図1 膜性増殖性糸球体腎炎typeⅠ(PAS) 係蹄壁の二重化 好中球の浸潤 も25%位の症例 (Exudative form) で認められる 糸球体係蹄壁内に進入してきたメサンギウム細胞の核(活性化しており核が腫大し切れ込みがない) Mesangial interpositionとDouble contour(係蹄壁の二重化)
図2 膜性増殖性糸球体腎炎typeⅠ(HE) 好中球の浸潤 分葉化を示しており好中球の浸潤も認める典型的MPGN
図3 半月体形成性膜性増殖性糸球体腎炎typeⅠ(PAM;腎移植再発例) 移植前の原疾患も Crescentic MPGNの症例
図4 治療前後のMPGN type1(PAS) 治療3年後 8歳男児症例 隔日PSL投与で著明な組織学的改善を認める
図5 膜性増殖性糸球体腎炎typeⅠ(C3) C3の沈着が主としてメサンギウム領域に認められる症例
図6 膜性増殖性糸球体腎炎typeⅠ(C3) C3の沈着が係蹄壁とメサンギウムに認められる症例
図7 膜性増殖性糸球体腎炎typeⅠ(電顕像) 内皮下の沈着物 係蹄壁内に進入してきたメサンギウム の核(Mesangial interposition) 係蹄壁内に浸潤してきた好中球
解説 膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)の特徴は新成基底膜様物質の産生とMesangial interpositionによる係蹄壁の二重化(Double contour)による膜の肥厚とメサンギウムを主体とした細胞増殖である。 糸球体は分葉を示すことが多く特徴的な像を示すが、同様の所見を示す比較的稀な糸球体疾患も多い(season2で紹介予定)。 蛍光抗体法ではIgG、C3が中心に係蹄壁やメサンギウム領域に高度のcoarsely granularな沈着を示し、EndcapillaryGNとかなり違った染色パターンを示す。 電顕では沈着物のパターンでtype1~3に分類されるが成人ではtype2(Dense deposit disease)は稀である。
感染(後)糸球体腎炎postinfectious GN(日腎総会2005CME改変版) 1.溶連菌感染後急性糸球体腎炎poststreptococcal acute GN=PSAGN) 臨床像:急性腎炎症候群、一過性低補体。急性腎不全まれ。 ASLOとASK値の上昇。β型溶血レンサ球菌感染後1~2週後発症。 形態像:びまん性管内増殖性糸球体腎炎、Hump 形成が特徴的 2.パルボウイルスB19(HPVB19)感染後腎炎 臨床像:急性腎炎症候群、一過性低補体、抗核抗体陽性。四肢・体幹に紅斑 を認める。血中のHPVB19抗体の上昇(IgG型、IgM型)。自然寛解例が多い。 形態像:びまん性管内増殖性糸球体腎炎、好中球の浸潤が少なくマクロファージの浸潤が多い。 Hump 形成はほとんど認められない。 3.シャント腎炎(shunt nephritis) 臨床像: 水頭症による脳室・心房シャント。表皮ブドウ球菌、低補体血症、循環免疫複合体陽性、クリオグロブリン陽性、リウマチ因子陽性のことが多い。しばしばネフローゼ。RPGNまれ 形態像:MPGN-like又はメサンギウム増殖性腎炎(免疫複合体型)、IgG, IgM, C3陽性 4.心内膜炎に伴う腎炎 臨床像: 心内膜炎の既往。黄色ブドウ球菌、低補体血症、循環免疫複合体陽性、クリオグロブリン陽性、リウマチ因子陽性。 蛋白尿、ネフローゼまれ。RPGNあり。 形態像:半月体形成性を伴なったびまん性管内増殖性糸球体腎炎(IC腎炎)、IgG, M、C3 5.MRSA腎炎 臨床像:手術後感染、MRSA(コアグラーゼII型)、低補体なし。血清IgA上昇、TCVβ陽性細胞クリオグロブリンとリウマチ因陰性。蛋白尿ネフローゼまれ。RPGNあり。 形態像:免疫複合体型半月体形成性腎炎(IC腎炎)、IgA, G、C3