2009年7月30日(木) ISO/IEC JTC1 ディジタルコンテント管理および保護SG 機械振興会館

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2009年7月30日(木) ISO/IEC JTC1 ディジタルコンテント管理および保護SG 機械振興会館 OAIS参照モデルの概要 常磐大学人間科学部    栗山 正光 2009年7月30日(木) ISO/IEC JTC1 ディジタルコンテント管理および保護SG 機械振興会館

OAIS参照モデル Reference Model for an Open Archival Information System (OAIS) 宇宙データシステム諮問委員会(Consultative Committee for Space Data Systems)が策定 1999年5月 Red Book, Issue 1 (R-1)  2001年7月 Red Book, Issue 2 (R-2) 2002年1月 Blue Book, Issue 1(B-1) = ISO 14721:2003 cf. ISO “Reference Model For an Open Archival Information System (OAIS)” Tutorial Presentation

OAIS参照モデルの内容 イントロダクション OAISの諸概念 OAISの責任 モデルの詳細 長期保存の展望 アーカイブの相互運用性 機能モデル、情報モデル 長期保存の展望 情報の保存、アクセス・サービスの保存 アーカイブの相互運用性

OAISとは? 「OAISとは、人とシステムの組織で構成される、指定されたコミュニティのために情報を保存し、それを利用できるようにする責任を負ったアーカイブである」 OAISの責任 情報生産者との交渉・情報入手 確実に長期保存できるよう情報をコントロール 「指定コミュニティ」の確定 指定コミュニティだけで情報を理解できるようにする 文書化された方針・手続きに従う 指定コミュニティに保存された情報を提供

情報パッケージ(1) 保存記述情報(PDI) 来 歴 コンテクスト 保存記述情報 内容情報 参照 パッケージ情報 不変性 パッケージ1 データオブジェクト 表現情報 保存記述情報(PDI)  来 歴 内容情報の歴史(原資料、変更履歴、権利関係など)  コンテクスト 内容情報とその周囲との関係(作成理由、他の資料との関係など)  参照 内容情報同定のための情報(ID番号、必要なら記述情報)  不変性 真正性認証の仕組み(CRCコードなど) 保存記述情報 内容情報 パッケージ情報 パッケージ1 パッケージ1に関する記述情報 Reference Model for an Open Archival Information System (OAIS) Blue Book, Issue 1. January 2002. p. 2-5. の図に少し手を加えた。

情報パッケージ(2) 情報の流通段階に応じて3種類 提出(受入)用情報パッケージ Submission Information Package (SIP) 保管用情報パッケージ Archival Information Package (AIP) 配布用情報パッケージ Dissemination Information Package (DIP)

OAIS参照モデル -- 機能モデル 保存計画 生 産 者 消 費 者 受入 保管 AIP DIP AIP 運用統括 経営 データ管理 記述情報 記述情報 データ管理 問合せ 生 産 者 消 費 者 結果 アクセス 注文 受入 SIP 保管 AIP DIP AIP 運用統括 経営 Reference Model for an Open Archival Information System(OAIS) Blue Book, Issue 1. January 2002. p. 4-1. より SIP:提出用情報パッケージ AIP:保管用情報パッケージ DIP:配布用情報パッケージ

長期保存の展望(1) 情報のマイグレーション(移行)のタイプ リフレッシュメント Refreshment 複製 Replication 同じタイプのメディアにコピー 複製 Replication パッケージ情報、内容情報、保存記述情報に変更のないコピー(メディアは別のタイプでもよい) 再パッケージ Repackaging パッケージ情報に変更があるコピー 変換 Transformation 内容情報または保存記述情報に変更があるコピー

長期保存の展望(2) アクセス・サービスの保存 アクセス・ソフトウェアのためのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)の維持・提供 APIの利用者が多い場合は有効 アクセス・ソフトウェアの”look and feel”の保存 ソースコードときちんとしたドキュメントが維持されていれば可能 問題はコストパフォーマンス エミュレーション ハードウェア・エミュレーションの他に仮想機械によるものなどが研究されているが、未知数

アーカイブの連携 独立 Independent 協力 Cooperating 連合 Federated 協力関係なし。ただし標準の採用はあり得る 協力 Cooperating 共通の提出・配布標準 連合 Federated 共通の検索手段(集中型あるいは分散型) それぞれのローカル・コミュニティが優先 資源共有 Shared resources 資源を共有してコスト削減 さまざまな内部の標準化が必要

OAIS参照モデルの浸透状況(1) OAIS参照モデル準拠のメタデータ要素規定の動き CEDARS (2000年―OAISはまだ案の段階) OCLC/RLGのWGによる保存メタデータ報告書(2002.6) コーネル大学図書館のDPO (2006?まで) METS、オーストラリア国立図書館、ニュージーランド国立図書館も言及はしているが、実際の構成はかなり異なる

OAIS参照モデルの浸透状況(2) PREMISのアンケート調査(1) 2003年11月~2004年3月に実施、9月に最終報告書 欧米13か国から48の機関が回答 OAIS参照モデルに関する設問は二つ OAIS参照モデルに準拠しているか?どの部分が準拠しているか? OAIS参照モデルはどのように役立つか?役立たない部分があるか?

OAIS参照モデルの浸透状況(3) PREMISのアンケート調査(2) 8割以上がOAIS参照モデルに準拠と回答 完全に準拠と答えたのは4機関 準拠の意味を電話質問→回答はさまざま アーカイブの計画段階で役立つという意見 一部用語が不適切との不満 リポジトリを「受身」でとらえていることへの不満 別のモデルが必要か?という追加質問 →ほとんどが不要とする。補助資料への要求が強い

OAIS参照モデルの浸透状況(4) CENDIとICSTIによる調査報告書 ” Digital Preservation and Permanent Access to Scientific Information: The State of the Practice” (2004.2, rev. 2004.4) 主な知見の2番目として「OAIS参照モデルは広く採用されている」との記述 あらゆるタイプのアーカイブがOAISの用語や概念モデルを使用 ただし科学の世界では先行システムが多いせいかそれほど広まっていない→今後広まると思われる

その後の動き 5年のレビュー/コメント受付期間 2009年5月、改訂版発表 2006年10月末まで 2006年10月13日にエジンバラ大学でワークショップ 2009年5月、改訂版発表 Pink Book, Issue 1.1 6月15日まで修正受付、その後、ISOに送付とのこと

図書館界の関心 欧米の図書館界は早くから電子情報の長期保存に関心が高い PREMISは保存メタデータのデータ辞書を公表(米国議会図書館が管理) 大学図書館は機関リポジトリを構築 査読論文のオープンアクセス推進が第一 長期保存への関心もちらほら DSpaceやEPrintsなど代表的なソフトも保存機能に関してはOAISの概念に言及