超高速セルソーター MoFloTM による SP Cell 等の希少細胞ソーティング 公立大学法人札幌医科大学 様 2007.3.23
SP(Side Population)細胞 Goodell MA, Mulligan RC, (1996) Hoechst33342で染色 PIで死細胞を除去 UV Laser (350nm)で励起 424/44 BP (Hoechst Blue)と585/42 (Hoechst Red)を検出 Hoechst-Red (585/42) S-G2M G0/G1 Hoechst-Blue (424/44) Side Population (SP) cell そうですね、SP細胞のSPはサイドポピュレーションの略です。 そのまま日本語に直訳すれば、サイドが横ですから、横っちょの細胞集団ということになります。 図では、ここの部分ですね。 SP(Side Population)細胞 Hoechst 33342によるマウス骨髄単核細胞染色Goodell et al J Exp Med. 1996;183:1797.
SP細胞の特徴 SP細胞は種を越えて存在する. Goodell MA et al. Nat Med.1997;3:1337. SP細胞は,ABCトランスポーターを介して色素を細胞外に排出する. Zhou S et al. Nat Med. 2001;7:1028. 心筋梗塞後にSP細胞由来の心筋再生が起こる. Jackson KA et al. J Clin Invest. 2001;107:1395.
マウス各組織のSP細胞 Brain Liver Kidney Pancreas Muscle Heart Ho-Blue Ho-Red 0.8% 0.3% 0.7% 0.44% Muscle Heart 0.5% 2.8% Ho-Blue Ho-Red 慶応大学 松崎有実ら
SP Cell ソーティングに求められること 陽性率が非常に低い(1%未満)こと 血球系の細胞と比較して物理的刺激に弱いこと UV(350 nm)で検出されること SP Cell ソーティングの際に機械側に求められる条件として・・・ 高速ソーティングにより、陽性率の低い目的細胞を短時間で回収できる 細胞への物理的ストレスが少ない安定した sample stream の実現 十分な出力(80mW以上が望ましい)のUVレーザーを搭載している
MoFloTM とはどんなセルソーター? 1994年 Cytomation社(現DAKO社)より販売開始。 欧米中心に世界で約450台インストール済。 日本国内では2001年販売開始(タカラバイオ)。国内で約30台 文献数は、現在までにWorldwideで2,100報以上。 欧米では、Stem cell sorting の分野は MoFloTM が1st choice SP細胞の同定や幹細胞移植等、再生医学の分野で特に高い評価。
MoFloTM の特徴 特許に裏打ちされた革新的技術により、SP Cell などのレア・イベントソーティングに求められる条件をすべて満たしています! 超高速ソーティング ・・・陽性率が1%未満の細胞も短時間で回収可能 安定した Sample Stream の実現 ・・・超高速ソーティングでも高い回収率と高いviabilityを実現 80mW以上のUVレーザーを搭載可能 ・・・さまざまな種、組織の SP Cell 検出に十分な出力を確保 光軸調整が簡便化されている ・・・トータルのソーティング時間の短縮にもつながる
MoFloTMの特徴 ①超高速ソーティング 解析速度、分取速度において世界最速のセルソーター 解析100,000- events/sec 分取70,000- events/sec サンプル中に1%未満しか存在しないようなレアイベント(希少細胞)の分取に最適 ・ウイルスなどの抗原特異的T細胞 ・組織幹細胞など(通常、陽性率は0.01%程度)
①超高速ソーティング ・・・FCM(フローサイトメトリー)測定原理・・・ サンプル シース液 ・ ラミナフローの原理により、シース液の流れ でサンプルの流れが絞られ、細胞が一列に 並んで流れる 細胞の行列 ・ 細胞がレーザー光軸を一個ずつ通過 レーザー ・ 細胞がレーザー光を通過する際に生じた 散乱光と蛍光を電気信号に変換 検出器 ・ 細胞1個ごとに散乱光と蛍光の強さを解析 統計ヒストグラムデータをつくりプロット図と 計算結果を出力 電気・ 解析系
高速解析、高速ソーティングに求められること ・ 水流中を流れる細胞や粒子に光を当てて、 発する光の強さを解析している シース液 散乱光 蛍光 ・ 単位時間当たりに光を当てられる細胞数 すなわちフローの流速を上げれば、解析の スピードも上がるのか? 励起光 検出器 ・ 蛍光を検出してから電気信号に変換するのに要 する時間より速いと、そのデータは捨てるしかない。 電気・ 解析系 高速解析、高速ソーティングの鍵は演算処理能力 細胞
Parallel processing を採用 特許 MoFloTMは最先端の Parallel processing を採用 FIFO ADC Laser 1 Laser 2 Laser 3 computer interface PSH bus controller Central Timing Unit (signal I.D.) Peak sample hold Analog to digital converter First in – First out stream
