾向にあります。しかし、自然条件下で馬を飼養しているだけでは、3月、4月になっても交配するにふさわしい発情は回帰しません。これらの対策として、繁殖牝馬に適したボディコンディションの調整を行なうとともに、馬房内に照明を照らして人工的に明期を長くする、いわゆる「ライトコントロール」法が知られています。ライトコントロールは、照明時間や期間を適切に管理する必要がありますが、効率的な繁殖管理を行なう上で安価で簡便な方法として推奨されます。ここでは、非妊娠馬および妊娠馬に対するライトコントロールの意義、有用性について紹介させていただきます。

馬の季節繁殖性について 野生動物は、春から夏にかけて子供を産むように、交尾の時期を調節。 北半球の正常雌ウマの繁殖シーズンは4-9月(Hughes et al. 1975)。 競走馬生産の実質的な繁殖シーズンは、2月後半から7月上旬(馬本来が持つ生理的繁殖シーズンと隔たりがある)。 繁殖牝馬の季節繁殖性 多くの季節繁殖動物では、昼間の時間と排卵時期に密接な関係があることが知られています。馬は「長日性季節繁殖動物」に属し、春になると卵巣機能が活発となり、発情期が回帰するようになります。なぜ動物に季節繁殖性があるのでしょうか?たとえば、馬では妊娠期間が約11ヶ月と長く、春から夏にかけて子馬を産むように、交尾の時期を調節していると考えられます。羊やエゾシカは、妊娠期間が5ヶ月であり、秋に発情し、交尾することにより、春に子供が生まれるように調節しています。したがって、季節繁殖性は、子供が快適に育つように分娩の時期を調節する優れた生体機能であると言えます。 ひとたび、排卵がはじまると、約3週間の周期的な発情を繰り返すようになります。実際に、馬の卵巣機能がもっとも活発になるのは、北半球では4月から9月であるといわれます。 しかし、近年の競走馬生産界では、馬の市場価格が有利に働くように、早生まれの子馬を生産する傾向にあります。そのため、初回交配時期は年々早められ、2月中旬から交配を開始することも珍しくありません。したがって、効率的な繁殖管理を行なうためには、季節性に翻弄されないように、適切な人為的調節が必要と考えられます。

視床下部 下垂体 LH FSH 卵巣 目からの刺激 GnRH エストラジオール プロジェステロン インヒビン (黄体形成ホルモン) FSH (卵胞刺激ホルモン) エストラジオール プロジェステロン 哺乳動物の繁殖機構は、脳下垂体から分泌される2つの性腺刺激ホルモンである、黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌により巧みに調節されています。視床下部―下垂体―卵巣軸は、生殖機能をつかさどる重要な器官であり、光刺激は様々な作用を介して「視床下部」という神経器官からのホルモン分泌を亢進させ、下垂体の感受性を増加させます。長日性季節繁殖動物である馬は、春になり、一日の昼間時間が延長すると、目からの光刺激が「視床下部」からのホルモン分泌を徐々に促進するようになり、性腺刺激ホルモンの分泌が亢進し、排卵が起こります。これらの性腺刺激ホルモンは、ある程度分泌されると、雌馬では卵巣からのエストラジオール、プロジェステロン、インヒビンといった負のフィードバック調節を受け、決して過剰に分泌されることはありません。3週間の発情周期や約1週間の発情期、あるいは1発情につき1排卵という動物固有の生殖現象は、卵巣ホルモンによる負のフィードバックにより調節されています。 インヒビン 卵巣 負のフィードバックによるホルモン調節

