男性理学療法士及び作業療法士の育児休業取得から見えてくるもの (社)神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部 萩原 文子
【はじめに】 日本理学療法士協会や神奈川県理学療法士会の報告では会員の退職や休職の理由として出産や育児が大きな比率を占めているとされている。 制度的には男性も育児休業(以下育休)の取得が可能であるが厚生労働省の調べによると2006年度の男性育休取得率は0.57%であり政府目標の10%には程遠い状況である。
【目的】 男性の目から見た育児・仕事との両立・制度などの問題点などを明らかにするため,育休の取得経験のある男性理学療法士(以下PT)及び作業療法士(以下OT)より経験談や意見を聴取し,調査を行なったので報告する。
【方法】 事前に作成した調査票により面接又はメールにより調査を実施した。 対象者:育休取得男性PT3名・OT1名 28~40歳(平均34歳) 調査内容:家庭環境・職場環境・育休取得について
【育休取得期間】 育休取得期間 2~12ヶ月(平均5.75ヶ月)
【育児休業取得期間】 育児休業取得期間 2~12ヶ月(平均5.75ヶ月) 妻 出産10ヶ月前に退職 夫 復帰 事例A 0 2(月) 事例B 育児休業取得期間 2~12ヶ月(平均5.75ヶ月) 事例A 0 2(月) 妻 出産10ヶ月前に退職 夫 復帰 事例B 2 4 6 8(月) 事例C 8 10 12 (月) 事例D 1歳 2歳 育 育2 育3.5 産2 育休5 育休4 育休12 育休14
【育児休業取得期間】 育児休業取得期間2~12ヶ月(平均5.7ヶ月) 妻 出産10ヶ月前に退職 夫 復帰 事例A 0 2(月) 事例B 2 4 6 8(月) 事例C 8 10 12 (月) 事例D 1歳 2歳 育 育2 育3.5 産2 育休5 育休4 育休12 育休14
【職場状況1】 職場:公的又は準公的施設 職場のPT・OT数:2名~28名(平均11.25名) 休業中の代替者の確保: 2施設 あり ・ 2施設 なし 職場内保育所の設置:4施設 なし
【職場状況2】 職場での女性の育児休業取得: 3施設 取得し易い 1施設 退職圧力等はなし リハビリ部門の対応: 4施設とも協力的 3施設 取得し易い 1施設 退職圧力等はなし リハビリ部門の対応: 4施設とも協力的 3施設では代替者の募集が行なわれた
【職場状況3】 事務レベルの対応・反応 ・権利なので可能 ・権利なので可能 ・制度はあるが事務職員の認識がなく、自分で制度を調査し担当者の上司へ説明を求めるなどの対応を必要とした。 ・事情に詳しい他職種の上司が直属上司や事務方への対応をしてくれた。 ・書類手続きなどの確認
【育児休業を取得するきっかけ】 子供が生まれたから 妻との約束 (第2子出産時は育児休業を取る) 育児がしたいと思った (第2子出産時は育児休業を取る) 育児がしたいと思った 産後2ヶ月の母体の安静の大事さを知り決めた
【良かったこと】 親としての責任感が持てた。 子供とゆっくりとした時間が持て向き合うことが出来た。 人としての幅が広がった。 病院以外の世界にも目を向けるきっかけとなった。 患者さんが帰っていく家庭や地域がみえ,指導へもつながることが沢山あった。
【困ったこと】 特になし
【対象者からの要望】 育休が取得可能であることや取得によるメリットなどの情報発信をして欲しい。 事務職員が制度を理解しスムーズな手続きが行なわれるようになって欲しい。 待機児童をなくしいつでも認可保育園に入れるようにして欲しい。 育児に深く関ることにより父親として,人として,職業人として多くのメリットがあるのでどんどん取得して欲しい。
【考 察】 今回の調査は偶然アクセスできた5名のうち協力を得られた4名という非常に少ない数であるが全ての職場が公的又は準公的な施設であった。 【考 察】 今回の調査は偶然アクセスできた5名のうち協力を得られた4名という非常に少ない数であるが全ての職場が公的又は準公的な施設であった。 職場の規模や職員数・取得期間や時期などは様々であった。 困ったことは全員が特になしと,良かったこととして子供や家族との関係・人としてやリハビリテーションを担う職業人としての向上を挙げており育休取得によるメリットが大きいことがわかった。
女性の育休取得がし易い職場では男性も取得し易いのではないか,保育所の必要性,どうしたら育休をすすめていけるかなど更なる状況把握・育休制度の啓発と代替者の補充が容易になるよう人材バンクなどの整備なども進めていく必要があると思われ,今後も調査・活動を続けていく。
参考 育児休業制度 事業者は就業規則に育児休業の定めを設けなければならず、また定めがなくても労働者は育児休業を取る権利があります。 参考 育児休業制度 事業者は就業規則に育児休業の定めを設けなければならず、また定めがなくても労働者は育児休業を取る権利があります。 原則として1歳未満の子を養育する男女労働者が申し出れば、子が1歳に達するまで育児休業が取れます(保育所に入所できないなど事情によっては1歳6ヶ月まで延長可)。 事業者は要件を満たした申し出を拒むことはできません。
3歳未満までの育児休業が可能な事業所もあり。 妻が専業主婦か育児休業中であっても夫が8週間の育児休業取得可能。 育児休業中の賃金は雇用保険からの基本給付金30%と育児休業者職場復帰給付金20%(2010年3月まで)のあわせて50%以上が保障されます。