1999年度秋学期 香川敏幸研究会 個別研究 兼 卒業制作 日本の介護福祉の在り方について 1999年度秋学期 香川敏幸研究会 個別研究 兼 卒業制作 日本の介護福祉の在り方について 総合政策学部4年 宮田 龍(79608848) http://www.sfc.keio.ac.jp/~s96885rm/g-pro/
contents 1、介護環境の変化 2、試行錯誤する介護保険制度 3、ドイツ・介護保険法 4、これからの介護福祉
介護環境の変化 少子高齢化の進展 65歳以上人口の増加 出生数の低下 世界的な傾向 4.94%(1950)→15.11%(1996)→30.22%(2050) 出生数の低下 234万人(1950)→119万人(1997) 合計特殊出生率 3.65人(1950)→1.39人(1997) 世界的な傾向 顕著なアジア地域諸国
介護環境の変化 家族介護の限界 家族の介護能力は低下 介護の質の変化 「最期を看取る介護」から「重障害の高齢者を長期間看る」介護へ 家族形態の変化 平均世帯人員 4.8人(1975)→2.8人(1995) 女性の社会進出、晩婚化 家族の介護能力は低下
介護環境の変化 「老人病院」の登場 医療と福祉の総合的な整理が求められる 介護目当ての入院「社会的入院」の問題化 本来の病院の医療機能に影響 「老人福祉」と「老人医療」の隙間 「介護の駆け込み寺」 本来の病院の医療機能に影響 医療と福祉の総合的な整理が求められる
介護環境の変化 国の役割の変化 新たな介護システムの創設へ グローバル化の進展 「大きな政府」から「小さな政府」へ 救貧的・措置制度的な社会福祉政策からの転換 新たな介護システムの創設へ
介護環境の変化 高齢者福祉政策の改革 介護環境の変化を受け「介護を社会的に支える」システムの創設へ 1990年 「ゴールドプラン」 (高齢者保健福祉推進10カ年戦略) 1995年 「新・ゴールドプラン」 1995年 「介護保険制度」
試行錯誤する介護保険制度 創設までの経緯 1994.9 社会保障制度審議会 .12 高齢者介護・自立システム研究会 1994.9 社会保障制度審議会 →「介護保険制度」を初提案 .12 高齢者介護・自立システム研究会 →社会保険制度の導入を提唱 →1995年7月「老人保健福祉審議会」でも同様の報告 1995.12 高齢者介護・自立システム研究会 →「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」 1997.12.7 衆議院本会議で可決 2000.4.1 制度スタート
試行錯誤する介護保険制度 制度の概要 在宅介護サービス 要介護者 介護保健施設 要介護申請 介護サービス計画 訪問調査 かかり付け医の 在宅介護サービス 要介護者 介護保健施設 要介護申請 介護サービス計画 訪問調査 かかり付け医の 意見書 認定 介護認定審査委員会 意義 申し立て
試行錯誤する介護保険制度 制度の概要 要介護度の目安と在宅介護サービスの利用限度額
試行錯誤する介護保険制度 議論の再燃 山積する課題 政府特別対策の発表(1999.11.07) 家族介護への給付 保険料削減策 要介護判定の基準 介護サービスの供給体制 政府特別対策の発表(1999.11.07) →制度の根幹を揺るがす影響
ドイツ・介護保険法 導入の背景 高齢化の進展 要介護者の増加 家庭の介護能力の低下 高額な施設入所費 地方自治体の財政を圧迫 65歳以上人口、2050年には30%に 要介護者の増加 総人口の2.1%、165万人(1991) 家庭の介護能力の低下 主たる介護者であった女性の社会進出が進む 高額な施設入所費 4,000〜4,500DM/月 地方自治体の財政を圧迫
ドイツ・介護保険法 成立までの経緯 制度の概要 1994年5月 法案成立(20年に渡る末) 1995年1月 保険料徴収、要介護認定スタート 1994年5月 法案成立(20年に渡る末) 1995年1月 保険料徴収、要介護認定スタート 4月 在宅の要介護者への現金給付、 訪問介護サービスの開始 1996年7月 施設入所サービスの開始 制度の概要 保険料 1.7% 保険者 疾病金庫 対象者 全国民に加入義務付け
ドイツ・介護保険法 制度の概要 在宅介護給付 要介護者 部分的施設介護給付 入所施設介護給付 要介護申請 認定 給付審査 介護金庫 在宅介護給付 要介護者 部分的施設介護給付 入所施設介護給付 要介護申請 認定 給付審査 介護金庫 メディカルサービス(通称MDK)
ドイツ・介護保険法 給付内容 在宅介護給付 部分的施設介護給付 入所施設介護給付 在宅介護者への給付 最大で毎月3,750DMまでの在宅介護サービス、最大で毎月1,300DMまでの介護手当 部分的施設介護給付 デイケア、ナイトケア ショートステイ 入所施設介護給付 月額2,800DM、年額30,000DMまで介護金庫が負担 在宅介護者への給付 年金保険料を介護金庫が負担
ドイツ・介護保険法 実施状況 要介護度認定 審査状況 保険給付状況 スタート時は給付申請者の審査が滞留 1995年内には解決 推定要介護者数の2.6倍の申請件数 30%前後の却下率 異義申し立ても多数 保険給付状況 在宅介護給付73%、施設介護給付27% 在宅介護給付中、介護手当76.9%、介護サービス9.5% 要介護度の高い家庭では、コンビネーション給付を選択する傾向
ドイツ・介護保険法 財政状況 国民の意識 収入 232.7億DM(1996)、304.8億DM(1997) 支出 ①施設介護給付 ②介護手当 ③介護サービス 収支 23億DM(1996)、15.7億マルクの黒字 国際競争力維持のため、保険料抑制を求める動きが強まる 国民の意識 介護保険受給者に行ったアンケート 64%の人が「介護保険法は介護者の励ましになっている」 要介護認定の審査についても「適切である」が76.8%
これからの介護福祉 今までの介護福祉 介護保険制度が目指すもの 家族単位では負担、解決ともに困難 旧来の家族観で強制 「措置制度」の福祉行政 介護を社会全体で支えること 「施しの福祉」から「権利としての福祉」へ アジア諸国への「モデルケース」に