HBT干渉法における 平均場の効果の準古典理論

Slides:



Advertisements
Similar presentations
エリスワームホール時空における ダスト流解とそのシャドウ Yamaguchi University Takayuki Ohgami, Nobuyuki Sakai ブラックホール地平面勉強会 10 月 4,5 日 湯田温泉.
Advertisements

相対論的場の理論における 散逸モードの微視的同定 斎藤陽平( KEK ) 共同研究者:藤井宏次、板倉数記、森松治.
Generalized Form Factors of the Nucleon in the Chiral Quark Soliton Model カイラルクォークソリトン模型に基づく 核子の一般化形状 大阪大学 原子核理論研究室 D 1 中小路 義彦.
YohkohからSolar-Bに向けての粒子加速
ニュートン重力理論における ブラックホール形成のシミュレーション
原子核物理学 第3講 原子核の存在範囲と崩壊様式
格子QCDによる核力ポテンシャル 石井理修 (東京大学) 2007年3月28日日本物理学会(都立大)45分講演、日本語.
木村 匡志 極限ブラックホール近傍の 高速粒子衝突における “バックリアクション“の影響について (YITP 元OCU)
学年 名列 名前 福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
クラスター変分法による 超新星爆発用 核物質状態方程式の作成
ベイズ基準によるHSMM音声合成の評価 ◎橋本佳,南角吉彦,徳田恵一 (名工大).
中性子過剰核での N = 8 魔法数の破れと一粒子描像
ランダム不均質媒質中の非等方震源におけるベクトル波エンベロープ合成
to Scattering of Unstable Nuclei
HBT測定で明かされる 相対論的重イオン衝突の 時空発展の描像 筑波大学 物理学セミナー 2007年12月17日 榎園 昭智.
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
銀河物理学特論 I: 講義1-1:近傍宇宙の銀河の 統計的性質 Kauffmann et al
質量数130領域の原子核のシッフモーメントおよびEDM
1次元電子系の有効フェルミオン模型と GWG法の発展
in Au+Au collisions at sqrt(sNN) = 200 GeV
原子核物理学 第8講 核力.
反核子のオフシェルエネルギーでの振舞いおよび ガモフテーラー和則における中間子生成強度
Λハイパー核の少数系における荷電対称性の破れ
非局所クォーク模型Gaussianバリオン間相互作用とその応用
Cosmic strings and early structure formation
The Effect of Dirac Sea in the chiral model
磯部洋明 京都大学花山天文台 波動加熱勉強会 2004年2月23日
川崎浩司:沿岸域工学,コロナ社 第2章(pp.12-22)
3パラメーター解の 相対論的・弦理論的解釈と タキオン凝縮について
Azimuthal distribution (方位角分布)
D中間子崩壊過程を用いた 軽いスカラー中間子の組成の研究
原子核物理学 第2講 原子核の電荷密度分布.
課題演習A5 自然における対称性 理論: 菅沼 秀夫 (内3830)
量子力学の復習(水素原子の波動関数) 光の吸収と放出(ラビ振動)
α decay of nucleus and Gamow penetration factor ~原子核のα崩壊とGamowの透過因子~
Mock LISA Data Challengesとその解析法 IMRI,SMBHB探索のテンプレート数について
重力波の重力レンズでの 波動効果 高橋 龍一 (国立天文台PD).
(昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布
2次元系における超伝導と電荷密度波の共存 Ⅰ.Introduction Ⅱ.モデルと計算方法 Ⅲ.結果 Ⅳ.まとめと今後の課題 栗原研究室
K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)
Charmonium Production in Pb-Pb Interactions at 158 GeV/c per Nucleon
pp-wave上の共変的超弦の場 における低エネルギー作用
チャネル結合AMDによる sd殻Ξハイパー核の研究
原子核の殻構造の相対論的記述 n n n σ ω n σ ω n 柴田研究室 石倉 徹也 1.Introduction n n
有限クォークおよび有限アイソスピン化学ポテンシャル
課題演習A5 「自然における対称性」 担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 村上 哲也.
電子モンテカルロシミレーション 相互作用 近似 輸送方法 Last modified
QCDの有効理論とハドロン物理 原田正康 (名古屋大学) at 東京大学 (2006年11月6日~8日)
タンパク質-リガンド複合体への共溶媒効果の系統的解析
? 格子QCDシミュレーションによる南部-ゴールドストン粒子の 質量生成機構の研究 質量の起源 ドメインウォールフェルミオン作用
1:Weak lensing 2:shear 3:高次展開 4:利点 5:問題点
格子ゲージ理論によるダークマターの研究 ダークマター(DM)とは ダークマターの正体を探れ!
Marco Ruggieri 、大西 明(京大基研)
銀河系とマゼラン雲に共通する ダストの遠赤外輻射特性
α decay of nucleus and Gamow penetration factor ~原子核のα崩壊とGamowの透過因子~
(RHIC-PHENIX実験における粒子放出の方位角異方性の測定)
原子核物理学 第7講 殻模型.
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
原子核物理学 第6講 原子核の殻構造.
ハイパー核物理分野から見た K原子核物理へのコメント
低エネルギー3核子分裂反応について 法政大学 石川壮一 1.はじめに 2.3体クーロン問題の定式化 p-p-n系
媒質中でのカイラル摂動論を用いた カイラル凝縮の解析
(K-,K+)反応によるΞハイパー核の生成スペクトル
現実的核力を用いた4Heの励起と電弱遷移強度分布の解析
実数および純虚数化学ポテンシャル領域における 2+1フレーバーPNJL模型を用いた QCD相構造の研究
Orientifolding of IIB matrix model
複合アニオンに起因した多軌道性と低次元性からうまれる 強相関電子物性の研究
瀬戸直樹 (UC Irvine) 第5回DECIGOワークショップ
軽い原子核の3粒子状態 N = 11 核 一粒子エネルギー と モノポール a大阪電気通信大学 b東京工業大学
Presentation transcript:

