2004年度 情報システム構成論 第2回 TCP/IPネットワーク 西尾 信彦 nishio@cs.ritsumei.ac.jp 立命館大学 情報理工学部 情報システム学科 ユビキタス環境研究室
Web上の講義情報 http://www.ubi.is.ritsumei.ac.jp/~nishio/lecture/ に置く予定 本資料の図版の一部は, ASCII出版 NETWORK Magazine から転載
(近くの)コンピュータをつなぐ技術 LAN (Local-Area Network) ホスト A ホスト B LANはネットワークを数える単位 最も単純なつなぎ方 Peer to peer 自分が誰とつながっているかは明白 さて,3台目はどうやってつなぎましょう?
3台目の接続 こうつなぐと ホストAは2つの足をもつ ホストBにはホストCの場所が(はじめは)わからない
3台目の接続 こうつなぐと 余計な仕事(中継)はなくなる 誰がどこにいるかもわかる 全ホストがホストの数だけ足をもつ? ホスト A ホスト B ホスト C こうつなぐと 余計な仕事(中継)はなくなる 誰がどこにいるかもわかる 全ホストがホストの数だけ足をもつ? 完全グラフ
3台目の接続 こうつなぐと 全ホストとも足は一つ (共有バス方式) とはいえいろいろ問題も Ethernetのつなぎ方 ホスト A ホスト B ホスト C こうつなぐと 全ホストとも足は一つ (共有バス方式) とはいえいろいろ問題も Ethernetのつなぎ方 CSMA方式
共有バス接続 誰かひとりしか同時には話せ(パケットを送れ)ない いま誰が話しているか確かめてから 空いていたら話し始める ホスト A ホスト B ホスト C 誰かひとりしか同時には話せ(パケットを送れ)ない いま誰が話しているか確かめてから 空いていたら話し始める 空いていなかったら待つ(いつまで?)
現在の主流な方式 最近の接続はすべてこれ セキュリティの問題 聞こえるべきホストにしか聞こえない 仮想的に分離したLANをつくる ホスト A B ホスト C 最近の接続はすべてこれ Switching Hubによるstar型接続 セキュリティの問題 聞こえるべきホストにしか聞こえない 仮想的に分離したLANをつくる AとBは同じLAN,Cは違うLAN
LANとLANとつなぐ技術 Wide-Area Network (WAN)の構築 中継の技術(ルーティング) 名前解決(DNS) The Internet (TCP/IP Protocol Suite) 中継の技術(ルーティング) 名前解決(DNS) 自律的システム 中央制御は存在しない
TCP/IP 狭義の意味でのTCP/IP 広義の意味でのTCP/IP インターネットの標準プロトコル IP,ICMP,ARP,TCP,UDP,RIP,HTML,SMTP,FTP,etc インターネットの標準プロトコル
TCP/IPネットワークの歴史 1960年代後半 アメリカ国防総省による軍事ネットワーク研究開始 1969年 ARPANET誕生 パケット交換技術の確立 1972年 ARPANET実験成功 50ノード以上にまで拡大 1975年 TCP/IP誕生 1982年 TCP/IP仕様決定 BSD UNIXの無料提供開始 BSD UNIXがTCP/IPを実装していたことにより急速に拡大 1983年 ARPANETの正式プロトコルにTCP/IPを採用 1989年ごろ LAN上でTCP/IPの利用が急拡大 1990年ごろ LAN、WAN共にTCP/IPを利用する方向へ 1995年ごろ インターネットが一般的になる ISPが多数発足 1996年 次世代IP、IPv6の仕様が決定 RFCに登録
ISO 7階層モデル アプリケーション層 特定のアプリケーションで利用されるプロトコル プレゼンテーション層 機器やネットワークの固有データフォーマットを制御 セッション層 コネクションの確立 下位層の管理 トランスポート層 両端ノード間のデータ転送管理 信頼性の提供 ネットワーク層 アドレスの管理 経路選択 データリンク層 直接接続された二つの機器間での通信制御 物理層 電圧や光の明滅と0、1のデジタル信号間の変換
ISO 7階層モデルの動き ISO 7階層モデル上での動き
TCP/IPモデル ISO7階層モデル TCP/IPモデル アプリケーション層 アプリケーション層 プレゼンテーション層 セッション層 トランスポート層 ネットワーク層 データリンク層 物理層 アプリケーション層 HTTP,SMTP,TELNET, FTP,SNMP,MIME,HTML,MIB トランスポート層 TCP,UDP インターネット層 ARP,IP,ICMP 物理層付近 イーサネット、ATM、FDDI、etc
MACアドレス IPを利用するネットワーク機器全てに割り当てられた、世界で一意なアドレス ROM内に焼きこまれている48bitアドレス 例:00-90-CC-20-93-D0
EthernetとMACアドレス 同一ネットワーク内でMACアドレスを 利用して通信を行う 複数のネットワークを越えて通信できない (ゲートウェイを超えては通信できない) ネットワークA ネットワークB
IP(Internet Protocol) 直接接続されていない(ネットワークを経由する)機器同士の通信の確立 データリンク層までは、直接接続された機器間でのみ通信が可能
IPアドレス 上位のネットワークアドレスと下位のホストアドレスから構成される 32bitの二進数整数値 方法が一般的 最大数 232 = 4,294,967,296 28 28 28 28 二進数 10101100 00010100 00000001 00000001 十進数 172 .20 .1 .1
IPアドレスのクラス(1) 配布するネットワークの規模に合わせてクラスがある クラスA クラスB 先頭1bitが0で始まるアドレス 0.0.0.0 ~ 127.0.0.0まで 16,777,214個の割り当てが可能 クラスB 先頭2bitが10で始まるアドレス 128.0.0.0 ~ 191.255.0.0まで 65,534個の割り当てが可能
IPアドレスのクラス(2) クラスC クラスD 先頭3bitが110で始まるアドレス 192.0.0.0 ~ 223.255.255.0まで 254個の割り当てが可能 クラスD 先頭4bitが1110で始まるアドレス 224.0.0.0 ~ 239.255.255.255まで ホストアドレスではなくIPマルチキャストに利用
マルチキャストアドレス 先頭4bitが1110の場合、下位28bitによって規定されたマルチキャストが行われる 例: 224.0.0.0 予約(利用できない) 224.0.0.1 サブネット内の全てのシステム 224.0.0.2 サブネット内の全てのルータ 224.0.0.14 DHCPサーバ/リレーエージェント
ブロードキャストアドレス クラス内のホストアドレスbitが全て1のアドレス クラス内の全てのアドレスに送信される 例:172.20.0.0 クラスB(下位16bitが自由) 10101100.00010100.00000000.00000000 ブロードキャストアドレス 172.25.255.255 10101100.00010100.11111111.11111111
IPアドレスの分配 ICANNが全世界で一元管理 日本ではJPNICが管理 申請してIPアドレスを取得する 立命館 (Internet Corporation for Assigned Names and Numbers) 日本ではJPNICが管理 (Japan Network Information Center) 申請してIPアドレスを取得する 立命館 クラスB 133.19.0.0 210.166.170.128/26