レアイベント・ソーティングに要する時間 ソーティング時間の大幅な短縮が可能。 例) 存在比率 (陽性率) : 全細胞中の 0.5 % 例) 存在比率 (陽性率) : 全細胞中の 0.5 % ソーティングしたい細胞数 : 5×106 個 準備すべき細胞数 :109 個 ↓ ↓ ↓ 存在比0.5%の細胞集団を5×106個ソーティングする 場合の所要時間の概念図(理論値) セルソーターに要する時間=準備する細胞数 / Event Rate 例) Event Rate : 10,000 events/sec 一時間当たりにソーティング可能な細胞数は、 10,000 event x 60 x 60 = 3.6x107 個 109 個の細胞をソーティングするのに必要な時間は、 109 event ÷ 3.6x107 event/hr = 27.777…時間 ↓ ↓ ↓ 30 25 20 15 所要時間(hr) 10 5 10000 30000 50000 70000 Event Rate が 30,000 events/sec だと、 9.259…時間 Event Rate が 50,000 events/sec だと、 5.555…時間 Event Rate が 70,000 events/sec だと、 3.968…時間 ↓ ↓ ↓ Event Rate (/Sec) 超高速セルソータ MoFloTM ならば ソーティング時間の大幅な短縮が可能。
時間短縮のもたらすメリット ソーティングの本来の目的は? →single cell sorting から細胞株の樹立 →生きたまま、かつ活性の失われていない状態での細胞の確保 →single cell sorting から細胞株の樹立 ・・・ではないでしょうか? レアイベントであればあるほど、必要な細胞数をソーティングし終えるまでに要する時間が延びてしまい、その分活性が失われる可能性が高まります。だからこそ時間短縮が大きなポイントとなります。
MoFloTM の特徴 特許に裏打ちされた革新的技術により、SP Cell などのレア・イベントソーティングに求められる条件をすべて満たしています! 超高速ソーティング ・・・陽性率が1%未満の細胞も短時間で回収可能 常に安定した Sample Stream の実現 ・・・超高速ソーティングでも高い回収率と高いviabilityを実現 80mW以上のUVレーザーを搭載可能 ・・・さまざまな種、組織の SP Cell 検出に十分な出力を確保 光軸調整が簡便化されている ・・・トータルのソーティング時間の短縮にもつながる
② 常に安定した Sample Stream の実現 ・・・超高速ソーティングでも MoFloTMの特徴 ② 常に安定した Sample Stream の実現 ・・・超高速ソーティングでも (1)高い回収率 (2)高いviability を実現しています。 のずる 秘密はノズルの構造と、ソーティング方式
MoFloTMはなぜ回収率がいいのか? ノズルを振動させ、ジェット流を液滴に変化させる + + サンプル導入圧: <100psi + 側方散乱光、各種蛍光(最大14色)、ミラーで分光 ノズル レーザー光、 (3波長同時励起可能) 前方散乱光 検出器 ドロップディレイ 液滴への チャージ 液滴形成点 ノズルを振動させ、ジェット流を液滴に変化させる 水平電場 形成電極板 + - + 廃液受け + + - - ソーティングサンプル受け (4種同時に分離可能)
MoFloTMはなぜ回収率がいいか? 0.0001 sec 30khz MoFloTM 100khz 60khz 高い振動数でも安定した液滴形成が可能なノズルの構造 40,000 events/sec 0.0001 sec 液滴中に細胞が1個ずつ存在可能 非回収の無駄を回避
高いviabilityが得られる理由 高いviabilityの確保にはJet in Air 方式が有利と言われる ソーティングには大きく2つの方式がある。 1. Jet in Air 方式 ・・・ノズルを出た後の水流に直接レーザー光を当てる 2. Closed 方式 ・・・ノズル通過前にフローセル内部でレーザー光を当てる <Jet in Air 方式> <Closed 方式> ノズル フローセル レーザー レーザー ノズル 高いviabilityの確保にはJet in Air 方式が有利と言われる MoFloTMは、Jet in Air 方式です。
高いviabilityが得られる理由 サンプルストリームの安定性が、高いviabilityの秘訣! Jet in Air 方式と比較した際の Closed 方式の問題点として ・・・レーザーを当て易くするため、サンプルが通るフローセル内腔断面が四角形 →フローセル通過後、ノズルの内腔は円形 →形状の違いが、フローセルとノズル部分での流速の違いを生む。 →結果としてノズルを出るまでの間に、ストリームに乱流が生じ、 ダメージを受ける細胞が生じる。 サンプルストリームの安定性が、高いviabilityの秘訣!