早生まれ子馬の利点、欠点 利点 成長、市場価格の有利性 消化管疾患(細菌性、ウイルス性)の発生が低い 欠点 北海道の気候に不向き (放牧地、栄養の問題、厳冬期の分娩管理、 分娩後の寒冷ストレス) 近年の競走馬生産体系では、3月後半には初回交配を開始するようになり、2月後半から交配することも珍しくなく、初回交配時期は年々早められる傾向にあります。これらの背景として、数ヵ月早く生まれることで当歳時、1歳時あるいは2歳時の成長が有利となり、各時期の市場価格が有利に働くことや、同世代の馬がデビューする2歳馬の競走における体力の有利性を期待することが考えられます。また、子馬に多発する重篤な消化管疾患の発生が、早生まれの子馬に少なく、その点においては育成管理上好都合に働くことも知られています。 一方、欧米諸国の主な競走馬生産地は、冬期でも子馬出生時に極端な寒冷条件にさらされることがなく、1月、2月生まれという、できるだけ早生まれの子馬生産を目指すことが競走馬産業として確立されていますが、わが国においては、子馬が厳冬期の環境下で運動制限を余儀なくされることに批判的な声もあります。北海道での競走馬の早期生産技術を確立するためには、新生子の寒冷からの保護や、十分な放牧環境の確保、適切な栄養補給など、寒冷気候という不利な条件を克服し、新生子の健全な発育にマイナスの影響を及ぼさないような最善の管理技術を調査研究する必要があります。 →今後の対策が必要 欧米では競走馬の早生まれ生産を目指している

シーズン早期交配に関する 繁殖牝馬側の利点、欠点 利点 人気種牡馬の選択、交配に有利 交配可能予定回数の増加→受胎率の増加 欠点 発情が弱く、発見が難しい 持続発情(だらブケ)が多い 人為的な処置が必要 繁殖牝馬の管理という点からみた、早期交配の利点について考えてみましょう。繁殖シーズンの早い時期に交配する際には、人気種牡馬との交配が困難となるシーズン中期以降を避けることができ、生産者側の希望がかなう可能性が高くなります。また、アメリカの研究報告によれば、シーズンの早い時期に最初の交配を行った馬は、交配可能な発情が多くなることから、受胎率が高くなることが知られており、できるだけ交配のチャンスを広げるための方法として有用と考えられます。 一方、シーズン早期の繁殖牝馬には、発情徴候をあまり示さない、いわゆる鈍性発情を示すことから、発情の発見が難しいことが知られています。また、通常1週間程度で排卵し、発情が終了するのに対して、発情徴候が1週間以上、ときには一ヶ月以上持続することもあり、「だらブケ」といわれる持続性発情を呈します。このような状態は、生産性の損耗を招き、生産者を悩ます大きな要因となっています。これらの現象は、ライトコントロール法により適切に対処することによって、大きな問題を起こすことなく、通常の発情と同様に交配することが可能です。 →対策の必要性あり

ライトコントロールに関する研究 長日処理(ライトコントロール)により繁殖シーズンの初回排卵が早まる(Burkhardt 1947, 西川ら 1952)。 非妊娠馬に冬至点から14.5h:9.5hの割合で100ルックスのライトコントロールを行うことが、最も効率的な発情誘起法である(Nagy et al, 2000)。 わが国の馬繁殖学の研究を代表する故西川教授は、すでに第二次世界大戦中において、光線刺激が牝馬の季節繁殖性を決定する最大の要因であることを解明し、明期延長による卵巣機能賦活化方法として、馬の「光線処理」効果を紹介しました。欧米において「ライトコントロール」とも呼ばれるこの方法は、その後様々に改良が重ねられ、実用化されています。一方、北海道のような寒冷地におけるサラブレッド種空胎繁殖牝馬へのライトコントロールの効果については、これまで十分に検討されておりませんでした。

ライトコントロールの様子 (5月下旬に相当) 100ワット裸電球 を馬房内に設置 明期14.5h、 暗期9.5h 24h 14.5h ここで紹介する方法は、フランス国立農業試験場の報告を参考に改良した空胎馬に対するライトコントロール法であり、本法を実施すると、無処置例と比較して、初回排卵を約1.5~2ヶ月早めることが判明しました。 市販の100ワットの白色電球あるいは蛍光灯を馬房内に設置し、明期が一日14時間半になるようにしました(クリック)。本研究を開始した12月の日照時間がおよそ9時間であるのに対しライトコントロールを行った馬は(クリック)、斜線の部分を人工照明で補ったことになります。14時間半というのは(クリック)北海道の5月頃の日照時間に相当することから、この照明操作が生理学的な許容範囲を逸脱していないことがおわかりいただけるかと思います。 9h 0h 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月

