Permutationグラフと Distance-Hereditaryグラフの 再構築アルゴリズム

Slides:



Advertisements
Similar presentations
組合せ最適化輪講 2.3 連結性 川原 純. 2.3 連結性 内容 – グラフ上の節点をすべてたどるアルゴリズム 計算機上でのグラフの表現 – 強連結成分を求めるアルゴリズム トポロジカル順序を求める方法も – k- 連結、 k- 辺連結について – 2- 連結グラフの耳分解について.
Advertisements

有限幾何学 第 2 回. 有限幾何学 第 2 回 1. 様々なグラフの例 2. 道と最短経路問題 1. 用語の説明 2. 最短経路問題 3. ダイキストラのアルゴリズム.
Voronoi Game on Graph and its Complexity 寺本 幸生 上原 隆平 (JAIST)
2015 年度 有限幾何学 期末試験 次の各問に答えよ.( (1), (2), (3), (4), (5), (7), (8), (10) は答えだけでよい) (1) 有向閉路が存在しない位数 4 のトーナメントを描け. (2) 内点の個数が 10 個の正則 2 分木の葉の個数を求めよ. (3) グラフ.
1. 補間多項式 n 次の多項式 とは、単項式 の 線形結合の事である。 Definitions: ( 区間, 連続関数, abscissas (データ点、格子点、差分点), 多項 式 ) Theorem. (補間多項式の存在と一意性) 各 i = 0, …, n について、 をみたす、次数が高々 n.
区間グラフにおける区間表現からMPQ-treeを効率よく構成するアルゴリズム
正規表現からのDFA直接構成.
2009/12/4 グラフ (2) 第10講: 平成21年12月4日 (金) 4限 E252教室 コンピュータアルゴリズム.
第12回 順序回路の解析方法 瀬戸 順序回路から,以下を導き、解析を行えるようにする タイムチャート 状態遷移関数・出力関数 状態遷移表
Bipartite Permutation Graphの ランダム生成と列挙
データ構造と アルゴリズム 第十二回 知能情報学部 知能情報学科 新田直也.
ラベル付き区間グラフを列挙するBDDとその応用
絵画的迷路の作り方 岡本 吉央 東工大 上原 隆平 JAIST.
    有限幾何学        第8回.
曲面上のグラフの彩色 ~種数の増加,面の制限及び局所平面性~
第5章 計算の方法 本章で説明すること ・計算の概観と記述法 ・代表的な計算モデル ・プログラムとプログラム言語 1.
On the Enumeration of Colored Trees
整数計画法を用いた スリザーリンクの解法 杉村 由花 (東京大学)
An Algorithm for Enumerating Maximal Matchings of a Graph
    有限幾何学        第5回.
Probabilistic Method.
集中講義(九州大学数理学研究院) バイオ構造データに対する数理モデルと アルゴリズム(3) + 数理談話会 木構造および画像データの文法圧縮
Approximation of k-Set Cover by Semi-Local Optimization
8.クラスNPと多項式時間帰着.
    有限幾何学        第12回.
データ構造と アルゴリズム 第二回 知能情報学部 新田直也.
データ構造とアルゴリズム 第6回の2 木 ~ データ構造(3)~.
第11講: 平成18年12月 8日 (金) 4限 E352教室 グラフ (1).
Proper Interval Graphsの ランダム生成と列挙
ベイジアンネットワーク概説 3.6 構造の探索アルゴリズム
s a b f c e d 2016年度 有限幾何学 期末試験 問1:15点
5.5 The Linear Arboricity of Graphs (グラフの線形樹化数)
k 個のミスマッチを許した点集合マッチング・アルゴリズム
シャノンのスイッチングゲームにおけるペアリング戦略について
シャノンのスイッチングゲームにおけるペアリング戦略の複雑さについて
ニューラルネットは、いつ、なぜ、どのようにして役立つか?
第25章 単一始点最短路 3節 Bellman-Fordのアルゴリズム
決定木とランダムフォレスト 和田 俊和.
第3回 アルゴリズムと計算量 2019/2/24.
オートマトンとチューリング機械.
25. Randomized Algorithms
b f c a d e g h a b c d e f g 図1 図2 2012年度 有限幾何学 期末試験
モバイルエージェントネットワークの拡張とシミュレーション
計算の理論 II 言語とクラス 月曜4校時 大月美佳.
データ構造と アルゴリズム 第六回 知能情報学部 新田直也.
A Simple Algorithm for Generating Unordered Rooted Trees
離散数学 07. 木 五島.
情報生命科学特別講義III (13) 固定パラメータアルゴリズムと 部分k木
阿久津 達也 京都大学 化学研究所 バイオインフォマティクスセンター
絡み目の不変量 カウフマンブラケット多項式 の効率的な実装
九州大学大学院 情報学専攻特別講義 (6) 固定パラメータアルゴリズムと 部分k木
アルゴリズムとデータ構造 2011年7月8日課題の復習
モデル検査(5) CTLモデル検査アルゴリズム
アルゴリズムとデータ構造 第3章 ヒープ 5月31日分
    有限幾何学        第5回.
直並列グラフの連続多重彩色 西関研究室 吉田進太郎.
離散数学 06. グラフ 序論 五島.
情報工学概論 (アルゴリズムとデータ構造)
2009/11/27 グラフ (1) 第9講: 平成21年11月27日 (金) 4限 E252教室 コンピュータアルゴリズム.
アルゴリズムとデータ構造 第2章 リスト構造 5月24日分
d b c e a f 年度 有限幾何学 中間試験 問1 次の用語の定義をそれぞれ述べよ.
2017年度 有限幾何学 期末試験 注意:ループと多重辺がないグラフのみを扱う. 問1 次の定理と,その証明の概略を読み,各問に答えよ.
生命情報学特論 (6) 固定パラメータアルゴリズムと 部分k木
卒業研究 Treedecompositionを生成するヒューリスティックアルゴリズムの幅に関する評価実験
卒業研究 木分解ヒューリスティック アルゴリズムの性能評価実験 ~アルゴリズムの改良の考察と そのプログラム作成~
離散数学 11. その他のアルゴリズム 五島.
Speaker: Kazuhiro Inaba Paper Introduction from WSDM 2015
計算の理論 I ー ε-動作を含むNFA ー 月曜3校時 大月 美佳.
生物情報ソフトウェア特論 (10)固定パラメータアルゴリズムと 部分k木
グラフの帯域幅連続多重彩色 を求めるアルゴリズム (Bandwidth Consective Multicolorings of Graphs) 西関研究室 西川和秀.
Presentation transcript:

Permutationグラフと Distance-Hereditaryグラフの 再構築アルゴリズム   清見 礼 ○斎藤 寿樹   上原 隆平 (JAIST 仲良し3人組)

グラフ再構築問題 Preimage グラフG=(V, E)のDeck: グラフの多重集合{G-v | v∈V} グラフの多重集合DのPreimage: DをDeckとするグラフ GのDeck v1 v3 v5 v4 v1 v2 v3 v5 Preimage v1 v2 v3 v5 v4 グラフG v2 v3 v5 v4 G-v2 G-v4 v1 v2 v5 v4 v1 v2 v3 v4 G-v1 G-v3 G-v5

グラフ再構築問題 入力:n-1頂点のn個のグラフD 質問:DをDeckとするPreimageは存在するか? 入力:D ラベルなしグラフ

グラフ再構築予想 n-1頂点のグラフがn個与えられたとき(n≧3),それをDeckとするPreimageは高々一つ 入力:D 上のグラフとは異なるグラフ

グラフ再構築予想 UlamとKellyによって提唱 [1957年] 予想が成立するグラフクラス 関連研究 再構築可能なもの(一意に決定) 未解決問題 予想が成立するグラフクラス 正則グラフ、木、非連結グラフなど 関連研究 再構築可能なもの(一意に決定) 次数列、彩色数など グラフの同型性判定問題と深い関係 再構築問題は同型性判定問題以上に難しい

単純なグラフ再構築アルゴリズム Gi∈Dを選択 Giに頂点vとvに接続する辺を追加(Giv) GivのDeck Divを作る DivとDが等しいかをチェック(Deck Checking) 等しければ,DのPreimageはGiv 等しくなければ,2に戻る v グラフGiv 入力:D GivのDeck

単純なグラフ再構築アルゴリズム ≠ DはGivのDeckではない Gi∈Dを選択 Giに頂点vとvに接続する辺を追加(Giv) GivのDeck Divを作る DivとDが等しいかをチェック(Deck Checking) 等しければ,DのPreimageはGiv 等しくなければ,2に戻る v グラフGiv 入力:D GivのDeck ≠ DはGivのDeckではない

単純なグラフ再構築アルゴリズム = DはGivのDeck Gi∈Dを選択 Giに頂点vとvに接続する辺を追加(Giv) GivのDeck Divを作る DivとDが等しいかをチェック(Deck Checking) 等しければ,DのPreimageはGiv 等しくなければ,2に戻る v グラフGiv 入力:D GivのDeck = DはGivのDeck

単純なグラフ再構築アルゴリズム このアルゴリズムは遅い! 多項式時間アルゴリズムの開発 候補が指数個 同型性判定 多項式時間 Gi∈Dを選択 Giに頂点vとvに接続する辺を追加(Giv) GivのDeck Divを作る DivとDが等しいかをチェック(Deck Checking) 等しければ,DのPreimageはGiv 等しくなければ,2に戻る 候補が指数個 同型性判定 多項式時間 このアルゴリズムは遅い! 多項式時間アルゴリズムの開発 入力に制限:同型性判定を多項式時間で行えるグラフクラス 入力Dのすべてのグラフが、あるグラフクラスに属する

Distance-Hereditaryグラフ GI-完全:同型性判定問題が一般のグラフと同程度に難しい 今回の結果 GI完全なグラフクラス Perfectグラフ HHD-freeグラフ Comparabilityグラフ Chordalグラフ 同型性判定が多項式時間 今回の発表 Distance-Hereditaryグラフ Intervalグラフ Permutationグラフ M. Kiyomi et al. (2009) つまらない! アルゴリズムが存在 再構築予想が成立 Proper Intervalグラフ Tree Thresholdグラフ

