J-PARC LINAC の ビーム診断システム

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J-PARC LINAC の ビーム診断システム 目次 ・リニアックの構成 ・モニタ一覧とデータ集積  実働がメインです ・バンチシェイプモニタ(BSM) KEK 加速器第一研究系 宮尾 智章

J-PARC Linacの構成 2013年にACS空洞搬入 ⇒今年1月ビームエネルギー400MeV達成!! 今年度はビーム電流50mAでの試験も実施。 3MeV 50MeV 191MeV 400MeV IS LEBT MEBT-1 ⇒今年度改造 MEBT-2 ⇒来年度改造予定 RFQ DTL 3台 f=324MHz SDTL 16x2=32台 f=324MHz BEAM DUMP ACS 21台 f=972MHz L3BT RCSへ 50keV

J-PARC Linacのモニタ一覧 (RCS入射ラインを含む) ・位置モニタ(BPM) 136台 ・・・ビームの軌道            ・・・ビームの軌道  ・電流モニタ(SCT) 57台            ・・・ビーム電流、粒子数の算出 ・位相モニタ(FCT) 113台            ・・・ビームエネルギー計算 ・ロスモニタ(BLM) 94台            ・・・計数管タイプ、シンチレーション ・ワイヤースキャナ(WSM) 36台            ・・・ビームの横方向分布を測る ・バンチシェイプモニタ(BSM) 1台             ・・・ビーム軸方向分布を測る  ⇒これらを2人で監視してます。モニタGr大募集。

ビーム位置モニタ(BPM) ・信号利得を大きくするためにストリップライン型を採用 ・インピーダンスマッチング⇒50Ωに合わせる様、ストリップラインの幅を決める    ⇒端子、フランジの溶接で2~3Ω上がる (経験則) ・ワイヤー(100µm、タングステン金メッキ)擬似信号によるマッピングデータ取得  分解能はx,yともに100µm ・構造上、四極電磁石に入るように設計 BPM配置 ワイヤーを使ったBPMの校正

電流モニタ(SCT) 位相モニタ(FCT) ・原理:電磁誘導は簡単に   V = N* dI/dt  (Vは誘導起電力、Nはコイルの巻数、Iはビーム電流)  で表される。 ・コアは、飽和磁化の高い  ファインメットを採用。 ・コイルの巻数  SCT:50ターン FCT:1ターン ・測定レンジ  SCT:0~70mA 精度0.1mA  FCT:30dB以上     位相精度1deg

電流モニタ(SCT) パルスジェネレータ 出力:1~7V 地下 地上 校正用ケーブルには10mA電流が流れる。 抵抗 100Ω SCTコア 50turn プリアンプ 校正用端子 バッファ アンプ オシロ 地下 地上 校正用ケーブルには10mA電流が流れる。 電流10mAにつき出力1.0Vになるよう調整している。 10mA ⇒ 出力反転 オシロのターミネーションは間違えないように!! デジタイザ

電流モニタ(SCT) 位相モニタ(FCT) パルス特性 出力 出力波形:反転している。 このまま放置すると・・・ 位相の校正: ネットアナの周波数測定 パルス入力 黄色の波形のように反転する… 制御上で-1倍すると混乱のもとになる

位相モニタ(FCT) ・エネルギー測定 ⇒飛行時間法(TOF法)で計算 ビームエネルギー FCT2 FCT1 Δθ BEAM L 加速空洞の位相とビームエネルギーのスキャン モニタヘッド、検出器、ケーブル位相の パラメータが必要になる。 400MeV達成 (2014.1.17)

ロスモニタ(BLM) ・多くは比例計数管を使用 芯線(Φ50µm、白金ワイヤー) Ar+CO2を封入し、荷電粒子、X線、ガンマ線が  当たるとイオン化されて信号が得られる。  ⇒加速空洞のコンディショニングにも役立っている。 ・Machine Protection System(MPS)は、  生出力、高圧異常でビームを止める。 600µs 計数管 シンチレーション

ロスモニタ(BLM) ・シンチレーションは フォトマルにプラスチックシンチレータを接着して 遮光幕を巻きつける。 ・シンチレーションは  フォトマルにプラスチックシンチレータを接着して 遮光幕を巻きつける。 ・ガンマ線に感度が高くビームロスのみを検出する。 ・高速応答があり、ビーム診断に有力 ・ビーム軌道調整前後で、ロスを減らすことができた。  黄色:ビームパルス300µs  ピンク、緑:ビームロスの波形 ・MPSは検討中⇒積分出力

