DNASシステム上のアプリケーション起動シーケンスのための基盤であるdsh部分の性能評価 谷口 義樹 ○ 上川 純一
Introduction 近年,クラスタやグリッドなど計算機環境が大規模化 効率的に利用できるシステムおよび その上で動くアプリケーションが必要 DNAS(Distributed Network Application System)は, 大規模計算機環境において,アプリケーションを 動作させるためのミドルウェア 通信量が少ない木構造を提供
DNAS (Distributed Network Application System) アプリケーションの実行には dsh(distributed shell)が用いられる DNASの特徴 動的な木構造を持つシステム 負荷分散システム
ノード削除 あるノードをネットワークから外したい場合, そのノードを削除し,動的に階層構造を作り直す 再接続
負荷分散 1つのノードに負荷が集中している場合, 階層構造を作り直して,集中していた負荷を分散させる
dsh (distributed shell) - DNASシステムの起動および アプリケーションの実行に用いられる - 複数のシステムに同じコマンドを 実行させる - リモートシェルのラッパー - トポロジとリモートシェルを指定 トポロジ 逐次実行,並列実行,階層実行 リモートシェル rsh,ssh
topology(逐次実行) 実行の結果の出力が,実行した順に得られる
topology(並列実行) 逐次に比べ実行が速いが, マスターのポートを大量に使用
topology(階層的実行) 逐次に比べ実行が速く, ポート使用も少なくてよい
remote shell rsh(remote shell) 指定したプログラムをリモートホストに起動 認証は送信元アドレスによる認証のみ 暗号化なし ssh(secure shell) rshと同様の動作 RSA暗号化によるホスト・ユーザ認証 送受信するデータ通信路は,3DES等の方法で暗号化
dsh benchmark dshの性能計測 - ノード数によって,どのトポロジを選択するのが 最も良いか グリッド環境においてDNASを利用するとき, 認証がしっかりとしたsshを使うことが望ましいが, 現在用いているrshと比較して,どの程度の 実行時間に差があるのか
dsh benchmark 実験環境(Gregor : PC Cluster) 実験(10回試行平均) 各ホストで w コマンドを実行 CPU PentiumⅢ 1GHz ×2×64 Memory 512MB×64 (Total 32GB) Network 100BASE-TX 実験(10回試行平均) 各ホストで w コマンドを実行 (w :ログインしているuser,process,idleなどを表示)
dsh option の解説 remote shell topology option rsh 並列 -rrsh -c 階層的 -rrsh -cn4 逐次 -rrsh ssh -rssh -c -rssh -cn4 -rssh
Result (rsh) 並列に実行したときが最も速い 階層的に実行の際,変動が激しい
Result (ssh) 階層的に実行したときが最も速い sshの鍵計算が子ノードに割り振られることで, マスターの負荷が分散
Result (sequential, parallel) sshはrshと比較して遅い sshは認証に時間がかかる
Result (hierarchical) ノード数が少ないとsshのほうが遅いが, ノード数を増やすとsshのほうが速い
Conclusion DNASの起動およびそのシステム上で動くアプリケーションの実行に用いられるdshの性能比較 rshに比べて認証などのオーバーヘッドがあるsshだが, sshで階層的実行が速いという結果が得られ,実用的には問題のない程度
補足資料
Result (hierarchical)補足資料 変動が激しいのは,階層構造において 多段にログインすることにより,リモートノードが, 他のリモートノードに命令を与える過程で, タイミングの関係でひっかかる場所がある