Permutationグラフの再構築問題 入力:グラフの多重集合D 各グラフGi∈DはPermutationグラフ 質問:DをDeckとするグラフが存在するか? 入力:D Permutationグラフ ・・・

Permutationグラフ ライン表現を持つグラフクラス 1 2 3 4 5 6 3 6 4 1 5 2 Permutationグラフ 1 2 3 4 5 6 1 6 4 3 2 5 3 6 4 1 5 2 Permutationグラフ ライン表現

Permutationグラフの特徴 逆は成り立たない! 補題0 1 2 3 4 5 6 3 6 4 1 5 2 Permutationグラフ 1 2 3 4 5 6 3 6 4 1 5 2 ライン表現 1 2 3 4 5 Permutationグラフ 6 PreimageがPermutationグラフ ⇒ Deckの中のグラフはすべてPermutationグラフ 逆は成り立たない! PreimageがPermutationグラフの禁止グラフ

Permutationグラフの禁止グラフ[T. Gallai 1967] これらのグラフとこの補グラフ k ≧ 0 k 2k+3 2k+3 2k+2 k+1 k k Preimageが禁止グラフかチェック

考えるべき問題 ・・・ 入力:グラフの多重集合D 質問:DをDeckとするPermutationグラフが存在するか? 入力:D 各グラフGi∈DはPermutationグラフ 質問:DをDeckとするPermutationグラフが存在するか? 入力:D Permutationグラフ ・・・

Permutationグラフを再構築するアルゴリズム? DeckのグラフGiのライン表現に線分を追加 指数通りのライン表現が存在 入力:D グラフGi O(n2)通りを試せばOK? ・・・ ライン表現が一意(高々4通り)に定まるもの

ライン表現が一意のPermutationグラフ 補題1 [T. Ma and J. Spinrad, 1994] PermutationグラフGがmodular decompositionにおいてprimeであるとき、Gのライン表現は一意である 入力:D グラフGi O(n2)通りを試せばOK ・・・

Modular Decomposition Permutationグラフとは独立の話 Modular Decomposition G=(V, E)のmodule M: 頂点集合 V\Mの頂点はMのすべての頂点と隣接, or   Mのすべての頂点と隣接しない module Mがtrivial: M=φ, M=V, or |M|=1 グラフGがprime: Gはtrivialなmoduleしか持たない Prime Mの頂点の隣接関係はMの外を見るとどれも同じ

ライン表現が一意のPermutationグラフ 補題1 [T. Ma and J. Spinrad, 1994] PermutationグラフGがmodular decompositionにおいてprimeであるとき、Gのライン表現は一意である 補題2 [J.H. Schmerl, W.T. Trotter, 1993] グラフGをprimeなグラフとする G-vがprimeであるようなvが存在 ⇔ GがH2nやH2nではない ・・・ x1 x2 xi xn y1 y2 yi yn Prime Prime グラフH2n

アルゴリズム(Preimageがprime) Dの中からPrimeなグラフを探す If PrimeなグラフGiが存在      Giのライン表現に線分を追加(O(n2)回)   else PreimageがH2n または H2nかチェック

アルゴリズム 入力:グラフの多重集合D Preimageが禁止グラフかチェック Preimageがprimeのとき 各グラフGi∈DはPermutationグラフ Preimageが禁止グラフかチェック PreimageがPermutationグラフのみを考えるため Preimageがprimeのとき Preimageのライン表現が一意 Preimageがprimeでないとき Modular Decompositionを用いて、 問題を“Preimageがprimeのとき”におとす

Modular Decomposition Permutationグラフとは独立の話 Modular Decomposition G=(V, E)のmodule M:頂点集合 V\Mの頂点はMのすべての頂点と隣接, or   Mのすべての頂点と隣接しない module Mがstrong: Mは他のmoduleとoverlapしない strong moduleの包含関係を木で表現可能 M1 M2 M3 M4 M5 M4 M5 M1 M2 M3

Modular Decompositionとライン表現 M4 M5 M3 M5 M4 M5 M1 M2 M3 strong moduleを含まないmoduleのライン表現は一意

アルゴリズム(Preimageがprimeでない) For グラフGi∈D (i=1 to n) GiのModular Decompositionを計算 For strong moduleを含まないmodule M Mのライン表現に線分を追加(O(n2)回)   PreimageがH2nやH2nを含むかチェック

Distance-Hereditaryグラフ まとめと今後の課題 GI-完全:同型性判定問題が一般のグラフと同程度に難しい GI完全なグラフクラス Perfectグラフ HHD-freeグラフ Comparabilityグラフ Chordalグラフ 同型性判定が多項式時間 Circleグラフ Circular-arcグラフ 再構築予想が成立? Distance-Hereditaryグラフ Permutationグラフ Intervalグラフ M. Kiyomi et al. (2009) 多項式時間アルゴリズムの開発 アルゴリズムが存在 再構築予想が成立 Proper Intervalグラフ Tree Thresholdグラフ