100ワット白色電球 蛍光灯でも構いません タイマー 簡便で確実です ライトコントロールは、その名のとおり、毎日正確に明期時間をコントロールすることが重要であり、手動よりもタイマーで行うことが推奨されます。 タイマー装置と連動した馬房内の照明設置は、1馬房2-3万円程度であり、4-5馬房を一つのタイマーに接続して管理すれば6-7万円程度の工事費で設置が可能です。タイマーには時計が内蔵されているため、朝5時半から放牧時間まで、および夕方の収牧時間から20時まで点灯するようにセットし、12月20日(冬至)からスイッチをオンにするだけで正確なライトコントロールを行うことが可能です。

月別初回排卵の割合 % ** ** ** ** LC群 対照群 P<0.01 こちらのグラフは、シーズン初回排卵が確認されたウマの割合を月ごとに示しています。 黄色がライトコントロール群、青が無処置対照群を表しています。 ライトコントロール群は2月に初回排卵を迎えたウマが最も多く、4月までにすべてのウマで初回排卵を迎えました。 一方、対照群では2月から6月までばらついていました。 この結果から、繁殖シーズンの開始が対照群よりもライトコントロール群で明らかに早期化されていることが示されました。初回交配時期が1、2ヶ月早まることも確認されています。 また、ライトコントロールによって繁殖シーズン開始のばらつきを、2月、3月の早い時期に集中させることが可能となります。 したがって、空胎馬のライトコントロール法は、簡便で安価にできる繁殖管理法として有用であり、日高地方の馬生産に応用可能であることがわかりました。 P<0.01 **

このスライドは、空胎馬の繁殖移行期における代表的な血中プロジェステロン濃度の推移を示しています。非繁殖期には低値で推移していたプロジェステロン濃度ですが、12月下旬からライトコントロールを行うことによって、2月上旬にはじめてプロジェステロン濃度が上昇したことがお分かりいただけるかと思います。これが、初回排卵のしるしとなります。ひとたび排卵がおこると約3週間間隔でプロジェステロン濃度が低下する週が観察され、発情周期を繰り返しました。このことからプロジェステロン濃度の測定は、当て馬を所有しない生産牧場や、繁殖シーズン早期に発情兆候を示さないで排卵に至る馬、発情徴候が弱い空胎馬や、直腸検査の難しい馬などに対して、発情周期を特定するうえで有用であることが示唆されました。 ライトコントロールをした際の繁殖牝馬は、交配を希望する時期の3週間前からプロジェステロン濃度を週1回モニターすることにより、排卵の開始を簡便に把握することが可能であり、次回の発情、排卵時期を最小限の直腸検査や超音波検査を用いて効率的に診断することが可能となります。 ライトコントロール

