Permutationグラフと Distance-Hereditaryグラフの 再構築アルゴリズム 清見 礼 ○斎藤 寿樹 上原 隆平 (JAIST 仲良し3人組)
グラフ再構築問題 Preimage グラフG=(V, E)のDeck: グラフの多重集合{G-v | v∈V} グラフの多重集合DのPreimage: DをDeckとするグラフ GのDeck v1 v3 v5 v4 v1 v2 v3 v5 Preimage v1 v2 v3 v5 v4 グラフG v2 v3 v5 v4 G-v2 G-v4 v1 v2 v5 v4 v1 v2 v3 v4 G-v1 G-v3 G-v5
グラフ再構築問題 入力:n-1頂点のn個のグラフD 質問:DをDeckとするPreimageは存在するか? 入力:D ラベルなしグラフ
グラフ再構築予想 n-1頂点のグラフがn個与えられたとき(n≧3),それをDeckとするPreimageは高々一つ 入力:D 上のグラフとは異なるグラフ
グラフ再構築予想 UlamとKellyによって提唱 [1957年] 予想が成立するグラフクラス 関連研究 再構築可能なもの(一意に決定) 未解決問題 予想が成立するグラフクラス 正則グラフ、木、非連結グラフなど 関連研究 再構築可能なもの(一意に決定) 次数列、彩色数など グラフの同型性判定問題と深い関係 再構築問題は同型性判定問題以上に難しい
単純なグラフ再構築アルゴリズム Gi∈Dを選択 Giに頂点vとvに接続する辺を追加(Giv) GivのDeck Divを作る DivとDが等しいかをチェック(Deck Checking) 等しければ,DのPreimageはGiv 等しくなければ,2に戻る v グラフGiv 入力:D GivのDeck
単純なグラフ再構築アルゴリズム ≠ DはGivのDeckではない Gi∈Dを選択 Giに頂点vとvに接続する辺を追加(Giv) GivのDeck Divを作る DivとDが等しいかをチェック(Deck Checking) 等しければ,DのPreimageはGiv 等しくなければ,2に戻る v グラフGiv 入力:D GivのDeck ≠ DはGivのDeckではない
単純なグラフ再構築アルゴリズム = DはGivのDeck Gi∈Dを選択 Giに頂点vとvに接続する辺を追加(Giv) GivのDeck Divを作る DivとDが等しいかをチェック(Deck Checking) 等しければ,DのPreimageはGiv 等しくなければ,2に戻る v グラフGiv 入力:D GivのDeck = DはGivのDeck
単純なグラフ再構築アルゴリズム このアルゴリズムは遅い! 多項式時間アルゴリズムの開発 候補が指数個 同型性判定 多項式時間 Gi∈Dを選択 Giに頂点vとvに接続する辺を追加(Giv) GivのDeck Divを作る DivとDが等しいかをチェック(Deck Checking) 等しければ,DのPreimageはGiv 等しくなければ,2に戻る 候補が指数個 同型性判定 多項式時間 このアルゴリズムは遅い! 多項式時間アルゴリズムの開発 入力に制限:同型性判定を多項式時間で行えるグラフクラス 入力Dのすべてのグラフが、あるグラフクラスに属する
Distance-Hereditaryグラフ GI-完全:同型性判定問題が一般のグラフと同程度に難しい 今回の結果 GI完全なグラフクラス Perfectグラフ HHD-freeグラフ Comparabilityグラフ Chordalグラフ 同型性判定が多項式時間 今回の発表 Distance-Hereditaryグラフ Intervalグラフ Permutationグラフ M. Kiyomi et al. (2009) つまらない! アルゴリズムが存在 再構築予想が成立 Proper Intervalグラフ Tree Thresholdグラフ
Permutationグラフの再構築問題 入力:グラフの多重集合D 各グラフGi∈DはPermutationグラフ 質問:DをDeckとするグラフが存在するか? 入力:D Permutationグラフ ・・・
Permutationグラフ ライン表現を持つグラフクラス 1 2 3 4 5 6 3 6 4 1 5 2 Permutationグラフ 1 2 3 4 5 6 1 6 4 3 2 5 3 6 4 1 5 2 Permutationグラフ ライン表現
Permutationグラフの特徴 逆は成り立たない! 補題0 1 2 3 4 5 6 3 6 4 1 5 2 Permutationグラフ 1 2 3 4 5 6 3 6 4 1 5 2 ライン表現 1 2 3 4 5 Permutationグラフ 6 PreimageがPermutationグラフ ⇒ Deckの中のグラフはすべてPermutationグラフ 逆は成り立たない! PreimageがPermutationグラフの禁止グラフ