ワイヤスキャナモニタ(WSM) ワイヤー:タングステン金メッキ Φ 80µm ⇒ 30µm MEBT1、ACSセクション除く ビームラインで張り替え作業を実施 オレンジ:X方向のプロファイル測定 青:Y方向のプロファイル測定 ・測定精度は0.1mm beam

データの集積・真空監視 1: WE800,WE900・・・MEBT1~SDTLセクション 20MS/s, 12bit 2: WER200M・・・ACSセクション 200MS/s, 12bit ⇒各データはEPICS レコードでアーカイブできる 3: ワイヤスキャナ用モータードライバ・・・MEBT2、ACSセクション    4: 真空コントロールシステム  バンチシェイプモニタ(BSM)用 2 1 サンプリング周波数:ビット数 WER:200MS/s、12bit WE:20MS/s 14bit 3 4

バンチシェイプモニタ(BSM)

測定原理 1.ターゲットワイヤー 2.コリメータ-1 3.RF偏向板+静電レンズ 4.ステアリング 5.コリメータ-2 I(φ) BEAM Utarg 1 3 2 5 6 7 8 Signal USEM I(z) Secondary electron 4 B(Isteer) B(Ibend) Z X Y 1.ターゲットワイヤー 2.コリメータ-1 3.RF偏向板+静電レンズ 4.ステアリング 5.コリメータ-2 6. Bend Magnet 7.コリメータ-3 8. 光電子増倍管

BSM全体図 Y X

オフラインでのテスト ・左:ネットワークアナライザを用いたRFテスト 加速周波数に調整するよう上蓋を開けて ねじを回す     ねじを回す ・左下:動作試験で配線されたBSM ・右下:制御プログラムの動作試験

インストールの様子 ・左:ダブレット間はクレーンで持ち上げる。 その後手作業で調節 ・左下:モニタとベローズの取り付け    その後手作業で調節 ・左下:モニタとベローズの取り付け     クランプが狭くて手が入りずらい ・右下:0.1mmのタングステンワイヤー

インストール後のテスト ・RFテストの再現性確認・・・問題なし ・磁場なしでのBSMチューニング ・・・問題なし ・ダブレット通電による磁場の影響確認   ⇒磁場ありでのBSMチューニング・・・収束点見えず 熱電子によるチューニングの様子 中に蛍光塗料が塗られていて電子の軌道が見える。        ⇒収束点がわかる。

BSMの漏れ磁場対策 ビームラインにシールドを施す。      ・ビームラインに1.0mm厚鉄板4枚             +モニタ筐体回りに0.4mmケイ素鋼板をはめ込む

BSMチューニング結果 1 2 3 4 5 6 7 8 9 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 Focusing Voltage (kV) Quadrupole doublet current (A) Focusing voltage vs doublet current for different shields for BSM#3 No shield Coils 0.4 mm, Body 0.4 mm Coils 1.0 mm, Body 0.4 mm Coils 1.4 mm, Body 0.4 mm

BSMワイヤー位置調整結果 ワイヤー最適位置の決定 各モニタの信号確認 1号機:2号機の光電子増倍管の信号 2号機:3号機の光電子増倍管の信号 3号機:直後のロスモニタ積分出力信号 2号機は再度メンテナンス日に調整 ワイヤー位置(position range~±5.0mm) 1号機:0mm  2号機:-0.8mm(flatの中心) 3号機:-0.5mm

測定結果 ビーム条件: 電流15mA マクロ幅100µs 繰り返し1Hz 

測定結果 ビームパルス  ビームの縦方向分布  空洞のRF調整が必要なことが確認できる。 

今後の予定 BSM関係 ・ワイヤーとRF収束のガスによる真空対策 ・位相分解能の改善 ・RF位相安定度の更新 ・モータドライバーの更新 等々    ・位相分解能の改善    ・RF位相安定度の更新    ・モータドライバーの更新     等々 それ以外    ・MEBT1:チョッパーとスクレーパーの監視モニタの実用化     ⇒ビーム透過率モニタ、温度監視モニタ    ・レーザープロファイルモニタの開発    ・ADSラインにつけるモニタの開発     等々 レーザープロファイルモニタ:募集中⇒三浦さんと相談。