ライトコントロールの注意点 12月20日(冬至付近)から、昼14.5時間、夜9.5時間の環境を作成。すなわち、北海道の一般的な飼養環境においては、一例として朝5時半から朝7時30分頃まで点灯し、収牧後15時30分頃から夜20時まで点灯する。照明は60-100ワットの白色電球を馬房の中央天井付近に設置。蛍光灯でも問題ない。点灯、消灯はタイマーで作動させ開始終了時間を正確にする。 夜間はできるだけ暗くする。24時間照明しても逆効果となり、一定時間の「夜」が必要である。 飼付けなどのために短時間、馬房や厩舎の電灯をつけることには大きな問題はないが、馬房や厩舎の廊下に常時点灯したり、馬房の窓から薄明かりが入ってくる環境が長期に渡ると、効果が少なくなる。明るい時間と暗い時間をはっきり分けることによって効果が高まる。 ボディコンディショニングスコアーとして5.5以上に維持されていることが望ましい。 早期に受胎したとしても、すぐにライトコントロールを中止せず、継続することにより黄体機能が賦活化されるため、妊娠維持に効果がある。3月中旬~下旬まで継続すべきである。 ライトコントロール法は、空胎馬のシーズン初回の排卵を促進するうえで、安価で簡便な方法ですが、いくつかの注意点も含めて、もう一度確認しましょう。12月20日(冬至付近)から、昼14.5時間、夜9.5時間の環境を作成するようにします。すなわち、北海道の一般的な飼養環境においては、一例として朝5時半から朝7時30分頃まで点灯し、収牧後15時30分頃から夜20時まで点灯します。照明は60-100ワットの白色電球を馬房の中央天井付近に設置します。蛍光灯でも問題ありません。点灯、消灯はタイマーで作動させ開始終了時間を正確にすることを推奨します。 夜間はできるだけ暗くしましょう。24時間照明しても逆効果となり、一定時間の「夜」が必要であることが知られています。 飼付けなどのために短時間、馬房や厩舎の電灯をつけることには大きな問題はありませんが、馬房や厩舎の廊下に常時点灯したり、馬房の窓から薄明かりが入ってくる環境が長期に渡ると、効果が低下します。明るい時間と暗い時間をはっきり分けることによって効果が高まります。 繁殖牝馬のボディコンディショニングスコアーとして5.5~6.0に維持されていることが排卵促進効果を発揮します。 早期に受胎したとしても、すぐにライトコントロールを中止せず、継続しましょう。黄体機能が賦活化されるため、妊娠維持に効果があります。3月中旬~下旬まで継続することを推奨いたします。

厳冬期(1,2月)に分娩する繁殖牝馬の問題点 低温(ストレス) 放牧地の凍結(運動の制限) 牧草摂取の不可(栄養状態低下) 昼間時間の短縮 馬の繁殖特性のひとつとして、分娩後1週間から10日で、排卵を伴う発情が回帰し、その後周期的な発情を繰り返すことが知られています、しかし、厳冬期に分娩した繁殖牝馬は、低温ストレス、放牧地凍結による運動不足、青草摂取の不可などの要因と併せて、とくに昼間時間の短縮が大きな要因となり、分娩後発情または2回目の発情での排卵が起こらず、卵巣機能が静止することがあります。この現象は、早生まれ生産が多くなってきた近年では、とくに目立つようになってきました。2月に分娩した馬がひとたび卵巣静止に陥ると、5月まで無発情状態が続くこともあり、せっかく早い時期からの交配を計画していたにも関わらず、一転して交配ができない状況となります。このような分娩後の卵巣静止を予防するために、分娩後初回および2回目の発情での排卵を順調に促すことを目的として、分娩前からのライトコントロールが推奨されます。 分娩後の卵巣機能抑制 (約20%の馬に分娩後発情での排卵が起こらない)

妊娠馬に対するライトコントロール法 方法については空胎馬と同様(14.5時間:9.5時間) 分娩前の開始時期については、 分娩予定日が1月の場合(予定日の1.5ヶ月前から開始) 分娩予定日が2月または3月上旬の場合(予定日の1ヶ月前から開始) 分娩予定日が3月中旬以降(ライトコントロールを行なわない) 分娩後1ヶ月(分娩後2回目の排卵確認)までライトコントロールを継続する。 妊娠馬に対するライトコントロールの開始時期ですが、空胎馬には一律12月下旬といった集団でのコントロールが可能ですが、妊娠馬については個々の馬の分娩予定日に併せて開始することをお勧めいたします。すなわち、分娩予定日が1月の場合は、卵巣機能が完全に休止状態になっているため、少し長めに査定し予定日の1.5ヶ月前から開始します。分娩予定日が2月または3月上旬の場合は、予定日の1ヶ月前から開始します。また、分娩予定日が3月中旬以降の馬については、ライトコントロールを行なわなくても、自然の長日性により、排卵が起こりやすい状態となっています。分娩したからといって、ライトコントロールを終了せずに、分娩後1ヶ月(分娩後2回目の排卵確認)まで継続するようにしましょう。