CytoNozzle の開発によって、最大70,000イベント/秒の高速セルソーティングでも高生存率を保っています。 MoFloTMの高回収率と高viabilityの秘訣は ・・・ノズルにあり 特許 CytoNozzle の開発によって、最大70,000イベント/秒の高速セルソーティングでも高生存率を保っています。 高流速、高振動数でも、安定した液滴形成。 最大100 psiの高圧下で液滴形成させても、対象サンプルをシースストリームの中心に安定して送り出せる設計。 超高速ソーティング時でも、シース液流によるサンプルストリームへの乱れが生じ難いため、細胞への物理的ストレスが少なく、生存率が最大になるように、高純度、高回収率でソート可能。
MoFloTM の特徴 特許に裏打ちされた革新的技術により、SP Cell などのレア・イベントソーティングに求められる条件をすべて満たしています! 超高速ソーティング ・・・陽性率が1%未満の細胞も短時間で回収可能 安定した Sample Stream の実現 ・・・超高速ソーティングでも高い回収率と高いviabilityを実現 80mW以上のUVレーザーを搭載可能 ・・・さまざまな種、組織の SP Cell 検出に十分な出力を確保 光軸調整が簡便化されている ・・・トータルのソーティング時間の短縮にもつながる
SP分画:broadせずsharpに保ちたい レーザー光の楕円形化に伴い、UVレーザー出力の強さが関係してくる MoFloTMの特徴 ④ 80mW以上のUVレーザーを搭載可能 Hoechst-Red (585/42) SP分画:broadせずsharpに保ちたい Hoechst-Blue (424/44) レーザー光の楕円形化に伴い、UVレーザー出力の強さが関係してくる Side Population (SP) cell
なぜレーザー出力が重要か? Laminar Flow (層流) サンプル圧 Low サンプル圧 High 流量が少ない場合 流量が多い場合 これが、フローセルを拡大した図です。フローセルは円すい形になっていて、サンプルインジェクションチューブの下側はサンプル試験管に入っています。 まず、シース液の連続的な流れが、フローセル内に形成されます。サンプルに加圧されると、細胞浮遊液の流れ(サンプル流)がシース液流の中心を流れるようになります。これを層流(Laminar Flow)と言います。すなわち、サンプルの流れはシース液の流れの中心に互いに混ざることなく存在し、レーザーは細胞1つ1つを計測することができます。 流路コントロールパネルにあるフローレートボタンでサンプルの流速を変えることができます。 サンプル液とシース液にかかる空気圧は同じではなく、サンプル液圧は、シース液圧(4.5psi)よりも常に高くなっています。FACSCaliburでは、サンプル圧をLO、MED、HIの3段階から選択することができます。 サンプル圧を高める(HI)とサンプル流の幅が広がり流量が多くなります。高いサンプル圧(HI)は、通常、細胞抗原測定などの定性的測定の場合に用います。 サンプル圧を低く(LO)し流量を少なくすると、サンプル流の幅が狭まり細胞はより中心を流れます。低いサンプル圧は、通常、高い解像度が必要な場合、例えば、定量的な測定やDNA測定に用います。DNA測定では細胞間の蛍光強度の違いがわずかなので高い解像度と精密度が必要です。 シース液流 シース液流 シース液流 シース液流 サンプル サンプル
組織により差はあるものの、80mW以上の出力があれば、sharpなSP分画を確保することが可能。 なぜレーザー出力が重要か? サンプル流 レーザー光の楕円形化 レーザービーム ビーム エキスパンダー フォーカス レンズ レーザー光 20m 楕円形化→周辺部の光量が減少 60m (光量) レーザーの出力を上げれば解決 30 m 0 30 m 光学系に入ります。 ここではFACSCaliburの光学系について見ていきます。細胞の散乱光による形態学的な特徴だけでなく、蛍光をどのように計測するかを説明します。 光学系では細胞の様々な特徴を計測するために、細胞を励起させなければなりません。また細胞から得られる光信号を適切に検出しなければなりません。 レーザービームは、ビームエキスパンダーにより楕円形に変形され、フォーカスレンズでフローセル内のサンプル流に焦点を当てます。楕円形にすることにより、流れに対し垂直方向のエネルギー分布をより緩やかにし、細胞の流れにゆらぎがあってもより均一な励起エネルギーを与えることができます。 (光径) 組織により差はあるものの、80mW以上の出力があれば、sharpなSP分画を確保することが可能。
MoFloTM の特徴 特許に裏打ちされた革新的技術により、SP Cell などのレア・イベントソーティングに求められる条件をすべて満たしています! 超高速ソーティング ・・・陽性率が1%未満の細胞も短時間で回収可能 安定した Sample Stream の実現 ・・・超高速ソーティングでも高い回収率と高いviabilityを実現 80mW以上のUVレーザーを搭載可能 ・・・さまざまな種、組織の SP Cell 検出に十分な出力を確保 光軸調整が簡便化されている ・・・トータルのソーティング時間の短縮にもつながる
④ 光軸調整が簡便化されている MoFloTMの特徴 使用開始までに要する時間が、従来と比べて大幅に短縮。 ④ 光軸調整が簡便化されている 使用開始までに要する時間が、従来と比べて大幅に短縮。 光軸調整不要のものとなんら遜色ない準備時間。 のずる
使用前に手間取るのは光軸調整だけ? ソーティング方式の違い・・・どの段階でレーザーを当てるか 1. Jet in Air 方式→ノズルを出た後の水流に直接照射 →光軸調整が必要 2. Closed 方式→ノズルの前、フローセル通過時に照射→基本的に必要なし では、Closed方式は本当に誰でもすぐにセッティングできるのか? ・・・ノズルを毎回すべり込ませるタイプでは、作業する人によって、液滴形成 が安定化するまでの時間の幅が大きく変わる。(何度もやり直しが必要) 結局光軸調整が不要でも、MoFloTMの光軸調整と同様の時間が必要 ・・・ポイントは使用開始までに要する時間ではないでしょうか?