Permutationグラフの禁止グラフ[T. Gallai 1967] これらのグラフとこの補グラフ k ≧ 0 k 2k+3 2k+3 2k+2 k+1 k k Preimageが禁止グラフかチェック
考えるべき問題 ・・・ 入力:グラフの多重集合D 質問:DをDeckとするPermutationグラフが存在するか? 入力:D 各グラフGi∈DはPermutationグラフ 質問:DをDeckとするPermutationグラフが存在するか? 入力:D Permutationグラフ ・・・
Permutationグラフを再構築するアルゴリズム? DeckのグラフGiのライン表現に線分を追加 指数通りのライン表現が存在 入力:D グラフGi O(n2)通りを試せばOK? ・・・ ライン表現が一意(高々4通り)に定まるもの
ライン表現が一意のPermutationグラフ 補題1 [T. Ma and J. Spinrad, 1994] PermutationグラフGがmodular decompositionにおいてprimeであるとき、Gのライン表現は一意である 入力:D グラフGi O(n2)通りを試せばOK ・・・
Modular Decomposition Permutationグラフとは独立の話 Modular Decomposition G=(V, E)のmodule M: 頂点集合 V\Mの頂点はMのすべての頂点と隣接, or Mのすべての頂点と隣接しない module Mがtrivial: M=φ, M=V, or |M|=1 グラフGがprime: Gはtrivialなmoduleしか持たない Prime Mの頂点の隣接関係はMの外を見るとどれも同じ
ライン表現が一意のPermutationグラフ 補題1 [T. Ma and J. Spinrad, 1994] PermutationグラフGがmodular decompositionにおいてprimeであるとき、Gのライン表現は一意である 補題2 [J.H. Schmerl, W.T. Trotter, 1993] グラフGをprimeなグラフとする G-vがprimeであるようなvが存在 ⇔ GがH2nやH2nではない ・・・ x1 x2 xi xn y1 y2 yi yn Prime Prime グラフH2n
アルゴリズム(Preimageがprime) Dの中からPrimeなグラフを探す If PrimeなグラフGiが存在 Giのライン表現に線分を追加(O(n2)回) else PreimageがH2n または H2nかチェック
アルゴリズム 入力:グラフの多重集合D Preimageが禁止グラフかチェック Preimageがprimeのとき 各グラフGi∈DはPermutationグラフ Preimageが禁止グラフかチェック PreimageがPermutationグラフのみを考えるため Preimageがprimeのとき Preimageのライン表現が一意 Preimageがprimeでないとき Modular Decompositionを用いて、 問題を“Preimageがprimeのとき”におとす
Modular Decomposition Permutationグラフとは独立の話 Modular Decomposition G=(V, E)のmodule M:頂点集合 V\Mの頂点はMのすべての頂点と隣接, or Mのすべての頂点と隣接しない module Mがstrong: Mは他のmoduleとoverlapしない strong moduleの包含関係を木で表現可能 M1 M2 M3 M4 M5 M4 M5 M1 M2 M3
Modular Decompositionとライン表現 M4 M5 M3 M5 M4 M5 M1 M2 M3 strong moduleを含まないmoduleのライン表現は一意
アルゴリズム(Preimageがprimeでない) For グラフGi∈D (i=1 to n) GiのModular Decompositionを計算 For strong moduleを含まないmodule M Mのライン表現に線分を追加(O(n2)回) PreimageがH2nやH2nを含むかチェック
Distance-Hereditaryグラフ まとめと今後の課題 GI-完全:同型性判定問題が一般のグラフと同程度に難しい GI完全なグラフクラス Perfectグラフ HHD-freeグラフ Comparabilityグラフ Chordalグラフ 同型性判定が多項式時間 Circleグラフ Circular-arcグラフ 再構築予想が成立? Distance-Hereditaryグラフ Permutationグラフ Intervalグラフ M. Kiyomi et al. (2009) 多項式時間アルゴリズムの開発 アルゴリズムが存在 再構築予想が成立 Proper Intervalグラフ Tree Thresholdグラフ