厳冬期(1,2月)分娩予定妊娠馬の ライトコントロールによる排卵促進効果 分娩後10日前後 (初回発情)での排卵 分娩後30日前後 (2回目発情)での排卵* ライトコントロール群 (n=46) 97.8%(45/46) 97.7%(42/43) 無処置群 (n=9) 77.8%(7/9) 66.7%(6/9) これまでの研究では、日高地方における1,2月分娩予定のサラブレッド種繁殖牝馬について分娩約1-2ヶ月前から、空胎馬と同じライトコントロール(昼14.5h :夜9.5hを実施、分娩後約1ヶ月まで点灯を継続)を行なったところ、46頭中45頭(97.8%)は、分娩後20日以内に初回排卵が確認されました。一方、ライトコントロールを行なわなかった無処置群では、9頭中6頭(66.7%)のみ分娩後1ヶ月までに周期的な排卵が起り、33.3%の馬でその後1ヶ月以上卵巣静止の状態となりました。それゆえ、妊娠馬に対しても分娩予定日の1-2ヶ月前からライトコントロールを行なうと、分娩後初回排卵を促進することが判明しました。 *分娩後初回発情の交配で受胎したものを除く

ライトコントロール(妊娠馬)まとめ 1,2月分娩 3月以降分娩 分娩約2ヶ月前から 空胎馬と同様に ライトコントロールする 1,2月分娩馬の15%に卵巣静止や排卵遅延が認められる。 1,2月分娩 3月以降分娩 分娩約2ヶ月前から 空胎馬と同様に ライトコントロールする ライトコントロールしない ライトコントロールをすべての妊娠馬に実施することは得策ではありません。その理由は、卵巣機能を活性化することを目的として行なうライトコントロールにより、分娩後初回排卵が数日早まる傾向があり、分娩後十分に子宮機能が回復する前に交配せざるを得ないという副次的な弊害があるためです。したがって、分娩後初回発情での交配を予定している場合は、できればライトコントロールは行なわないほうが受胎にプラスになります。そこで、冬期卵巣静止に陥ってしまう状況を避けるために、1,2月、ないし3月上旬分娩予定の妊娠馬に限定して、ライトコントロールを行なうべきであると考えられます。また、ライトコントロールによって、排卵が分娩後10日より前に起こると診断された場合は、高齢馬では無理に種付けをせずに見送り、次回発情での交配に照準を絞ることにより、効率的な繁殖管理が可能となります。 初回排卵は順調に起こるが 排卵時期が早まる可能性あり (分娩後初回発情での 交配に有利)

結論 北海道地方のような寒冷地においても、 1)非妊娠(空胎)馬への冬至点からの昼14.5h、夜9.5hのライトコントロール法は、シーズン初回排卵を早めるために、 2)1,2月分娩予定妊娠馬への分娩1-1.5ヶ月前からの昼14.5h、夜9.5hのライトコントロール法は、分娩後初回発情および2回目の発情を順調に回帰させるために、 低コストで簡便な繁殖管理法として有用である。 競馬関係者のニーズや市場価格を優先した競走馬生産を行うためには、馬が本来持っている生理機構を十分理解し、無理のない繁殖支配を行なう必要があると考えられます。本ライトコントロール法は、明期14.5時間という比較的短時間であり、開始時期についても空胎馬、妊娠馬ともに極端に早めることを避け、かつ北海道においても十分な効果が発揮できるように検討を行ないました。したがって、コストを極力抑えた方法となっていることも特徴のひとつであり、中小の競走馬生産者においても、本法を導入する価値はあると思われます。 以上のような配慮は、効率的な繁殖管理を行う上で重要となります。