MoFloTMの光軸調整は本当に煩雑なの? Nozzle tip in view Stream Pinholes CCDカメラのモニタを見ながら、ここの4箇所のネジを回すだけで調整可能。 ソーティング初心者でも、15分もあれば容易に光軸調整が可能。 しかも、一度調整した後はほとんど微調整のみで済みます。 共同利用に最適
それでは・・・ MoFloTMの実力をご覧ください。
MoFloTMを用いたマウスSP細胞のSorting マウス(B6/8週齢)の骨髄より分離した単核球分画を、Hoechst染色後、 MoFloを用いてSP細胞の分取を行った。 Sorting前 Sorting後 マウス骨髄単核球分画 分取細胞の解析結果 0.17% 0.29% 98.25% 結果:純度 98% のマウスのSP細胞分画が分取できた。 慶応大学 松崎有実ら
MoFloTMを用いたマウス各組織のSP細胞 Brain Liver Kidney Pancreas 0.8% 0.3% 0.7% 0.44% Muscle Heart 0.5% 2.8% Ho-Blue Ho-Red 慶応大学 松崎有実ら
まとめ 70,000 個/秒の超高速ソーティング→レア・イベントに圧倒的優位性 多様なSP Cell 検出を可能にする出力80mW以上のUVレーザー。 Jet in Air 方式とCytonNozzleが生み出す安定したサンプルストリームが高い生存率と高回収率を確保。 SP Cell や組織幹細胞ソーティングの分野で、既に十分な実績。 故障頻度が少ない。→機械の安定性が高く評価されております。 光軸調整は必要。→従来機種と比較し、圧倒的な時間短縮を実現 見た目の無骨さも、光軸調整も、すべては、高速、高回収率、高いviabilityを得るため。→本来、何のためにソーティングをするのか?
日本国内の主な MoFloTM ユーザーは? 『幹細胞の分化制御と再生医学』 東京大学医科学研究所 幹細胞治療研究分野 中内 啓光 教授 守田 陽平 研究員 『神経幹細胞を使用した再生医学』 慶応義塾大学 医学部生理学教室 岡野 栄之 教授 松崎 有未 助教授
日本国内の主な MoFloTM ユーザーは? 『Cytokine・増殖因子受容体を介する細胞増殖 』 大阪大学大学院医科学研究科 ヒト疾患モデル研究センター免疫発生学研究室 平野 俊夫 教授 村上 正晃 助教授 『制御性T細胞による免疫抑制機能の解析』 京都大学再生医科学研究所 生体機能学研究部門生体機能調節学分野 坂口 志文 教授 野村 尚史 助手
日本国内の MoFloTM ユーザーは? 『樹状細胞による免疫調節機構の研究』 理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター サイトカイン制御研究G : 平野俊夫先生 岡山大学医歯学総合研究科 腫瘍制御学講座 : 小林直哉先生 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 免疫疾患研究部門 : 鍔田武志教授、安達貴弘助教授 千葉大学 薬学研究員 分子細胞生物学 : 山口直人教授 横浜市立大学 医学部 臓器再生医学 : 谷口英樹教授 東北大学 先進医工学研究機構 生命機能科学分野 加藤英正チームリーダー 自治医科大学医学部 再生医学研究部 : 花園豊助教授 『樹状細胞による免疫調節機構の研究』 秋田大学医学部病理病態医学講座 生態防御学分野 免疫発生学研究室 樗木 俊聡 教授 多田 浩之 研究員