HBT干渉法における 平均場の効果の準古典理論 東大 駒場   服部 恒一  松井 哲男

RHICの未解決問題;「HBTパズル」   -HBT干渉法によって測定されたハドロン粒子源の     時空サイズと流体模型による理論計算との不一致 ・HBT干渉法の基本原理の再検討     -終状態相互作用、特に平均場の効果に注目 ・平均場による同種粒子相対波動関数の位相の変化   -見かけのソース分布の変化として現れる

HBT干渉法 の波動関数の対称化による干渉効果 + (干渉項) 相関関数Cとソースの拡がりR (q=k1-k2 ) Gauss分布: 検出器2 検出器1 検出器 + (干渉項) 相関関数Cとソースの拡がりR (q=k1-k2 ) C. Adler et al. (STAR) Gauss分布:

signal for long-lived source →QGP : phase transition RHIC ソースの長寿命による時間差の効果 short-lived source 平均運動量K 検出器 1 long-lived source 検出器 2 G. Bertsch(1989) M. L. Lisa et al. SPS G. Bertsch(1989) D. Rischke, M. Gyulassy(1996) signal for long-lived source →QGP : phase transition RHIC

random phase approximation (incoherent source) ソース分布のdecouple近似 ・  の運動量依存性 ・大きな  再現の必要性 ・  の運動量依存性の由来 RsideのKT依存性 RoutのKT依存性 通常の定式化に用いられる近似 random phase approximation (incoherent source) ソース分布のdecouple近似 粒子の自由伝播 ・二体の相互作用 (Gamow factor) ・一体の相互作用 ソース近傍における平均場の効果 (強い相互作用による)

平均場の効果の古典的描像(レンズ効果) S. Pratt (2005) T dependence of pion mass 実際のサイズR attractive repulsive 実際のサイズR 漸近運動量 R r 見かけのサイズ (Linear sigma model) Heui-Seol Roh, T. Matsui(1996) T. Kunihiro, T. Hatsuda(1989) T dependence of pion mass 140MeV (NJL model) 見かけ 実際 流体モデルによるRside

・古典的なレンズの描像からは引力の平均場が必要 ・有効理論:      (斥力) HBT干渉法:不可分別性による量子論的な干渉効果を       もちいたソースサイズの推定 ・古典的な軌道の変化ではなく、    干渉効果に対する平均場の影響を評価することが必要 *ChPTによるππ散乱振幅の計算:   ・s-waveでは斥力   ・ρメソン(p-wave)の効果により弱い引力になる可能性 A. Schenk(1991), J. Gasser and H. Leutwyler(1983) *引力の平均場による効果(強い引力)   G. Miller et. al.(2005), S. Pratt(2006)

・平均場は確率振幅 にphase shiftを及ぼす Chu, Gardner, Matsui, Seki(1994) 検出器 1 検出器 2 ・古典軌道との対応   ⇒ 準古典近似による確率振幅   の評価 ・平均場は確率振幅   にphase shiftを及ぼす 平均場によるphase shiftは、   見かけのソース分布にどのような効果を与えるのか??

準古典近似による   の計算: 干渉効果は位相差に現れる: 2次元(transverse平面)、中心力ポテンシャル *ポテンシャルV(r)について展開の1次 位相のずれ

相対運動量qに関する作用の展開 b b outwardのみへの座標のシフト (運動量Kの方向)

free: 分布ρ(x)のフーリエ変換 interaction 角運動量の不定性 ⇒ 異なる軌道間の干渉 Shift: :Jacobian ・分布の規格化 interaction  角運動量の不定性 ⇒ 異なる軌道間の干渉 Shift: :Jacobian

free interaction 分布ρ(x)の等高線 x軸上におけるソース分布 K=150 MeV K=200 MeV K=500 MeV Potential:V(r) ソース分布:ρ(x) K=150 MeV K=200 MeV K=500 MeV Gaussian

・まとめ ・ 今後の課題 準古典近似において、平均場による位相の変化を 見かけのソース分布の変化として解釈できた  見かけのソース分布の変化として解釈できた ・古典的レンズ描像ではsidewardへの変化が期待されたが、準古典論による  干渉効果の評価では、一般の静的な中心力場でsidewardへの変化は生じない ・平均場による影響はoutwardへのソースのシフトと形状の変化として現れる   ⇒ 運動量Kの小さいところで強く効く効果 ・ 今後の課題 ・ソースによる吸収の効果:optical potential   ⇒ ソース表面での粒子生成が支配的なモデル ・現実的なポテンシャル ・相対論的な補正効果 ・場の量子論からの定式化

ソースによる吸収の効果 f:complex scattering amplitude n:pion density

Jcobianの特異性 shift: :連続 Jacobian:

Random phase approximation 相関関数の定義 検出器 x ソース Random phase approximation

唯一の相関:BE統計による波動関数の対称化 検出器2 検出器1 x y 検出器1 x 検出器2 y 二体相互作用を無視 唯一の相関:BE統計による波動関数の対称化

Free streaming (すべての相互作用を無視) C. Adler et al. (STAR) 検出器2 検出器1 x y 検出器 Free streaming (すべての相互作用を無視)